フランスその1 国債暴落でフランス革命がおこった
<フランスその1 国債暴落でフランス革命がおこった>
財政赤字、国債暴落は、革命を起こします。フランス革命は、理念(啓蒙思想)で起こったのではなく、経済(カネ)で起こりました。
まず、教科書的な説明を見てみましょう
山川出版社 『詳説世界史』H25年度用



このイメージは、「第1身分VS第2身分VS第3身分」という、階級闘争のように見えます。第3身分や、新興市民層が、自分たちの権利に目覚め、その権利拡大を要求した・・・
一般的には、このような説明がなされます。ですが、これは、階級闘争史観に当てはめた解釈で、実際には、財政赤字・国債暴落による経済破綻、経済混乱が、革命を起こしたのです。
人間は「理念・理想」ではなく、「食べられるか」で動くのです。
・・・とすれば、人間はやはり「合理的」に動きますね。その意味で経済学は、正しい・・・。
まず、当時は、ものすごく経済成長していた時代でした。
以下参考文献 中央公論社「世界の歴史10」S36
人口 17世紀末1900万人→ 18世紀後半 2300万人
貿易 1710年代 輸出入2億リーブル→50年代6億→80年代10億リーブル
一方で、対外戦争による借金もうなぎ上りです。
1 イギリスとの7年戦争(植民地争奪戦)1756~63
2 アメリカ独立戦争1775~83
7年戦争に敗れ、失地回復を狙った、英に対抗するという目的の、植民地側支援
年間収入5億リーブルの時に、米独立戦争に20億出費、財政赤字残高が1789年45億リーブル、返済のために毎年3億リーブル必要・・・
で、何とかこの窮地を打開すべく、民間銀行出身のネッケル(優れたビジネスマンなら、国家財政も解決できるはず)を登用します。
行政改革と、教会財産に手を付ける・・今日でいう「霞が関埋蔵金」のようなものに手を突っ込みますが、議会は「反対」。なんだか「国家財政は危機」なのに、「消費税増税反対」という政党がいる、今日の、日本の議会そのものです。
結局、「国債」に頼るしかなく、国債は青天井で発行されます。実際には米独立戦争のために、国債を増やすことしかできず、国債は5億3200万リーブルに達します。
国債の信用を保つために、それまで公開されていなかった国家財政を公開します。1781年の「財政報告書」です(ちょっと粉飾入っていました)。
財政破綻目前です。1788年、国家は、廃兵院の基金・病院用の募金にまで手を付け、パリ割引銀行紙幣の強制発行(要するに、今までの1万円紙幣を新8000円紙幣と交換するという、日本の戦後、旧円→新円強制切り替えのようなもの、実質的な国家の借金棒引き)、そしてとうとう国庫の支払い停止にまで追い込まれます。
当然、国債の価値は暴落し(文字通り、暴落です。昨今の日本で言われる、長期金利上昇=国債価格下落なんていう生易しいものではありません)、額面の100分の1になってしまいます。
まともな銀行家は、みんなフランスから逃げ出してしまいました。
庶民の生活はボロボロです。ものすごいインフレが、彼らの生活を破壊します。イーデン条約(1786年)によって自由貿易を推進していたフランスですが、インフレの原因が、フランスよりも後進国の製造業による安価な商品の流入にある(これは郵便ポストが赤いのもみんな○○が悪いというこじつけレベルの話です)と難癖がつけられます。
失業、物価騰貴、そこに不作による食糧難と飼料難がとどめを刺します。
貧民たちは、貴族や富豪の穀物倉庫に押しかけ、開放要求し、輸送途中の穀物を襲い、南仏では、強盗や集団略奪、パリでも工場が略奪され、軍隊出動により500人余りの死傷者が出ます。
その流れは、バスティーユ監獄事件に向かっていきます。
フランス革命は、財政改革の失敗から起こったのです。
フランス革命でも、「こうすれば景気は良くなる」は果たせませんでした。「民間の経営感覚を生かせばどうにかなる」もどうにもなりませんでした。
ナポレオンは、ブルボン家の債務を戦争により圧縮し、アメリカ植民地のルイジアナ(ルイ:これはフランス王ルイ14世のことです)を売り、経済を安定化させます。
フランス銀行を設立し、貨幣の安定・財政の安定を達成し、商工業を振興し、私有財産制度を法的に保障し(民法)ます。国民は圧倒的に彼を支持しました。
その後、大陸封鎖令(フランスのみを考慮した保護主義)を敢行します。しかし、その保護主義が、スペインや、ロシアなど、諸国の離反を招き、彼は失脚します。
経済で支持を受け、経済で失脚する・・・。要するに政治は、「カネ」の問題なんですね。
経済成長していれば、どんな矛盾さえも、覆い隠してくれますが、経済が閉そくすると、政治が混乱する・・・。日本の「失われた20年」の際の政治不安定化は、「経済閉そく」がその大きな要因の一つでもあります。高度経済成長期、良し悪しは別にして、自民党は盤石でした。
財政赤字、国債暴落は、革命を起こします。フランス革命は、理念(啓蒙思想)で起こったのではなく、経済(カネ)で起こりました。
まず、教科書的な説明を見てみましょう
山川出版社 『詳説世界史』H25年度用



このイメージは、「第1身分VS第2身分VS第3身分」という、階級闘争のように見えます。第3身分や、新興市民層が、自分たちの権利に目覚め、その権利拡大を要求した・・・
一般的には、このような説明がなされます。ですが、これは、階級闘争史観に当てはめた解釈で、実際には、財政赤字・国債暴落による経済破綻、経済混乱が、革命を起こしたのです。
人間は「理念・理想」ではなく、「食べられるか」で動くのです。
・・・とすれば、人間はやはり「合理的」に動きますね。その意味で経済学は、正しい・・・。
まず、当時は、ものすごく経済成長していた時代でした。
以下参考文献 中央公論社「世界の歴史10」S36
人口 17世紀末1900万人→ 18世紀後半 2300万人
貿易 1710年代 輸出入2億リーブル→50年代6億→80年代10億リーブル
一方で、対外戦争による借金もうなぎ上りです。
1 イギリスとの7年戦争(植民地争奪戦)1756~63
2 アメリカ独立戦争1775~83
7年戦争に敗れ、失地回復を狙った、英に対抗するという目的の、植民地側支援
年間収入5億リーブルの時に、米独立戦争に20億出費、財政赤字残高が1789年45億リーブル、返済のために毎年3億リーブル必要・・・
で、何とかこの窮地を打開すべく、民間銀行出身のネッケル(優れたビジネスマンなら、国家財政も解決できるはず)を登用します。
行政改革と、教会財産に手を付ける・・今日でいう「霞が関埋蔵金」のようなものに手を突っ込みますが、議会は「反対」。なんだか「国家財政は危機」なのに、「消費税増税反対」という政党がいる、今日の、日本の議会そのものです。
結局、「国債」に頼るしかなく、国債は青天井で発行されます。実際には米独立戦争のために、国債を増やすことしかできず、国債は5億3200万リーブルに達します。
国債の信用を保つために、それまで公開されていなかった国家財政を公開します。1781年の「財政報告書」です(ちょっと粉飾入っていました)。
財政破綻目前です。1788年、国家は、廃兵院の基金・病院用の募金にまで手を付け、パリ割引銀行紙幣の強制発行(要するに、今までの1万円紙幣を新8000円紙幣と交換するという、日本の戦後、旧円→新円強制切り替えのようなもの、実質的な国家の借金棒引き)、そしてとうとう国庫の支払い停止にまで追い込まれます。
当然、国債の価値は暴落し(文字通り、暴落です。昨今の日本で言われる、長期金利上昇=国債価格下落なんていう生易しいものではありません)、額面の100分の1になってしまいます。
まともな銀行家は、みんなフランスから逃げ出してしまいました。
庶民の生活はボロボロです。ものすごいインフレが、彼らの生活を破壊します。イーデン条約(1786年)によって自由貿易を推進していたフランスですが、インフレの原因が、フランスよりも後進国の製造業による安価な商品の流入にある(これは郵便ポストが赤いのもみんな○○が悪いというこじつけレベルの話です)と難癖がつけられます。
失業、物価騰貴、そこに不作による食糧難と飼料難がとどめを刺します。
貧民たちは、貴族や富豪の穀物倉庫に押しかけ、開放要求し、輸送途中の穀物を襲い、南仏では、強盗や集団略奪、パリでも工場が略奪され、軍隊出動により500人余りの死傷者が出ます。
その流れは、バスティーユ監獄事件に向かっていきます。
フランス革命は、財政改革の失敗から起こったのです。
フランス革命でも、「こうすれば景気は良くなる」は果たせませんでした。「民間の経営感覚を生かせばどうにかなる」もどうにもなりませんでした。
ナポレオンは、ブルボン家の債務を戦争により圧縮し、アメリカ植民地のルイジアナ(ルイ:これはフランス王ルイ14世のことです)を売り、経済を安定化させます。
フランス銀行を設立し、貨幣の安定・財政の安定を達成し、商工業を振興し、私有財産制度を法的に保障し(民法)ます。国民は圧倒的に彼を支持しました。
その後、大陸封鎖令(フランスのみを考慮した保護主義)を敢行します。しかし、その保護主義が、スペインや、ロシアなど、諸国の離反を招き、彼は失脚します。
経済で支持を受け、経済で失脚する・・・。要するに政治は、「カネ」の問題なんですね。
経済成長していれば、どんな矛盾さえも、覆い隠してくれますが、経済が閉そくすると、政治が混乱する・・・。日本の「失われた20年」の際の政治不安定化は、「経済閉そく」がその大きな要因の一つでもあります。高度経済成長期、良し悪しは別にして、自民党は盤石でした。
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theme : マクロ経済学 ミクロ経済学
genre : 政治・経済