<臨時寄稿 池田信夫>
http://blogos.com/article/86150/
• 池田信夫
• 2014年05月10日 12:15
供給力が下がってデフレは終わった
・・・潜在成長率という概念だ。これは日本経済の供給力の増加率を示すもので、成長率がこれより高いとインフレになり、低いとデフレになる。上の図のように2000年代には潜在成長率は0.8%まで下がり、今は0%ぐらいまで下がったのではないか、というのが早川氏の見立てだ。潜在GDPは複雑な推計なので断定的なことはいえないが、今の人手不足はGDPが潜在GDPとほぼ一致したことを示唆している。
昨年の実質成長率は(公共事業を除いて)ほぼゼロなので、これは潜在GDPが下がって実質GDPと一致したということだ。つまり日本経済は供給力を減らしてデフレを脱却したのだ。この大きな原因はエネルギー価格の上昇で、ここ3年で20%ぐらい上がり、潜在GDPを下げた。デフレ脱却が政権の目標ならめでたいことだが、それで何が解決したのだろうか。
株式市場はちょっと明るくなったが、元に戻ってしまった。失業率も実質GDPも、リーマン・ショックの前に戻っただけだ。上場企業は増益にわいているが、中小の景気動向指数はマイナスだ。しかし人手不足がひどくなってきたので、これから名目賃金が上がるだろう。
そうすると物価も上がるので、日銀の目標2%は(コアCPIでは)達成できる可能性がある。しかし今のコアコア0.7%でGDPギャップがほぼゼロなのだから、これ以上インフレになると、供給不足になってGDPが下がる。これは石油危機のときのようなスタグフレーションである。
もう一つのリスクは、長期金利が上がることだ。今までは日銀のリフレ政策を市場が信じていないので長期金利は0.6%程度で落ち着いているが、本当に2%のインフレが起こると思ったら、金利は上がるだろう。邦銀は200兆円以上の国債を保有しているので、金利が1%上がるだけで15兆円ぐらいの評価損を抱える。
これは短期的には、日銀がどんどん国債を買って金融抑圧を続ければ防げる。日銀の金庫には現金が86兆円もあるので、日銀が国債を全部買い占めることもできるが、最後はどこかで限界が来る。日銀がこれ以上バランスシートをふくらませると、ハードランディング以外の出口はなくなる。
株式市場の「期待」をふくらませて回復を早めたのは黒田総裁の功績だが、GDPは期待どおり上がらなかった。潜在GDPが下がってデフレは終わったのだ。これから起こりうるシナリオは、石油危機のような供給ショックによる大インフレか、バブル崩壊のような金融危機だ。黒田氏はそろそろ「デフレ脱却宣言」を出し、出口戦略を考えてはどうだろうか。
1.供給力を減らしてデフレを脱却したのだ。
GDPは、供給GDP=需要GDEです。供給を減らしたのなら、GDPは減になります。現実は、GDP増です。
2.株式市場はちょっと明るくなったが、元に戻ってしまった。失業率も実質GDPも、リーマン・ショックの前に戻っただけだ。
株式は、日経平均8000円台が、15000円を超え、最近は14000円台です。元にもどってなんかいません。
リーマンショック前は、失われた20年といわれる中で、唯一成長した時期です。
1.で、現状に納得している(GDPは伸びない?、潜在成長率低いと言っているのにも関わらず).
3.これ以上インフレになると、供給不足になってGDPが下がる。これは石油危機のときのようなスタグフレーションである。
スタグフレーション(70年代・石油ショックから、80年代初頭)は、ショック(GDP減)失業率増に対し、当時のケインジアン政策では、さらに需要拡大政策を採用したので(それしか、理論としてはなかった)、インフレが増大し、低成長しか実現できなかったというものです。
供給不足&「供給<需要」です。
ケインジアンIS-LMでは、物価は考慮されておらず、ケインジアンが頼りにしたのは、フィリプス曲線(インフレと失業のトレードオフ)という、理論でもなんでもない、単なる実証グラフ(過去、こういうことが見られた)でした。
だから、ケインジアン政策では、不況(失業増)に対し、総需要管理政策=需要拡大しか、方法がなかったのです。当然、インフレを招きます。
だから、ケインジアンは、サミュエルソンを含め、スタグフレーションになすすべがなく、学術的に、政策的に、失脚したのです。
4.日銀がこれ以上バランスシートをふくらませると、ハードランディング以外の出口はなくなる。
いいえ、単に、今買った国債を保有している・・理念以降は、無理やり購入しない・・だけで十分です。
5.GDPは期待どおり上がらなかった。潜在GDPが下がってデフレは終わったのだ。これから起こりうるシナリオは、石油危機のような供給ショックによる大インフレか、バブル崩壊のような金融危機だ。
GDPは、上がりました。供給ショック??石油価格や、輸入価格の高騰????今、昨年より円安なのに、これ以上、円安が進まないと(それも、十パーセント単位か?)、輸入価格の高騰は起き得ません。
「長期金利は0.6%程度で落ち着いているが、本当に2%のインフレが起こると思ったら、金利は上がるだろう。邦銀は200兆円以上の国債を保有しているので、金利が1%上がるだけで15兆円ぐらいの評価損を抱える。」
4月の日銀レポート,自己資本の毀損にはならない、他の利益>損益になると書いています。
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theme : 間違いだらけの経済教育
genre : 学校・教育
>あなたにただ聞きたいのは、じゃああなたの専門のマクロ経済学とやらは全て経済を分析、予測できるような道具なんですか?
⇒ このコメントを見るだけで、何も理解できていない方だと分かります。菅原先生の著書をお読みになるのがお厭でしょうから、以下の参考書をお勧めします。
「経済学的思考のすすめ」岩田規久男・筑摩書房 (この中では、辛坊治郎氏に鉄槌を下しています。池田某も辛坊氏と同レベルと私は評価しています)
>もう素人国民騙すのやめたらどうですか さん
客観的に見て、貴方の話には全くの論理性や根拠が示されておらず、全てが貴方の「主観」のように見えます。
「ほんとの話、あなたの本は、あなたよりずっと高度で難解な本を買い揃えていて、もう買う本が一応なくなった自分としては 」と仰られるような貴方ですから、主観ではなく、客観的な根拠なり論理を示されては如何ですか?
つい最近テレビのフェルドマンが日本は財政を危機に陥れないためには 消費税を17%、歳出を25%カットしなければいけません。
必ずです。といっていました。
オピニオン:次期日銀総裁の使命とアベノミクスの宿題=フェルドマン氏
そもそも安倍政権の経済政策は、経済学のイロハに従ったものであり、わざわざ「アベノミクス」なる造語で呼ばれるほどの目新しさは備えてない。その真価は、当たり前のことを当たり前に実行・実現できるかで決まる。
また、安倍政権はまだ最重要課題に取り組んでいない。歳出の大部分を占める社会保障の改革だ。国民と企業が納める社会保険料はだいたい55―60兆円だが、社会保障関連の支出は大雑把に言って年金60兆円、医療費40兆円、その他を合わせて120兆円を超える。明らかに持続不可能だ。
繰り返すが、金融政策、財政政策、成長戦略のすべてにおいて日本はまだ経済学が教える当たり前のことを実行していない。
もう素人国民騙すのやめたらどうですかさん=小笠原誠治さん
丸わかり
小笠原政治なのか。御意。
小笠原政治の過去の発言(色々なところ)
確かに、日本は民主主義の国ですから、国民の大半が如何なる増税にも反対するのであれば、最後の最後まで増税が実現するのが難しいのは事実。
しかし‥その行き着くところは‥結局、政府が、それまでに発行した国債の元利払いができなくなり、デフォルトに至るのは当然ではないですか!?
では、デフォルトが起きた後、日本はどのような行動を取ることが必要となるのでしょうか?
結局、否が応でも財政再建を迫られるのです。だから、最後にはやっぱり大増税となる。
増税に理解があり過ぎると‥一見、官僚の思ったとおりに国民が操られるように思われるかもしれませんが、国民もバカではありませんから、増税が行われる度に予算の内容に対する監視の目が厳しくなるでしょう。そして、恐らく、今以上に官僚の給与をカットしろというような声が大きくなって行くでしょう。それ以外の無駄な事業に対する批判の声も大きくなる、と。
そういうことなのです。無駄の監視は、増税によって国民が重い税をかけられそうになるからこそ、強くなるのです。逆に、いつまでも国民に追加の負担が求められることがないのであれば、無駄遣いに対する監視の目も強まることはないのです。
私の意見は、増税が景気に影響を及ぼすことがあっても、投資家の国債離れという最悪の事態に比べたら、その害は遥かに軽いものに済むので、極力予定通りに増税を実施した方がいいという考えです。
ただ、それでも今のところは、アベノミクスに対してそれほどのブーイングは起きていない。
しか~し‥
明日を境に状況は大きく変わるでしょう。
何故か?
それは、明日から一斉にモノやサービスの価格が上がるからなのです。
こんなに物価が上がるなんてと、改めて国民は思い知らされるでしょう。で、その一方で、給料が物価の上昇に見合った分上がるかと言えば‥
そもそも年金生活暮らしで、給料などもらっていないという人も多い訳ですし‥、働いている人々でも、消費税の増税のアップ分と純粋のインフレ分の合計に等しいおよそ3~4%も給料が上がる人々というのは、国民のごく一部にしか過ぎないのです。
つまり、賃金は多少上がっても、却って国民の暮らしは苦しくなっているではないか、と。
そういうことで、明日を境に国民は、物価が上がることに対して不満を述べ始めるでしょう。
済みません。教えて欲しいのですが、
物価の上昇局面で、中央銀行は金融引き締めが必要になりますか?
>売りオペは、景気過熱を冷やす場合に行われる・・・経済学の初歩理論だって言っているでしょう。ちゃんと、拙著読んでから、コメントしてください。
>もしそうする必要性が生じるなら、完全雇用、景気加熱状態になってからの話でしょう。
>済みません。教えて欲しいのですが、
物価の上昇局面で、中央銀行は金融引き締めが必要になりますか?
そうですね。教科書的には、買いオペ=日銀の民間からの資産購入(景気刺激時)、売りオペ(景気引き締め時)とあります。
また、日銀の目標金利(オーバーナイト物)を維持するために、小さな売りオペ買いオペは、連日行われています。
ただ、ご存知のように、日本は、もう20年も、超低金利なので、どこが景気引き締めに該当するのか、もうすっかり、忘れてしまいました(笑い)。
程度も、0.1%単位の金利引き上げが、妥当なのか、1%単位が妥当なのか、もう、日本では、全然分からなくなってしまいました。
金利操作のための、売りオペ買いオペは、新興国(インドやブラジルなど)の様子を見たほうが、「教科書的」な勉強になります。
横から失礼します。
日本銀行が量的緩和を止めると、金利が上がって、数年で財政破綻すると聞いたことがあります。
菅原さんの意見は如何?
もう素人国民騙すのやめたらどうですか
のブログなんて、こんなもの。
菅原さん、相手にしないほうがいいのでは。
2013年06月02日02:45
カテゴリ
言うなー、言うなー
自分の様にしっかり、なぜアベノミクスがうまくいかず、いずれ副作用で崩壊するか、よくて軽度のインフレ(マイルドなインフレよりも強めのインフレ)が長年続いて国民生活が沈滞するかのいづれかしかないと書いているブログをほとんど見つけることができなかった。。
そして今回に限っては、最終的にに激しいインフレに陥る可能性が一番高いのではないかと思う。
要はアベノミクスがうまくいく確率は、物理的に不可能に近いのだ。物理的に。
もうこの段階までくると持ちこたえれば持ち応えるえるほど崩壊したあとの副作用が大きくなるかもしれないし、ぶっちゃけて言えば上記した様に政府が狙っているのは、おそらく高い確率で最善で年間5%~7%くらいのインフレ、マイナス金利によるインフレを10年以上の期間起こし続け政府債務をその分チャラにして国民預金を減少させるという実質の資産収奪という、ある種の計画倒産を狙うという面もあるのだから。
>日本銀行が量的緩和を止めると、金利が上がって、数年で財政破綻すると聞いたことがあります。
まず、量的緩和は、来年には終わりますね。マネタリーベースを270兆円が目標なので。あるいは、今年中にもう少し追加緩和があるのかもしれませんが・・・
で、金利が上がる。その話をされている方の想定は、どの程度なんですか?1%台なのですか?
2~3%程度ですか?
それとも、バブル時代のように、8%9%なのですか?
そうなると、どのような推移で、破綻(誰も、国債を買わなくなる)するというプロセスなのですか?
借換(国)債の利払い負担が徐々に増えることで、年を追う毎に厳しくなると、私は理解しています。
>借換(国)債の利払い負担が徐々に増えることで、年を追う毎に厳しくなると、私は理解しています。
今、年に170兆円、180兆円の国際が発行され、国債価格は高く(金利は低く)という状態です。
1年間に国債が売買される市場は、9000兆円を超えました。
これが未達(発行しても買い手がいない)が破綻ですよね。
あるいは、高金利にしないと、買い手が付かない。
円通貨そのもの=国債ですから、やはり、円安・インフレが起こります。
で、どの程度か?誰か、○○だという断言している方、いたら、教えて下さい。ちゃんと、合理的に説明している方です。
野口悠紀雄氏の、ダイヤモンドの記事で読んだ記憶があります。まあ要するに、金融量的緩和は実質的な財政ファイナンスだと言っているのだと思いますよ。
野口悠紀雄ですか。拙著でも扱っていますので、是非ご覧置きください。
>野口悠紀雄ですか。拙著でも扱っていますので、是非ご覧置きください
量的緩和を止めても、金利は上がらないと思いますか?
>量的緩和を止めても、金利は上がらないと思いますか?
この1年間の量的緩和時期の、金利推移をお調べ下さい。
因果関係を発見したら、教えてください。
情報頂きました。
以下の2つのハンドルネームを使用する、
「もう素人国民騙すのやめたらどうですか」
「似非経済理論を正す」さんは、
ブログ
「世界恐慌 日本財政破綻は本当に起こるのか
政府債務危機に関する本百冊を読んだ上での結論とは 投資に一万時間かけた男のブログ」
を書いている方だそうです。
電子書籍
「日本破綻に備えた実践的思考方法」~未来に希望を持って準備をしよう
サブタイトルとして 「世界恐慌日本財政破綻は本当に起こるのか の筆者が財政破綻までの根拠を解説」
を出版予定で、詳しいことがかけないそうです。