臨時投稿 アベノミクス批判が、グダグダなわけ
http://blogos.com/article/99098/
「アベノミクスとは違う、もう一つの道で分厚い中間層を再生させる」
民主党が訴える政策については、「私たちは、分厚い中間層を再生させることが日本の経済を持続的に成長させていくことだと従来も申し上げてきたし、これからも訴えていく。日本の分厚い中間層が再生され、中間層が健全な消費を行っていくことが経済の成長の大きな要になる」と述べ、安倍総理が記者会見で「(アベノミクスのほかに)道はない」と繰り返したことに対し、「そんなことはない。格差を拡大し、一部の富める人たちがますます富み、一部の企業だけが収益を上げていくというのは経済成長にとっての必須条件ではない」と述べ、「私どもは、もう一つの道、別の道があるということをしっかりと国民に示していく。それがこれからの役割だ」と強調した。
下記の、朝日新聞も同じです。
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朝日新聞、大丈夫か?????
要するに、グダグダ、ふらふらです。アベノミクスに対抗する軸が、まったく無いのです。これが、何故こうなるのか、解説します。
今、民主や、維新や、生活の党などの、野党からの批判、朝日新聞の批判は、「批判のための批判」で、スジ・一貫性がまるでありません。それは、当然なのです。
<1955年体制>
この年、保守と、革新が合同し、自民党1:0.5社会党(共産党)の、1.5体制ができました。

すごく分かりやすい構図で、今のアメリカの、共和党(保守)・民主党(リベラル)も、こんな構図です。
日本の場合、革新系の、「福祉充実」「弱者保護」も、十分に取り込むことができました。
国民皆保険制度、1973年には、老人医療費タダだえ、実現できました。
そんな、大きな政府(政府裁量)も取り込めた理由は、経済成長です。

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ただし、この高度成長は、ピケティは「例外」水野和夫は、「常態」とします。正解は、ピケティです。
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ピケティ『21世紀の資本』の前では、まるで、「風の前の塵」レベル→水野“資本主義の終焉と歴史の危機”


パイが拡大したので、社会保障に、大盤振る舞いできました。
ところが、よく考えると、大きな政府(社会保障)を維持するには、税金も多くしなければなりません。
超理想は、ソ連型共産主義・社会主義で、皆平等です。ですが、現実的には、これは採用できず、左派が目指すとしたら、高福祉・高負担の、北欧型です。
しかし、左派が唱えたのは、「消費増税反対」でした。
1989年、「山は動き」、革新政党が、参議院選挙で勝ちました。
本来であれば、革新側が、「増税・福祉充実」です。ここらあたりから、おかしくなります。
バブル期、なんと、税収が多く、新規国債発行ゼロどころか、政府税収は、黒字、プライマリーバランスは黒字だったのです。
そして、バブル崩壊、失われた20年に突入します。
左派は、ソ連崩壊・共産主義崩壊で、よって立つ基準が分からなくなります。
スローガンは、「福祉充実、増税反対」です。今度は、自民(保守)が、「消費税増税」です。
経済成長率は低く、高齢化で社会保障費は増え、増税反対ですから、とうぜん、少ない税収を補うのは、「国債発行」になります。

国債発行が、1990年代以降、激増します。

1993年、自民党は下野します。細川連立内閣です。社会党は、自民党を離れた、小沢と組みます。
この政権で、「国民福祉税」消費増税が唱えられましたが、瓦解します。連立内の合意を得ていませんでした。社会党は「福祉目的税」に、猛反対です。
1994年~1998年まで、自民党は、社会党と組みます。
消費増税は、1997年です。
このあたりで、いかにぐちゃぐちゃか、分かると思います(笑い)。
経済成長しない=税収は伸びない、社会保障費は増大ですから、国債発行は、ますます増えます。
ここに登場したのが、小泉政権です。2001年~2006年。
小さな政府路線です。
郵政民営化
道路公団民営化
官から民へ
中央から地方へ
しかし、増税はしません。
消費増税凍結
国債発行費30兆円台に抑える
裁量からルールへ
「骨太の改革」

これは、55年体制のガチの、「新自由主義」「小さな政府」ですから(この言葉、使いたくないですが、わかりやすくする為に使います)、革新は、これを、批判できます。
「格差拡大!、弱者切り捨て!」と。
しかし現実は、2002年2月から2009年3月までの86ヵ月間、戦後最長の景気拡大、いざなみ景気です。
少ないながら(平均0.6%程度)、景気はよくなっていたのです。国民支持率は、高止まりでした。
そして、民主党政権です。2009年から2012年
大きな政府路線を突っ走ります。政府予算は過去最高を更新、農家所得補償、高速道無料化、高校授業料無料化・・・
とうぜん、財源が足りなくなります。消費税増税です。
「大きな政府」ですから、社会保障の充実・増税は当然です。
それが、2012年12月、安倍政権へ、政権交代です。
アベノミクスです。

これが、小泉政権「小さな政府」を取り入れた、しかし、「小さな政府」とは、真逆路線です。
1本目の矢:金融政策+2本目の矢:財政政策(しかも、ものすごい規模)は、
ケインジアン(総需要管理政策)、バリバリの裁量政策です。さらに、金融政策は、新しい古典派(アメリカでは、市場介入拒否派)の、合理的期待形成仮説です。
3本目の矢:は、構造改革路線、小泉路線継承です。サプライサイド政策(供給側重視政策)です。
つまり、民主党路線+小泉路線のミックスなのです。立つ位置が、従来の枠組みを超えているのです。
そうすると、民主党は、どう批判していいか分からなくなります。「格差拡大!」「中間層没落」と攻めても、「弱者切捨て」と攻めても、何しろ、自分たち以上の、「大きな政府」「裁量」路線突っ走ってますから、事実と全然違います。
政府が、「裁量」、つまり、ルールになんか全然基づかないで、「給与値上げ」を、経営者に迫って、経営者が飲むんですよ。これ、民主党以上の労組、労働者権利重視路線です。
財政出動も、金融政策も、思いっきり、「政府による市場介入」です。しかも過去最大の規模です。民主党より、めちゃくちゃ大きな「政府裁量」なのです。
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6139143
政労使会議 来春の賃上げ、年内に3者で合意へ
政府は19日、経済界、労働界の代表と賃上げや雇用問題を協議する政労使会議の第3回会合を官邸で開いた。政府側は経済の好循環実現のため、2年連続となる賃上げを要請。経営側は業績の好調な企業を中心に賃上げを行うことを前向きに検討すると表明した。12月14日の衆院選投開票後に議論を再開し、年内に3者の共通認識を反映させた合意文書を取りまとめる。(産経新聞)
まあ、経営者側も、アベノミクス、久しぶりの景気拡大路線ですから、ここを逃すなとばかり、もう、みんなで、「イケイケ」ムード、総演出です。
そして、とどめが、「増税反対」です。これは、小泉路線、小さな政府路線です。ここは、「大きな政府」路線なのに、その反対の行動です。
民主党、もう、どうしていいか分かりません。自分たち以上の、大きな政府路線(裁量重視)、なおかつ、増税反対です。
55年体制
自社さ政権
小泉路線
このどれとも違う、政策です。これでは、民主党はどう対抗するか、手段がありません。民主党は、翻弄されているのです。
自分の路線「大きな政府」すら継承し、なおかつ、「小さな政府」です。
他の野党も同じです。「どうしていいか、立ち位置が定まらない」のも、当然です。まさに、右往左往でしょう(笑)?
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みんなが解党決定、両院総会で怒号飛び交う
小沢一郎氏「好きにしていい」 生活議員の離党を容認
朝日新聞デジタル 11月21日(金)5時4分配信
「生活が第一党」でしたっけ?もう、名前すら忘れてしまいましたが、「ほら見ろ、消費増税反対と言っていた、俺たちが正しい!」と訴えればいいものを、訴えられない・・・「生活が第一=高福祉、消費増税反対=低負担、答えは国債発行増大にある!」なんて、そろそろ、国民は、そのウソに気づいているのでは?
大体、国会議員や、地方議員、首長で、65歳以上の人が、「俺たちは、高所得だから、基礎年金(月々7万円)返上しよう!」なんて、聞いたことがない。
ね、人間、インセンティブ(誘因)=何が得かで動く、合理的存在でしょう(爆笑)。
<小泉改革と、アベノミクス>
ここで、小泉改革と、アベノミクスの共通点を探りましょう。立つ位置は、真逆のはずです。しかし、両方とも、成長を実現しています。この共通項は、何か?
それが、合理的期待(予想)形成、つまり、「未来」を確定させ、現在の行動を変えるという理論なのです。

小泉改革も、アベノミクスも、長期の目標をしめし、それを必ず実行する(未来を確定させる)としています。
ふう、時間かかりました。大変大変(笑)
<追記 安倍VS財務省>
読売H26.11.19

どうも、安倍総理が戦っているのは、野党ではなく、財務省のようです。道理で、野党など「眼中にない」はずです。「大義」は、政治家VS官僚にあるようです。
高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学
葉
アベノミクスや黒田日銀の現代の事象についてIS-LM曲線に結び付けて説明されている。流動性の罠もアベノミクスに繋げている。金融緩和とリーマンショックや、国債についてはジンバブエやギリシャについての事例をあげてわかりやすく説明されている。ミクロの部分は非常に少ない。