ギリシャがとんでもないことになっていますね。

ギリシャがとんでもないことになっていますね。

日経H23.9.13

『ギリシャ債務不履行警戒』
 …ギリシャ政府は追加的な財政再建策を発表し、欧州連合(EU)は支援を続ける構えを示すが、市場はほとんど評価していない。
…債務危機に陥る南欧国債の利回りが上昇(価格は下落)。ギリシャの2年も国債の利回りは前週末から15%も上がり70%を超えた。

ギリシャ2年もの国債.jpg


読売H23.9.18

『欧州危機 抜本先送り』
…EUが一連の会合で打ち出した具体策の一つは、ギリシャが当面必要とする80億ユーロを10月に融資する姿勢を示したことだ。受け取れなければギリシャは、直ちに財政資金が足りなくなり、債務不履行(デフォルト)に陥る危険性がある。


ギリシャ 長期国債



 ギリシャについては、昨年来、このブログで取り上げています。

(1)ギリシャがデフォルトする可能性があるのは、債券を外国が買っている(約2/3)から

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-310.html
正直知哉 その2 ピムコジャパン マネージングディレクター 『政権 改めて論点を問う』日経H22.2.1
2010-02-16
国債価格下落=長期金利上昇



(2)ギリシャの10年もの国債の金利は、2010年5月で14%程度だった。

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-362.html
2010-05-11
読売 社説『ギリシャ危機の飛び火を防げ』H22.5.8




(3)もともとアバウトなギリシャ

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-389.html
日経H22.6.21 『ユーロ危機 上 国民説得へ「徴税大作戦」』
2010-06-27
国債価格下落=長期金利上昇



 財政再建策を打ち出したのですが、なかなか市場の信任を得ていないようです。そもそも、ギリシャのGDPは、EUのわずか3%程度です。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4550.html 

 そのGDPの絶対額(2008年)は、35兆円程度、日本で言えば、大阪府38兆円と、愛知県33兆円程度に過ぎません。

 3%程度という規模を見ると、日本504兆円の3%=約15兆円、静岡県16.5兆円程度です。イメージとしては、静岡県の財政破綻問題が、日本全体を揺るがす?というような感じです。

<国債価格下落=金利上昇>

 それにしても、この金利の高さは異常です。以下の説明は、あくまでもイメージととらえて下さい。

ギリシャ2年もの国債.jpg


 2年債で、70%というのは、100万円借りて、来年70万円の金利、再来年70万円の金利、合わせて金利だけで140万円返済しなくてはならないというものです。

ギリシャ 長期国債

 同じく、長期金利(10年もの)が25%ということは、100万円借りて、毎年25万円の金利を払わないと、借りられないということです。

 これは、もう市場には、「ギリシャに貸してあげよう=ギリシャ国債を買ってあげよう」という金融機関がないということです。

 この金利上昇とは、どういうことか、見てみましょう。

  国債価格下落=金利上昇



上の図で、額面100万円の国債が発売されたとします。この国債には、「○○%の利率をつけます」と、財務省がアナウンスします。

 国債はオークションで取引されています。1年に100回程度新規国債が発行され、1回に数千億円~2兆円ほどの国債が売りに出されます。
 財務省は、プライマリーディーラーと呼ばれる、オークションに参加できる、許可を受けた銀行や、大手証券会社にアナウンスします。ディーラーは、購入した国債を、機関投資家(銀行、保険会社、証券会社などの金融機関)に売ることができます。日本国債は95%が、この国内機関投資家によって保有されています。

 国債取引は、電子化され、財務省から発行を委託された日本銀行のデータ上に額と所有者が記録されています。ディーラーは、日銀金融ネットワークシステムというオンラインで結ばれています。

 国債の発行額と、クーポンに相当する利率はオークション当日の午前中に明らかになります。例えば、「30年もの国債・表面利率20%・100億円(表面価格)」と発表されます。

 証券会社は、その利率と、市場動向を考慮し、応札価格(買ってもよい価格)を決め、日銀ネットに数字を打ち込みます。

 プライマリーディーラーは、各自価格(実際の取引価格)を提示し、高い価格をつけたディーラーから落札していきます。国債価格(取引価格)は、常に変動しているのです。

 「表面利率20%・100億円(表面価格)」の国債は、1年後に利息を含め、「120億円」返ってきます。この1年後に「120億円」返ってくる国債を、いくらで買うかを、オークションするわけです。

 この「120億円返ってくる国債」を、「110億円(取引価格)」で落札すると、実際の利率は「9.09%=利息10億円」となります。

 この取引価格が高くなると、金利は低くなります。つまり、国債の人気が高いと、取引価格は高くなり、実際の利率は低くなるということになります。




日経H23.2.24

『固定金利オペ応札倍率最高に』
 日銀は23日固定金利オペ(公開市場操作)の6ヶ月もの入札を実施。8000億円の予定額に対し、3兆7630億円の応札があり…。応札倍率は…4.69倍で…最高の倍率になった。

『残存期間別国債買いオペ』
…「1年超10年以下」の入札では、2500億円の予定額に対して1兆761億円の応札

『最高落札利回りが低下』
…3ヶ月もの国庫短期証券の入札は最高落札利回りが0.163%になり…低下した(筆者注:証券価格上昇)。落札額は4兆4600億円。応札倍率は4.33倍…。


国債価格.jpg


 以下は、実際の日本の国債取引です。 「30年もの国債・表面利率2.2%・7000億円(表面価格)」の国債は、1年後に利息を含め、7154億円返ってくることになります。この1年後に「7154億円」実際に、「利率2.09%で落札されることになった」場合、「7007.5億円」で購入したことになります。「7007.5億円+金利2.09%相当分146.5億円=7154億円」となるわけです。

 日本国債の実際の利率は、世界最低水準です。ということは、国債価格が高い=人気がある=市場からの信頼が厚いということになります。

 ギリシャの場合は、2年物で利率が70%です。ということは、1年後100万ユーロ返ってくる国債が、58.8万ユーロの価格しか付かないということです。

ギリシャ国債.jpg


 60万円借金する場合、利息40万円を払わないと貸してもらえない状態です。いかにむちゃくちゃな高金利か分かります。日本では、「闇金」にでも頼まないと、貸してくれる金融機関はないという状態です。

 危機前(2009年)のギリシャの国債発行額は、2700億ユーロ(30兆円)でした。
アメリカは2011年3月時点で、14兆ドル(1000兆円以上)、日本では760兆円です。

 資本の自由化(国債移動)に伴い、この国債は、世界市場で売買されます。ギリシャ国債の約2/3は外国が買ってます。ギリシャがデフォルトすると、困るのは、ドイツやフランスの銀行です。ですから、ギリシャ危機で、フランスの銀行の株価が下落するのです。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920014&sid=awPvftgbDnFM
『仏銀3行、格下げでも株価は限定的な下げにとどまる公算-市場関係者』

 9月12日(ブルームバーグ):BNPパリバとソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコルのフランス大手銀行3行は、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスによって格付けが引き下げられたとしても、株価はこの3カ月で既に40%余り下落していることから限定的な下げにとどまる可能性がある。市場関係者がこうした見方を示した。
 事情に詳しい関係者2人が明らかにしたところによると、時価総額で仏銀1-3位を占めるこれら3行は、今週にもギリシャへの投資を理由に格付けが引き下げられる可能性がある。



<国債は孫の世代の借金> 

 この国債の利率について、見てみます。実際に日本で売買されている国債は「30年もの国債・表面利率2.2%・7000億円(表面価格)」というものです。1年後に利息を含め、7154億円返ってくることになります。

 この「金利」は、1年に付き2.2%ということです。実際に、30年間で返済する事になりますので、1年154億円×30年=4620億円、7000億円借りて、金利4620億円を足して1兆1620億円返すことになります。
 
(住宅ローンだって同じようなものです。3000万借りて、30年で返済・利率2%で借りた場合、単純計算で、金利分だけで1800万円、合計4800万円の返済になります。元利金等返済にした場合、最初は、金利だけを返済し、元本は減っていないことになります)


 その国債が、「利率2.09%で落札された」のですから、「7007.5億円+金利2.09%相当分146.5億円=7154億円」ということになりました。

 この金利146.5億円は、1年毎にかかります。ですから、本当は、「国債7007.5億円+1年間金利146.5億円×30年」ですから、「金利だけで4395億円」、合計国は1兆1620億円返済するのです。

 しかも、実態はもっと複雑です。この30年もの国債は、本当は、60年間で返済されることになります。借換債です。

 https://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/saimukanri/2006/saimu02b_01.pdf#search='第2章 国債'
国債 60年ルール.jpg

「10年満期=6兆円」という国債があったとしても、その償還は、「60年」償還ルールによって、完全に返済されるのが、60年後です。6兆円のうち、10年後に償還されるのは、6000億円、あとの5兆4000億円は、その時点で、「借換債」になります。

 2011年度一般会計予算案で、租税収入409,270 公債金442,980と、「公債金>租税」の予算案と言われています。これを見ると、「日本は1年間に約44兆円の国債を発行しているのだ」と考えそうです。
 
 ですが、日本で1年間に発行されている国債額は、「170兆円」です。

参考引用文献:日経H22.12.2 グラフ・図も
『国債発行額 最大に』
 2011年度の国債発行総額が170兆円台に乗せ、過去最大に膨らむ見通しとなった。…過去に発行した国債の借り換えが、10兆円程度増える…。
 


 このように、実際には、毎年40兆円新規国債を発行し、同じく国債償還も約20兆円ですから、差し引き「毎年20兆円の国債が積みあがっていく」のではなく、「毎年雪だるま式に国債残高は増えていく」ことになるのです。金利分がどんどん増えるからです。

国債発行額

 図にあるように、国債は①新規国債②借換債③財投債の3種類があり、市場から見れば金融商品としては同じで、違いはありません。このうち、②の借換債は、2011年度110兆円以上に上ります。③の財投は15.5兆円程度です。圧倒的に借換債が多いことが分かります。


 しかも、日本は少子高齢化で、将来世代は、ますます減っていきます。

 成長期は、次のようになります。

人口増 国債.jpg

 国債残高が増えても、一人当たりにすると、そんなに変わらないことになります。
ですが、少子高齢化だと・・

人口減 国債.jpg

 見るからに、きついですね。国債は、将来世代へのツケであることは間違いありません。

 ただ、国債を買っているのは、「国民」です。

 我々の預貯金→銀行・生保・公的年金・投資信託→国債購入825兆円分(海外を除くと775.5兆円)。「国債は政府の借金=国民の財産」です。これらの借入金を買っているのは誰でしょう?それは我々1人1人の国民なのです。簡単に言えば、約1500兆円に及ぶ、日本人の個人資産の約53%は国の借入金になっているのです。

帝国書院『アクセス現代社会2009』P134 家計の金融資産残高の推移帝国書院『アクセス現代社会2009』P134 家計の金融資産残高の推移.jpg

家計金融資産
   ↓
家計金融資産構成比.jpg
   ↓
国債保有者.jpg

日経21.6.27
国債購入者 日経21.6.27

国民→国債→国民.jpg

 国民から徴税して、金利をつけて、金融機関に返済します。金融機関(銀行・生命保険会社・損害保険会社etc)の利益は、国民に還元されます。自分たちで金利を払い、自分たちで受け取っている形になります。

 金利配当、元金返還の構図は,下記のようになっています。

 国債 国民の財産.jpg

 「持っている者」VS「もたない者」の構図ですが、税金の場合と、違っていることが分かります。「持てるもの」の利益(国債金利)は、国民の間に広く薄くいきわたります。この金利収入は、結局国民に還元され、その年のGDI(所得)=GDP(生産)になるからです。

国債 受益者.jpg



<追記 最新データ>

 外国人(海外)の日本国債保有比率が高まっています。

H23.9.22 日経
国債 保有 外国人



国と地方の借金、個人資産1110兆円上回る?
読売新聞 9月18日(日)23時47分配信

 五十嵐文彦財務副大臣は18日、テレビ朝日の番組に出演し、日本銀行が20日発表する6月末の統計で、国と地方自治体の借金の総額が、国内の個人の金融純資産額を初めて上回る可能性があるとの見通しを示した。

 五十嵐氏は「今年の(個人)金融資産は伸びていない」と指摘し、双方の数字が「クロスする可能性がある」と述べた。

 五十嵐氏が指摘したのは、日銀が発表する2011年4~6月期の資金循環統計(速報値)で、個人の金融資産から負債を引いた「純資産」と、国・地方の中長期債務残高に政府短期証券などを加えた「借金の総額」についてだ。

 個人金融純資産と国・地方の借金の差は縮まっている。3月末時点では個人金融純資産(1110兆円)に対する中長期債務残高(894兆円)と政府短期証券などの合計は1045兆円だった。 .最終更新:9月18日(日)23時47分
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