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三権分立 行政 その2

<行政 その2>

東学 資料政・経 2013
東学 資料政・経 2013 2


 前回、政府が音頭を取って、産業政策をして、何か成功した事例があるのか?を検証しました。

 今回は、究極のムダ=少子化対策についてです。


読売H25.6.6
合計特殊出生率 読売H25.5.6

http://www8.cao.go.jp/shoushi/12budget_tax/pdf/budget/25point.pdf
平成25年度子ども・子育て施策関係予算概算要求の総額
3兆3,471億円です。

もちろん、ここには、児童手当1兆4311億円など、昔から行われている政策も入っています。
いっぽうで、純粋に少子化対策である、不妊治療の支援94億円とか、保育園待機児童解消のための4612億円などが入っています。

 ですが、こんなことをいくらやっても、少子化は絶対に解消されませんし、日本は人口減を止められません。少子化対策に何千億円費やしても、せいぜい、「2050年に人口が1億人に減る」のを、数日単位で、速めるか、遅めるかほどの効果しかないのです。

実教出版 2012ニュースタンダード 資料現代社会
人口減少 実教出版 2012ニュースタンダード 資料現代社会

 はっきり言って、少子化対策など、やるだけ無駄です。検証していきましょう。

 まず、少子化は、先進国共通です。人口を維持できる合計特殊出生率は2.1ですが、先進国は軒並みそれを下回っています。
 「豊かな社会になった=少子化」なのは、人類共通の現象です。

 
各国 合計特出生率 実教出版 2012ニュースタンダード 資料現代社会

 で、日本の場合、なぜ、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供数)が1.39と、低いのでしょうか。

http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou14/chapter2.html
第14回出生動向基本調査 国立社会保障・人口問題研究所

出生数


出生数 結婚したカップル

 結婚したカップルは、子どもを2人は持つのです。これは、40年間変化していません。つまり、「結婚したら、2人の子供を持つ」のです。「産みたくても産めない」というのは、現実にはごく少数ということです。

 そして、日本の場合、「結婚して子供を産む」です。「結婚で出産」なのです。婚外子は、日本の場合、諸外国と比べても、全くと言っていいほど、いません。

 日本は、「子どもは、結婚して産む」ものなのです。「カップルに子供が誕生する」のではないのです。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1520.html
世界各国の婚外子割合
出生数 婚外子割合

 諸外国では、「カップルが産む」のが定着しています。特にフランスは、「結婚で子ども」ではなく、「カップルで子ども」が爆発的に増えました。

クリック

ブログ フランス その3 婚外子

 スウェーデン~米国までは、すでに「結婚して子ども」という、スタイル自体がもう終わっています。つまり、結婚というスタイルが21世紀にはなくなったということです。
 
「出生→学校→就職→結婚→子育て→世代交代」

 このようなライフスタイル自体、日本を除く先進国では、もう見られなくなるでしょう。

 しかも結婚についても、同性婚はどんどん認められるし、オランダなど、複数カップルの婚姻まで検討されています。

19世紀の人があこがれていた、「個人の自由・個人の権利」を、人類がどんどん拡大してきた結果、本当に「個」の人生のみに重点が置かれる時代になったということです。

クリック

同性婚禁止の法律は違憲 米連邦最高裁が判決


 それに比べて、日本は、依然として「結婚で子ども」です。婚外子など、物の数ではありません。

 日本の少子化です。

1 「結婚で子ども」であり、婚外子の比率は無視してもよいほど
2 婚姻したカップルは、2人の子供を持つ

ということですから、原因は、「結婚数が減った」です。

出生数 婚姻数

婚姻数の減少が、少子化にむすびついています。

出生数 婚姻数 相関
↑出生と婚姻数が逆になってしまいました

 この相関は、劇的です。「婚姻数少=出生数少」であり、「婚姻数多=出生数多」です。

 ということは、究極の少子化対策は、日本の場合、「結婚数を増やす」です。政府(国・自治体)が「結婚しろ!結婚しろ!」と結婚対策にカネを使うことです。
 今、自治体で盛んにやっている、婚活パーティーを、国主催で行うことです。

http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou14_s/chapter1.html
第14回出生動向基本調査 国立社会保障・人口問題研究所

結婚しない理由

 少子化対策は、「婚姻して、子どもをもうけたくても、様々な事情で子どもをもうけられない(実際には、ほとんど取るに足らない%しか占めない)」など、マクロでは、ほとんど意味がないのです。

 それより、「婚活を国が推進する」を進めた方が、費用対効果は何十倍、何百倍にもなります・・・・・

 と、国が個人のライフスタイルに介入するのですか?

未婚率

 「豊かになった=結婚しなくても、便利に暮らせるようになった」です。結婚は、日本でも「遺物」になりつつあります。

クリック

初産平均年齢 初めて30歳超える、少子化社会対策白書
TBS系(JNN) 6月25日(火)14時2分配信

 内閣府は「経済的な理由から結婚や出産に踏み切れない人が増えているのではないか」と分析しています。(25日13:13)

こんなことは、現実にはない(ごく小数で、本質ではない)のです。

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生涯未婚率は男35%、女27%にも:少子化対策無力 団藤保晴

人口を本当に維持したいなら、それなりに社会が面倒をみる、お金を掛けた強力な施策を打ち出すしかありません。



違うのです。子育ての面倒を社会が見るのではなく、結婚を国家が推進することです。国家が婚活を推進(そのうち強制か?)することです。



クリック

少子化を防ぐ為に、出生率目標?

本当に、人口減少を止めたいのであれば、「優性保護に基づく堕胎」を禁止すれば、一発で解消します。毎年20万以上の堕胎数が報告されています。

http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/P_Detail2012.asp?fname=T04-21.htm&title1=%87W%81D%8Fo%90%B6%81E%89%C6%91%B0%8Cv%89%E6&title2=%95%5C%82S%81%7C21+%90l%8DH%94D%90P%92%86%90%E2%90%94%82%A8%82%E6%82%D1%95s%94D%8E%E8%8Fp%90%94%81F1949%81%602010%94N

出生数 死亡数 中絶数 厚労省.jpg

 どうですか?一目瞭然ですよね。

しかも、堕胎は保険適用外なので、実数は、さらに多くなります。

 少子化対策と、国が云々する自体、ナンセンスな話です。本来、国は、少子化に対応した国づくりをするのが仕事です。

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theme : 政治・経済・時事問題
genre : 政治・経済

comment

Secret

日本においては出生率を大きな問題にする必要がないと思います。代わりに、国民一人あたりの生産性の向上に努める方がより良い政策ではないでしょうか?

国が発展途上の間は、土地、資源、そして労働力が国力を支えます。しかし、国が豊かになるに連れて労働力に技術力が加わり、生産力を高めます。日本等においては、労働者あたりの生産性を、ロボット化や規制改革等で向上させる方が、「無理矢理」子供を産ませる政策よりも効率が良い気がします。

人口の多さが決定的な意義を有する軍事力でさえ、効率化、特殊部隊化、無人化がものすごいスピードで進んでいます(少なくとも諸外国では)。



No title

某フィギュアスケート選手の出産の公表と、それに対するマスコミ(いわゆるイエロージャーナリズムですが)の反応を見る限りでは、日本において「未婚であっても子どもを持つ」ことを祝福する空気がはなはだ薄いことを痛感せざるを得ません。

その意味において、「結婚数の増加」か「人工中絶の禁止」しか「少子化対策」がないという指摘は首肯せざるを得ないと改めて感じました。
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