新聞の間違い(17) 日本経済新聞 H21.6.13
富民『大機小機 経済のワナからの脱出を急げ』日本経済新聞 H21.6.13
…我が国は貿易取引の大半がドル決済のため、①輸出で稼いだドルを円に換金して持ち帰れば円高になって輸出競争力を失う。②ドルのまま海外に預けておけば、輸出代金が国内に還流せず、いくら輸出しても、豊かになれない。
…貿易の円決済比率を現在の30%から大幅に引き上げ…円の国際化を急ぐ必要がある。
貿易黒字は、稼ぎではない
昨日、「輸出は、稼ぎである」と説明したことと、「貿易黒字は、稼ぎではない」ということは、矛盾のように見え、一番理解が難しいところです。ですが、ここが理解できないと、新聞のように、②ドルのまま海外に預けておけば、輸出代金が国内に還流せず、いくら輸出しても、豊かになれない。というでたらめにつながってしまいます。正解は、「貿易黒字は、国内には還流しない」です。
三面等価の図を見て見ましょう。
国民が貯蓄したSが、①企業投資Iであり、②政府消費・投資(G-T)であり、③ (EX-IM)経常(貿易)黒字なのです。
と同時に、①企業Iへの貸付であり、②公債(G-T)への貸付であり、③ (EX-IM)海外への貸付なのです。
だから、①企業投資I=国民の貸付、②公債(G-T)=国民の貸付、③ (EX-IM)経常(貿易)黒字=国民の海外への貸付なのです。
これが、マクロ経済学上、最も大切な「ISバランス」式です。
(S-I) = (G-T) + (EX-IM)
貯蓄超過=財政赤字+経常黒字
(EX-IM)経常(貿易)黒字=国民の海外への貸付
外国債・外国株・外国社債などの購入や、外国への貸付額がEX-IM18兆円なのです。
これらは、銀行などの金融機関、生命保険会社・投資信託などの機関投資家、政府、企業、個人です。
2007年の国際収支表です。
経常収支(貿易収支含む)黒字=資本収支赤字になっていることがお分かりでしょう。「②モノ・サービス取引き=①カネの流れ」なので、「②貿易(モノ・サービス)黒字=①資本(カネ)赤字」になります。モノ・サービスが売れると、同金額が資本勘定の項目に△(マイナス)で記入されます。
△は外国カネ(資産)増と覚えれば間違いないでしょう。ドル・ユーロや、外国国債、外国社債、外国株の購入額のことです。貿易黒字=外国への資金提供のことなのです。ですから、 「貿易黒字はもうけ」ではありません。
同時に、資本収支赤字=海外投資=日本の海外資産の増加であり、額は07年で250兆円超、世界一になっています。
(出典:読売新聞)
「貿易黒字はどこへいったのか」の答えは,「海外の資産になった」です。このことは,日本人の生活そのものが豊かになることを,必ずしも意味するものではないのです。
だから、このブログで再三指摘しているように、「貿易黒字は、稼ぎではない」のです。
「ドルのまま海外に預けておけば、輸出代金が国内に還流せず、いくら輸出しても、豊かになれない」はでたらめで、「貿易黒字=外国資産増+外貨増」だから、「日本円」にはもともとなりません。貿易黒字は、「国内には還流しない」のです。記事は不可能なことを述べています。
では、中国と、アメリカの関係を見てみましょう。
「貿易黒字=外国資産増 + 外貨増 」
プラス プラス △マイナス
です。ですから、外貨準備だけが、突出するのです。日経H21.6.14(グラフも)
…中国は貿易黒字を通して、2兆ドル近くため込んだ外貨準備の大半をドル資産で運用している。ドルを揺さぶり過ぎると、ドル安を招き、返り血を浴びかねない。脱ドル依存はゆっくり進めたいのが中国の本音だ。
記事の後半部分は、現実味はないのですが、中国の貿易黒字=外貨増というのはその通り です。このように、「貿易黒字」は「国内に還流しない」のです。
…貿易の円決済比率を現在の30%から大幅に引き上げ…円の国際化を急ぐ必要がある。
「貿易黒字」は「国内に還流しない」ので、基軸通貨を円にしたとしても、豊かになるわけではありません。三面等価図より、
内需495兆円:外需18兆円ですから、18兆円分は、海外資産になるのです。円が基軸通貨になったとしても、アメリカや、EUや、中国の、日本保有資産が18兆円分になるだけです。
GDP>内需だから、こうなります。GDP=内需なら、18兆円分、日本国内の消費・投資が増えるのです。豊かになるということは、こういうことです。
…我が国は貿易取引の大半がドル決済のため、①輸出で稼いだドルを円に換金して持ち帰れば円高になって輸出競争力を失う。②ドルのまま海外に預けておけば、輸出代金が国内に還流せず、いくら輸出しても、豊かになれない。
…貿易の円決済比率を現在の30%から大幅に引き上げ…円の国際化を急ぐ必要がある。
貿易黒字は、稼ぎではない
昨日、「輸出は、稼ぎである」と説明したことと、「貿易黒字は、稼ぎではない」ということは、矛盾のように見え、一番理解が難しいところです。ですが、ここが理解できないと、新聞のように、②ドルのまま海外に預けておけば、輸出代金が国内に還流せず、いくら輸出しても、豊かになれない。というでたらめにつながってしまいます。正解は、「貿易黒字は、国内には還流しない」です。
三面等価の図を見て見ましょう。

国民が貯蓄したSが、①企業投資Iであり、②政府消費・投資(G-T)であり、③ (EX-IM)経常(貿易)黒字なのです。
と同時に、①企業Iへの貸付であり、②公債(G-T)への貸付であり、③ (EX-IM)海外への貸付なのです。
だから、①企業投資I=国民の貸付、②公債(G-T)=国民の貸付、③ (EX-IM)経常(貿易)黒字=国民の海外への貸付なのです。
これが、マクロ経済学上、最も大切な「ISバランス」式です。
(S-I) = (G-T) + (EX-IM)
貯蓄超過=財政赤字+経常黒字
(EX-IM)経常(貿易)黒字=国民の海外への貸付
外国債・外国株・外国社債などの購入や、外国への貸付額がEX-IM18兆円なのです。
これらは、銀行などの金融機関、生命保険会社・投資信託などの機関投資家、政府、企業、個人です。
2007年の国際収支表です。

経常収支(貿易収支含む)黒字=資本収支赤字になっていることがお分かりでしょう。「②モノ・サービス取引き=①カネの流れ」なので、「②貿易(モノ・サービス)黒字=①資本(カネ)赤字」になります。モノ・サービスが売れると、同金額が資本勘定の項目に△(マイナス)で記入されます。
△は外国カネ(資産)増と覚えれば間違いないでしょう。ドル・ユーロや、外国国債、外国社債、外国株の購入額のことです。貿易黒字=外国への資金提供のことなのです。ですから、 「貿易黒字はもうけ」ではありません。
同時に、資本収支赤字=海外投資=日本の海外資産の増加であり、額は07年で250兆円超、世界一になっています。

(出典:読売新聞)
「貿易黒字はどこへいったのか」の答えは,「海外の資産になった」です。このことは,日本人の生活そのものが豊かになることを,必ずしも意味するものではないのです。
だから、このブログで再三指摘しているように、「貿易黒字は、稼ぎではない」のです。
「ドルのまま海外に預けておけば、輸出代金が国内に還流せず、いくら輸出しても、豊かになれない」はでたらめで、「貿易黒字=外国資産増+外貨増」だから、「日本円」にはもともとなりません。貿易黒字は、「国内には還流しない」のです。記事は不可能なことを述べています。
では、中国と、アメリカの関係を見てみましょう。
「貿易黒字=外国資産増 + 外貨増 」
プラス プラス △マイナス
です。ですから、外貨準備だけが、突出するのです。日経H21.6.14(グラフも)

…中国は貿易黒字を通して、2兆ドル近くため込んだ外貨準備の大半をドル資産で運用している。ドルを揺さぶり過ぎると、ドル安を招き、返り血を浴びかねない。脱ドル依存はゆっくり進めたいのが中国の本音だ。
記事の後半部分は、現実味はないのですが、中国の貿易黒字=外貨増というのはその通り です。このように、「貿易黒字」は「国内に還流しない」のです。
…貿易の円決済比率を現在の30%から大幅に引き上げ…円の国際化を急ぐ必要がある。
「貿易黒字」は「国内に還流しない」ので、基軸通貨を円にしたとしても、豊かになるわけではありません。三面等価図より、

内需495兆円:外需18兆円ですから、18兆円分は、海外資産になるのです。円が基軸通貨になったとしても、アメリカや、EUや、中国の、日本保有資産が18兆円分になるだけです。
GDP>内需だから、こうなります。GDP=内需なら、18兆円分、日本国内の消費・投資が増えるのです。豊かになるということは、こういうことです。
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