新聞の間違い(18) 『経常黒字54.5%減 4月国際収支』日本経済新聞 H21年6月9日
『経常黒字54.5%減 4月国際収支』日本経済新聞 H21年6月9日
財務省が8日発表した4月の国際収支速報…一部に持ち直しの動きはあるものの、経常黒字額は依然として前年の半分以下の水準にとどまっている。貿易・サービス収支は2873億円の赤字で、前年同月の黒字から赤字に転落した。
渾沌『大機小機』日本経済新聞 H21年5月22日
企業の損益計算書は…前・後半で環境が激変し赤字転落した08年度の日本の貿易収支と表裏をなす。
日本を代表する経済紙ですが、やっぱり、「一般的な経済理解=あやまり」からは、なかなか抜け出せません。経済紙の記者でさえ、「貿易黒字はもうけ、赤字は損」という考え方にどっぷり染まっているのです。もちろん、間違いです。
「貿易黒字はもうけ(良いこと)、赤字は損(悪いこと)」と考えているから、「赤字転落」と表現する ことがわかりますか?
-転落:上位から下位に一挙に落ちること。急激に落ちぶれること。「―の一途をたどる」「幕下に―する」大辞泉 yahoo辞書よりー

経常収支黒字≡資本収支赤字
日本が経常収支黒字を抱えるということは、同額分外国資産(外国の国債・社債・株式・資産・貸付)が増える ということです。
資本収支黒字≡経常収支赤字
アメリカが資本収支黒字を抱えるということは、アメリカ国内に、外国資本(外国の国債・社債・株式・資産・貸付)が増えるということです。
投資を受け入れるということはどういうことでしょうか。
参考・引用文献 石川城太『政府、過度な肩入れ避けよ』日本経済新聞H21.4.15
…グローバル化が進展し、国境を越えたヒト・モノ・カネ・サービスの移動の活発に伴い…自国企業に見えながら、所有構造を見ると…株式の多くを外国人が所有しているケースが…ある。…日産自動車の外国人持ち株比率は6割を超え、ホンダとトヨタも3割前後である。ソニー、任天堂、キヤノン、日立製作所など、日本を代表する企業…も4割を超えている。…日産はルノーの株式の15%を所有し、逆にルノーは日産の44.3%の株式を所有している。…ルノー出身のカルロス・ゴーン氏が両社の社長兼最高責任者(CEO)を兼務し、日産が保有するルノー株式には議決権がないため、日産はもはやフランスの企業といってもよい。
このように、今では,外国人株主の持ち株比率が30%を超える企業も少なくありません。東証一部上場企業では,’05年には100社を超えました。有力上場企業で,外国人持ち株比率が,50%を超える企業は,46社を数え,以下のような例があります。
出典 『会社四季報CD-ROMランキングでみる上場企業』2007年2週春号 東洋経済オンライン http://www.toyokeizai.net/online/topics2/?kiji_no=8
日産自動車69.3% 西友60.3% 昭和シェル石油61.3%
ヤマダ電機55.2% HOYA50.5%
富士フィルムホールディングス50.4%
これが、グローバル化の実態です。資本は国境を超え移動している のです。「日産はフランス企業」です。
さらに、アメリカ貿易赤字額=資本収支黒字額なので、アメリカが貿易赤字を出せば出すほど、外国資本(外貨準備、外国債、外国証券ほか)の投入が増えるのです。「日産はフランス企業」と同様、アメリカの「○○社は日本企業・タイ企業・中国企業」という事例が膨大になっているということです。
でも、「日産はフランス企業」で、何か困ったことはあるのでしょうか?「ヤマダ電機は外国企業」ですが、それが何か?
「貿易赤字は損」「貿易赤字は悪いこと」ではなく、「貿易赤(黒)字」は「お金の貸し借り」のことなのです。ですから、貿易赤字があろうと無かろうと、経済成長(GDP増=GDI増=国民所得増)します。アメリカも、イギリスも、オーストラリアもです。

逆に、日本は’98年「貿易黒字」を出しながら、戦後2回目の「GDPマイナス成長=国民所得減」でした。さらに、2008年、貿易黒字を27,103(単位10億円)も出しながら、戦後3回目の「GDPマイナス成長=国民所得減」でした。前年度GDPは560,816、2008年度556,710となり、0.73%のマイナス成長です。(単位10億円 データ出展 内閣府速報値2009年2月13日)
おかしいじゃありませんか、貿易黒字で儲けているのに、マイナス成長なんて。そう、 「貿易黒字はもうけ」『貿易黒字は良いこと』が間違い なのです。貿易黒(赤)字と、経済成長は関係ありません。赤字だろうが、黒字だろうが、GDPは増減するのです。
櫻川昌哉『経済を動かす単純な論理』光文社2009 p178
貯蓄率が国家の間で異なっていれば、経常収支の不均衡が長期にわたって続くということはありえるのです。 (筆者注:資本収支→経常収支、お金が先、モノ・サービス取引は後)経常収支赤字国が持続的な経済成長をすれば、黒字国から赤字国へ資金は流れ、経常収支の赤字も持続できます。…実際にアメリカは、過去30年間、経常収支の赤字を継続してきましたが、大きな問題は生じていません。
「貿易黒字はもうけ、赤字は損」は、間違いなのです。
財務省が8日発表した4月の国際収支速報…一部に持ち直しの動きはあるものの、経常黒字額は依然として前年の半分以下の水準にとどまっている。貿易・サービス収支は2873億円の赤字で、前年同月の黒字から赤字に転落した。
渾沌『大機小機』日本経済新聞 H21年5月22日
企業の損益計算書は…前・後半で環境が激変し赤字転落した08年度の日本の貿易収支と表裏をなす。
日本を代表する経済紙ですが、やっぱり、「一般的な経済理解=あやまり」からは、なかなか抜け出せません。経済紙の記者でさえ、「貿易黒字はもうけ、赤字は損」という考え方にどっぷり染まっているのです。もちろん、間違いです。
「貿易黒字はもうけ(良いこと)、赤字は損(悪いこと)」と考えているから、「赤字転落」と表現する ことがわかりますか?
-転落:上位から下位に一挙に落ちること。急激に落ちぶれること。「―の一途をたどる」「幕下に―する」大辞泉 yahoo辞書よりー

経常収支黒字≡資本収支赤字
日本が経常収支黒字を抱えるということは、同額分外国資産(外国の国債・社債・株式・資産・貸付)が増える ということです。
資本収支黒字≡経常収支赤字
アメリカが資本収支黒字を抱えるということは、アメリカ国内に、外国資本(外国の国債・社債・株式・資産・貸付)が増えるということです。
投資を受け入れるということはどういうことでしょうか。
参考・引用文献 石川城太『政府、過度な肩入れ避けよ』日本経済新聞H21.4.15
…グローバル化が進展し、国境を越えたヒト・モノ・カネ・サービスの移動の活発に伴い…自国企業に見えながら、所有構造を見ると…株式の多くを外国人が所有しているケースが…ある。…日産自動車の外国人持ち株比率は6割を超え、ホンダとトヨタも3割前後である。ソニー、任天堂、キヤノン、日立製作所など、日本を代表する企業…も4割を超えている。…日産はルノーの株式の15%を所有し、逆にルノーは日産の44.3%の株式を所有している。…ルノー出身のカルロス・ゴーン氏が両社の社長兼最高責任者(CEO)を兼務し、日産が保有するルノー株式には議決権がないため、日産はもはやフランスの企業といってもよい。
このように、今では,外国人株主の持ち株比率が30%を超える企業も少なくありません。東証一部上場企業では,’05年には100社を超えました。有力上場企業で,外国人持ち株比率が,50%を超える企業は,46社を数え,以下のような例があります。
出典 『会社四季報CD-ROMランキングでみる上場企業』2007年2週春号 東洋経済オンライン http://www.toyokeizai.net/online/topics2/?kiji_no=8
日産自動車69.3% 西友60.3% 昭和シェル石油61.3%
ヤマダ電機55.2% HOYA50.5%
富士フィルムホールディングス50.4%
これが、グローバル化の実態です。資本は国境を超え移動している のです。「日産はフランス企業」です。
さらに、アメリカ貿易赤字額=資本収支黒字額なので、アメリカが貿易赤字を出せば出すほど、外国資本(外貨準備、外国債、外国証券ほか)の投入が増えるのです。「日産はフランス企業」と同様、アメリカの「○○社は日本企業・タイ企業・中国企業」という事例が膨大になっているということです。
でも、「日産はフランス企業」で、何か困ったことはあるのでしょうか?「ヤマダ電機は外国企業」ですが、それが何か?
「貿易赤字は損」「貿易赤字は悪いこと」ではなく、「貿易赤(黒)字」は「お金の貸し借り」のことなのです。ですから、貿易赤字があろうと無かろうと、経済成長(GDP増=GDI増=国民所得増)します。アメリカも、イギリスも、オーストラリアもです。

逆に、日本は’98年「貿易黒字」を出しながら、戦後2回目の「GDPマイナス成長=国民所得減」でした。さらに、2008年、貿易黒字を27,103(単位10億円)も出しながら、戦後3回目の「GDPマイナス成長=国民所得減」でした。前年度GDPは560,816、2008年度556,710となり、0.73%のマイナス成長です。(単位10億円 データ出展 内閣府速報値2009年2月13日)
おかしいじゃありませんか、貿易黒字で儲けているのに、マイナス成長なんて。そう、 「貿易黒字はもうけ」『貿易黒字は良いこと』が間違い なのです。貿易黒(赤)字と、経済成長は関係ありません。赤字だろうが、黒字だろうが、GDPは増減するのです。
櫻川昌哉『経済を動かす単純な論理』光文社2009 p178
貯蓄率が国家の間で異なっていれば、経常収支の不均衡が長期にわたって続くということはありえるのです。 (筆者注:資本収支→経常収支、お金が先、モノ・サービス取引は後)経常収支赤字国が持続的な経済成長をすれば、黒字国から赤字国へ資金は流れ、経常収支の赤字も持続できます。…実際にアメリカは、過去30年間、経常収支の赤字を継続してきましたが、大きな問題は生じていません。
「貿易黒字はもうけ、赤字は損」は、間違いなのです。
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