やればできる! 日銀
<やればできる!日銀>
9月全国消費者物価は+0.2%、10月都区部は‐0.4%
ロイター 10月28日(金)10時10分配信
[東京 28日 ロイター] 総務省が28日発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI、2010年=100.0)は前年比0.2%上昇の99.9となり、3カ月連続の上昇しプラス幅は前月と横ばいとなった。
消費者物価が上昇しています。0.2%増とのことですが、7月まで使われた旧基準では、プラス0.2~0.3ポイント高い、0.4~0.5ポイント程度の上昇と言うことです。
実証的には、「量的緩和→デフレ解消」が明らかになりました。これで、「量的緩和してもデフレには効果がない」という論者は、静かになることでしょう。それでも言い続ける方?は、たぶんいないと思います。
日経H23.11.3 グラフも
市場には大量の資金が滞留。金融機関の手元資金を示す日銀の当座預金残高は、2日、37兆1800億円となり、4月半ば以来の高水準に達した。





<日銀理論>
日本経済は11年度後半より緩やかな回復経路へ=白川日銀総裁
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPJAPAN-21465820110601
[東京 1日 ロイター]
日銀の白川方明総裁は1日、日銀金融研究所主催の国際コンファランスであいさつし、東日本大震災によるサプライチェーン(供給体制)の寸断、電力不足など供給面での制約要因は「企業努力により当初に予想されたより早く緩和されつつある」との見方を示した。
…また、かつてシカゴ大で講義を受けたミルトン・フリードマン教授による「インフレはいつ、いかなる場合も、貨幣的現象である」との主張に言及。貨幣量の変化が長期的に物価上昇率に影響を与えるのであれば、デフレも貨幣的現象であり、中央銀行が巨額の資金供給で物価水準を引き上げることが可能、とする一方、「それは近年の日米での経験と整合しない」と指摘。デフレは貨幣的現象であるよりも、高齢化や労働人口の減少など経済の基礎的条件の構造的要因に起因するとの自説を示し、「マネタリーベースの大幅な拡大は、相応のマネーストック拡充や物価上昇をもたらさなかった」と結論づけた。
日経H22.12.11
日銀総裁写真

白川総裁も訂正することでしょう。
「デフレは貨幣的現象であるよりも、高齢化や労働人口の減少など経済の基礎的条件の構造的要因に起因するとの自説」
↓
「デフレは貨幣的現象でした。」と。しないでしょうけど。
<追記 コメントに頂きました、大瀧教授の本>
コメントに頂きました大瀧先生の本および、教えていただいたことを追記します。
大瀧雅之 『貨幣・雇用理論の基礎』2011 勁草書房
p19 インフレは貨幣的現象か
まず回答を与えておこう。不完全雇用下においては、答えは否である。
ということで、現在の日本は、当然「不完全雇用」状態です。そうすると、インフレは貨幣的現象ではないということが当てはまるようです。
つまり
P22インフレが貨幣的現象となるのは、皮肉にもマネタリストのCaganが言い当てたように、貨幣の信頼性が失われた両極、すなわちハイパーインフレーションの場合と完全雇用におけるインフレーションのいう「真正インフレーション」の場合に限られるのである。
とのことです。
簡単に言えば、貨幣増によるインフレは、ハイパーインフレ(貨幣への信頼をまったく失った状態:戦後の日本など)か、完全雇用状態(これに近い状態は、1973までの、高度成長期と考えられる)においてのみだということです。
p29 不完全雇用下においては、インフレーションは貨幣供給増加率と無関係という意味で、実物的現象である。したがってケインズ‐ワルラス的動学モデルでは、インフレターゲッティング論はまったく根拠を持たない。
ということだそうです。
今必要な政策は次の通りだそうです。
P140 ケインズの時代とは逆に、浪費をいかに食い止め世界全体の有効需要を抑えるかということが、環境問題も含めたマクロ経済政策の在り方であると、筆者は思慮する。
より具体的に言えば、労働集約的な産業の再生と世界全体での協調的な引き締めこそが、現時点で考えうる最善の政策であろう。
ちなみに、現在は「不完全雇用状態であることは明らかです.現在の日本の失業率は約5パーセント、完全失業者は約350万人もいます」とのことです。
また、現在見られる消費者物価の上昇については、 「経済学は何ヶ月という短い期間の動きを説明したり予測をするようには出来上がっていないことです.常識から考えても分かると思いますが,1億3千万人の日本経済の構造を隅から隅まで直ちに把握できるわけがありません.ある程度(最低二,三年)時間が経過してどうやらこういう現象が起きているようだ,やっとぼんやりながらも把握できることがほとんどです.」とのことです。
今の0.数%程度の消費者物価上昇のように見える現象は、数年後にならないと、把握できないそうです。
またそもそも0.数%程度の消費者物価上昇は、
「消費者物価水準の変化はおよそ千分の一の単位ですね.大学で統計学という学問を学ぶと分かりますが,どんなデータにも測定の誤差というものがあります.この程度の物価水準の変化は,誤差によるものか真の変動なのかまず絶対に区別できません.こうした誤差を勘案した上で,敢えて結論を出せば『消費者物価水準は安定していて変化していない』ということになると思います.知っておいてもらいたいことは,理科の実験に基づくデータと経済学のデータでは,その精密性が全く異なることです.」
とのことです。誤差の範囲で、インフレとはいえないそうです。
ということで、インフレかどうかは、最低2~3年後でないと分析できないようなので、その時にもう一度扱うことにしましょう。
ちなみに、現下の「不完全雇用下」においては、貨幣供給増加率とインフレの間に関係はないということなので、国債日銀引き受けで、ガンガン紙幣を刷っても、大丈夫のようです。インフレを心配することはなさそうです。
9月全国消費者物価は+0.2%、10月都区部は‐0.4%
ロイター 10月28日(金)10時10分配信
[東京 28日 ロイター] 総務省が28日発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI、2010年=100.0)は前年比0.2%上昇の99.9となり、3カ月連続の上昇しプラス幅は前月と横ばいとなった。
消費者物価が上昇しています。0.2%増とのことですが、7月まで使われた旧基準では、プラス0.2~0.3ポイント高い、0.4~0.5ポイント程度の上昇と言うことです。
実証的には、「量的緩和→デフレ解消」が明らかになりました。これで、「量的緩和してもデフレには効果がない」という論者は、静かになることでしょう。それでも言い続ける方?は、たぶんいないと思います。
日経H23.11.3 グラフも
市場には大量の資金が滞留。金融機関の手元資金を示す日銀の当座預金残高は、2日、37兆1800億円となり、4月半ば以来の高水準に達した。





<日銀理論>
日本経済は11年度後半より緩やかな回復経路へ=白川日銀総裁
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPJAPAN-21465820110601
[東京 1日 ロイター]
日銀の白川方明総裁は1日、日銀金融研究所主催の国際コンファランスであいさつし、東日本大震災によるサプライチェーン(供給体制)の寸断、電力不足など供給面での制約要因は「企業努力により当初に予想されたより早く緩和されつつある」との見方を示した。
…また、かつてシカゴ大で講義を受けたミルトン・フリードマン教授による「インフレはいつ、いかなる場合も、貨幣的現象である」との主張に言及。貨幣量の変化が長期的に物価上昇率に影響を与えるのであれば、デフレも貨幣的現象であり、中央銀行が巨額の資金供給で物価水準を引き上げることが可能、とする一方、「それは近年の日米での経験と整合しない」と指摘。デフレは貨幣的現象であるよりも、高齢化や労働人口の減少など経済の基礎的条件の構造的要因に起因するとの自説を示し、「マネタリーベースの大幅な拡大は、相応のマネーストック拡充や物価上昇をもたらさなかった」と結論づけた。
日経H22.12.11
日銀総裁写真

白川総裁も訂正することでしょう。
「デフレは貨幣的現象であるよりも、高齢化や労働人口の減少など経済の基礎的条件の構造的要因に起因するとの自説」
↓
「デフレは貨幣的現象でした。」と。しないでしょうけど。
<追記 コメントに頂きました、大瀧教授の本>
コメントに頂きました大瀧先生の本および、教えていただいたことを追記します。
大瀧雅之 『貨幣・雇用理論の基礎』2011 勁草書房
p19 インフレは貨幣的現象か
まず回答を与えておこう。不完全雇用下においては、答えは否である。
ということで、現在の日本は、当然「不完全雇用」状態です。そうすると、インフレは貨幣的現象ではないということが当てはまるようです。
つまり
P22インフレが貨幣的現象となるのは、皮肉にもマネタリストのCaganが言い当てたように、貨幣の信頼性が失われた両極、すなわちハイパーインフレーションの場合と完全雇用におけるインフレーションのいう「真正インフレーション」の場合に限られるのである。
とのことです。
簡単に言えば、貨幣増によるインフレは、ハイパーインフレ(貨幣への信頼をまったく失った状態:戦後の日本など)か、完全雇用状態(これに近い状態は、1973までの、高度成長期と考えられる)においてのみだということです。
p29 不完全雇用下においては、インフレーションは貨幣供給増加率と無関係という意味で、実物的現象である。したがってケインズ‐ワルラス的動学モデルでは、インフレターゲッティング論はまったく根拠を持たない。
ということだそうです。
今必要な政策は次の通りだそうです。
P140 ケインズの時代とは逆に、浪費をいかに食い止め世界全体の有効需要を抑えるかということが、環境問題も含めたマクロ経済政策の在り方であると、筆者は思慮する。
より具体的に言えば、労働集約的な産業の再生と世界全体での協調的な引き締めこそが、現時点で考えうる最善の政策であろう。
ちなみに、現在は「不完全雇用状態であることは明らかです.現在の日本の失業率は約5パーセント、完全失業者は約350万人もいます」とのことです。
また、現在見られる消費者物価の上昇については、 「経済学は何ヶ月という短い期間の動きを説明したり予測をするようには出来上がっていないことです.常識から考えても分かると思いますが,1億3千万人の日本経済の構造を隅から隅まで直ちに把握できるわけがありません.ある程度(最低二,三年)時間が経過してどうやらこういう現象が起きているようだ,やっとぼんやりながらも把握できることがほとんどです.」とのことです。
今の0.数%程度の消費者物価上昇のように見える現象は、数年後にならないと、把握できないそうです。
またそもそも0.数%程度の消費者物価上昇は、
「消費者物価水準の変化はおよそ千分の一の単位ですね.大学で統計学という学問を学ぶと分かりますが,どんなデータにも測定の誤差というものがあります.この程度の物価水準の変化は,誤差によるものか真の変動なのかまず絶対に区別できません.こうした誤差を勘案した上で,敢えて結論を出せば『消費者物価水準は安定していて変化していない』ということになると思います.知っておいてもらいたいことは,理科の実験に基づくデータと経済学のデータでは,その精密性が全く異なることです.」
とのことです。誤差の範囲で、インフレとはいえないそうです。
ということで、インフレかどうかは、最低2~3年後でないと分析できないようなので、その時にもう一度扱うことにしましょう。
ちなみに、現下の「不完全雇用下」においては、貨幣供給増加率とインフレの間に関係はないということなので、国債日銀引き受けで、ガンガン紙幣を刷っても、大丈夫のようです。インフレを心配することはなさそうです。
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theme : マクロ経済学 ミクロ経済学
genre : 政治・経済