三権分立 裁判所

<三権分立>

 国会(立法)・内閣(行政)・裁判所(司法)、それぞれ、抑制と均衡(チェック&バランス)が働いています。

東学 資料政・経 2013
東学 資料政・経 2013 2


 その権力機構について、検証していきます。

<裁判所>

憲法第76条

 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行いこの憲法および法律にのみ拘束される


とあります。

 裁判官は、内閣(行政)・国会(立法)という権力から独立し、なおかつ、司法内部でも、一人一人が独立し、たとえ上司といえども、裁判には干渉できないというものです。

 ですが、裁判官もサラリーマン、ただの公務員です。ですから、最高裁を頂点とした官僚組織の一員であり、出世や転勤は、すべて上司の判断に左右されます。つまり、変な判決、特に最高裁判例に背くような判決は、基本的に出せません。別に、出してもいいです。そのかわり、裁判官としてのキャリアは失われます。

「35年ぶりの自衛隊違憲判決(イラク派兵)2008年4月17日 名古屋高裁 青山邦夫裁判長 」

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 なぜ、違憲判決(主文ではないですが)を出せたか。答は、裁判官は退官寸前だったからです。この裁判官は、その後、大学教授になりました。

  参考・引用資料 『NNNドキュメント(日本TV系) 2009.9.14放送』


福島重雄

1973年、自衛隊の憲法第9条違反を出した裁判官です。

清水書院 資料政治・経済 2012
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 この裁判について、当時上司だった札幌地裁長官の平賀氏が、福島氏にあてた手紙、平賀書簡が、福島氏によって、公開されます。

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 国会は、手紙が公開されたこと(福島氏が公表をやめなかったこと)を理由に訴追委員会を開きます。結果は「訴追猶予」です。処分は見送るが、責任はあるとの判断です。

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 すぐに裁判所は、福島氏に対し、口頭注意処分を下します。

 福島氏は、すぐに辞表を出します。密室ですべてを片付けようとしたことを、世に公表します。

 2日後、辞表を撤回すると表明します。国民から、福島氏支援の声も多数寄せられたからです。

「良心の土壌と、権力の土壌(官僚組織のこと)に二股をかけて苦悩している」
「裁判官は、外に向かっては聖職、内では労働者」

と福島氏は言います。

 自衛隊裁判は、福島氏の下で、進みます。

1973年9月7日、福島氏は自衛隊違憲判決を出します。

東学 資料政・経 2013
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 高裁、最高裁は、原判決を棄却します。それ以来、自衛隊違憲判決は出ていませんでした。名古屋高裁は、35年ぶりです。

 福島氏は言います。

「いかに裁判官が、憲法論をやるのを恐れるか、憲法問題を回避したがるかというものだ」

 安部晴彦氏(元裁判官)は、司法官僚統制を「諸悪の根源」と言います。「自分の考えたとおりの裁判をしたいと思っても、それができない圧力がかかる」と言います。

 安部氏は「選挙の戸別訪問」について、公職選挙法による禁止を「違憲」と判決を出しました。表現の自由(憲法第21条)を侵すもので、被告人を無罪としました。最高裁が、判例で、「有罪」としていたものを、独自の判断で、ひっくり返したのです。

第一学習社 最新政治・経済資料2012

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 さて、その安部後氏は裁判所内でどのような人事をされたのでしょうか。全国各地に赴任する人事は、最高裁の手にあります。

 安部氏に対する最高裁の人事は、安部氏の言う「差別の極致」でした。「給料、任地、職務」で、最低の扱いをされます。赴任地は、支部(例えば、静岡地方裁判所 ○○支部)ばかり回され、刑事裁判から追放され(キャリアの残り2/3の期間)、何より、裁判長に復帰させてもらえませんでした。

 3人で裁判を担当する場合、真中が裁判長です。あるいは、裁判長は、1人で事件を担当します。ですが安倍氏は、定年退職する最後まで、裁判長に戻ることはできず、若い裁判長の補佐しか、させてもらえませんでした。

神戸大学 馬場健一教授は言います。
 「判決後に突然左遷されたりとか、判決前後で人事が替わるというのは、事実です」「特に1970年前後」と言います。


 福島氏は、自衛隊違憲判決の半年後、東京地裁に転勤します。部署は民事の「手形部」です。公園の隅に立つ、木造の小さな分庁舎でした。その後、福島と福井の家庭裁判所を回ります。退職するまで、「裁判長」にはなれませんでした。「冷や飯食わして左遷」です。

 福島氏は言います。

「裁判官組織体、その中で出世したければ、上司に気に入られないといけない」
「上司の判断で、出世もし、落ちぶれもする」
「再審、最高裁で、有罪と、差し戻された事例で、一審はどうして破棄できよう。いや、破棄はできる。しかしその報いは厳しい」
「一審裁判官は、出世を考え、被告人をひねりつぶす。よくあることだ」
「個々の裁判官は組織の中であまりに無力」
「再審、最高裁で判決を出したものを一審でひっくり返すと、最高裁判事は『俺の判決に泥を塗るつもりか』と露骨に言ってくる」
 

 「長沼裁判、その相手は、原告でも、被告でも、世論でも、政治権力でもなかった。司法権力、裁判所との戦いであった」

 最高裁は、司法関係の、文字通り最高権力です。

憲法第77条

1 最高裁判所は、訴訟に関する手続き、弁護士、裁判所の内部及び司法事務処理に関する事項について、規則を定 める権限を有する。

2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。


 
憲法第76条
すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行いこの憲法および法律にのみ拘束される


 実態は、

 すべて裁判官は、「最高裁」に従ひ、「その範囲の中でのみ」その職権を行い「最高裁に」のみ拘束される。

のです。

 国会(立法)・内閣(行政)・裁判所(司法)に分かれた一片である、裁判所は、最強の官僚組織、三角形ピラミッドを形成しているのです。

司法
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