お待たせしました。新刊 『図解 使えるマクロ経済学』 発売です!GDP・貿易詳細・国債詳細・金融資産負債・「経済史+理論の同時展開」です!
※首都圏書店では、明日から買えるそうです。
![]() | 図解 使えるマクロ経済学 (2014/10/11) 菅原 晃 商品詳細を見る |






前著『高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学』は、アベノミクスを、IS-LM(ケインジアン)で説明しました。
アベノミクスの金融政策は、そのケインジアンをめちゃくちゃに否定する、合理的期待形成、ルーカスらの主張する理論です。どれだけ否定するかと言うと、「金融も無駄」「財政も無駄」という、市場バリバリ派です。
注)ケインズと、ケインジアンは考え方が違うので、注意が必要
「高校」「高校で教えている内容」「学習指導要領」だと、財政+金融の裁量が絶対です。
高校では、「財政」「金融」政策は、「扱わなければいけない」ものです。つまり、100%ケインジアン理論を前提に、作られています。疑問など、全く感じられない、「何言ってるの?財政・金融政策行うのは、朝、顔を洗うような話でしょう?どこに疑問をさしはさむ余地があるの???無謬でしょう!」
経済扱っていながら、経済学の進展、全く無視です。
何でか?そりゃ、文科省の官僚のレールの上にいるからです。
教科書検定。
財政・金融政策を、「官僚」が否定するわけがありません。彼らがしいたレールの上にある教科書検定、「金融・財政を否定した理論がある」なんて、異論が出るわけがありません。
そもそも、学習指導要領は、官僚の無謬性の上に作られています。そこにはっきりと、「財政」「金融」について、解説しろと書いてあるのです。疑問を差し込む余地などゼロです。
余談ですが、文科省の役人も、英語話せません(話す必要など、彼らの仕事上、まったくありません。ごく少数の人が、英語堪能であれば、間に合うのです)。40歳、50歳代の人が話せないので、今の小学校5年生で英語必修にしようとしています。戦後60年やってきてできないと証明されてきたものを、また、その現実を見ずに、空理空論の理想を振り回します。
今の50歳代以上は、共通1次試験導入時期のカリキュラムで、昭和46年の指導要領、教科の時間数、もちろん英語の時間数が、戦後最大の時期の人たちです。
その人たちが、できないことを、この週30時間のカリキュラムで、さらに英語増やして、どこかの教科を削って、何をしようとしているのか、さっぱり分かりません。
小学校5年生から週に2時間、小学校合計で140時間、英語を増やして、ぺらぺら話せる???。どう考えても、「できません」
空理空論で、ゆとり教育導入するわ、まずかったから戻すわ、英語を必修化しようとするわ、国家100年の大計など、何も考えていないことが分かるでしょう。
「英語ぺらぺら」は、国民全員が身に着ける必要の無い、スキルなのです。
林真理子『夜ふけのなわとび』 週刊文春2014.10.9
先日、鹿烏茂先生とお話した折、「作家で英語のうまい人はいないはずだよ」ということで調査を開始した私。
するとどうだろう、本当に英語の達者な人がいないのだ。
会う作家、会う作家みんなに質問した。
「英語、うまい?」
すると百パーセントといってもいいほど、
「苦手。いくら勉強しても話せるようにならない」
という答えが返ってきて、すっかり嬉しくなってしまった。
脳の中には語学を操る部分がある。そこには定量が決められていて、ある程度いっぱいになるともう何も受けつけない。
「日本語を操る職業の人は、それだけで手いっぱいで、もう他の語学を受け容れる余裕がない」というのが鹿島先生の持論だ。
「ひょっとして、これは編集者にもあてはまるのではないか」
と思ったらやっぱりそうであった。作家よりも高学歴な人が多い編集者、東大卒もざらだ。しかし、
「英語うまい?」と尋ねると、みんなとんでもないと手をふる。
「いくら勉強しても身につかなかった」ますます嬉しくなる。そういえば編集者と一緒に海外に取材旅行に行くと、百パーセントといっていいほど通訳をつける。よほど自信がないのだろう。
うれしいですね。我々が英語をしゃべれないのは、「脳が自分の仕事に関する情報で一杯一杯で、英会話を受け入れる余裕がない!」からです。まさに、脳の比較優位です(笑い)。
しゃべれるようになるには、7000時間も英語を勉強すれば大丈夫なので(ALCの先生がおっしゃってました)、1年、短期留学すれば、十分です。
でもこれは、「日本人全員が身に着けるべき能力」ではなくて、特化した人、必要とされる人がやれば、十分です。じゃないと、日本語の脳キャパシティがなくなります(笑い)。
閑話休題
というような、レベルです。高校業界は。
世界史なんか、「マルクス主義」そのものです。フランス革命が、第一身分・第二身分・第三身分の対立が・・・から始まってるんですよ。そんな階級対立で、革命なんて起こるわけないでしょう。インフレ、貨幣経済崩壊です。理由は、経済です。銀行が機能しなくなったんです。当時のフランスは。貨幣価値がなくなったんです。だから、小麦価格暴騰して、庶民が小麦買うことすら、できなくなったんです。頭にきたんです。でも王室は愛していたんです。最初は。身分対立だったら、王室信頼なんて、ありえないでしょうに。
え?信じられない?東欧革命、ソ連崩壊、近年のアラブの・・・それを見ても、革命は「身分対立」で起こるとでも?どこまで、マルクス派は、現実逃避するんだか・・・
江戸幕府倒壊?士農工商の身分を、自由化しよう?バカも休み休みに言いなさい。物価狂乱、インフレ、貨幣の粗製乱造です。経済が、めちゃくちゃになったんです。
藩政奉還?なんで? それは、「藩の借金を全部、新政府が肩代わりする」ことにしたから、もめなかったんです。旧藩主は、皆喜んだんです。
ローマ崩壊と同じです。野蛮なゲルマンの進入?中から崩壊した?世界史教科書なんか、何を言ってるんだか・・・
ごめんなさい、筆滑りすぎました。戻ります。
だから、その「財政」「金融」政策の背景理論として、IS-LMを使用するのです。こんなもの、教科書や資料集には、絶対に出てきませんよ。でも、それを教える立場の人は、理論的背景を知っていたほうがいいでしょう?だから、「高校生の~」という題名を振ったわけです。対象は、高校教師です。
小塩先生のちくま新書、「高校生のための経済学」なんて、高校生は読みません。高校教師を対象に、大人を対象に書かれていることが、明々白々です。世の「高校生~」という書物で、本当に高校生が読む本なんてありますか?
「高校生からわかるマルクス」なんて、絶対に、高校生が対象ではない!ことは、わかる人にはわかるでしょう。私が読んでも、理解できないです。これを理解して、高評価できる人は、すごいと、嫌味ではなく、本気で思っています。
高校生のデータ入門とか、ちくまプリマー新書(若い人向け)の経済史の本なんて、高校生は読みません。
脱線しすぎ、戻ります。で、「高校生の~」だから、IS-LM扱います。でも、ルーカスの合理的期待形成は、それを、完膚なきまでに叩きのめした理論です。
『高校学習指導要領』をベースに前々著「高校生からのマクロミクロ経済学入門」はできているわけです。
しかし、前著は、前々著をベースに「アベノミクス」までなので、もう、完全に「高校」の範囲を超えているわけです。
「高校~」路線で、IS-LMは必須で、でもアベノミクス金融理論は、それを全否定したルーカス理論で・・・
ルーカス理論を使ってアベノミクス説明するには、
①古典派理論(スミス・リカード)~新古典派マーシャル
②大恐慌で、①を完全にひっくり返したケインズ
③②ケインズ理論を捨象したIS-LMケインジアン
④スタグフレーションで、③を理論的にやっつけたフリードマン
⑤④をさらに徹底したルーカスらの合理的期待形成
⑥⑤理論を使って、フィリップス曲線を理論化したニューケインジアン
そして、⑥のベースに、復活した②流動性の罠のもとでの、⑤合理的期待形成説
↓
これが、アベノミクス金融政策の理論的背景
ここまでやって、ようやく理解できる・・・これが、アベノミクス金融政策リフレです。
高校の学習指導要領の範疇外です。
だから、一番苦労したところが、IS-LMで、リフレを説明する部分だったわけです(一緒に考えてくださった、基礎理論を担当する、大学の先生も、同じ悩みを抱えています)。
私を、「予想(期待)の理解が浅い」と批判した方、実は、私も重々承知だった胸のうちを、是非ご理解下さい(お願いします、笑)。
で、今回の新著です。その理論的流れを、経済学史とからめて、説明していただく機会をKADOKAWA中経さんに、提供していただきました。
もちろん、図解ですから、もう、理論なんか、1ページでまとめあげるって言う、これもまたムチャクチャな試みなんですけど(笑)。IS-LM、6ページ!ですから。いかにムチャクチャか(笑)。
で、削って削って、理論の大黒柱(本質)だけ、になりました。だから、経済学書なんて、忙しくて、一生手にすることのない、ビジネスマンの方でも、さらっと(理解しようとすると、「考える」という、本気で向き合わなければ無理ではあるんですが)、読める本ができました。でもやはり、内容はストレート、ガチガチの王道です。
これ、絶対におすすめです。と書いた人がおすすめしても、信用性ないのですが、でも、自分で書いていて、「こんな本欲しかったなあ」と、いう本です。本当に、今までにない本です。
書店にあるのは、「簡単すぎる」か、「簡単でも、学部生向け」か、「入門本と言っているが、中身は教科書」とか、
「経済史といっているのに、ルーカス以後は扱いきれていない」とか、そんなのばかりでしたから・・・うそだと思ったら、書店や、大学図書館で、探してみてください。
扱っている本はあります。その対象は、「経済学を知っている人」ですから、難しく書いてもOKレベルなんです。これじゃ、忙しいビジネスマンは読むのは無理です。
で、ルーカス批判、ルーカス批判を踏まえて、ケインジアンをルーカス立場の理論で再構築した、ニューケインジアン理論、それらが葬り去られた、リーマン・ショック、リフレ派理論は、経済学史に登場する経済理論のオールスター理論で、「これでどうだ!」と言うような感じ・・・まで説明しました。
本当に、わくわくして学んでいただけます。ということで、著者大推薦の、新刊!ぜひ、手にとって見てください!!!!(笑)。
結論ですか?経済学全否定です(笑)。否定だけど、その否定理論を使うと、前の理論がよみがえる・・・これも、また面白いと思いますが・・・
でも、書いていて、とても、自分自身、経済学の面白さに魅了された、楽しめた本です。本人が面白がっているんだから、読む人にも面白さは伝わると思います。
経済学を「宗教のようなもの」と批判するのは結構ですが、それは、「経済学」を知らないために出てくる言葉=王様は裸状態での発言です。ぜひ、皆さんには「裸」ではなく、経済学という「服・メガネ」を身に着けていただきたいと思います。
最終結論ですか?「お願いです。経済学、余りいじめないであげてください」です(笑)。
対象は、忙しくて、経済学入門書なんか読む暇のない、ビジネスマンだけど、でも知的好奇心向上心はすごくあって、できれば「わかった気になる本」ではなくて、ちゃんとした「理論的裏づけ程度はあるもの」をのぞんでいる方です!
授業では、時間が足りなくて、絶対に扱えませんが、高校や、中学校の先生もどうぞ。
最近の高校教科書(資料集ではなく)で、1社が、フリードマン扱い始めました。「裁量かルールか」と書き始めた教科書も登場しました。
資料集では、フリードマンは扱われていますが・・
↑
でも、もう、これらの理論が登場してから、40年です。理論が登場して、それが一般化されるまで、一世代以上かかるんです。これを知る高校生が、社会人になるまで、さらに10年かかります・・・
古すぎるでしょう? ルーカスなんて、全く、全然、どの社にもどの資料集(これは指導要領の外だから、ある程度好きなことをかける)にも、載っていません。
経済学では、ケインズに匹敵する人物です。(これに比べれば、ハイエクの貨幣論、シュンペーターのイノベーションなど・・本当に取るに足らない話です)
金融政策も、財政政策も無効・・・こんなルーカスの主張が、官僚の作る高校の学習指導要領で、載る日が来るのか・・・今のところ、永遠に無理ですね。
ね、日銀(これも官僚です)や、官僚が、「リフレ(合理的期待形成)」採れなかったの、分かりますよね。
自分たちのやっていることを、否定する話を、自分たちでやるわけないですよね。翁邦雄なんて、死ぬまで、認めないでしょうねえ((笑)。
だから、そんなもの、「最初からない」理論、あっても絶対に無視する理論なのです(笑い)。
追記 今まで、コメント欄等で、「予定稿で扱います」と言っていたのは、上記の本のことです。出版するまで、言えなかったので、「予定稿」と表現していました。コメントくださった方、ご理解願います。
すみません、初版 第1刷訂正部分です
1 P179
ケインズの流動性選好の図 ×「強国」→ ○「強固」
2 P179
×「流動性選好が高まれば、市場全体では均衡しているが、必ずどこかの市場で、需要不足(売れ残り、失業、利子率低下せず)になる」
○「流動性選好が高まれば(不況でますます強固)、必ずどこかの市場で、需要不足(売れ残り、失業、利子率低下せず)になる」
3 P215
×翁百合「試合中にルールを変える行政がイノベーションを阻む」
○翁百合「試合中にルールを変える裁量行政がイノベーションを阻む」
4 P154
×「限りがある資源(有限な時間・土地・ヒト・モノ・カネ)をいかに有効活用するかが、経済学(エコノミクス)の核になる理論
○「限りがある資源(有限な時間・土地・ヒト・モノ・カネ)をいかに有効活用するか、経済学(エコノミクス)の核になる理論
×「比較優位理説」
○「比較優位説」
5 p14
×「一方、実質GDPは2013年に過去最高の水準を記録しました」
○「一方、実質GDPはこの間に過去最高の水準を記録しています」
6 P204フリードマン吹き出し
×あなたたちのおかげでFRBは二度と同じ過ちを繰り返しません。
○あなたたちのおかげで二度と同じ過ちは繰り返さない(ようになります)
7 p60
×「また右記(4)のように、EX-IMが大幅増でも」
○「また右記(4)のように、EXとIMが大幅増でも」
8 p200
×「ケインジアンが、政策手段を失う中、ケインジアンを否定する理論には、(1)マネタリズムと(2)新古典派マクロ経済学:合理的期待形成仮説(p204)がありますが」
○「ケインジアンが、政策手段を失う中、ケインジアンを否定する理論には、(1)マネタリズムと(2)新しい古典派マクロ経済学:合理的期待形成仮説(p204)がありますが」
9 p62
×「(1)相続税は、2013年1月に基礎控除額が改定され」
○「(1)相続税は、2015年1月に基礎控除額が改定され」
10 p249
×価値観には、「真善美」すなわち(1)何が正しいか(科学)、(2)何が善いか(道徳)、(3)何が美しいか(芸術)の3つがあります。(1)は存在(ドイツ語でザイン)、つまり「~である」といった事実論、(2)は当為(ドイツ語でゾレン)すなわち「~するべき論」といった意見を示します。
経済学は数学を駆使するところから、(1)科学的であろうと努力してきましたが、どうしても、(2)の「べき論」の世界から逃れられません。
○価値観には、「真善美」すなわち(1)何が正しいか(①科学②哲学)、(2)何が善いか(道徳)、(3)何が美しいか(芸術)の3つがあります。①は存在(ドイツ語でザイン)、つまり「~である」といった事実論、②は当為(ドイツ語でゾレン)すなわち「~するべき論」といった意見を示します。
経済学は数学を駆使するところから、①科学的であろうと努力してきましたが、どうしても、②の「べき論」の世界から逃れられません。
大変申し訳ありません。
http://blog.livedoor.jp/ishidatax/
高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学 [単行本(ソフトカバー)]
菅原センセの著作を読むのは、前作の自費出版された本からの2冊目です。
ちなみにその前の本、一番最初に出された本は古本でも手に入りませんでした。
貿易黒字が本当の儲けだと思っていたのが4、5年前。もちろん貿易にも勝ち負けがあると信じきっていました。
いろいろ勉強していくうちに、どうもそうではないらしいと気がついてたどり着いたがこの本。
しかしいまだに、自分自身間違える。
それは間違った情報や説を流し続ける連中がマスコミや専門家にもうようよいるから。
一応基本的なことを身につけたつもりでも、一見正しい、でも間違った情報にさらされると、どうしても毒されてしまいます。
それをリセットするためにも、たまに読み返しています。
そして2回、3回と繰り返して読むうちに、自分自身の理解が深まっていることにも気がつきます。
すごく専門的なものにもトライしてみましたが、個人的にはこの本が一番腑に落ちた。
専門家や本格的な研究者になる分けでなければここに書かれている内容が理解できれば十分だと思います。
それだけで新聞の読み方やニュースに対する視点が変わってくることでしょう。
お薦め。