中野剛志その2 

<中野剛志その2 >

反・自由貿易論 (新潮新書)反・自由貿易論 (新潮新書)
(2013/06/15)
中野 剛志

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p79

 貿易戦略において関税があまり意味を持たなくなった理由の四つ目は、「企業のグローバル化」です。
 いまや企業は国境を越え、もうかる国や地域に工場を立地する時代になっています。 逆に政府は自国に企業を誘致しようと競争している。企業が国境を越えられるというこ とは、要するに「関税障壁の向こう側」で製品を生産しているわけですから、もはや関税は何の障壁にもならないということになります。

 日本でも、国内にあった工場がより立地に有利な国へと移転してしまうので、日本の 雇用や産業が失われてしまうという「産業空洞化」が問題化しました。今も円高が進むたびに「このままでは海外に工場を移さざるを得なくなる」「産業空洞化が起きる」と 産業界が騒ぎたてます。しかしそれは同時に、もはや関税の有無は日本の貿易に大した影響を与えない、ということを意味します



 「関税は意味を持たない」のではなく、「関税がますます障壁になっている」ということなのです。産業空洞化?なるものは、その「関税」があるから、生まれるのです。
 

 関税については、

クリック

中野剛志その1 

 を参照ください。

 産業空洞化・・・日本の工場従業員を減らし、その分、海外に進出する・・・従業員数の「ゼロ・サム」ゲームで、日本の雇用量が奪われる・・・という「間違い論」です。

 実際には、海外進出企業ほど、国内従業員を増やすという、プラスサムゲームになっているのが真相です

真相は、カテゴリ「産業の空洞化はあり得ない」を参照ください。

 さて、日本企業が、なぜ海外進出するのか、そこには、関税が関わってきます。

日経H26.1.13

日経 NAFTA

 NAFTAは、カナダ・米・メキシコの自由貿易協定(FTA)です。

日経H26.2.22
NAFTA FTA ホンダ



 すでに、その3国では、関税が撤廃されています。

NAFTA1


 ところが、NAFTA(FTA)以外との国の間では、関税はそのままです。

NAFTA2

 さて、日本の企業は、アメリカで車を売る場合に、どうしようとするでしょうか?
そこで、メキシコに進出するのです。メキシコに工場を作れば、それは、アメリカ国内に工場を作ったのと、同じことになるのです。メキシコは、労働力が豊富で、部品を安く作れるメリットがあります。

つまり、「FTAの外にいる=関税がある=関税の向こうに、進出する=産業空洞化??」になるのです。

NAFTA3

さて、ここで、日本と北米の間に、FTA(関税をなくす自由貿易)が成立するとどうなるか・・・

nafta4

そうすると、日本のメーカーは、わざわざ、メキシコにゼロから進出する必要がなくなります。国内工場で増産すれば、それはメキシコ工場で生産しているのと、同じことになります。つまり、産業空洞化??国内の雇用が奪われる??ことはなくなります。

メキシコの工場で車を作ってアメリカに輸出しても、「日本の輸出額」にはなりません。しかし、日本で作り、アメリカに輸出すると、「日本の輸出額」になります。

もはや関税の有無は日本の貿易に大した影響を与えない、ということを意味します。

 の正反対、

関税の有無は、日本の企業動向に、めちゃくちゃ影響を与えることになるのです。ただし、ミクロの話で、マクロ的には、意味は有りません。

 さて、工場をメキシコに建設して生産するのと、日本国内で生産して輸出するのとでは、どちらが、日本の「GDP=GDI=GDE」をアップさせると思いますか?

 なぜ、世界各国が、WTOが停滞する中、FTA/EPAに奔走するのか、理由はここにもあるのです。

世界FTA.jpg


 

http://tako-univ.com/susume.html

どうもみなさん今日で無事“モテ期”が終了しましたおたこはんです。ちっ。
というわけで僕からの2冊目は「高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学」(菅原 晃 著 河出書房新社)です。

おや?なんで経済学?と思われる方も多いかもしれません。が、ビオトープって目線でコミュニティを考える上で、経済は欠かせない要素であろうというところからこれを選びました。
特に「比較優位」と「ISバランス式」のところをなんとなくでいいので理解しておいていただきたいなというところで、この本がわかりやすい。なんてったって高校生向けですからね。
もちろん、もうそのへんはわかってるよって方には不要ですが^^;

田舎で地域を経済の視点から考える際に、ついどうしても「地産品をどうやって高く売るか」とか「観光客を呼んでたくさんお金を落としてもらうにはどうしようか」ってところをスタートにすることが多いです。ではそもそもなぜ地域の内と外で価値交換が必要なのかということを考えてないとおかしいわけです。そのへんをこの「比較優位」と「ISバランス式」を踏まえるとわかりやすいなということで。

僕からの課題本はこれでおそらく終わりです(きょくちょーの次のヤツにもよりますがw)。それではみなさんあと1週間、お忙しいとは思いますが暇を見つけて読書してみてくださいねー!

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theme : 間違いだらけの経済教育
genre : 学校・教育

comment

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No title

これって為替ってどう考えていますか?それと、貿易に関しては距離って大切なんですよ。陸送できる場所と、船で運ぶ場所が全く同じとは思えないんですけどね。

非常に単純化したモデルでお考えのようですね。

No title

御自分の考えをどうぞ

No title

人件費ついてはどうお考えなのかと思いました。

海外移転の主な目的としてはいわゆる関税ではなく
安い労働市場を求めての海外移転だと理解してます。

中野さんの議論の方向は
あくまで日本人の為の内需復興ではないのでしょうか。

なるべく日本人が生産した物を日本人が消費するという
ごく当たり前な主張だと思います。

経済的な合理性のみを評価基準にして経済的損得のみを抽出すると上記の様になるかと思いますが
国全体としては慣習や文化、安全保障も含め多くの要素があります。

そういった視点がないのもまた、日本国として中長期的合理性に欠ける議論になるかと存じます。
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