農業守るにもほどはある


<追記2 JAが、TPPに反対する理由>


H24.12.11 日経 『TPP反対 JAの本音』
…JAグループ。TPPに参加すれば国内農業が壊滅すると主張…。…ただ、反対する最大の理由は、農業保護ではなく、今や稼ぎ頭の共済事業を守るため…。

JAグループの総事業利益は約1兆9000億円(2010年度)。融資や共済といった金融事業が66%を占める(筆者注:火災共済や、自動車共済など、CMたくさんやっていますね)。…一般の保険商品に類似している。

だが保険と共済の事業者には決定的な違いがある。

保険会社が生命保険と損害保険の兼営を禁じられている一方、共済には事業規制がない(筆者注:JAには、一般の生命保険=終身共済、医療保険=医療共済、損害保険=車共済・・・全てあります)。法人税率も共済は優遇されている。経営破綻時に契約者を保護するためのコスト負担を保険会社は義務付けられているのに、共済事業者にはない。

…JAグループにとっての共済事業は利益全体の4分の1を稼ぎ出す。農家が作った農産物を販売したり、農家に農機具を売ったりする農業関連事業より比率が高い。JAのTPP反対論の背後には、共済事業に議論が及ぶのを避けたいとの本音が透けて見える。



<もはや、農家のためのJAではない>

2012年3月6日19時28分 朝日新聞デジタル

『農協組合員、非農家が上回る 金融機関化進み初の逆転』

農林水産省によると、09年度の正組合員数は前年度比1.1%減の477万5千人。准組合員数は3%増の480万4千人。



農協 組合員 非組合員

組合員数からして、すでに、「農家のためのJA」ではないことが分かります。非組合員は、農協に口座を持つとか、農協の共済(医療共済=民間の医療保険まであります)に加盟するときに払う出資金を出した人です。

JAの事業には、

①経済事業  
②信用事業 
③共済事業 
④農業倉庫事業

 があり、実際の農家を相手にした肥料販売や、野菜・コメの販売代理である、①、政府から委託されたコメの保管料の④の2つは、全然収益に寄与していません。
JAの末端に行けば行くほどです。
 
なんといっても②(簡単に言えば農協の銀行業務)と③(民間で言う保険事業・・しかも生命保険も損害保険もなんでも経営可)が収益の柱です。
 
これら、末端で集めたカネは、末端では全て運用できなく(②は、末端では3割しか運用できない)、上納金のように、県信連や、農林中央金庫、全共連に吸い上げられ、そこで運用されています。

JA共済の
総資産額(H23年度)は、476,332億円、経常利益は909億円に上ります。(震災の影響で、支払いが多くなってもこの額です。例年は2000億円を超えています。

JA  収益 利益 内訳

 さて、JAが守りたいもの、それは、「濡れ手で粟(既得権益)」の共済事業・信用事業であることが分かります。


<なぜ、反対の声は起こらないのか>

日中韓、FTA交渉入り…来年春に次官級会合
読売新聞 11月20日(火)20時30分配信
 【プノンペン=五十棲忠史、幸内康】東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓、インド、豪州、ニュージーランドの計16か国の首脳は20日、プノンペンで、包括的経済連携(RCEP=アールセップ)の交渉開始を宣言した。

 2013年の早い時期に交渉を始めることで合意した。また、日中韓の貿易担当大臣は、日中韓自由貿易協定(FTA)の交渉開始を宣言した。2月に日本で事務レベルの準備会合を開いたうえ、3月末か4月上旬に次官級の第1回会合を開催する。

 RCEPは、実現すれば域内人口が34億人と世界の半分を占め、国内総生産(GDP)総額は20兆ドル(約1600兆円)で世界の3割を占める巨大な自由貿易圏となる。15年末までの合意を目指す。共同宣言では、関税の削減・撤廃を通じたモノの貿易自由化に加え、投資・サービス分野でも広範な自由化を進める方向性を示した。



日本とEU、EPA交渉開始へ EUの理事会で合意

朝日新聞デジタル 11月29日(木)21時3分配信
【福山崇、ブリュッセル=野島淳】欧州連合(EU)は29日の貿易相理事会で、日本との経済連携協定(EPA)交渉を始めることで合意した。年明けにも日EU首脳協議を開いて交渉に入る見通しだ。締結までには数年かかるとみられるが、締結すれば、日本が大規模市場の先進国と結ぶ初めてのEPAになる。

 日本にとって、EUは中国や米国に次ぐ貿易相手国だ。現在、日本からEUに輸出する自動車には10%、液晶テレビなど家電には14%の関税がかかる。EPAを結ぶと、関税の撤廃や削減が期待できる。

 EUは昨年7月に韓国と、EPAよりも自由化する分野を貿易や投資などに絞った自由貿易協定(FTA)を発効した。関税引き下げの恩恵を受け、韓国の自動車メーカーが欧州での売り上げを急増させている。超円高のもとで輸出競争力が落ちている日本の産業界には、韓国企業との競争の面からもEUとのEPAの早期交渉入りを望む声が強かった。



日経H24.11.21『対アジア連携 TPP軸』
自由貿易協定 FTA RCEP TPP



読売H24.11.27
『カナダとEPA交渉入り』
自由貿易協定 FTA EPA カナダ




<質問>

なぜ、

(1)ASEAN+日中韓+インド+豪州+ニュージーランドRCEP (EPA)

(2)日中韓(FTA)

(3)カナダとEPA

(4)EUとEPA



の経済連携協定に、反対の声が起こらないのでしょうか?

なぜ、

(5)TPPだけ、「反対」となるのでしょうか?

TPPと、RCEPには、豪州、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、タイ(→TPP参加表明)がかぶっています。

 TPPには、カナダも参加しています。

 なぜ、「中国の野菜を輸入するのは危ない!毒入り餃子事件を忘れたか!」「中国の安い農産物が入ってきたら、日本の農家は壊滅する」「カナダの大豆に太刀打ちできない」「豪州産牛肉、小麦にやられる!」「韓国のカップめんは危険だ!発がん性物質が混じっていたではないか!」っていう声が、政治家から、まったく聞こえてこないのでしょう?

 RCEPなど、包括的連携協定(EPA)なのだから、完全にアジア版TPPですが・・・


<答え>

単なる、「反米」だからです。

 2011年7月6日に、このブログに私が書いた記事です。

TPPを選択しなくても、ASEAN+中国韓国日本のFTA、EUと日本のFTAと、そしてTPPの拡大版APECと、次から次へと「自由貿易課題」が日本に訪れます。TPPだけ反対し、導入を阻止すればOKという問題ではないのです。

<追伸>

 反米という言葉には、(1)反「コメ」と(2)反「アメリカ」と、2つの意味があるのでしょうか?

<追記>


<TPP交渉>関税撤廃の例外巡り難航 農産物で隔たり

毎日新聞 12月9日(日)9時45分配信



 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の第15回拡大交渉会合が12日まで、ニュージーランド北部のオークランドで行われている。今回からメキシコとカナダが新たに加わり、11カ国が協議。会合では、来年10月までに基本合意し、来年末までに妥結するスケジュールを確認する見通しだが、関税撤廃の例外を認めるかどうかでは、各国の主張が依然として対立している。

 今回は、オバマ米大統領の再選後初めての会合。米国は交渉を加速させたいところだが、各国の利害調整に時間がかかる。例えばTPPは、全品目を関税撤廃の交渉の対象とするのが原則だが、米国はオーストラリアとの自由貿易協定(FTA)で乳製品や砂糖の関税を残したことを引き合いに、両品目を関税撤廃の例外扱いとするよう要求。これに対し、乳製品の輸出国ニュージーランドのキー首相は先月、「北米に輸出する農産物の関税が撤廃されない限り、TPPに署名しない」と反発するなど、さや当てを演じている。

 新たに交渉に加わったカナダも、高関税で国内農家を保護している乳製品や鶏肉を関税撤廃の例外とするよう主張。参加国が増え、交渉も複雑さを増した。

 TPPは12年中の妥結を目指していたが、調整が難航して先送りされた。通関手続きの簡素化など貿易のルール作りで一定の進展があった模様だが、関税撤廃の例外を認めるかや、知的財産権をどこまで保護するか、輸入急増時の緊急輸入制限(セーフガード)の発動要件などで利害が対立している。このため、今回の交渉では当面のスケジュールなどを確認するにとどめ、来年3月に予定する次回会合以降、個別の交渉分野で詰めの議論を進めると見られる。

 一方、日本は、参加に必要な米国の同意を得る交渉が停滞している。米政府は日本に対し、「自動車の税制や流通慣行が非関税障壁となり、輸入車が不利な扱いを受けている」などとして対応を要請。米政府が容認しても、最終的に米議会の同意を得るには3カ月程度かかるため、日本の交渉参加は早くても来年5~6月の次々回会合となる。

 遅れて参加すれば、TPPのルールに日本の立場を反映できなくなる心配があるため、新政権は早期の決断を迫られる。参加する場合でも、当面はコメなど農産品の関税維持を求めると見られ、関税を巡る11カ国の交渉の行方を注視している。【丸山進】



朝日新聞2012年12月9日
編集委員 原真人
『TPP効果 中国動かす外交カード』

…先月開かれた東アジアサミットでは驚くべき経済外交の成果があった。棚上げされてきた日中間の自由貿易協定がついに正式協議に踏み出すことになったのだ。それをを決めた貿易大臣会合は、中国の陳徳銘商務相の呼びかけで開かれた。日中関係が領土問題でこれ程冷え込んでいるさなかにである。

中国の大幅譲歩はほかにもあった。日中韓と東南アジア10か国の経済連携協定の協議にあれほど嫌がっていたインド、豪州、ニュージーランドの参加国も加える「日本案」を受け入れた。

「これぞTPP効果」と日本の通商関係者たちは口をそろえる。

香港も含めた対日貿易で赤字基調の中国は日本との自由貿易に熱心ではなかった。ところが野田政権がTPPの事前協議に乗り出したとたん、姿勢を一変させた。アジアへの米国関与が強まるのを恐れたのかもしれない。いずれにしてもTPPは日本政府が想像していたよりずっと大きな外交カードだった。

領土問題で中韓とぎくしゃくしていてもTPPは日中韓協議は互いに共鳴し、こうして動き出した。



http://www.canon-igs.org/column/macroeconomics/20121204_1676.html

政府のTPP情報開示は不十分なのか?
研究主幹 山下 一仁

昨年11月ある反対派の議員は、有楽町の街頭演説で、「アメリカにさんざん痛めつけられたから、タイもフィリピンも入ろうとしない。アメリカの隣のカナダ、メキシコも入ろうとはしない。これに入るのは入水自殺をするようなものだ。」と主張していた。カナダ、メキシコだけでなく、とうとうタイも参加表明した。日本は、アジア、太平洋地域の孤児になるのだろうか。






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