臨時投稿 ピケティ&池田信夫
2014年11月08日14:11
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51918562.html
1000兆円の借金を返す方法
、歴史上、政府債務がGDPの2倍を超えて崩壊しなかった国は、最盛期の大英帝国しかない。ナポレオン戦争が終わってから20世紀初頭まで、イギリスは莫大な政府債務を植民地からの搾取と増税で返済し、GDPに占める税収の比率は20%に達した。今の日本でいえば100兆円、ほぼ2倍の増税をすることになる。
もう一つの方法は、第2次大戦後にイギリスの行なった金融抑圧だ。これは金利を規制する一方で人為的にインフレにし、実質金利をマイナスにして政府債務を減らす方法だ。これが黒田日銀の実質的にやっている政策だが、これもインフレ税を国民に広くかけて実質資産を減らす増税である。
どっちにしても、大増税は避けられない。増税しなければ財政が崩壊して、公共サービスも年金給付も生活保護も止まり、餓死する人が出るだろう。イギリスが政府債務の圧縮のために緊縮財政をしき、公共投資を大幅に削減したことが、その社会インフラが貧しくなった原因だ、とピケティは指摘している。
イギリスが政府債務の圧縮のために緊縮財政をしき、公共投資を大幅に削減したことが、その社会インフラが貧しくなった原因だ、とピケティは指摘している。
ピケティは、大英帝国は、その債務を「真面目に、政府の歳出を黒字にし(これは、こんなことをやっても、結局、意味なんかなかったじゃないかという皮肉)→本当は、この間、①毎年2.5%も経済成長したこと、②第二次大戦後にインフレでチャラにした」と言っているだけ。
ピケティの、「公的債務」のところは、こちら。
トマ・ピケティ(ピケッティ)『21世紀の資本』
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今、プライマリー・バランスを、ゼロにすることが、求められています。しかし、実際に、国債残高/GDP比率を下げるのは、「ゼロ」では無理で、プライマリー・バランスが黒字になることが必要です。
では、100年間頑張って黒字にしていたイギリスは、債務比がどうなったかを見てみましょう。

債務レベルが高い=貸し手や子孫にとって良かった。政府に貸し付けるだけの財産を持つ彼らは、税を払うより、国に貸して数十年、利子を受け取る方が、利益になった。国債投資に経済的繁栄が委ねられる人々は、もっと儲かった
1815-1914年、インフレ率はゼロで、国債の利率は4-5%だった
これは、国債を持っている資産家にとっては、ものすごいことですね。
経済成長率より、ものすごく高かった
これは、資産家にはうれしい時代です。
で、1810年から、1910年にかけて、イギリスは、その債務/GDP比を下げたのですが、その間、プライマリー・バランスは黒字です。つまり、税収>支出です。イギリスは、修行僧のように、禁欲生活をしました。ところが、そんなことで債務/GDP比が下がったのではありません。答えは、
GDPの成長2.5%(1815-1914年平均)
なのです。

100年間、毎年、2.5%も経済成長すると、なんと、GDPは11.5倍、別の国になります。
竹森俊平(慶大)『経済危機は9つの顔を持つ』日経BP社 2009 p430
竹中平蔵(慶大)
…昔,大蔵省の時代,財政金融研究所にいたとき,変なリサーチをやらされたことがあります。それは経済学の手法なんかは全然使わないもので,こんなリサーチに意味があるのかと最初は反発したのですが,やってみてすごく面白かった。
それは,ナポレオン戦争後のフランス,あるいは,第一次世界大戦の後のイギリスは,どのようにして赤字問題を解決したのかというものです。よく赤字を減らすとか,借金を返すとか言いますが,借金を返した国なんかないんです。借金を返すことなんてできません。
竹森
残高が相対的に小さくなっていったということですね。
竹中
そういうことです。残高を増やさないようにして,その間に経済成長するから,2%成長で30何年したらGDPが2倍になるから半分になると。この手法しかありません。やっぱり成長をすることは,ものすごく重要なことだと思うんです。
拙著「図解 使えるマクロ経済学」
借金を返した国は,ありません。すべての国のGDPは,年々増加していますので,公債残高の額面そのものも増加しています(p101グラフ参照)。借金は,返すものではないのです。実際に、デフォルト(債務不履行)させないためには、経済成長(国債発行額減)し、30年後には、残高/GDP比率を小さくするというようなことしかできません。どこの国も「借り換え」「借り換え」であり,借り換えができるかどうかが重要なのです。
国債残高を減らした国はありません。残高/GDP比率を小さくすることしかできないのです。
あるいは、英国の戦後のように、インフレによってチャラにするか・・・
1950年には、GDPの200%超、1950年代のインフレ(4%超)、1970年代のインフレ(約15%)、イギリスの負債はGDPの約50%に減少した。インフレという、再分配のメカニズムはすごく強力だ。

<追記>
ikedanob at: 2014/11/05 00:26:30
池田信夫ツイート
リフレ派って、どうしてみんな増税に反対なんだろうか。(1)政府が自由自在に景気をコントロールできると本気で信じている。(2)リフレ政策がきかなかったのを増税のせいにしたい。(3)単に頭が悪い。
↑
(1)政府は、自由自在に景気をコントロールできる。
↓
リフレがどうかはともかく、その通りです。フリードマンには、1929年の恐慌が大恐慌になったのは、中銀の失敗によるものという、代表的な著作がある。
増税すれば、不況になる。これも当然です。例えば、今、公債をゼロにするために、40兆円増税してみましょうか。日本経済、壊滅します。つまり、「政府は、自由自在に景気をコントロールできる」のです、不況に向かっては。
ただし、どうやったら、経済成長するかなんか、誰にも分かりません。GDPは、1人1人、1軒1軒の会社のもうけ(付加価値)の合計です。どうやったら、儲けられるか、もうけを増やせるか・・・これが分かったら、ノーベル賞100年分に相当します(笑)。
(2)リフレ政策がきかなかったのを・・・
失業率も、求人も、時給も、倒産件数も、株価も、GDPも、好結果です。失業率が低くなった←失われた20年の悲願でした。これが、達成されました。