TPP反対論って・・・
<TPP反対論って・・・>
中野剛志 週刊東洋経済 H24.3.24

TPP反対論者の一人、中野さんです。結局TPP(自由貿易協定の一種)問題は、経済学の範疇ではなく、政治(価値観)の問題のようです。
(1)

「資源配分が効率化」=経済学的に望ましい状態で、一応市場メカニズム(需給曲線)は、これを達成するものとされています。
でも、それには、両国で失業者がいないこと=完全雇用が条件なのだそうです。
完全雇用状態など、現実的にはあり得ません。高度経済成長期がこれに近いのでしょうか?
日本の輸出入額は、高度経済成長期(完全雇用に近い?状態)以上に拡大していますし、今はその当時に比べれば失業率は高いのに、GDPは大きくなっています。

失業は常にあり、それでも、日本は30年前と比べて「資源配分の効率化をしていない」とでも言うのでしょうか?
そもそも、貿易は、トレード:交換のことです。「トレード(交換)で、資源配分の効率化をする場合は、完全雇用状態でないとできない」という主張は、完全に的外れです。日常生活において、トレード:交換:貿易は、失業があろうとなかろうと、不況だろうが公共だろうが、いつでもどこでも行われています。
起きていること(現実:実践)は、常に正しいのです(正誤ではなく、存在しているという意味で)。それを、理論で「否定」しても、説得力は完璧に「ゼロ」です。
よく、TV番組で、科学的な実験や、現象を、解明する番組があります。あれも、現実(実践)をなぜそうなるか(理論)で説明するから、よくわからないわれわれでも、一応納得する(?)のです。あるいは、「理論的にはこう」だから実験してみる番組とか・・
(2)


貿易が拡大したから経済が成長したのか、各国の経済が成長したから貿易が拡大したのかその因果関係は解明されていない。
彼の言う貿易を、「国と国との輸出入のこと」とすると、そんな因果関係、ありません。
成長は、外部との要因ではなく、その国の内部の要因で決まります。
N・グレゴリー・マンキュー『マンキュー経済学』東洋経済新報社 2008 p18
第8原理:生活水準は財サービスの生産能力に依存している
世界全体を見渡した時、生活水準の格差には圧倒されるものがある。2000年のアメリカ人の平均所得は約34100ドルであった。…ナイジェリア人の平均所得は800ドルであった。平均所得に現れた、この大きな格差が、生活の質を測るさまざまな尺度にされているといっても驚くには当たらないだろう。
…国や時代の違いによって生活水準に大きな格差が変化があるのはなぜだろうか。その答えは驚くほど簡単である。生活水準の格差や変化のほとんどは、各国の生産性によって説明できる。生産性とは1人の労働者が1時間あたりに生産する財・サービスの量である。労働者の1時間当たりの生産量が多い国ではほとんどの人々が高い生活水準を享受している。労働者の生産性が低い国ほとんどの人が、最も低い生活水準を甘受しなければならない。同様に、一国の生産性の成長率は平均所得の成長率を決定する。
…アメリカの所得が1970年代と1980年代に低成長だったのは、日本をはじめとする外国との競争のせいであると主張する評論家たちがいる。しかし、本当の悪者は海外との競争ではなく、アメリカ国内における生産性の成長率の低下なのである。
別に彼が言う意味での貿易なんてしなくても、つまり一国内の自給自足でも、経済が成り立てば、構いません。だから
「保護的な国であっても、経済が成長するケースはある」
は当然のことです。北朝鮮だって、「成長」はしています。
ただ、貿易を「トレード:交換」とすると、交換が活発化すれば、GDPは成長します。
(3)
「グローバル化は、自分たちの自由がなくなり、民主主義に反する」そうですが、少し過大にとらえすぎではないかという意見もあります。
2007年に「コークの味は国ごとに違うべきか」を出版し、「グローバル化が一般に思われているほど簡単に進まない」という主張をしている、1991年に、史上最年少でハーバード大学院教授になった経験を持つ、パンカジ・ゲマワット教授です。

観念論(頭で考える)ではなく、実証(事実)をもとに検証する必要があります。
「日本の経済は破滅する」「日本の民主主義の危機だ」「ポピュリズム(大衆迎合主義)は独裁を生む」「日本の企業は勝ち残れる」・・・これらを、観念論・・はっきり言えば、「空理空論」と言います。定義が不明で、検証ができないからです。・・・「TPP亡国論」・・・。
中野剛志 週刊東洋経済 H24.3.24

TPP反対論者の一人、中野さんです。結局TPP(自由貿易協定の一種)問題は、経済学の範疇ではなく、政治(価値観)の問題のようです。
(1)

「資源配分が効率化」=経済学的に望ましい状態で、一応市場メカニズム(需給曲線)は、これを達成するものとされています。
でも、それには、両国で失業者がいないこと=完全雇用が条件なのだそうです。
完全雇用状態など、現実的にはあり得ません。高度経済成長期がこれに近いのでしょうか?
日本の輸出入額は、高度経済成長期(完全雇用に近い?状態)以上に拡大していますし、今はその当時に比べれば失業率は高いのに、GDPは大きくなっています。

失業は常にあり、それでも、日本は30年前と比べて「資源配分の効率化をしていない」とでも言うのでしょうか?
そもそも、貿易は、トレード:交換のことです。「トレード(交換)で、資源配分の効率化をする場合は、完全雇用状態でないとできない」という主張は、完全に的外れです。日常生活において、トレード:交換:貿易は、失業があろうとなかろうと、不況だろうが公共だろうが、いつでもどこでも行われています。
起きていること(現実:実践)は、常に正しいのです(正誤ではなく、存在しているという意味で)。それを、理論で「否定」しても、説得力は完璧に「ゼロ」です。
よく、TV番組で、科学的な実験や、現象を、解明する番組があります。あれも、現実(実践)をなぜそうなるか(理論)で説明するから、よくわからないわれわれでも、一応納得する(?)のです。あるいは、「理論的にはこう」だから実験してみる番組とか・・
(2)


貿易が拡大したから経済が成長したのか、各国の経済が成長したから貿易が拡大したのかその因果関係は解明されていない。
彼の言う貿易を、「国と国との輸出入のこと」とすると、そんな因果関係、ありません。
成長は、外部との要因ではなく、その国の内部の要因で決まります。
N・グレゴリー・マンキュー『マンキュー経済学』東洋経済新報社 2008 p18
第8原理:生活水準は財サービスの生産能力に依存している
世界全体を見渡した時、生活水準の格差には圧倒されるものがある。2000年のアメリカ人の平均所得は約34100ドルであった。…ナイジェリア人の平均所得は800ドルであった。平均所得に現れた、この大きな格差が、生活の質を測るさまざまな尺度にされているといっても驚くには当たらないだろう。
…国や時代の違いによって生活水準に大きな格差が変化があるのはなぜだろうか。その答えは驚くほど簡単である。生活水準の格差や変化のほとんどは、各国の生産性によって説明できる。生産性とは1人の労働者が1時間あたりに生産する財・サービスの量である。労働者の1時間当たりの生産量が多い国ではほとんどの人々が高い生活水準を享受している。労働者の生産性が低い国ほとんどの人が、最も低い生活水準を甘受しなければならない。同様に、一国の生産性の成長率は平均所得の成長率を決定する。
…アメリカの所得が1970年代と1980年代に低成長だったのは、日本をはじめとする外国との競争のせいであると主張する評論家たちがいる。しかし、本当の悪者は海外との競争ではなく、アメリカ国内における生産性の成長率の低下なのである。
別に彼が言う意味での貿易なんてしなくても、つまり一国内の自給自足でも、経済が成り立てば、構いません。だから
「保護的な国であっても、経済が成長するケースはある」
は当然のことです。北朝鮮だって、「成長」はしています。
ただ、貿易を「トレード:交換」とすると、交換が活発化すれば、GDPは成長します。
(3)
「グローバル化は、自分たちの自由がなくなり、民主主義に反する」そうですが、少し過大にとらえすぎではないかという意見もあります。
2007年に「コークの味は国ごとに違うべきか」を出版し、「グローバル化が一般に思われているほど簡単に進まない」という主張をしている、1991年に、史上最年少でハーバード大学院教授になった経験を持つ、パンカジ・ゲマワット教授です。

観念論(頭で考える)ではなく、実証(事実)をもとに検証する必要があります。
「日本の経済は破滅する」「日本の民主主義の危機だ」「ポピュリズム(大衆迎合主義)は独裁を生む」「日本の企業は勝ち残れる」・・・これらを、観念論・・はっきり言えば、「空理空論」と言います。定義が不明で、検証ができないからです。・・・「TPP亡国論」・・・。
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