自由貿易反対は、弱者いじめのこと

<自由貿易反対論は、弱者いじめのこと>

さて、世の中には、貿易自由化反対、TPP反対、関税撤廃反対を叫ぶ人たちがおります。

TPP推進派は農産物も耐久消費財も全部金額に換算して評価することしか出来ない。近い将来必ず来る食糧危機に対する懸念というものがまったく念頭に無い。食料というものは多少高くても安定供給することが国家としての責任であることに全く考えが及ばない。耐久消費財などと単純比較できない。

世界人口が70億を超え、食糧危機が懸念されるいま、世界有数の先進国である日本が食糧自給率を下げようとするのは愚か。途上国の食料を高価で買い取り、途上国の市民を飢餓に陥れることになる。いくら金を積んでも食料が買えないなんてことにもなる。国家のリスクマネジメントという視点が欠落



http://toyokeizai.net/articles/-/3267/

エマニュエル・トッド 歴史人口学者・家族人類学者--もし自由貿易が続くなら民主主義は消えるだろう

現在の自由貿易とは何かという点から話しましょう。自由貿易という言葉はとても美しいが、今の自由貿易の真実は経済戦争です。あらゆる経済領域での衝突です。安い商品を作り、給与を押し下げ、国家間での絶え間ない競争をもたらします。

一方、協調的な保護主義は話し合いです。協調的な保護主義の下では、政府がいかに需要を浮揚させるかが優先課題。保護主義の目的は内需の再拡大にあり、各国の利害が内需の刺激策に結び付いています。保護主義経済圏を形成することが(安い生産コストの商品輸入を抑制させ)給与水準の上昇につながる

 世界中の指導者が「自由貿易は問題だ」と認識し、協調という考え方のメカニズムに理解を示せば、国家間の利害は一致するはず。各国が考え、熟慮し、話し合う。それが協調的という意味です。



 今年は、この「市場」そのものが、「利己主義+利他主義」、「一期一会+長期取引」、「コスト削減+コストのかからない信頼関係」から成り立ついうことを明らかにするのが、私の命題です。

 ちなみに所得水準は、生産性によって決まります。内需がどうとか、安い生産コストの商品を輸入とか、全く関係ありません。

閑話休題

 この人たちの中には、①自分に関係がないのに、自分の考えを人に押し付け、平気でいられるタイプの人がうようよおります。大きなお世話なのですが、本人気づいていません。「公益」だと確信しているから、絶対に信念を買えようとしません(笑い)。

 頼むから、押し付けないで!「自存自衛だああ!!!!」ですから、この人たちに関わると、下手をすれば戦争に巻き込まれてしまいます(笑い)。

 ①がいうのは、安全、日本の景観、失業者が出ていいのかという利他心etc公共のためという義憤のようです。

 ②農業生産者は、自己利益のためですが、①の場合、自己利益のためではありません。なぜなら、安全な食材が欲しいなら、関税がたとえゼロになって海外産が多数を占めても、日本産がゼロになるわけではないので、買うことはできるからです。

しかし、「公共のためと言って社会利益の増進をしている人」をスミスは見たことがないといいます。

『世界の名著 アダム・スミス(国富論)』中央公論社 S62 p388

 それゆえ、各個人は、彼の資本を自国内の勤労活動の維持に用い、かつその勤労活動をば、生産物が最大の価値を持つような方向にもってゆこうと、できるだけ努力するから、だれもが必然的に、社会の年々の収入をできるだけ大きくしようと骨を折ることになるわけである。

 もちろん、かれはふつう、社会公共の利益を増進しようなどと意図しているわけではないし、また自分が社会の利益をどれだけ増進しているのかも知らない。…生産物が最大の価値を持つように産業を運営するのは、自分自身の利得のためなのである。

 だが、こうすることによって、かれは、他の多くの場合と同じく、この場合にも、見えざる手に導かれて、みずからは意図してもいなかった一目的を促進することになる。…自分の利益を追求することによって、社会の利益を増進せんと思い込んでいる場合よりも、もっと有効に社会の利益を増進することがしばしばあるのである



 では、「関税反対」の何がおかしいのでしょうか?

まず関税は、外国や、あるいは外国の業者が払うのではなく、日本人が払い、資源の配分に歪みを生じさせる税だということを再確認しましょう。

日経センターの分析です。日経H27.1.30

コメ・小麦・牛肉・豚肉・乳製品・砂糖の6品目の関税撤廃によって受ける、恩恵です。
関税撤廃利益 日経1・30

 所得が低くなればなるほど恩恵を受ける、つまり、6品目関税は「所得の低い層により負担をかけている」ことになるのです。

その負担度は、高所得者層の2.3倍です。消費税の負担格差は1.7倍ですから、その比ではありません
年収 食料消費税額

「消費税は(低所得者に)逆進税」

が、もしも成立するなら、

「関税は(低所得者に)と~っても逆進税」なのです。

つまり、関税撤廃の方が、消費税軽減税率を適用するよりも、もっと「低所得者(例:配偶者をなくした独身高齢層)」に優しいのです。

関税撤廃反対者は、低所得層に冷たい、利己主義者なのです。(笑い)。

だから、自分の利益だけ追求していればいいのです。「社会のため、公益のため」って言って社会利益を増進した、なんて言う人は、スミス以来いないのです。

解決策ですか?アメリカもEUも補助金漬け農業です。

 アメリカ、あんなに砂糖を消費している超ファット国なのに、砂糖を西海岸で生産しているんです。なぜ?砂糖づくり農家を守るためにです。西アフリカや、カリブ海諸国の、貧しい国の所得を奪ってまでです(ハバード経済学参照)。

 関税よりも、補助金の方が、安く済み、なおかつ資源配分をゆがめないのです。バターが年末に日本で不足するのは、バターを買う(輸入する)消費者が、たった1つの団体だからです。生乳~バター量までおかしくなるのは、買うのが、その地区ではたった一つの業者だからです。「消費者1つ<生産者多数」これを、経済学の教科書では独占といい、排除すべきものとされています。

 そういえば、TPP交渉で、10年以内に、クルマの関税をゼロにするとかしないとか、昨日の日経にありました。
良かったですね。アメリカフォードの6mを超える長さのピックアップトラック、安く買えそうですね。日本の世界最高技術の軽オープン2シーターも、これで、アメリカ上陸!(両者ともに冗談です)

<交換とは何かが全然理解できない人々>

例えば、マンキュー10大原理の、第5原理

「交易(取引)は全ての人々をより豊かにする」

原題 Trade can make everyone better off

について、誤訳だの嘘だの、ヨラフ・バウマンが批判しているのを知らないのかだの、アホなことを言う人々が(一定数)います。

「交易(取引)は全ての人々を、より豊かにすることができる」

あるいは

「交易(取引)は全ての人々を、より豊かにすることが可能だ」

でも何でもいいです。

交易(取引)のないことを、自給自足といいます。

自給自足の方が、豊かになる例があれば、1つでも挙げてみましょう。ロビンソン・クルーソーは、無しです。

歴史以前から、交易(取引)でした。

交換1
交換2

現代社会では、そこに「カネ」が介在し、交易(取引)が活発になっただけです。本質は同じなのです。

交換3

「交易(取引)は全ての人々をより豊かにする」を理解できない人は、「ありのお~ままのお(笑い)」現実を見ることができない、可哀想な人々のことです。

ただし、交換でソンしたということは、個々の取引では生じます(みんなそれで、大人になります)。

また、奴隷貿易や、ポトシ銀山の例は、そもそもマンキューの言う、「交易(取引)」ではありません。なぜなら、人は「トクする」と思う=[自分の機会費用⇔相手の機会費用]範囲内でないと、取引は成立しないからです。

あなたが8時間で、コメ8キロ⇔肉1キロ生産できれば、肉1キロの機会費用はコメ8キロです。
相手が8時間でコメ16キロ⇔肉4キロ生産できれば、肉1キロの機会費用はコメ4キロです。

この場合、肉1キロの機会費用7~5の間でしか、取引は成立しません。あなたは、相手から、「肉1キロあげるからコメ7キロ~5キロほしい」と言われたらトクですから、交換します。これが、「肉1キロあげるからコメ9キロ欲しい」なら、絶対に交換しません。自分で作る方がマシだからです。

逆に相手はあなたから、「コメ7キロ~5キロあげるから、肉1キロ欲しい」と言われれば、喜んで応じます。これが、「コメ3キロあげるから、肉1キロ欲しい」と言っても、交換は成立しないのです。

ね、交換システムは、「両者がトク」できるように出来ているでしょう?
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comment

Secret

No title

交換システムは、「両者がトク」で成立するんですね 意味が深いですよね・・・

No title

ここで説明した、「マンキュー経済学 ミクロ編」をご覧下さい。

低生産性=低所得国(例では小規模農家)と高生産性=高所得国(例では大規模農家の間でも、交換の利益が生じていることが、見事に証明されています。

絶対に利益は生じ、そもそも「利益」にならないところでは、「交換」は生じません。

自分が牛肉を200円で生産できる(8時間の労働のうち2時間でできる)のに、300円払って交換しないでしょう?ソンするからです。

説明はマンキュー版を、より分かりやすい説明は予定稿をご覧下さい((笑)。

交換は得するから成立するのです。得しないのに交換させられるとしたら、恐喝といい、世間では「犯罪」と言います。

インドでイギリス製綿花製品を売るために、インド職人の腕を切り落とした・・・これを「交換」とは絶対に言いません。犯罪です。

あなたが100円のコンビニコーヒーを買うのは、「100円以上の価値=お得感」を得ているからです。「400円」なら、「ウッ」となります。スタバなら、400円出します。それは「400円以上の価値がある」としているからです。スタバで1000円なら、「ウっ」となります。ホテルの待ち合わせで「1000円コーヒー」なら、払います・・・

こんな風に、「価格」はおトク感のシグナルです。

ついでに、「売春」も、国によっては合法です。公娼は、職業として成立しています。

逆に日本のパチスロ、あれは、諸外国では完全に「賭博」で、許可されたところでしたできません(ネバダ州ラスベガスのように)。

日本に賭博場がこれだけあるのは、「先進国」の常識から言うと、「異常」です。賭博常習者がこれだけいるのも、「野放し」だからです。
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