大学教授のトンデモ論 その1
<因果関係と相関関係
引用・参考文献 マンキュー『マンキュー経済学Ⅰミクロ編』東洋経済新報社2004
P60
経済学者は、経済の仕組みに関する議論を進めるためにグラフを良く使う。
グラフは、数式を目視化するものです。目で見て分かるので、高校の教科書・資料集でもよく使われています。
言い換えれば、1組の事象が他の事象をどのように引き起こしたのかを論じるためにグラフを使う。
1つの事象(出来事)→他の事象(出来事)をどのように引き起こしたのか
これを因果関係 原因→結果 と言います。
<失敗例>
(1)
結果の事象がどのように引き起こされたのか、その変数(要因)は、たくさんあります。
例えば、ある病気になった人がいるとします。

政府は、ビッグ・ブラザー統計会社に、手低的な調査を依頼します。
ビッグ・ブラザー社は、このうちの2つの変数に着目します。家の中にある、ライターの数とガンにかかる確率です。
P62

このような関係が分かったので、「ライターの販売」を抑えれば、「がんが減る」と同社は結論付けました。
おかしいですよね。つまり、変数(要因)の捨て方がおかしい、あるいは、ほかの要因を一定にしたか?という問題が生じます。
この結論は、「たばこを吸う→ライターの数が多い→がん」というのが正しい解釈です。
「因果関係だ」とこのグラフを示しても、捨てられた変数「たばこを吸う」の方が、本当は適切ではないかと、考えることが必要です。
(2)
逆因果関係
P62
因果関係の方向を誤認するという過ちを経済学者が犯すことがある。
このような例が挙げられています。
P63

警察官が多ければ、暴力犯罪件数も多い・・だから、アメリカ無政府主義者協会は、「警察を廃止すべき」と主張した。
これもおかしな話です。このグラフが示しているのは、より危険な都市ほど、より多くの警察官がいるという「相関関係」です。
警察が犯罪を引き起こしているのではなく、犯罪が警察を大きくしているのかもしれません。
注)でも、この因果関係を証明するのは、大変です。
①犯罪増加後→警察官増加なら、簡単です。
でも犯罪増加を「予測」して、警察官を増員することによって、このようなグラフになったのかもしれません。
②犯罪数の増加を予想→警察官を前もって雇用
だから、いい加減な話に騙されてはいけないし、相関があるからと言って、「因果」を持ち出してはダメなのです。これが「誤った経済論議p63」になります。
余談ですが、「予測」を入れると、ケインズ経済学を批判したフリードマン経済学になります。
<トンでも経済論 その1 その2>
ところが、相関なのに、「因果だ」とむちゃくちゃなことを主張されてしまう場合があります。このような情報に、騙されてはいけません。
http://shuchi.php.co.jp/article/495
簡単な数学でわかる「消費税増税は要らない!」/高橋洋一

高橋洋一(嘉悦大学教授)
以下、同氏ツイッター説明文より
嘉悦大学教授、(株)政策工房会長、博士(政策研究) 政治と経済の間を彷徨。財政・金融政策、年金数理、金融工学、統計学、会計、経済法、行政学。もともとは数学。役人の時は大蔵省、経済財政諮問会議特命、総務大臣補佐官、官邸(総理大臣補佐官補)
「みんな、なぜ騙されるのか」
ずっと、ずっと、ず~っと疑問に思っていたことがあった。
世の中の人は、なぜ、これほどたやすく官僚・政治家・マスコミ・御用学者の嘘に騙されるのだろう、と。
私は、それが不思議でならなかった。
・・・だが、このたび、ようやく、その謎が解けた。
自称「日本を代表するド文系頭」の編集者S君と出会えたからである。
S君、からっきし数学的思考が弱い。用語の定義が暖味なまま質問をする。数字が2乗、3乗と乗数的に増減すると、もうついていけない。ましてや、高校の数学などは一切合財忘れてしまっている。
にもかかわらず、「グラフだとわかるんですよ」とのたまう。そんなわけはない。あらゆるグラフは数式と一対一対応をしている。数式がわからなくてグラフがわかるわけがないのである。そこで、「本当にわかっているの?」と意地悪く問い詰めると、やはり、わかっていない。
要は、わかっていないのに「わかったつもり」になることに慣れすぎてしまったのだ。これは、おそらく日本国民の多くに共通する「思考様式」なのではないだろうか。「思考様式」などというとたいそうな仕組みのようだが、「わかったつもり」とは「思考停止」の同義語である。
…社会を牛耳る嘘つき野郎たちに騙されないためには、どういう思考回路、どういう知識が必要なのか。皆さんもS君とともに考えていただければ幸いである。
と、「本当の見方」「(財務官僚などの)嘘つき野郎にだまされない」方法を『簡単な数学でわかる「消費税増税は要らない!」』 という本で紹介したのだそうです。これが、「相関」を「因果だ」という、見事なトンでも論なのです。
事実を見れば、増税不要は一目瞭然!
教授 こと消費税に限れば、「上げ潮派」のロジックって単純なんだよ。「名目成長すると消費税の増税がいらなくなる(または少なくなる)」。ただ、それだけ。で、これは、主義主張とかではなく、単なる事実なの。そのことを示すグラフがあるんだけどね。
S君 あるんですか!
教授 あるよ~。ほら、これ。

この話も、データだけあると、もう完全に「Q.E.D.」。証明終わりなんだよ。これは、縦軸に比率(パーセンテージ)、横軸に年月をとって、「名目GDP成長率」っていうのと、「プライマリーバランス(基礎的財政収支)対名目GDP比」っていうのを、それぞれドットして比較したものなんだ。普通のグラフで書くときには、両方の縦軸に異なる比率を書く。それぞれの比率の数字が、多少違っているからね。で、年月でとるんだけど、過去20年ぐらいとると ―― まあ、20年とっても30年とっても一緒なんだけどね ―― 名目GDP成長率が、昔はけっこう高くて、最近はもうゼロとかマイナスになっているのがわかるわけ。あ、忘れていたけど「名目GDP」というのは、国民の給与などをすべて合算したものだよ。
S君 名目GDPはよく国民所得とかいいますね。この成長率が高ければ、まあ、景気がいいと。これくらいなら、わかります(笑)。では「プライマリーバランス対名目GDP比」っていうのは、何を表しているんですか?
教授 プライマリーバランスっていうのは、過去の債務にかかわる元利払い以外の支出と、公債発行などを除いた収入との差の収支のことをいうんだ。まあ、民間企業でいう金融収支を除いた営業収支のことだね。で、これを、どうして名目GDPと比べるかというと、後でもう1回説明するけれど、財政の健全性を示す指標である「債務残高対名目GDP比」が「プライマリーバランス対名目GDP比」の動きに連動するからなの。ちょっとはしょって説明すると、プライマリーバランスが黒字であれば、「債務残高対名目GDP比」は大きくならず、「財政は健全である」ってことになるんだ。あ、念のために付け加えておくと、「A(の)対B比」といった場合は、A÷Bということね。
S君 なるほど。片や景気のよさ、片や財政の健全性を示すグラフなんですね。
教授 そういうこと。
S君 で、2つの曲線を見てみると……、あ、ほとんど一緒の変化をしていますね!
「名目GDP成長率」(=景気のよさ)が高ければ、「プライマリーバランス対名目GDP比」(=財政の健全さ)も高いし、前者が低ければ後者も低い。
教授 そう、そう。これで見るとね、ほとんど同じなの。だから、これは何をいっているかっていうと、名目GDP成長率を上げたら、プライマリーバランスも上がって財政が健全になるということ。それだけの話。以上、証明終わり。だから、与謝野さんがどんなに反論したって、データを見せたら終わりなんだよ(笑)。
S君 このグラフだけで全部示していると。単に蓄積されたデータだけですからね。
教授 そう、細工も何もしていない単なる事実の記述。そのまんま(笑)。こういうデータを持っているから、「名目GDP成長率を上げたら財政再建は終わる。だから、消費税増税は要らない」っていっているだけよ。
<要点>
ブログカテゴリ
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-648.html
「相関関係と因果関係は違う」
の記事も合わせてご覧ください。

つまり、2つのグラフは、単なる相関です。「片方が上がれば片方が上がる」「片方が下がれば片方も下がる」
相関
↓
S君 で、2つの曲線を見てみると……、あ、ほとんど一緒の変化をしていますね!
「名目GDP成長率」(=景気のよさ)が高ければ、「プライマリーバランス対名目GDP比」(=財政の健全さ)も高いし、前者が低ければ後者も低い。
因果
↓
教授 そう、そう。これで見るとね、ほとんど同じなの。だから、これは何をいっているかっていうと、名目GDP成長率を上げたら、プライマリーバランスも上がって財政が健全になるということ。それだけの話。以上、証明終わり。だから、与謝野さんがどんなに反論したって、データを見せたら終わりなんだよ(笑)。
単なる相関を、「成長率上げたら(原因)、財政が健全になる(結果)」と、完全に「トンでも論」にしてしまっています。
これは、この記事冒頭で、

警察官が多ければ、暴力犯罪件数も多い・・だから、アメリカ無政府主義者協会は、「警察を廃止すべき」と主張した。
このレベルの話です。
<名目成長率と、プライマリーバランスとは>
日本経済は、2002年1月を底として、08年2月まで、73か月間にわたる戦後最長の景気拡大期を迎えることになります。

確かに、この時期、名目GDPは、上がっていますね。名目GDPとは、「額面のGDP」です。

また、H15年度(2003年)からH19年度(2007年)まで、税収も上がっています。これは当然です。景気が拡大すると、所得税も法人税もアップします。
さらに、「骨太の改革(小泉改革)」の時期ですから、国債発行を「抑える」ことが重視され、公債費も下がっています
(1)名目GDPとは
100円のカップめん製造が10個で、1000円のGDPだとします。
翌年、11個製造できると、GDPは1100円になり、10%の成長です。給与も10%伸びます。しかし、もしも、物価が10%アップ(100円のカップめんが110円)していたら、1100円の所得でも、カップめんは10個しか買えません。全く、「豊か(より多くの収入)になっている」とは言えません。
このような、物価の影響を加味すると、「実質(実際の)GDP」となります。「名目GDP」が1000円→1100円になっていても、実質的な成長は「0ゼロ」です。
とうほう『政治・経済資料2012』P206
名目GDP:物価上昇率を考慮しないGDP値
実質GDP:GDPデフレーター(物価指数)によって修正されたGDP値
実質GDP=名目GDP/GDPデフレーター×100
TRY
日本の2009年の名目GDPは471兆円、実質GDPは519兆円、2010年の名目GDPは479兆円であった。①この1年間の名目経済成長率を求めよ。②2010年のGDPデフレーターは88.8(2000年=100)であるとして、実質経済成長率を求めよ。答えはいずれも少数第二位を四捨五入する。
答え① (479-471)/×100=1.7%② 2010年実質GDP=(479/88.8)×100=539.4 実質経済成長率=(539.4-519)/519×100=3.9%
日本の場合、「デフレ」なので、名目GDP値が、実質GDP値を、下回っています。経済成長期は、特に、高成長の場合は、実質値<名目値になります。
(2)プライマリーバランスとは
清水書院『2012資料政治・経済』P247

要するに、政府予算で入ってくる「歳入の国債費=歳出の公債償還費」が均衡していれば、プライマリーバランスは「ゼロ」です。「借金額=返済額」ならです。借金額>返済額なら、プライマリーバランスは赤字ですし、借金額<返済額なら、黒字です。
日本は、借金額>返済額ですので、「赤字」です。
とうほう『政治・経済資料2012』P206

バブル経済期は、黒字です。景気がいいので、税収増、国債発行額は少なかったのです。
国債発行額が増え続ける=国債費/GDP比も、拡大します。
週間エコノミスト 2010.2.23
国債費 残高 GDP比
で、国債発行額が伸びたとしても、名目GDPが伸びれば、国債費残高/GDP比は増えません。
国債発行額伸び率<名目GDP成長率
日本の場合、名目GDPが伸び悩み、国債費が増えているので、国債費/GDP比が、拡大しています。
だから、名目GDP成長率「も」大切です。

ということで、このグラフのようになります。
財政の健全性を示す指標である「債務残高対名目GDP比」が「プライマリーバランス対名目GDP比」の動きに連動するからなの。ちょっとはしょって説明すると、プライマリーバランスが黒字であれば、「債務残高対名目GDP比」は大きくならず、「財政は健全である」ってことになるんだ。
さて、以上説明したように、あくまでもこの両者の関係は「相関」関係です。片方が増えれば片方が増える、片方が減れば、片方が減る・・・
<結論>
おかしな点その1
そもそも、このグラフに、何か意味があるのでしょうか?
プライマリーバランスは、年度当初に決まります。歳入予算と、歳出予算です。国の予算はこの通り動きます(補正予算を組む場合は、国債発行額がその分増えるので、現状ではプライマリーバランスの「赤」は増えます)。
つまり、名目GDPは、「やってみなければわからない」数値で、プライマリーバランスは、「予測値(当初は確定値)」です。小泉改革時は、意図して国債発行額を抑えました。その結果、「名目成長率(変動率)が上がれば、「プライマリーバランス対名目GDP比」よくなるって・・・。
そもそも、プライマリーバランスは「人為」数字なので、消費税を上げて「ゼロ」にすることが可能です。
つまり、マラソンのタイム(走ってみなければわからない)と、途中の補給水量(これは増やすも減らすも人為)を比較して、ほら、「タイムが良ければ補給水量も増えるだろう」というような話です。
民主党政権のように、バカバカ国債発行額増やしたら(プライマリーバランス赤字拡大)、名目GDPが成長したとしても、率では追いつけません。

結局、プライマリーバランス/名目GDP比は、マイナスであることに変わりはありません。マイナス=「国債費/GDP比」「債務残高増大」のことです。
おかしな点その2
名目GDP成長率を上げたら、プライマリーバランスも上がって財政が健全になるということ。それだけの話。以上、証明終わり。
こういうデータを持っているから、「名目GDP成長率を上げたら財政再建は終わる。だから、消費税増税は要らない」っていっているだけよ。
その1はとりあえず置いといて(まあ、決定的トンでもですが)、ここでは、たんなる相関を「因果」にしています。つまり、名目成長率を上げれば(原因)、財政再建が健全になる(結果)。
相関の代表例です。

カップルの年齢です。男性の年齢が上がれば、女性の年齢も上がる。さて、では、女性の年齢上げる(結果)ためには、男性の年齢上げれば(原因)いい?
本当にそう信じているなら、この方にこそ「数学を知らずに経済を語るな!」という本の題名がそっくり当てはまります。
フィリップス曲線というのがあります。インフレ時は失業率が低く、デフレ時は失業率がか高くなるという相関関係を示します。
中谷巌『マクロ経済学入門 第5版』

岩田規久男『日本銀行は信用できるか』講談社現代新書2009p88-89

では、「失業率低くするために(結果)」、「インフレにすればいい(原因)」????
インフレ率と成長率です。相関があります。

では因果にしてみましょう。
「成長率を上げるには(結果)、インフレにすればよい(原因)」????
こんなこと、もしも、大学の先生が真面目に考えているとしたら、本当に終わっています。
<追記>
プライマリー・バランスがゼロであれば、国債費/名目GDP比は、今のままということになります。分子の国債費の借り換え利率は、名目の長期金利と一致するからです(難しい説明は数式を使用しますので省きますが、理論的にはそうなります)。
「今現在、国債問題はかろうじて起きていない・・・」ということは、プライマリーバランスをゼロにすれば、「財政は持続可能性がある」ということです。
ですから、下記の文は、完全に間違いです。
教授 そう、そう。これで見るとね、ほとんど同じなの。だから、これは何をいっているかっていうと、名目GDP成長率を上げたら、プライマリーバランスも上がって財政が健全になるということ。それだけの話。以上、証明終わり。だから、与謝野さんがどんなに反論したって、データを見せたら終わりなんだよ(笑)。
ちょっとはしょって説明すると、プライマリーバランスが黒字であれば、「債務残高対名目GDP比」は大きくならず、「財政は健全である」ってことになるんだ。
もちろん、プライマリーバランスをプラス・・つまり税金>国債償還費にすれば、国債費/名目GDP比は下がりますが、別に無理してそんなことをする必要はありません。
国債は、「償還する(返す)ことが必要」なのではなく、「借り換えが持続可能である」ことが必要なのです(個人の借金は、死ぬまでに返済しなければならないが、国は永続するのが前提)。
2011年度、180兆円もの国債が、借換債を含めて発行されています。
全部、売り切っている・・・「落札額<応札額」なのです。
<追記2>
国債費>償還費(プライマリーバランス赤字)なので、国債残高は増え続けています。

これを、「名目GDP成長率を上げたら、プライマリーバランスも上がって財政が健全になる」にしようと思ったら、名目GDPは、次のように成長しなければなりません。2年で13%アップです。

ばからしくて、お話にならないのです。
<追記3>
情報を頂きました。ありがとうございました。
高橋氏の議論がおかしいのは、 「BLOGOS」で、池尾和人慶応大学教授が、「高橋洋一氏に、ちょっと質問」および「高橋洋一氏からの返信」で紹介している。
高橋氏は、マスメディア受けするために、議論を単純・明快にしようとするが、そこに・・・落とし穴があると思う。
池尾氏は、高橋氏が持論に言い過ぎがあったことを認めたことを紹介するとともに、以下のように指摘する。
「いくらなんでも、1~2%程度の名目成長率の上昇で、-6%から+2%へ計8%の基礎的財政収支の改善が起こるということはあり得ない(名目成長率と名目利子率が同率で上昇するケースを考えているので、利子率と成長率の差は変わらない)。そうしたことが起これば、それこそがマジックである。
しかも、公的債務残高の対GDP比が一定では、税収だけが複利計算で増え、利払い費は一定ということにはならない。ともに複利で増えることになる。論法を成り立たせるために想定されていたのは、公的債務残高の絶対的な値そのものが変わらない(増えない)ということである。そのための条件は、さらにきついというものである。1~2%にとどまらないもっと高い成長率の上昇を想定すれば、公的債務残高の対GDP比の上昇を止めることは可能かもしれないが、公的債務残高が増えないという想定を正当化することは依然としてきわめて困難である。というのは、上記条件の右辺には成長率そのものが加算されるからである。すなわち、成長率が上がれば、ハードルもあがることになる。
なお、先の記事で述べたように、実質的な成長でなければ意味が乏しく、インフレ率の上昇で名目的に成長率が高まっただけだと、物価連動で増える歳出項目も多いために、基礎的財政収支の改善にはほとんど寄与しないとみられる(この点については、岩田一政氏を座長とした内閣府の研究会の報告書(PDF)を参照されたい)。」
貴重な情報ありがとうございました。
なお加えて、彼が言う、「政府には、1000兆円の借金もあるが、680兆円の政府資産もある、だから、純債務は云々・・」
これも、全くのでたらめです。JT株?資産売却?これらは、できません。
これも証明しましたので、こうご期待。ストックは、どこまで行っても幻の資産・負債であり、そもそも、彼は、政府資産が主体(国・自治体・社会保険基金)のどこにあるかも、全く知らないで、本を書いているのですから、キャンプの取材をしないで、「巨人は優勝できる」と唱えるようなものです。
結論から言うと、彼は、経済学者ではありませんし、経済学を知っているわけではありません。
プロ野球投手(例えば阪神の藤川)からみれば、素人が投げていて「投手だ!」と言っているくらい、投げ方が、理にかなっていないので、「この人は投げ方(経済学)を知らない」と、一発で分かるのです。
英語で言えば、WILLが未来形を示すから、“An airplane will depart at 10:00” と書いて、おかしいことに気づかない人です。 正解は be going to しかありえないのです。
引用・参考文献 マンキュー『マンキュー経済学Ⅰミクロ編』東洋経済新報社2004
P60
経済学者は、経済の仕組みに関する議論を進めるためにグラフを良く使う。
グラフは、数式を目視化するものです。目で見て分かるので、高校の教科書・資料集でもよく使われています。
言い換えれば、1組の事象が他の事象をどのように引き起こしたのかを論じるためにグラフを使う。
1つの事象(出来事)→他の事象(出来事)をどのように引き起こしたのか
これを因果関係 原因→結果 と言います。
<失敗例>
(1)
結果の事象がどのように引き起こされたのか、その変数(要因)は、たくさんあります。
例えば、ある病気になった人がいるとします。

政府は、ビッグ・ブラザー統計会社に、手低的な調査を依頼します。
ビッグ・ブラザー社は、このうちの2つの変数に着目します。家の中にある、ライターの数とガンにかかる確率です。
P62

このような関係が分かったので、「ライターの販売」を抑えれば、「がんが減る」と同社は結論付けました。
おかしいですよね。つまり、変数(要因)の捨て方がおかしい、あるいは、ほかの要因を一定にしたか?という問題が生じます。
この結論は、「たばこを吸う→ライターの数が多い→がん」というのが正しい解釈です。
「因果関係だ」とこのグラフを示しても、捨てられた変数「たばこを吸う」の方が、本当は適切ではないかと、考えることが必要です。
(2)
逆因果関係
P62
因果関係の方向を誤認するという過ちを経済学者が犯すことがある。
このような例が挙げられています。
P63

警察官が多ければ、暴力犯罪件数も多い・・だから、アメリカ無政府主義者協会は、「警察を廃止すべき」と主張した。
これもおかしな話です。このグラフが示しているのは、より危険な都市ほど、より多くの警察官がいるという「相関関係」です。
警察が犯罪を引き起こしているのではなく、犯罪が警察を大きくしているのかもしれません。
注)でも、この因果関係を証明するのは、大変です。
①犯罪増加後→警察官増加なら、簡単です。
でも犯罪増加を「予測」して、警察官を増員することによって、このようなグラフになったのかもしれません。
②犯罪数の増加を予想→警察官を前もって雇用
だから、いい加減な話に騙されてはいけないし、相関があるからと言って、「因果」を持ち出してはダメなのです。これが「誤った経済論議p63」になります。
余談ですが、「予測」を入れると、ケインズ経済学を批判したフリードマン経済学になります。
<トンでも経済論 その1 その2>
ところが、相関なのに、「因果だ」とむちゃくちゃなことを主張されてしまう場合があります。このような情報に、騙されてはいけません。
http://shuchi.php.co.jp/article/495
簡単な数学でわかる「消費税増税は要らない!」/高橋洋一

高橋洋一(嘉悦大学教授)
以下、同氏ツイッター説明文より
嘉悦大学教授、(株)政策工房会長、博士(政策研究) 政治と経済の間を彷徨。財政・金融政策、年金数理、金融工学、統計学、会計、経済法、行政学。もともとは数学。役人の時は大蔵省、経済財政諮問会議特命、総務大臣補佐官、官邸(総理大臣補佐官補)
「みんな、なぜ騙されるのか」
ずっと、ずっと、ず~っと疑問に思っていたことがあった。
世の中の人は、なぜ、これほどたやすく官僚・政治家・マスコミ・御用学者の嘘に騙されるのだろう、と。
私は、それが不思議でならなかった。
・・・だが、このたび、ようやく、その謎が解けた。
自称「日本を代表するド文系頭」の編集者S君と出会えたからである。
S君、からっきし数学的思考が弱い。用語の定義が暖味なまま質問をする。数字が2乗、3乗と乗数的に増減すると、もうついていけない。ましてや、高校の数学などは一切合財忘れてしまっている。
にもかかわらず、「グラフだとわかるんですよ」とのたまう。そんなわけはない。あらゆるグラフは数式と一対一対応をしている。数式がわからなくてグラフがわかるわけがないのである。そこで、「本当にわかっているの?」と意地悪く問い詰めると、やはり、わかっていない。
要は、わかっていないのに「わかったつもり」になることに慣れすぎてしまったのだ。これは、おそらく日本国民の多くに共通する「思考様式」なのではないだろうか。「思考様式」などというとたいそうな仕組みのようだが、「わかったつもり」とは「思考停止」の同義語である。
…社会を牛耳る嘘つき野郎たちに騙されないためには、どういう思考回路、どういう知識が必要なのか。皆さんもS君とともに考えていただければ幸いである。
と、「本当の見方」「(財務官僚などの)嘘つき野郎にだまされない」方法を『簡単な数学でわかる「消費税増税は要らない!」』 という本で紹介したのだそうです。これが、「相関」を「因果だ」という、見事なトンでも論なのです。
事実を見れば、増税不要は一目瞭然!
教授 こと消費税に限れば、「上げ潮派」のロジックって単純なんだよ。「名目成長すると消費税の増税がいらなくなる(または少なくなる)」。ただ、それだけ。で、これは、主義主張とかではなく、単なる事実なの。そのことを示すグラフがあるんだけどね。
S君 あるんですか!
教授 あるよ~。ほら、これ。

この話も、データだけあると、もう完全に「Q.E.D.」。証明終わりなんだよ。これは、縦軸に比率(パーセンテージ)、横軸に年月をとって、「名目GDP成長率」っていうのと、「プライマリーバランス(基礎的財政収支)対名目GDP比」っていうのを、それぞれドットして比較したものなんだ。普通のグラフで書くときには、両方の縦軸に異なる比率を書く。それぞれの比率の数字が、多少違っているからね。で、年月でとるんだけど、過去20年ぐらいとると ―― まあ、20年とっても30年とっても一緒なんだけどね ―― 名目GDP成長率が、昔はけっこう高くて、最近はもうゼロとかマイナスになっているのがわかるわけ。あ、忘れていたけど「名目GDP」というのは、国民の給与などをすべて合算したものだよ。
S君 名目GDPはよく国民所得とかいいますね。この成長率が高ければ、まあ、景気がいいと。これくらいなら、わかります(笑)。では「プライマリーバランス対名目GDP比」っていうのは、何を表しているんですか?
教授 プライマリーバランスっていうのは、過去の債務にかかわる元利払い以外の支出と、公債発行などを除いた収入との差の収支のことをいうんだ。まあ、民間企業でいう金融収支を除いた営業収支のことだね。で、これを、どうして名目GDPと比べるかというと、後でもう1回説明するけれど、財政の健全性を示す指標である「債務残高対名目GDP比」が「プライマリーバランス対名目GDP比」の動きに連動するからなの。ちょっとはしょって説明すると、プライマリーバランスが黒字であれば、「債務残高対名目GDP比」は大きくならず、「財政は健全である」ってことになるんだ。あ、念のために付け加えておくと、「A(の)対B比」といった場合は、A÷Bということね。
S君 なるほど。片や景気のよさ、片や財政の健全性を示すグラフなんですね。
教授 そういうこと。
S君 で、2つの曲線を見てみると……、あ、ほとんど一緒の変化をしていますね!
「名目GDP成長率」(=景気のよさ)が高ければ、「プライマリーバランス対名目GDP比」(=財政の健全さ)も高いし、前者が低ければ後者も低い。
教授 そう、そう。これで見るとね、ほとんど同じなの。だから、これは何をいっているかっていうと、名目GDP成長率を上げたら、プライマリーバランスも上がって財政が健全になるということ。それだけの話。以上、証明終わり。だから、与謝野さんがどんなに反論したって、データを見せたら終わりなんだよ(笑)。
S君 このグラフだけで全部示していると。単に蓄積されたデータだけですからね。
教授 そう、細工も何もしていない単なる事実の記述。そのまんま(笑)。こういうデータを持っているから、「名目GDP成長率を上げたら財政再建は終わる。だから、消費税増税は要らない」っていっているだけよ。
<要点>
ブログカテゴリ
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-648.html
「相関関係と因果関係は違う」
の記事も合わせてご覧ください。

つまり、2つのグラフは、単なる相関です。「片方が上がれば片方が上がる」「片方が下がれば片方も下がる」
相関
↓
S君 で、2つの曲線を見てみると……、あ、ほとんど一緒の変化をしていますね!
「名目GDP成長率」(=景気のよさ)が高ければ、「プライマリーバランス対名目GDP比」(=財政の健全さ)も高いし、前者が低ければ後者も低い。
因果
↓
教授 そう、そう。これで見るとね、ほとんど同じなの。だから、これは何をいっているかっていうと、名目GDP成長率を上げたら、プライマリーバランスも上がって財政が健全になるということ。それだけの話。以上、証明終わり。だから、与謝野さんがどんなに反論したって、データを見せたら終わりなんだよ(笑)。
単なる相関を、「成長率上げたら(原因)、財政が健全になる(結果)」と、完全に「トンでも論」にしてしまっています。
これは、この記事冒頭で、

警察官が多ければ、暴力犯罪件数も多い・・だから、アメリカ無政府主義者協会は、「警察を廃止すべき」と主張した。
このレベルの話です。
<名目成長率と、プライマリーバランスとは>
日本経済は、2002年1月を底として、08年2月まで、73か月間にわたる戦後最長の景気拡大期を迎えることになります。

確かに、この時期、名目GDPは、上がっていますね。名目GDPとは、「額面のGDP」です。

また、H15年度(2003年)からH19年度(2007年)まで、税収も上がっています。これは当然です。景気が拡大すると、所得税も法人税もアップします。
さらに、「骨太の改革(小泉改革)」の時期ですから、国債発行を「抑える」ことが重視され、公債費も下がっています
(1)名目GDPとは
100円のカップめん製造が10個で、1000円のGDPだとします。
翌年、11個製造できると、GDPは1100円になり、10%の成長です。給与も10%伸びます。しかし、もしも、物価が10%アップ(100円のカップめんが110円)していたら、1100円の所得でも、カップめんは10個しか買えません。全く、「豊か(より多くの収入)になっている」とは言えません。
このような、物価の影響を加味すると、「実質(実際の)GDP」となります。「名目GDP」が1000円→1100円になっていても、実質的な成長は「0ゼロ」です。
とうほう『政治・経済資料2012』P206
名目GDP:物価上昇率を考慮しないGDP値
実質GDP:GDPデフレーター(物価指数)によって修正されたGDP値
実質GDP=名目GDP/GDPデフレーター×100
TRY
日本の2009年の名目GDPは471兆円、実質GDPは519兆円、2010年の名目GDPは479兆円であった。①この1年間の名目経済成長率を求めよ。②2010年のGDPデフレーターは88.8(2000年=100)であるとして、実質経済成長率を求めよ。答えはいずれも少数第二位を四捨五入する。
答え① (479-471)/×100=1.7%② 2010年実質GDP=(479/88.8)×100=539.4 実質経済成長率=(539.4-519)/519×100=3.9%
日本の場合、「デフレ」なので、名目GDP値が、実質GDP値を、下回っています。経済成長期は、特に、高成長の場合は、実質値<名目値になります。
(2)プライマリーバランスとは
清水書院『2012資料政治・経済』P247

要するに、政府予算で入ってくる「歳入の国債費=歳出の公債償還費」が均衡していれば、プライマリーバランスは「ゼロ」です。「借金額=返済額」ならです。借金額>返済額なら、プライマリーバランスは赤字ですし、借金額<返済額なら、黒字です。
日本は、借金額>返済額ですので、「赤字」です。
とうほう『政治・経済資料2012』P206

バブル経済期は、黒字です。景気がいいので、税収増、国債発行額は少なかったのです。
国債発行額が増え続ける=国債費/GDP比も、拡大します。
週間エコノミスト 2010.2.23
国債費 残高 GDP比

で、国債発行額が伸びたとしても、名目GDPが伸びれば、国債費残高/GDP比は増えません。
国債発行額伸び率<名目GDP成長率
日本の場合、名目GDPが伸び悩み、国債費が増えているので、国債費/GDP比が、拡大しています。
だから、名目GDP成長率「も」大切です。

ということで、このグラフのようになります。
財政の健全性を示す指標である「債務残高対名目GDP比」が「プライマリーバランス対名目GDP比」の動きに連動するからなの。ちょっとはしょって説明すると、プライマリーバランスが黒字であれば、「債務残高対名目GDP比」は大きくならず、「財政は健全である」ってことになるんだ。
さて、以上説明したように、あくまでもこの両者の関係は「相関」関係です。片方が増えれば片方が増える、片方が減れば、片方が減る・・・
<結論>
おかしな点その1
そもそも、このグラフに、何か意味があるのでしょうか?
プライマリーバランスは、年度当初に決まります。歳入予算と、歳出予算です。国の予算はこの通り動きます(補正予算を組む場合は、国債発行額がその分増えるので、現状ではプライマリーバランスの「赤」は増えます)。
つまり、名目GDPは、「やってみなければわからない」数値で、プライマリーバランスは、「予測値(当初は確定値)」です。小泉改革時は、意図して国債発行額を抑えました。その結果、「名目成長率(変動率)が上がれば、「プライマリーバランス対名目GDP比」よくなるって・・・。
そもそも、プライマリーバランスは「人為」数字なので、消費税を上げて「ゼロ」にすることが可能です。
つまり、マラソンのタイム(走ってみなければわからない)と、途中の補給水量(これは増やすも減らすも人為)を比較して、ほら、「タイムが良ければ補給水量も増えるだろう」というような話です。
民主党政権のように、バカバカ国債発行額増やしたら(プライマリーバランス赤字拡大)、名目GDPが成長したとしても、率では追いつけません。

結局、プライマリーバランス/名目GDP比は、マイナスであることに変わりはありません。マイナス=「国債費/GDP比」「債務残高増大」のことです。
おかしな点その2
名目GDP成長率を上げたら、プライマリーバランスも上がって財政が健全になるということ。それだけの話。以上、証明終わり。
こういうデータを持っているから、「名目GDP成長率を上げたら財政再建は終わる。だから、消費税増税は要らない」っていっているだけよ。
その1はとりあえず置いといて(まあ、決定的トンでもですが)、ここでは、たんなる相関を「因果」にしています。つまり、名目成長率を上げれば(原因)、財政再建が健全になる(結果)。
相関の代表例です。

カップルの年齢です。男性の年齢が上がれば、女性の年齢も上がる。さて、では、女性の年齢上げる(結果)ためには、男性の年齢上げれば(原因)いい?
本当にそう信じているなら、この方にこそ「数学を知らずに経済を語るな!」という本の題名がそっくり当てはまります。
フィリップス曲線というのがあります。インフレ時は失業率が低く、デフレ時は失業率がか高くなるという相関関係を示します。
中谷巌『マクロ経済学入門 第5版』

岩田規久男『日本銀行は信用できるか』講談社現代新書2009p88-89

では、「失業率低くするために(結果)」、「インフレにすればいい(原因)」????
インフレ率と成長率です。相関があります。

では因果にしてみましょう。
「成長率を上げるには(結果)、インフレにすればよい(原因)」????
こんなこと、もしも、大学の先生が真面目に考えているとしたら、本当に終わっています。
<追記>
プライマリー・バランスがゼロであれば、国債費/名目GDP比は、今のままということになります。分子の国債費の借り換え利率は、名目の長期金利と一致するからです(難しい説明は数式を使用しますので省きますが、理論的にはそうなります)。
「今現在、国債問題はかろうじて起きていない・・・」ということは、プライマリーバランスをゼロにすれば、「財政は持続可能性がある」ということです。
ですから、下記の文は、完全に間違いです。
教授 そう、そう。これで見るとね、ほとんど同じなの。だから、これは何をいっているかっていうと、名目GDP成長率を上げたら、プライマリーバランスも上がって財政が健全になるということ。それだけの話。以上、証明終わり。だから、与謝野さんがどんなに反論したって、データを見せたら終わりなんだよ(笑)。
ちょっとはしょって説明すると、プライマリーバランスが黒字であれば、「債務残高対名目GDP比」は大きくならず、「財政は健全である」ってことになるんだ。
もちろん、プライマリーバランスをプラス・・つまり税金>国債償還費にすれば、国債費/名目GDP比は下がりますが、別に無理してそんなことをする必要はありません。
国債は、「償還する(返す)ことが必要」なのではなく、「借り換えが持続可能である」ことが必要なのです(個人の借金は、死ぬまでに返済しなければならないが、国は永続するのが前提)。
2011年度、180兆円もの国債が、借換債を含めて発行されています。
全部、売り切っている・・・「落札額<応札額」なのです。
<追記2>
国債費>償還費(プライマリーバランス赤字)なので、国債残高は増え続けています。

これを、「名目GDP成長率を上げたら、プライマリーバランスも上がって財政が健全になる」にしようと思ったら、名目GDPは、次のように成長しなければなりません。2年で13%アップです。

ばからしくて、お話にならないのです。
<追記3>
情報を頂きました。ありがとうございました。
高橋氏の議論がおかしいのは、 「BLOGOS」で、池尾和人慶応大学教授が、「高橋洋一氏に、ちょっと質問」および「高橋洋一氏からの返信」で紹介している。
高橋氏は、マスメディア受けするために、議論を単純・明快にしようとするが、そこに・・・落とし穴があると思う。
池尾氏は、高橋氏が持論に言い過ぎがあったことを認めたことを紹介するとともに、以下のように指摘する。
「いくらなんでも、1~2%程度の名目成長率の上昇で、-6%から+2%へ計8%の基礎的財政収支の改善が起こるということはあり得ない(名目成長率と名目利子率が同率で上昇するケースを考えているので、利子率と成長率の差は変わらない)。そうしたことが起これば、それこそがマジックである。
しかも、公的債務残高の対GDP比が一定では、税収だけが複利計算で増え、利払い費は一定ということにはならない。ともに複利で増えることになる。論法を成り立たせるために想定されていたのは、公的債務残高の絶対的な値そのものが変わらない(増えない)ということである。そのための条件は、さらにきついというものである。1~2%にとどまらないもっと高い成長率の上昇を想定すれば、公的債務残高の対GDP比の上昇を止めることは可能かもしれないが、公的債務残高が増えないという想定を正当化することは依然としてきわめて困難である。というのは、上記条件の右辺には成長率そのものが加算されるからである。すなわち、成長率が上がれば、ハードルもあがることになる。
なお、先の記事で述べたように、実質的な成長でなければ意味が乏しく、インフレ率の上昇で名目的に成長率が高まっただけだと、物価連動で増える歳出項目も多いために、基礎的財政収支の改善にはほとんど寄与しないとみられる(この点については、岩田一政氏を座長とした内閣府の研究会の報告書(PDF)を参照されたい)。」
貴重な情報ありがとうございました。
なお加えて、彼が言う、「政府には、1000兆円の借金もあるが、680兆円の政府資産もある、だから、純債務は云々・・」
これも、全くのでたらめです。JT株?資産売却?これらは、できません。
これも証明しましたので、こうご期待。ストックは、どこまで行っても幻の資産・負債であり、そもそも、彼は、政府資産が主体(国・自治体・社会保険基金)のどこにあるかも、全く知らないで、本を書いているのですから、キャンプの取材をしないで、「巨人は優勝できる」と唱えるようなものです。
結論から言うと、彼は、経済学者ではありませんし、経済学を知っているわけではありません。
プロ野球投手(例えば阪神の藤川)からみれば、素人が投げていて「投手だ!」と言っているくらい、投げ方が、理にかなっていないので、「この人は投げ方(経済学)を知らない」と、一発で分かるのです。
英語で言えば、WILLが未来形を示すから、“An airplane will depart at 10:00” と書いて、おかしいことに気づかない人です。 正解は be going to しかありえないのです。
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