現実を見よう その2 円高・円安と輸出入
日経H26.3.2

以前、「円高だからと言って、輸出が減るわけではない」と記事を掲載したところ、まあ、反論来ました。
クリック
↓
「円高で輸出減」は単なる神話
クリック
↓
円高が望ましいのか 円安が望ましいのか 3
クリック
↓
円高が望ましいのか、円安がのぞましいのか その2
「円高は、輸出を減らす、式は○○だ」
で、ではなぜ、「円高なのに、輸出増になっているのですか?」といったら、沈黙、答えられません。
「円高→輸出減」などという、因果関係があるなら、「円安→輸出増のはず」ですよね。
で、ここ1年の現実は、「円安でも、輸出が増えない」でしょう?
なぜ?
「円高になると、輸出が減るわけでも、円安になると輸出が増えるわけでもない」これで十分でしょう。
簡単に言えば、「為替と輸出は、別」ということです。
なぜなら、世界のGDPは、毎年3%~4%で増え続けています。GDP面積(サッカー場)が広がっているのです。サッカー場が広がれば、貿易量(中に引く白線の石灰量)も増えます。

そんな、サッカー場で、「日本の輸出が、円高だから減る≡ユーロ安・ドル安・ウォン安だから増える」という因果関係があると思いますか?
輸出が、常に為替によって左右されるなんてことが、あるわけないでしょう。
毎年、毎年、世界のGDP増=毎年貿易量増で、円高になると日本だけ輸出減・・・アホかです。
「日本の輸出が、円安だから増える≡ユーロ高・ドル高・ウォン高だから減る」というような因果関係も、当然ありません。
つまり、「円高=輸出減」説を言っている人は、典型的な、世界経済は「ゼロ・サム・ゲームだ」と考えている、妄想者です。どちらかが増えれば、どちらかが減る、どちらかが得すれば、どちらかが損する・・・
こんなもの、経済の世界には、根本的にあり得ないのです。
さて、実証的にみてみましょう。
為替には、3つの相場があります。
①名目値
いわゆる、毎日報道されているような、1ドル=○○円というものです。一般に報道では、これが使われます。数値が増えると円安です。
②実効為替レート
単に、1ドル=○○円ではなく、他の通貨や、インフレ率なども考慮して出す数値です。
数値が増えると、円高です。
③購買力平価PPP
一物一価の法則です。日本で、ハンバーガー1個100円、アメリカで1ドルなら、1ドル=100円です。長期的には、為替相場は、この購買力平価に沿って、動きます。長期的には、一番目安になります。真の通貨実力を示します。
で、この3つは、次のように、推移しています。

①名目と、③購買力平価では、円高傾向、②実効では、円安傾向です。
で、これと、輸出を比較します。

円高傾向で、輸出増傾向です。短期的には、円高→輸出減も、円高→輸出増も、両方存在します。

円安傾向で、輸出増傾向です。短期的には、円高→輸出増も、円安→輸出減も、両方存在します。

円高傾向で、輸出増傾向です。短期的には、円高→輸出減も、円高→輸出増も、両方存在します。
以上です。Jカーブ効果の影響考慮や、増減率をつかえっていう声もありますが、別に、それらをプロットしても、何も新たな発見が出てくるわけでもありません。
円高だから輸出減、円安だから輸出増・・・これらを、神話といいます。
為替相場は、資本取引(株や社債、国債、預貯金)で決まります。実物取引(輸出入)で決まるわけではありません。100:1になっています。
S-I=G-T+EX-IM、貿易赤字黒字(金融赤字黒字)は、国内事情で、決まります。
アブソープション・アプローチ、ISバランス論です。
輸出が増えようが、輸入が増えようが、貿易が赤字になろうが黒字になろうが、為替がどうなろうが、どうでもいいのです。
GDPが増えれば。
リーマン後の円高は、日銀が量を増やさなかったから、人為的で、そのあとの円安が、正常でしょう。今は、円安ではなく、正常値に戻っただけではないですか?

円高、円安は、カネ(資本)取引で決まるのです。
http://book.akahoshitakuya.com/b/4309246281
高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学
しまちゃん
現役の高校教師が書いたマクロ・ミクロ経済学の本です。「企業の赤字と貿易の赤字」は、同じ「赤字」という言葉を使っているが違うものであること。「財政政策と金融政策」とは何か、その組合せによる効果はどうなるか?についてグラフなどを使って、解りやすく書かれています。
theme : 間違いだらけの経済教育
genre : 学校・教育