北海道新聞

ブログをお読みいただいている方から、

同志社 浜矩子さんの直近の公演内容をいただきました。ありがとうございました。

テーマは「消費税増税後の日本経済」

・ アベノミクスという言葉が嫌い。なぜ、そこまで嫌うのか。それは、アベノミクスが人間不在の政策パッケージだから。
・ 人間が人間らしく生きるためにあるのが経済活動。だから人間をまともに扱わない活動を経済活動と呼んではいけない。この観点から経済政策や企業経営を評価しなければならない。
・ そういう観点から見て、アベノミクスには全く経済政策に値する本源的な条件が備わっていない。
・ 安倍政権が本源的なことを理解していないのを端的に現しているのが、昨年6月に発表された成長戦略の中身。
・ 彼らの政策の要であり最重要視している成長戦略を発表するスピーチのなかで「人間」という言葉はたった1度しか出てこなかった。それも大阪万博で展示された「人間洗濯機」の話をしたときのみ。ここに集約的に人間不在が現れている。こういう発想ではまともな政策は出てこない。
・ 人間不在を現しているもう1つの出来事は、最近話題になっている柔軟な雇用、自由な働き方に関する議論だ。このなかで、労働した時間ではなく成果について給料を払うという話が出てきた。こういう話が出てくることは2つの意味で著しく人間不在である。
・ 1つは中身について。この話は、つまり成果さえ出れば短時間で高収入が得られることを意味する。しかし裏を返せば雇用者側が決めた成果が出なければ、労働者はいくら働いても収入が得られないということであり、成果が出るまで働かされるということにつながる。
・ もう1つは、そもそもこの話題が議論されている場が産業競争力会議であること。労働や賃金のあり方を産業競争力会議で議論すること自体、著しい人間不在。
・ 産業競争力を強化するという観点で議論すれば、目標とされることは生産性・競争力をどう上げるかの1点に絞られる。そこで労働や賃金の問題を議論すれば、労働者という機械をどうやって効率よく稼働さえるかという考えしか出てこない。そして案の定出てくる提言は人間不在の提言ばかり。
・ では人間に目が向いていないために、現実にどんな問題が起きているか2つ見ていきたい。
・ 1つは経常収支の赤字化と貿易赤字の拡大である。
・ 円安による輸出主導で景気回復を試みたが、円安のあおりを受けて輸入金額が膨らんで経常収支が悪化した。
・ 本来、経常収支が赤字なら国内が貯蓄不足になるので、海外から資本が流入して資本収支は黒字になりバランスが取れた姿になる。逆に経常収支が黒字なら資本収支は赤字になる。
・ しかしこのままでいくと、日本は経常収支も資本収支も赤字になる。なぜなら今の日本は低金利なので資本も金利の高い海外に流出するから。したがって、このままだと経常収支だけでなく資本収支も赤字になる。
・ その原因は日銀のゼロ金利政策と異次元緩和だ。国内でいくら金を回していても自分の金融資産が儲けてくれることはない。そうなれば機関投資家は資本を海外に持ち出す。したがって資本の流出が続く。つまり政策が経常収支の赤字と資本収支の赤字を作り出す。
・ なぜこのような政策を採るかといえば、人間の経済活動という営みが見えていないからであり、自らジリ貧経済化の道をたどっている。
・ もう1つは国内について。今の日本経済は端的に言えば壊れたホットプレートのようなもの。ホットプレートは熱が均等に行き渡ってこそ役割が果たせる。それに対し壊れたホットプレートは、ある場所は熱くなって(ホットスポット)、ある場所は冷たいまま(コールドスポット)。この二極化が今の日本経済の姿である。
・ ホットスポットを少し煽ると株価が上がって一部の人が飛びつく。それによって一部の人がボロ儲けして高額商品が売れる。そしてそういうところでは人手不足が起きる。これは不思議なことで昨日まで就活地獄と言って人々があえいでいたのに、いきなり時給をいくら上げても人が集まらない。これは非常に奇異な姿。
・ この現象を作り出しているのはホットプレート上のホットスポットである。ここではちょっと景気が良くなった気がするだけで人の取り合いが始まる。その煽りを受けて、希にコールドスポットからホットスポットへの出稼ぎにいくことを許される人が出てくる。
・ 一部の人はこれを見て「経済が良くなっている」と言いたいのだろうが、それによって人手不足倒産が起きかねない。しかし出稼ぎはしょせん出稼ぎで、ホットスポットの人手不足騒動が解消すれば、またコールドスポットへ戻される。
・ このように今の日本は著しくバランスが悪い。対外的には経常収支も資本収支も赤字化の傾向、国内的には壊れたホットプレート。国内の欠陥ホットプレートを解消する、すなわち経済全体に暖かさが行き渡る状況を作っていかない限りデフレ脱却など夢のまた夢。
・ そもそも欠陥ホットプレート状態に目を向けない姿からすると、安倍政権においては実は脱デフレに真剣ではないという感じがする。だから彼らの目的は別にある。それは富国強兵だ。
・ つまりアベノミクスで富国、憲法改正で強兵。しかし、表だってそれを口に出せないので脱デフレと言っているに過ぎない。コールドスポットはどうでもよくて、富国強兵に役立つところが恩恵に浴すれば良いと考えている気がする。
・ そういうことから消費増税を考えると、コールドスポットの人たち、例えば非正規雇用者やワープア、貧困世帯の痛みをどうするのか?その視点がないから人間不在といっている。
・ またグローバルな視点から見ても、グローバル時代の特性とアベノミクスは相性が悪い。
・ グローバル時代とは誰も一人では生きていけないということ。人・モノ・金が国境を容易に越え、そのなかでサプライチェーン、バリューチェーンが拡大している。そのなかで皆が支え合っているのが今のグローバル経済の姿。つまり共生の生態系の中に組み込まれているのがグローバル経済。
・ その一例が東日本大震災。震災で福島の小さな部品メーカーが操業停止になった。それによって世界中で自動車生産が止まった。巨大企業も小さな部品工場なくしては生きていけない。
・ 安倍総理の成長戦略スピーチの中で「人間」という言葉は1回しか出てこなかったのに、「世界で勝つ」とか「世界を席巻する」とか、「世界」という言葉はたくさん出てきた。
・ つまり、安倍政権の成長戦略とは世界制覇戦略に他ならない。簡単に言うと「僕ちゃん世界制覇するんだもん!」と言う感じだ。
・ この「僕ちゃん世界制覇するんだもん」と共生の生態系の論理と全然合わない。
・ みんなで助け合いながらやっていこうとしているときに、こういう人が出てくると、全体が乱れる。そしてこういう「自分さえ良ければ病」は感染力が強い病気で、誰か一人がやりだすと行きがかり上、どうしてもみんながそうなってしまう面がある。そんなことは本意ではないと思っているまともな人でも、相手がそのような行動をすれば自己防衛上同じ形で逆襲せざるを得ない。これが広がっていったのが1930代。これがどれだけ危険な状況だったかはご存じの通り。
・ そういう観点で考えて、アベノミクスは国内経済のバランスという意味で本質と外れた方向に行っているし、我々が生きているグローバル時代の本質的なあり方に対しても実に相性が悪い。
・ こんな政策状況の下に置かれていてどうなるかと言えば、明日はどうなるかわからない。我々は今そういう悲惨な状況下に立たされている。

ここからは質疑応答

Q.生鮮食品への軽減税率は格差解消に効果があるか?
A.軽減税率は必要。しかし格差拡大の歯止めにはいくらかの効果はあるものの、格差解消にはならない。
Q.農協改革はどうみる。
A.協同組合の機能を低下させる。今はむしろ協同組合こそ必要。グローバル時代は地域の時代
Q.ナオミクラインのショックドクトリンに書かれていることは、まさに竹中・フリードマン路線だと思うが、医療・労働・農業改革の狙いとTPPの影響は
A.これらの改革も富国強兵を目指しているのでは。TPPもそういう観点で考えているのではないだろうか。TPPは自由貿易協定といいながら実はブロック経済化を目指している。これはまさに1930代と同じ。ぶんどり合戦が始まった。
Q.日本は今後何で食っていけば良いのか
A.(少し答えに窮しながら)何ででも食っていけると思うが、これからは人格で食っていく。グローバル時代のドンキホーテを目指せ。ドンキホーテは老人で腕力はない、そして人に助けてもらわなければ生きていけない。しかし知性と正義感、人間性がある。こういう性質が最もグローバル時代に相性が良い。その反対が富国強兵路線だ。



<北海道新聞>

 全国学力テスト、成績公表は、学校の序列化につながるから、だめだ。

全国学力テスト 目的の変質を危惧する(4月24日)社説
 本来の目的が見失われ、競争の具になる。こんな危惧を覚える。

 文部科学省の全国学力テストには、道内からも小学6年生と中学3年生合わせて約9万人が参加した。

 今回から各教育委員会の判断で市町村別・学校別の平均正答率の公表が認められた。

 試験によって子どもの能力がきちんと把握できるのか。学校間の過当競争が進まないか。いくつもの疑問がわく。

 2007年度の導入時には、学習の到達度を見極め、学校での指導に役立てるのを旨とした。

 昨年12月の本紙調査では、道内市町村教委の7割が学校別の公表に反対の意を示した。道内ではいまのところ、公表を決めた自治体はない。当然の措置だろう。

 序列化を招くことへの不安だけではない。・・・

 ・・・児童生徒の心を傷つけることのないよう、今後も細心の配慮を払う必要がある。

 今国会で審議中の改正地方教育行政法が成立すれば、首長が教育委員会の抵抗を押し切って公表に踏み切ることも十分可能になる。

 制度の変更を理由に、教育現場の意向を無視することは認めるわけにいかない。

 学力の傾向を把握し、指導に役立てるのなら、55億円もの巨費を投じて毎年実施することはない。趣旨に照らせば、数年おきの抽出方式にしても一向に差し支えないのではないか。

 昨年の実施時に、家庭状況調査が併せて行われ、親の収入・学歴に比例して子どもの成績が高くなるとの傾向が顕著に表れた。

 経済格差が放置されれば、憲法が保障する教育の機会均等は維持できない。極めて深刻な事態だ。

 日本は国内総生産(GDP)に占める公的教育支出の割合が経済協力開発機構(OECD)加盟国中、最低レベルにある。

 政府に求められるのは、子どもたちに無用な競争をあおることではない。教育予算を拡充し、経済力によって格差の生じることのない教育環境を実現すべきだ。





 でも、北海道新聞社が、年に2回発行する「道新受験情報」という雑誌、北海道の公立高等学校と私立高等学校に、「入試点(北海道では学力点という:300点満点)○○点で入れる、内申点(北海道では学習点という)○○で入れる」という、学校の序列化を提示しているんですけどね。

道新受験情報「2014高校入試合格データ特集」

道新 受験情報

定価
823 円
北海道新聞社 編
判型・頁数 B5判、354頁
雑誌コード 16747-08
発売日 2013年7月15日

公立高・私立高・高専の合格ラインがひと目で分かる合格データ特集。推薦入試、裁量問題、私立入試など受験生の知りたい情報を網羅。道内221校の制服を紹介するグラビアや高校別大学合格者数一覧、私立中・高の広告特集など話題も豊富。


 
 しかも、そのデータ集めるのに、「実際にあなたは、何点の学力点と、何点の学習点でしたか?」とアンケートを行い、答えてもらった中3生には、全員に500円の図書カードをプレゼント

 で、結果が、この通り、詳細なデータとなって、紙面に掲載されます。

受験1.jpg
受験2.jpg
受験3.jpg


 どこの高校が○○点だったら入れると、一目瞭然の序列化ですけどね。

 でも、社説では、「学校の序列化につながるから、学力テストの成績は公表するな!」
 そもそも、新聞を読むのが高齢者ばかりなので、文字もでっかくて、「高齢者にやさしい」新聞です(笑い)。

 

左 日本経済新聞
右 北海道新聞

文字の大きさ
北海道新聞 文字


http://t-proj.info/twitter/?q=from%3Akagawa_tubuyaki&max_id=454516635190059007

高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学 eBook: 菅原晃: Kindleストア amazon.co.jp/%E9%AB%98%E6%A…

これ経済学の教授がめちゃ推してたけど実際のところどうなんだろ



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comment

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No title

囲みで取り上げて下さりありがとうございます。

>北海道新聞(北海道の発行新聞のおよそ7~8割を占める)
>北海道、日曜朝のTBS系サンデーモーニング、視聴率、めちゃくちゃ高いです。

さすが赤い大地と呼ばれるだけありますね。
私も父が北海道出身で今も北海道に親戚がいますが、けっこう偏ってます。
ところで沖縄が偏っているのは基地問題があるのでわかるのですが、
なぜ北海道はこんなに左がかっているのでしょうか?
何か理由があるのだとは思うのですが。

No title

なんでしょうね。

JR北海道、組合が違うと、口すらきかない、組合が人事に介入する、組織ぐるみで隠ぺい・・・

やっていることは、旧国鉄時代と同じです。

これがだめだから、民営化したのに、中身は全然変わらずに、30年・・・

自分たちはつぶれない・・・から、顧客無視で好き放題・・・

どうしてこうなるんでしょうね。

No title

京都なんかも15の春には泣かせないをスローガンに
色々とやりましたが
その甲斐あって?公立高校は凋落して京大 阪大あたりの
難関大を狙う生徒は私立高校に通うみたいですね

今度は大学でも1点刻みの入試の廃止
点数より人間力を測る入試を何て言ってますがどうなる事やら

No title

日本、基本的に 「平等」「横並び」「みんな一緒」大好きですからねえ。

高校でも、「落第」させては、ダメという暗黙の了解ありますから・・・

それでも、日本全体としては、上手くやってこれましたし・・・結果オーライですかねえ。

正解?はいずこに?
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