アダム・スミス 「自由放任・見えざる手」 (1)

教科書、資料集は、アダム・スミスについて、次のように記述しています。

第一学習社『高等学校 改訂版 現代社会』平成20年 p76
アダム=スミス
自由放任政策
・小さな政府
・国家からの自由

 清水書院『現代政治・経済』H21年 p94 
 イギリスのアダム=スミスは、『諸国民の富』において、資本主義経済の自由な競争が「見えざる手」のはたらきにより社会全体の調和をもたらす、と述べた。このばあいの「見えざる手」とは市場機構のことである。個人が自由に自らの利益の拡大を追求することにより、社会全体の利益が増すので、国家は個人の経済活動に介入すべきではない。その際、国家の役割は国防・治安維持など必要最小限の活動にとどめ、「経済に対してはいわゆる自由放任でのぞむべき」である、と考えられた。

清水書院『新 政治・経済』H22度用見本 p85 
…アダムスミス…は、著書『諸国民の富(国富論)』のなかで、労働が価値を生むという説にもとづき、個人が利己心を自由に発揮して活動すれば「見えざる手」によって社会の調和が確保され、全体の利益も増大すると述べた。さらに、従来の重商主義的な保護政策に反対し、自由放任の政策を唱えるとともに…

とうほう『政治・経済資料2009』2009年度審査用見本 p178
 「個人の利己的な利益の追求こそが、“神の見えざる手”に導かれ、国家の富を推進する」と主張、重商主義的統制を批判し自由放任を説いた。

清水書院『新 現代社会』H20 p111 
 イギリスの経済学者アダム=スミスである。彼は価格機構によって経済は調整されると考え、経済活動には政府はかかわらない自由放任政策をよしとした。政府は警察や軍事のような最小限の仕事だけすればよく、その規模も小さいほどよいとされた(夜警国家論)。

浜島書店『最新図説現社』07.10.10 p250
 人々の自由な経済活動に任せておけば神の『見えざる手(市場の働きのことをこう読んだ)』の導きによって、市場はおのずと均衡が保たれてゆくとし、自由放任(レッセ・フェール)政策を主張した。
p137 
…価格の動きによって需要量と供給量が調整された。これを価格の自動調整機能といい、アダム=スミスはこの機構(市場機構、価格機構、プライス=メカニズム)を著書『諸国民の富(国富論)』の中で神の「見えざる手」とよんだ。

山川出版社『新版 現代社会』22.23年度用見本 p89
 アダム=スミスは…政府が経済に干渉しない自由放任主義を唱えた
p99
 市場価格が需要と供給を調整する働きを価格の自動調節機能といい、アダム=スミスはこれを神の「見えざる手」にたとえた。

東京書籍『最新ダイナミックワイド現代社会』2008.2.1 p109 このような価格メカニズムを『価格の自動調節機能』(プライスメカニズム)とよび、これをアダム・スミスはその著書である『諸国民の富(国富論)』で神の『見えざる手』と名づけた


山川出版社『新版 現代社会』22.23年度用見本 p64
 また、価格は、供給量と需要量を調整し、資源の最適配分をおこなうように作用する。この働きを価格の自動調節機能といい、アダム=スミスはこれを神の「見えざる手」とよんだ。


実教出版「高校政治・経済」H21.1.25 p105 
…需要と供給の不均衡を解消する価格(市場)の自動調節機能がある。アダム=スミスはこの機能を神の「見えざる手」と呼んだ。

教育出版「政治経済 明日を見つめて」H20.1.20
 このように価格が自動的に調節して需要と供給を均衡させようとする働きを市場の自動調節機能(価格メカニズム①)とよぶ。注①アダム=スミスはこの価格のはたらきを「見えざる手」と形容した。

帝国書院「高校生の新現代社会」H20.1.20 p65 
 このように消費者の需要量と生産者の供給量が、価格の働きをなかだちにして自動的に調整されることを価格の自動調整機能②といいます。注②アダム=スミスは…このはたらきを「見えざる手」に導かれた調整とよびました。

 アダム・スミスは、「価格の自動調整機能」を『見えざる手』といい、『自由放任政策』を主張したようです。

高島善哉『アダム・スミス』岩波新書1991 p3
 スミスの著作を丹念に読んでみていただきたい。『道徳感情論』はいうまでもなく、『国富論』でさえも、どのページを開いてみてもただの一度も自由放任という文句にお目にかかることはない。…スミスの自由思想を自由放任という合言葉で語るようになったのは…後の亜流や解説者たちだったからである本家本元のスミス自身はそんな軽薄な言葉や思想とはなんの係わり合いもないのであった。…日本にいまなお残っている一致半解のスミス像は、この辺でもうきっぱりと清算してしかるべきではないだろうか。
P6
 私はためしに現在広く使われている世界史と倫理・社会の教科書を一つ二つ調べてみた。案じたとおり、スミスは自由放任主義の大御所となっている。遺憾というよりあきれるほかはない
 
 上記の初版は、1968年(昭和43年)です。40年たっても、高校教科書では、「自由放任」「自由放任」と、相変わらず,高島先生による、「亜流」の言説を載せ続けているようです。

 高島先生と、教科書と、どちらが正しいのでしょうか。検証してゆきましょう。

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