ワーキング・プアって本当にいるの?
<ワーキング・プアって本当にいるの?>
川村雅則 北海学園大学 労働経済論
http://www.econ-hgu.jp/master/19.html
彼がまとめた「非正規労働者白書」が、学生向け、高等学校教員向け勉強会のテキストになっているようです。
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/2011hiseiki-hakusyo
P3~
…非正規労働者(パートタイム労働者、アルバイター、契約社員、派遣労働者、臨時的雇用者など)という呼称は、今日の日本の労働者が直面する労働環境や生活の困難を「正規労働」との対比で考える上で1つの有効な表現ではある。…しかし、その法的地位は極めて不安定であり、その生活は「ワーキングプア」をすぐイメージさせてしまう。
…“ワーキングプア”は働く貧困の実際を表現して問題提起に有効であったし、それは働かされ方の問題についての発信力を今も失っていない。
…たとえ単身であったとしても、労働者としての矜持を貫こうとする限り、年収200万円ではとても生活していけない、ということは今常識的になっているといえるであろう。
とうほう『政治経済資料2012』P340
「働く貧困層と呼ばれる、正社員並みにフルタイムで働いても(またはその意思があっても)生活保護の支給額にも満たない収入しか得られない就業者のこと。日本全国では700万世帯がこれに該当すると推定されている。
実教出版『2012 新政治・経済資料 新訂版』P263・265
2009年には年収200万円以下のワーキング・プア(働く貧困層)が1100万人に迫り、給与所得者の4人に1人の割合となった。
ワーキング・プアとは、仕事についているが、貧困状態にある人のことをいう。
日本の世帯数は、5195万0504件だそうです(ウイキペディア)。その7世帯に1件が「ワーキング・プア?」
さらに65歳以上の高齢者のみ世帯が1062万世帯(厚労省)。ここは、働いていないと考えられるから、それを指し引いて考えると、5.9世帯に1件が、「ワーキング・プア?」になってしまいます。
「フルタイムで働いても(またはその意思があっても)生活保護の支給額にも満たない収入しか得られない就業者・世帯が、5.9世帯に1件」って、ありうるんですか?
生活保護の実際です。
浜島書店 『最新図説政経』2011年度 P264

とうほう『政治経済資料2012』P284

09年で127万戸、その水準以下・・それが、「700万世帯?」信じられないのですが・・。
そもそも、ワーキング・プアって、なんでしょう?
とうほう
正社員並みにフルタイムで働いても、生活保護の支給額にも満たない収入しか得られない就業者・700万世帯
実教
年収200万円以下 1100万人
仕事についているが、貧困状態にある人
清水書院『2012 資料 政治・経済』P298
就労しているにもかかわらず、所得が生活保護水準以下である人々。
浜島書店 『最新図説政経』2011年度 P285
必死で働いても、生活保護水準もしくはそれ以下の収入しか得られない人々のこと。「働く貧困層」と訳される。
見て分かるように、バラバラです。定義すらありません。「貧困状態」なのか、「収入が低い人のことなのか」、まったくわかりません。
「収入が低い」ことを基準とするなら、高校生のファストフード・コンビニ店でのアルバイトは「最低賃金」付近なので、当然、ワーキング・プアです。それで、月に4万円のバイト代(生徒に聞いてみると、多い生徒は7万~8万になります)で、化粧品買って、服買って、遊んで、「ワーキング・プア=働く貧困層?」。
主婦のパート。103万(住民税がかからず、配偶者控除適用)以内に抑えると、「ワーキングプア=働く貧困層」
主婦のパート。130万(超えると、社会保険が外れ、自分で加入する→160万以上働かないと手取りは減る)以内に抑えると、「ワーキング・プア=働く貧困層」
主婦は「ワーキング・プア」「貧困」「働く貧困層」です。
非正規社員は、2011年で、働く人の35.5%になっています。
清水書院『2012 資料 政治・経済』P299

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3250.html

これを見ると、男の24歳以下(要するに学生層)と65歳以上(リタイア層)は非正規雇用の割合が高く、女性の場合は、25から34歳(いわゆる結婚前に働いている層:M字型雇用の左側)が低いのを除いて、ほかの世代は、働く人の半数が非正規雇用です。
浜島書店 『最新図説政経』2011年度 P280

浜島書店 『最新図説政経』2011年度 P284

この、非正社員で、パート・アルバイトで、100万円未満、100~199万円未満って、要するに高校生・大学生のバイトや、収入を130万以下に抑えている主婦ですよね(どこにも、このような本当の数値を示した資料がないから、困りますhttp://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2009/pdf/001.pdf 国税庁資料)。
実教出版『2012 新政治・経済資料 新訂版』P263

この、100万円未満、199万円未満の突出した数字も、おそらく学生と主婦ですよね(繰り返しますが、正確な資料は全然ないです。厚生労働省の調査も「推計」です)。
で、学生や主婦は、最低賃金でも喜んで働きます(月に4万円~程度の小遣い稼ぎ・・これだって年に50万弱になり、年に130万以下に抑えるには、これで十分)。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h20pdf/20085615.pdf#search='パートタイム労働者と厚生年金'

主婦のパート、103万(住民税がかからず、配偶者控除適用)以内、130万(超えると、社会保険が外れ、自分で加入する)。上のグラフで、「第3号」は、この層の人たちです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001uh83-att/2r9852000001umna.pdf#search='主婦 パート 人数'
『主婦パート~どのような人たちか?~』
主婦パートの約75%が年収103 万円以内で働いている
主婦パートに、自身の昨年の年収を聞いたところ、「65 ~ 90 万円未満」26.8%、「65万円未満」25.1%、「90 ~ 103 万円(103 万円含む)」24.9%の順となり、約75%が年収103 万円以内という結果になった。
これらの資料も、実数を示すものではありません。
そうすると、こんな風に、本当にフルタイムで働きたくても「最低賃金」でしか働けず、具のないスパゲッティしか食べられない・・・よく実験で、実際に生活したりしてみますが・・・こういう人たちって、本当にいるのですか?(何度も言いますが、正確な資料は見たことがない)。
浜島書店 『最新図説政経』2011年度 P285

で、生活保護費を下回る、最低賃金を、上げなければいけなくなるのですか?
実教出版『2012 新政治・経済資料 新訂版』P265

とうほう『政治経済資料2012』P275
非正規雇用をめぐる日本的特徴は、賃金や社会保障面での正規雇用との格差が著しいことである。…賃金格差…女子で100対45、男子では100対39に拡大する。…パートタイム労働法が制定されたが、正社員との均等待遇原則は盛り込まれなかった。
浜島書店 『最新図説政経』2011年度 P283

「同一労働同一賃金にしろ」とのことですが・・・現状のままだと、主婦の労働時間は半分以下に激減します。
<問題点>
(1)年収200万円以下のワーキング・プア増加
(2)女子の非正規労働者は、200万円以下のワーキング・プア
(3)非正規労働者の正規労働者との賃金格差拡大
これらは、一つ一つ取ると、事実なのでしょう(たくさんの統計資料やグラフがあふれています)。そうすると、「女子は、非正規雇用で、年収200万円以下のワーキング・プア」となって、「正規雇用との格差」が問題だ!ってなりますね。
でも、本当にほしいデータは、「世帯構成」と、世帯の年収です。例えば、主婦のパートさんは、年収103万以下、130万以下になるように働いています。それ以上になると、第3号被保険者の枠を外れ、夫の扶養控除の枠から外れ、「働いた方が損」になるからです。
では、夫の年収と合わせ、500万くらいで、なおかつ子供2人の4人家族だとしたら。これ「貧困」なのですか?
「女性パート・アルバイトの収入は、男性に比べても特に低く、雇用格差だ!!」ってなるのですか?
あるいは、「年収200万円以下の層が日本で拡大」そりゃそうでしょう。高齢者のみ世帯は、年金だけで暮らすとそうなりますから。
年収200万以下ということは、月収16.7万円です(ボーナスなし)。ボーナスを2か月分はあるとすれば、月収14.3万です。14.3万は、ワーキング・プアなのですか?
厚生労働省の「平成23年賃金構造基本統計調査」高校卒 156,500円平均(女子151,800円)
http://www.chizuyainoue.jp/j_economy/kousotu_kyuuryou.html
日本地図を高校卒業者の初任給で塗りわけ


これを見ると、日本の県の半分以上は、高卒で働くと「ワーキング・プア」になります。みな、暮らしていけそうにもありません。沖縄なんて、12万円台です。
違いますよね。高卒者で働く人は、「寮」があったり、実家から通うんでしょう?だから、この年収でも生きていけるんでしょう?実際には、22~24歳くらいまでの高卒正社員の人たちは、たくさんいます。
パート・アルバイト(いわゆるフリーター)でも、生きていけるのは、「実家」だからでしょう?
だから、必要なデータは、単に「非正規労働者の実数・男女別・年齢別」とか、「200万円以下のワーキング・プア」ではなく、「年収と、世帯年収、× 雇用形態 性別 年齢 世帯別のクロス集計」です。
200万円で、年金暮らしの高齢者(例えば、日本の疑似農家の大半は、この層になる)をそのまま「200万円以下だからワーキング・プア」って、それはむちゃくちゃでしょう。自宅保有率、高齢者ほど高いのだから。
このような、クロス集計を行ったうえで、パート・アルバイトで、年収200万以下で、親と同居するでもなく一人暮らしで(しかも高卒正規雇用は除き)、あるいは、女性で離婚して、子供を育てて・・・(障碍者の雇用は除く)。この層が、何人いて、実態はどうなのかを見なければ、雇用環境について語れないはずですが。
グラフにしたって、だまされてはいけません。インターネット普及率は、「年収が低いと低くなる」だから、「ディジタル・ディバイド(情報格差)だ!」
清水書院『2012資料政治・経済』p266
所得世帯年収別の利用率は、2000万円以上で2009年末より12.4ポイント増加しているなど、所属世帯年収の高い区分での利用率が伸びており、低い区分との利用格差が存在している。
でも年齢別を見ると、高齢者層はがくんと利用率が落ちてます。「年収が低い」のは「高齢者層」ではないですか?「80代の高齢者のインターネット普及率を高めよう!」とはどう考えてもなりませんよね。
だから、「年齢×年収(世帯年収)×ネット率」という、クロス集計をしないと、本当のところは全然、分からないのです。
「年収200万以下の働く貧困層?」はきちんとクロス集計をしたうえで、データを提示してほしいものです。
とうほう『政治経済資料2012』P340
「働く貧困層と呼ばれる、正社員並みにフルタイムで働いても(またはその意思があっても)生活保護の支給額にも満たない収入しか得られない就業者のこと。日本全国では700万世帯がこれに該当すると推定されている。
どうですか?700万世帯って、明らかにおかしいですよね。
そのうえで、本当に考えなければいけない課題は、下記のような事例です。
http://watabasyo.blog26.fc2.com/blog-entry-496.html
NHKスペシャル『ワーキングプアⅡ~努力すれば抜け出せますか~』
北海道内陸部の町。ここに、ワーキングプアから必死で抜け出そうとしている女性がいます。
ただし、この事例でも、父親に関しては生活保護を申請できます。
川村雅則 北海学園大学 労働経済論
http://www.econ-hgu.jp/master/19.html
彼がまとめた「非正規労働者白書」が、学生向け、高等学校教員向け勉強会のテキストになっているようです。
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/2011hiseiki-hakusyo
P3~
…非正規労働者(パートタイム労働者、アルバイター、契約社員、派遣労働者、臨時的雇用者など)という呼称は、今日の日本の労働者が直面する労働環境や生活の困難を「正規労働」との対比で考える上で1つの有効な表現ではある。…しかし、その法的地位は極めて不安定であり、その生活は「ワーキングプア」をすぐイメージさせてしまう。
…“ワーキングプア”は働く貧困の実際を表現して問題提起に有効であったし、それは働かされ方の問題についての発信力を今も失っていない。
…たとえ単身であったとしても、労働者としての矜持を貫こうとする限り、年収200万円ではとても生活していけない、ということは今常識的になっているといえるであろう。
とうほう『政治経済資料2012』P340
「働く貧困層と呼ばれる、正社員並みにフルタイムで働いても(またはその意思があっても)生活保護の支給額にも満たない収入しか得られない就業者のこと。日本全国では700万世帯がこれに該当すると推定されている。
実教出版『2012 新政治・経済資料 新訂版』P263・265
2009年には年収200万円以下のワーキング・プア(働く貧困層)が1100万人に迫り、給与所得者の4人に1人の割合となった。
ワーキング・プアとは、仕事についているが、貧困状態にある人のことをいう。
日本の世帯数は、5195万0504件だそうです(ウイキペディア)。その7世帯に1件が「ワーキング・プア?」
さらに65歳以上の高齢者のみ世帯が1062万世帯(厚労省)。ここは、働いていないと考えられるから、それを指し引いて考えると、5.9世帯に1件が、「ワーキング・プア?」になってしまいます。
「フルタイムで働いても(またはその意思があっても)生活保護の支給額にも満たない収入しか得られない就業者・世帯が、5.9世帯に1件」って、ありうるんですか?
生活保護の実際です。
浜島書店 『最新図説政経』2011年度 P264

とうほう『政治経済資料2012』P284

09年で127万戸、その水準以下・・それが、「700万世帯?」信じられないのですが・・。
そもそも、ワーキング・プアって、なんでしょう?
とうほう
正社員並みにフルタイムで働いても、生活保護の支給額にも満たない収入しか得られない就業者・700万世帯
実教
年収200万円以下 1100万人
仕事についているが、貧困状態にある人
清水書院『2012 資料 政治・経済』P298
就労しているにもかかわらず、所得が生活保護水準以下である人々。
浜島書店 『最新図説政経』2011年度 P285
必死で働いても、生活保護水準もしくはそれ以下の収入しか得られない人々のこと。「働く貧困層」と訳される。
見て分かるように、バラバラです。定義すらありません。「貧困状態」なのか、「収入が低い人のことなのか」、まったくわかりません。
「収入が低い」ことを基準とするなら、高校生のファストフード・コンビニ店でのアルバイトは「最低賃金」付近なので、当然、ワーキング・プアです。それで、月に4万円のバイト代(生徒に聞いてみると、多い生徒は7万~8万になります)で、化粧品買って、服買って、遊んで、「ワーキング・プア=働く貧困層?」。
主婦のパート。103万(住民税がかからず、配偶者控除適用)以内に抑えると、「ワーキングプア=働く貧困層」
主婦のパート。130万(超えると、社会保険が外れ、自分で加入する→160万以上働かないと手取りは減る)以内に抑えると、「ワーキング・プア=働く貧困層」
主婦は「ワーキング・プア」「貧困」「働く貧困層」です。
非正規社員は、2011年で、働く人の35.5%になっています。
清水書院『2012 資料 政治・経済』P299

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3250.html

これを見ると、男の24歳以下(要するに学生層)と65歳以上(リタイア層)は非正規雇用の割合が高く、女性の場合は、25から34歳(いわゆる結婚前に働いている層:M字型雇用の左側)が低いのを除いて、ほかの世代は、働く人の半数が非正規雇用です。
浜島書店 『最新図説政経』2011年度 P280

浜島書店 『最新図説政経』2011年度 P284

この、非正社員で、パート・アルバイトで、100万円未満、100~199万円未満って、要するに高校生・大学生のバイトや、収入を130万以下に抑えている主婦ですよね(どこにも、このような本当の数値を示した資料がないから、困りますhttp://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2009/pdf/001.pdf 国税庁資料)。
実教出版『2012 新政治・経済資料 新訂版』P263

この、100万円未満、199万円未満の突出した数字も、おそらく学生と主婦ですよね(繰り返しますが、正確な資料は全然ないです。厚生労働省の調査も「推計」です)。
で、学生や主婦は、最低賃金でも喜んで働きます(月に4万円~程度の小遣い稼ぎ・・これだって年に50万弱になり、年に130万以下に抑えるには、これで十分)。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h20pdf/20085615.pdf#search='パートタイム労働者と厚生年金'

主婦のパート、103万(住民税がかからず、配偶者控除適用)以内、130万(超えると、社会保険が外れ、自分で加入する)。上のグラフで、「第3号」は、この層の人たちです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001uh83-att/2r9852000001umna.pdf#search='主婦 パート 人数'
『主婦パート~どのような人たちか?~』
主婦パートの約75%が年収103 万円以内で働いている
主婦パートに、自身の昨年の年収を聞いたところ、「65 ~ 90 万円未満」26.8%、「65万円未満」25.1%、「90 ~ 103 万円(103 万円含む)」24.9%の順となり、約75%が年収103 万円以内という結果になった。
これらの資料も、実数を示すものではありません。
そうすると、こんな風に、本当にフルタイムで働きたくても「最低賃金」でしか働けず、具のないスパゲッティしか食べられない・・・よく実験で、実際に生活したりしてみますが・・・こういう人たちって、本当にいるのですか?(何度も言いますが、正確な資料は見たことがない)。
浜島書店 『最新図説政経』2011年度 P285

で、生活保護費を下回る、最低賃金を、上げなければいけなくなるのですか?
実教出版『2012 新政治・経済資料 新訂版』P265

とうほう『政治経済資料2012』P275
非正規雇用をめぐる日本的特徴は、賃金や社会保障面での正規雇用との格差が著しいことである。…賃金格差…女子で100対45、男子では100対39に拡大する。…パートタイム労働法が制定されたが、正社員との均等待遇原則は盛り込まれなかった。
浜島書店 『最新図説政経』2011年度 P283

「同一労働同一賃金にしろ」とのことですが・・・現状のままだと、主婦の労働時間は半分以下に激減します。
<問題点>
(1)年収200万円以下のワーキング・プア増加
(2)女子の非正規労働者は、200万円以下のワーキング・プア
(3)非正規労働者の正規労働者との賃金格差拡大
これらは、一つ一つ取ると、事実なのでしょう(たくさんの統計資料やグラフがあふれています)。そうすると、「女子は、非正規雇用で、年収200万円以下のワーキング・プア」となって、「正規雇用との格差」が問題だ!ってなりますね。
でも、本当にほしいデータは、「世帯構成」と、世帯の年収です。例えば、主婦のパートさんは、年収103万以下、130万以下になるように働いています。それ以上になると、第3号被保険者の枠を外れ、夫の扶養控除の枠から外れ、「働いた方が損」になるからです。
では、夫の年収と合わせ、500万くらいで、なおかつ子供2人の4人家族だとしたら。これ「貧困」なのですか?
「女性パート・アルバイトの収入は、男性に比べても特に低く、雇用格差だ!!」ってなるのですか?
あるいは、「年収200万円以下の層が日本で拡大」そりゃそうでしょう。高齢者のみ世帯は、年金だけで暮らすとそうなりますから。
年収200万以下ということは、月収16.7万円です(ボーナスなし)。ボーナスを2か月分はあるとすれば、月収14.3万です。14.3万は、ワーキング・プアなのですか?
厚生労働省の「平成23年賃金構造基本統計調査」高校卒 156,500円平均(女子151,800円)
http://www.chizuyainoue.jp/j_economy/kousotu_kyuuryou.html
日本地図を高校卒業者の初任給で塗りわけ


これを見ると、日本の県の半分以上は、高卒で働くと「ワーキング・プア」になります。みな、暮らしていけそうにもありません。沖縄なんて、12万円台です。
違いますよね。高卒者で働く人は、「寮」があったり、実家から通うんでしょう?だから、この年収でも生きていけるんでしょう?実際には、22~24歳くらいまでの高卒正社員の人たちは、たくさんいます。
パート・アルバイト(いわゆるフリーター)でも、生きていけるのは、「実家」だからでしょう?
だから、必要なデータは、単に「非正規労働者の実数・男女別・年齢別」とか、「200万円以下のワーキング・プア」ではなく、「年収と、世帯年収、× 雇用形態 性別 年齢 世帯別のクロス集計」です。
200万円で、年金暮らしの高齢者(例えば、日本の疑似農家の大半は、この層になる)をそのまま「200万円以下だからワーキング・プア」って、それはむちゃくちゃでしょう。自宅保有率、高齢者ほど高いのだから。
このような、クロス集計を行ったうえで、パート・アルバイトで、年収200万以下で、親と同居するでもなく一人暮らしで(しかも高卒正規雇用は除き)、あるいは、女性で離婚して、子供を育てて・・・(障碍者の雇用は除く)。この層が、何人いて、実態はどうなのかを見なければ、雇用環境について語れないはずですが。
グラフにしたって、だまされてはいけません。インターネット普及率は、「年収が低いと低くなる」だから、「ディジタル・ディバイド(情報格差)だ!」
清水書院『2012資料政治・経済』p266
所得世帯年収別の利用率は、2000万円以上で2009年末より12.4ポイント増加しているなど、所属世帯年収の高い区分での利用率が伸びており、低い区分との利用格差が存在している。

でも年齢別を見ると、高齢者層はがくんと利用率が落ちてます。「年収が低い」のは「高齢者層」ではないですか?「80代の高齢者のインターネット普及率を高めよう!」とはどう考えてもなりませんよね。
だから、「年齢×年収(世帯年収)×ネット率」という、クロス集計をしないと、本当のところは全然、分からないのです。
「年収200万以下の働く貧困層?」はきちんとクロス集計をしたうえで、データを提示してほしいものです。
とうほう『政治経済資料2012』P340
「働く貧困層と呼ばれる、正社員並みにフルタイムで働いても(またはその意思があっても)生活保護の支給額にも満たない収入しか得られない就業者のこと。日本全国では700万世帯がこれに該当すると推定されている。
どうですか?700万世帯って、明らかにおかしいですよね。
そのうえで、本当に考えなければいけない課題は、下記のような事例です。
http://watabasyo.blog26.fc2.com/blog-entry-496.html
NHKスペシャル『ワーキングプアⅡ~努力すれば抜け出せますか~』
北海道内陸部の町。ここに、ワーキングプアから必死で抜け出そうとしている女性がいます。
ただし、この事例でも、父親に関しては生活保護を申請できます。
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