新聞の間違い(16) 日本経済新聞 H21.6.13富民『大機小機 経済のワナからの脱出を急げ』
新聞のでたらめ 富民『大機小機 経済のワナからの脱出を急げ』日本経済新聞 H21.6.13
…我が国は貿易取引の大半がドル決済のため、輸出で稼いだドルを円に換金して持ち帰れば円高になって輸出競争力を失う。ドルのまま海外に預けておけば、輸出代金が国内に還流せず、いくら輸出しても、豊かになれない。
日経の間違いが続いています。
高校の教科書にすら書いてある、「為替」が、全く理解されていません。
正しい経済学にのっとって、順番に説明してゆきましょう。
①輸出は、稼ぎである。
②黒字は稼ぎではない。
③貿易黒字を伸ばすと、資本収支は赤字になり、海外資産が増える。
①輸出は、稼ぎである。
まず、輸出は日本の稼ぎです。Y(GDP、GNP)=C+I+G+EXからIMを引いたものです。GDP(国内総生産)GNP(国民総生産)は、我々が生んだ付加価値(もうけ)の総額で、我々の所得の総額です。もうけは、我々の所得として配分されるのです。
Y=国内総生産、C=家計が主体の消費(Consumption )、I=企業が主体の投資(Investment)、G=政府最終支出、EX=輸出を足して、IM=輸入を引きます。ですから、Y(つまりGDP)を伸ばすには、C、I、G、EXのいずれかを増やすということです。
ですから、トヨタや、パナソニックが「輸出」を伸ばせば、「もうけ」を稼ぐことになります。買ってもらう相手は、日本国民であれ、他企業であれ、政府であれ、外国であれ、どこでもかまいません。売り上げ増=利益増=結果として日本全体のGDP増です。
そして、これらの企業は、EXで稼いだ収入を、労働者への賃金・銀行や株主への利子や配当の支払いに回すために、外貨を円に換えます。
というより、多国籍企業でないかぎり、「輸出業者がドルを受け取る」ことはありません。それが「外国為替」です。銀行機関同士で「決済」し、日本の輸出業者は「円」をもらい、外国の輸入業者は「ドル」を支払うのです。
東京書籍『政治・経済』22年度用見本p165挿入
たとえば、皆さんがアメリカの業者から、通信販売の「掃除機」を買うとします。クレジットカード決済でも、手形決済でも、「円」で支払います。普通「ドル」なんて、手元にあるわけがありません。アメリカの業者は「ドル」で支払いを受け取ります。この業者間の仲介をしているのが、「為替」です。
「輸出で稼いだドルを円に換金して持ち帰れば円高になって輸出競争力を失う。ドルのまま海外に預けておけば、輸出代金が国内に還流せず」などということは、トヨタやパナソニッックが行う業務ではありません。 「円高円安」に振り回されるのは、「輸出業者」のほうで、「輸出業者」が「円高円安」を恐れて為替操作しているのではありません。
では、「円高円安」を決定しているのは何でしょうか。モノ・サービスの取引額:カネ(資本)取引額の比率は、1:90(07年)です。モノ・サービスの取引(実体経済)の90倍ものカネ(資本取引)があるのです。カネ(資本取引)が先、モノ・サービスの取引(実体経済)が後なのです。
これらの金融・資本取引の結果,世界の金融資産は,総額167兆ドル(1京7744兆円)に達します。実体経済(世界全体のGDP48兆ドル)の3.5倍です。しかも,その成長率は2006年までの11年間で年平均9.1%,世界の実体経済(GDP)成長率の5.7%を大きく上回っています。
経済産業省 平成20年版『通商白書』概要 第1章図の5
…我が国は貿易取引の大半がドル決済のため、輸出で稼いだドルを円に換金して持ち帰れば円高になって輸出競争力を失う。ドルのまま海外に預けておけば、輸出代金が国内に還流せず、いくら輸出しても、豊かになれない。
日経の間違いが続いています。
高校の教科書にすら書いてある、「為替」が、全く理解されていません。
正しい経済学にのっとって、順番に説明してゆきましょう。
①輸出は、稼ぎである。
②黒字は稼ぎではない。
③貿易黒字を伸ばすと、資本収支は赤字になり、海外資産が増える。
①輸出は、稼ぎである。
まず、輸出は日本の稼ぎです。Y(GDP、GNP)=C+I+G+EXからIMを引いたものです。GDP(国内総生産)GNP(国民総生産)は、我々が生んだ付加価値(もうけ)の総額で、我々の所得の総額です。もうけは、我々の所得として配分されるのです。
Y=国内総生産、C=家計が主体の消費(Consumption )、I=企業が主体の投資(Investment)、G=政府最終支出、EX=輸出を足して、IM=輸入を引きます。ですから、Y(つまりGDP)を伸ばすには、C、I、G、EXのいずれかを増やすということです。
ですから、トヨタや、パナソニックが「輸出」を伸ばせば、「もうけ」を稼ぐことになります。買ってもらう相手は、日本国民であれ、他企業であれ、政府であれ、外国であれ、どこでもかまいません。売り上げ増=利益増=結果として日本全体のGDP増です。
そして、これらの企業は、EXで稼いだ収入を、労働者への賃金・銀行や株主への利子や配当の支払いに回すために、外貨を円に換えます。
というより、多国籍企業でないかぎり、「輸出業者がドルを受け取る」ことはありません。それが「外国為替」です。銀行機関同士で「決済」し、日本の輸出業者は「円」をもらい、外国の輸入業者は「ドル」を支払うのです。
東京書籍『政治・経済』22年度用見本p165挿入

たとえば、皆さんがアメリカの業者から、通信販売の「掃除機」を買うとします。クレジットカード決済でも、手形決済でも、「円」で支払います。普通「ドル」なんて、手元にあるわけがありません。アメリカの業者は「ドル」で支払いを受け取ります。この業者間の仲介をしているのが、「為替」です。
「輸出で稼いだドルを円に換金して持ち帰れば円高になって輸出競争力を失う。ドルのまま海外に預けておけば、輸出代金が国内に還流せず」などということは、トヨタやパナソニッックが行う業務ではありません。 「円高円安」に振り回されるのは、「輸出業者」のほうで、「輸出業者」が「円高円安」を恐れて為替操作しているのではありません。
では、「円高円安」を決定しているのは何でしょうか。モノ・サービスの取引額:カネ(資本)取引額の比率は、1:90(07年)です。モノ・サービスの取引(実体経済)の90倍ものカネ(資本取引)があるのです。カネ(資本取引)が先、モノ・サービスの取引(実体経済)が後なのです。
これらの金融・資本取引の結果,世界の金融資産は,総額167兆ドル(1京7744兆円)に達します。実体経済(世界全体のGDP48兆ドル)の3.5倍です。しかも,その成長率は2006年までの11年間で年平均9.1%,世界の実体経済(GDP)成長率の5.7%を大きく上回っています。
経済産業省 平成20年版『通商白書』概要 第1章図の5

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