金融政策を使えない

読売H24.5.4
ecb


 本来は、2.6%の物価上昇(予定しているインフレ率2.0%よりも高い)により、金融引き締め(ブレーキ)に入らなければいけないところ、各国の成長率、財政安定がバラバラで、大量の資金供給をしており(アクセル)、どうにもこうにも、まともな「金融政策」が取れなくなっています。各国政府は、財政難で財政政策や、金融機関救済が出来にくくなっています。ECBに大きな期待がかかりますが、ECB自身も身動きできない状況です。

(1)インフレ率の上昇
(2)ユーロ全体では、2012年、0.3%のマイナス成長予測(IMF)。特にスペイン、ポルトガル、ギリシャは厳しい見通 し
(3)追加利下げをしたいが、更なるインフレ上昇の懸念

(4)スペインの長期国債利率が6%に上昇するなど、危機再燃の恐れ
(5)ECBのギリシャ・スペインなどの国債保有高は、10年5月以降増加し、2100億ユーロ(22.2兆円)に。これ以上支え きれない状況。
(6)民間金融機関への資金融資は、1300機関に1兆ユーロ(105.6兆円)、ジャブジャブ状態→インフレに。


 1999年11カ国でスタートしたユーロ(2002年から一般通貨として流通)は,2011年現在,エストニアの加盟により,EU加盟全27か国中17か国になっています。

 ユーロ圏は,先進工業国のドイツ→観光や軽工業を中心とする南欧→社会主義国だった東欧まで,経済の発展段階が多様です。

 そこで,ユーロ採用が認められるには,
(1)財政赤字・政府債務の削減
(2)(以前の)通貨の安定
(3)インフレ率・長期金利の引き下げ
等のユーロ参加基準を満たす必要がありました。

 特に(1)財政赤字については,GDP比3%以下,政府債務についてはGDP比60%以下にすることが求められ,加盟後であっても,是正勧告に違反する場合は,制裁として供託金(罰金)が課せられる1 仕組みとなっています。

 実際には,99年以来,財政赤字GDP比3%超えでも,厳格な適用は行われておらず,ギリシャ債務危機など欧州金融危機を招きました。フランスでさえ、この基準を守ったことは一度もありませんでした。


 ユーロに加盟するメリットとして,(1)為替リスクの低減(2)財政の信任による金利低下があります。

(1)「1ユーロ=○○通貨」の変動を気にする事無く,安定して投資資金を呼び込むことができ,
(2)資金を借り入れる際の,国債金利低下・それにともなう各種長期金利の低下がもたらされます 。

ギリシャ 国債 利回り


 この、それまでよりも低金利になったことで、南欧国では国外からの資金投資(南欧国の借り入れ)が増え,住宅バブルや,放漫財政につながりました。ギリシャでは旧通貨ドラクマ時代の長期金利はドイツより3%以上高かったのですが,加盟後は金利差がなくなり,低金利による借り入れが可能で,財政再建は先送りされ続けました。英・独・仏銀行は,南欧国へ貸付を増やし,不良債権化させました。

 デメリットとしては,金融制度のトリレンマ(同時に達成できない,不可能な三位一体)があります。ユーロ参加国の場合,金融危機や不況の際,金融緩和政策による投資増・輸出回復で景気回復を図ることができません。

トリレンマ.jpg

 ギリシャ旧通貨ドラクマ時代であれば,金融緩和によるドラクマ安で借金を実質的に減らし,輸出増による景気回復を図ることが可能でした。
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まとめtyaiました【金融政策を使えない】

読売H24.5.4 本来は、2.6%の物価上昇(予定しているインフレ率2.0%よりも高い)により、金融引き締め(ブレーキ)に入らなければいけないところ、各国の成長率、財政安定がバラバラで、大量の資金供給をしており(アクセル)、どうにもこうにも、まともな「金融政策」が取れな?...

comment

Secret

No title

ギリシャ国債とドイツ国債の利回りとスプレッドのグラフについてですが、
元ネタはDAVID BECKWORTHが出してたコレですかね?

Which Graph Best Summarizes the Eurozone Crisis?
http://macromarketmusings.blogspot.jp/2011/12/which-graph-best-summarizes-eurozone.html
http://3.bp.blogspot.com/-3W2I0Hi79Wg/Tue_jKWqP-I/AAAAAAAACRU/_n1TJkhxj1I/s1600/eurorates.jpg

Top economists reveal their graphs of 2011
http://www.bbc.co.uk/news/in-pictures-16090055
http://news.bbcimg.co.uk/media/images/57217000/jpg/_57217771_la-grande-divergenceweb2.jpg

No title

すみません。2回目だったので出典出し忘れました。

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-date-20120105.html
ギリシャ、これじゃあ、ドイツも怒るなあ

記事中で 紹介した物です。

内閣府『世界経済の潮流2010』からです。
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