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そんなに、輸出や輸入にこだわって、何がどうなる?

<そんなに、輸出や輸入にこだわって、何がどうなる?>

日経H26.10.18
日経H26.10.18 Jカーブ 輸出 輸入

 円安だの円高だの、円安で輸出額が伸びるが海外生産拠点を多くしたので輸出数量が伸びないだの、Jカーブがあるだのないだの・・・

 そんなに、輸出入や貿易黒赤字や経常黒字や赤字にこだわって、それを分析して何がどうなる?

 クルマを買うのに、燃料口の蓋の形が丸か四角か、そんなに重要?そんなことに、こだわらなければ、クルマを購入できない?ふたの大きさが、3ミリ増えただの5ミリ小さくなっただの、それで100万単位のクルマを買うかどうか決める???

 そんなに輸出入を増やしたければ、円安で1ドル=360円にしたら?

日本車は安くなって、韓国車以上に売れて輸出額伸びて、

円安で石油・鉄鉱石・石炭輸入費増えて、輸出入ともに増えて万々歳!!!

 やれば?

で輸出入だけ増えて、肝心のY(GDP)や内需が伸びなくて、「景気回復なき戦後最長の景気回復、いざなみ景気」を再現すれば?

いざなみ景気
いざなみ景気 戦後最長 69か月 伸び率
輸出額/GDP比.jpg

 北海道稚内のタバコ屋さん、サハリンフェリーでロシアの船員に売れば、輸出増える。じゃあタバコ屋さんにとって、ロシア人に売る方が、日本人に売るよりいいことなのか?タバコ屋さんにとって、日本人(内需)よりロシア人(外需)が大切?

大切なのは、付加価値(GDP=GDI=GDE)でしょう。売上ではないでしょう。売上から、中間生産物引くのが、もうけでしょう。

2012 三面等価 GDP
GDP 総売り上げ.jpg

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2900I_Z20C13A1EB2000/
日本企業の売上高、全産業で1302兆円 経済センサス・活動調査

2013/1/29 10:39
経済産業省・総務省は29日、2012年の「経済センサス・活動調査」を発表した。企業活動の国勢調査と位置付ける新しい統計で、今回初めて各企業の業績を集計した。全産業の売上高は1302兆2523億円、粗利益に近い「付加価値額」は242兆6658億円になった。日本全体の企業数は409万6578社。


総売り上げ 輸出

齋藤誠によれば、不況の原因は、交易条件(輸出入影響)の悪化だと!!アホか。

一橋大学の斉藤誠。日本経済新聞の「経済教室」論稿 H26.12.9日付
齋藤誠

日本経済の長期低迷をもたらした主因は、資源価格の上昇(=輸入物価の上昇)と輸出産業の競争力の衰え(=輸出物価の下落)による交易条件(=輸出物価/輸入物価)の悪化

「15年デフレ」の始点とされる97年4Qと足もと14年3Qとを比較すると、33兆円あまりの交易損失、すなわち交易条件の悪化による実質所得の海外への流出(ちなみに、アベノミクスがスタートした12年4Qからでも、7兆円近い所得流出である)。

交易条件



http://www.econ.hit-u.ac.jp/~makoto/essays/deflation_phenomena.pdf#search='%E9%BD%8B%E8%97%A4%E8%AA%A0+%E4%BA%A4%E6%98%93%E6%9D%A1%E4%BB%B6'

日本経済を取り巻く国際環境について
一橋大学 齊藤 誠

交易条件は、通常、円建て輸出物価/円建て輸入物価の指標で表し、この指標の上昇(低下)が交易条件の改善(悪化)を意味している。

交易条件の悪化とは、海外から高い価格で輸入し、海外へ安い価格で輸出する状態を指している。

国民経済計算(SNA)では、交易条件が悪化して国内から海外へ実質的な所得が漏出する度合い(交易損失、負値で計上)を計測している。

こうして見てくると、日本経済が21世紀に入って経験した交易条件の悪化と、それに起因した所得の国外への漏出

円安が進行すると一次産品価格高騰の悪影響はますます強まる一方で、円安が進行しても一部の輸出企業の国際競争力が低下するのを食い止めることはできない。その結果、海外への所得漏出は、いっそう加速していく。



はいはい。
総売り上げ 輸出

この輸出部分の「交易条件=交易条件の悪化とは、海外から高い価格で輸入し、海外へ安い価格で輸出する状態」???なるものが悪化して、日本は不況・・・・これで、大学教授?本当に大丈夫?

 なんで,日本が1%成長すれば次の年には「内需に収まってしまう数値」に過ぎない、貿易赤字黒字(日本のGDPの1%内外)が大切?

 牛丼店で出すコーラやオレンジジュースが、牛丼店の経営を左右する大問題?

GDPは、付加価値の総額(もうけの総額)。そこには、中間生産物は入らない。300万円の車のタイヤや、ボルト、ナットは、中間生産物だからのぞかなきゃいけない。じゃあ、300万の車輸出(輸出額)しても、もうけは300万ではない。

輸出入(売上)伸ばせば、GDPが伸びる?マクロの輸出入を増やせば、GDPが伸びる?

 GDPは、1軒1軒の牛丼店、1軒1軒の飲食店、1軒1軒の新聞販売店、1軒1軒の塾、1軒1軒のガソリンスタンド・・の、もうけの総額では?ミクロの合計が、GDPなのでは?
 
GDPを増やすのは、1軒1軒の従業員の汗(努力)と智恵(生産性向上)では?

だいたい、100歩譲って、交易条件の悪化が悪い!って言ったって、あなたのグラフ見たら、悪くなったのはリーマンショック前の時期じゃないの?2005年→2007年、わずかながらGDP伸びてるのに、低迷? 1994年→2005年は、交易条件がよかったのに低迷したのはなぜ????わけがわからない

 『世界の名著 アダム・スミス(国富論)』中央公論社 S62 p388

 それゆえ、各個人は、彼の資本を自国内の勤労活動の維持に用い、かつその勤労活動をば、生産物が最大の価値を持つような方向にもってゆこうと、できるだけ努力するから、だれもが必然的に、社会の年々の収入をできるだけ大きくしようと骨を折ることになるわけである。

 もちろん、かれはふつう、社会公共の利益を増進しようなどと意図しているわけではないし、また自分が社会の利益をどれだけ増進しているのかも知らない。…生産物が最大の価値を持つように産業を運営するのは、自分自身の利得のためなのである。

 だが、こうすることによって、かれは、他の多くの場合と同じく、この場合にも、見えざる手に導かれて、みずからは意図してもいなかった一目的を促進することになる。…自分の利益を追求すること によって、社会の利益を増進せんと思い込んでいる場合よりも、もっと有効に社会の利益を増進することがしばしばあるのである。



マクロの輸出入を、見える手?で操ることができる?増やせば豊かになれる?

P・クルーグマン『経済政策を売り歩く人々』ちくま学芸文庫 2009

 経済学者は、どうすればハイパーインフレーションを避けられるかといった助言は確実にできるし、不況の回避方法も、たいていの場合教えることはできる。お望みであれば、輸入割り当てや価格管理といった方策が、医学でいうところの出血治療法と同じくらい効果のない政策であることを示すことができる。


 しかし、貧しい国をいかに豊かな国にするかと言うことや、奇跡的な経済成長を再現させるにはどうしたらよいかといった問題に関する解決策はいまだにない。



 貿易がどうのこうの、輸出入がどうのこうの、もういい加減にしては?それらは、生産活動の結果であって、それらの数値を増やせば、こちらも増えるというような、因子ではない。

GDPが伸びさえすれば、貿易が黒字になろうが、赤字になろうが、輸出が減ろうが増えようが、輸入が減ろうが増えようが、どうでもいいだろうに。

ミクロの企業であれば、利益が出さえすれば、外国人に売ろうが、国内人に売ろうが、関係ないでしょうに



とんま天狗は雲の上

図解 使えるマクロ経済学

菅原晃氏の本を読むのは3冊目。前著「高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学」も経済学の知識をわかりやすく説明するものだったが、本書では見開きの左に本文、右にイラストの入った図表を並べ、よりわかりやすい構成になっている。本棚に一冊置いておけば、参考書として利用できる。いかにも高校教師らしく、いかにわかりやすく伝えるかに腐心している。

 1章「GDPと貿易」、2章「国債と日本経済の行方」では、前著でも説明していた経済学の基礎をもう一度復習する。GDPとは何か。GDPの三面等価、ISバランス式について。貿易黒字・赤字の意味。国際収支表の見方。国際金融のトリレンマ。実物取引から資本取引へ。そして国債と国債市場、国債と将来負担。金融資産とは何か。財政を巡る誤解。生産性の向上が重要であることなど。

 3章「時代を動かしてきた経済学」では、社会契約思想から始まって、経済学の理論を古典派、新古典派、ケインズ革命、新古典派統合、マネタリスト、新しい古典派、ニュー・ケインジアンと解説していく。そしてリーマンショック以降の現在へ。

 DSGEモデルを提唱し勝利宣言をした淡水派だったが、リーマンショックの前ではまったく無力。世界の政府や中央銀行は、金融政策や財政政策を総動員したケインズ政策で対応。アベノミクスもその一つとして初動期は成功と評価している。しかしそれも2014年前半までの状況。夏以降は消費増税の影響からなかなか脱却できない状況が続いている。

 しかし本書で解説するのはそこまで。先頃、アメリカが金融緩和の終了を決定。一方、日本はさらなる日銀サプライズ金融緩和を発表。今後の経済状況がどうなるか、大きく注目を集めている。リーマンショック以降は手探りの経済政策。何とか無難なところに落ち着くといいのだけれど、現在の経済学では現在の状況はまだ未知数ということのようだ。それで水野和夫氏の本「資本主義の終焉と歴史の危機」なども関心を集めるのだが、菅原氏には水野氏は経済学的にデタラメと気に入らないようだ。これからの世界経済はいったいどうなっていくんだろう。

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