思い込み
<思い込み>
輸出増=輸入増
輸出が増えれば、輸入も増える、(逆だと輸入が減れば、輸出も減るか?)
この現実を「認めたくない」人がいます。
①いわく、パキスタンはそうなっていない。
②輸出増だが、輸入は微増だ。
③デフレ国にとっては実証的に「輸入は悪で輸出は善だ」インフレ国では逆だ。
以下、コメントです。
①パキスタンでは2008-2009での輸出入で、
輸出増・輸入減になっていますが、こういうのは何故おこるのでしょうか?
あと、中東の国が石油を売るだけなら、設備投資の為に新たに材料を仕入れてくる必要もなく、輸入増に必ずしもなるとは言えないと思います。
②
ロシア、サウジアラビア等の輸出・輸入の対GDP比データを見る限りでは資源を輸出する国は明らかに輸出の伸び方が大きいです。これは輸入した分をはるかに超える量の輸出があるということで、新たな材を輸入する必要も、無いということ。それは逆に輸出が伸びずに輸入が伸びている国があるということですよね。日本のように(通貨高の影響もあるが)輸出よりも輸入の額が大きな国はいっぱいあります。
なので、
実証的に輸出増=輸入増になっているかいないか、お調べ下さい。
→実証的に輸出増=輸入増とは限らない。
③
典型的な「輸入悪・輸出善」論ですね(私の発言)。
→デフレ国にとってはマイナスに決まっています実証的に。
>とにかく、「輸入が悪 輸出が善」というトンデモ論に染まっている限り、一生理解できませんよ(私の発言)。
→インフレ状況であれば常識的に輸入が善、輸出も善ですね。
デフレ国では「輸入は悪」インフレ国では「輸入は善」だそうです。
もう、こうなると、こちらから何を言っても、無駄です。
挙げられた国です。以下は全てJETRO出典

2009年は、パキスタンは輸出増だけど、輸入減です。「ほら、輸出増=輸入増では、ないではないか!」って、言う主張のようです。
一ヶ月単位の短期や、1年単位の短期では、当然変動はありえます。世界全体で見たら、単年度では、「輸出増・輸入増」の国も、「輸出増・輸入減」も、「輸出減・輸入増」も、「輸入減・輸出減」の国もあるでしょう。
私が言っているのは、「長期」の話です。
2009年は2008年におこったリーマン・ショックの影響で、GDP自体、輸出・輸入自体、世界中で激変しています。


アメリカや、オーストラリアも変動しています。
輸出入額が、アメリカの1/200程度の「コートジボワール」だって、余波を受けています。

このような事情の下、「輸出減=輸入減とは言えない!」って言われても・・・。まあ、リーマン・ショックでおかしくなった数値の方が「正しい」、その後の回復はまた「バブル」復活で正しくない!って言われたら、もう返す言葉がないのですが。
②
ロシア、サウジアラビア等の輸出・輸入の対GDP比データを見る限りでは資源を輸出する国は明らかに輸出の伸び方が大きいです。これは輸入した分をはるかに超える量の輸出があるということで、新たな材を輸入する必要も、無いということ。それは逆に輸出が伸びずに輸入が伸びている国があるということですよね。日本のように(通貨高の影響もあるが)輸出よりも輸入の額が大きな国はいっぱいあります。
輸出の伸びは輸入より大きい!だから「輸出増=輸入増とは言えないではないか!」


サウジは輸入超過国、ロシアは輸出超過国ですね。2009年、リーマン・ショックの影響はでているようです。
いずれにしても、「輸出増=輸入増」という、相関関係になっているのは、見て分かると思います。ロシアの「輸出額と輸入額」のプロットです。

そもそも、輸出・輸入は、小さな企業の「輸出(生産):輸入(消費)」の積み重ねです。
1 企業が輸出(財・サービスをその企業の外に売る)するのには、輸入(財サービスを、他の企業から買ってくる)しなければなりません。
そうすると、反論が来ます。「いや、企業が生産性をアップさせて生産量を増やせば、輸入(消費)を増やさずに輸出(生産)をアップすることが可能だ、だから輸出(生産)増=輸入(消費)増にはならない!」って。
2企業が財・サービスの輸出(生産)を増やすには、輸入(消費)してくれる相手企業、消費者がいないと、成り立ちません。在庫積んで、「ほら生産増だ!」っていうバカな企業はありません。「買ってくれる(消費してくれる=輸入してくれる)」企業、消費者がいないと、一方的に生産性上げても、どうしようもありません。
3
世界のGDPが伸びるということは、
1つ1つの企業の輸出(生産)増・輸入(消費)増
↓
合計が、その市の輸出(生産)増・輸入(消費)増
↓
合計が、その県の輸出(生産)増・輸入(消費)増
↓
合計が、その国の輸出(生産)増・輸入(消費)増
↓
合計が、世界の輸出(生産)増・輸入(消費)増
もちろん、個々の企業・市・県・国で、輸出増だけど輸入減などはありえますよ。ですが、ミクロで差異はあるものの、マクロで見ると、「輸出が増えれば輸入も増える」という相関関係にあることは分かると思います。
日本のGDPが増えている場合、輸出(生産)だけ増えて、輸入(消費)は増えないということは、原理的にありえません。GDP(生産)はGDE(消費)の別名だからです。
<思い込み2>
「そう思いたい、そうなるはずだ」と思うのは結構ですが、実証的に違うことはたくさんあります。
その一つが、
円高になる(1ドル=100円→80円:25%上昇)
↓
輸出企業には打撃
(200万円の車=2万ドル→2万5000ドルに)
↓
値上がりで売れなくなる
↓
輸出減になる
という、説得力のありそうな、因果論です。
まあ、新聞見出しなどで、盛んに「円高不況」とか、「円高で輸出企業に打撃」と踊っていますから。こうして、「円高→輸出減」と日本人の頭にインプットされます。
検証してみましょう。

なんだか、長期的には、円高なのに、輸出増?のようです。
もう少し詳しく見てみましょう。

95年1月の1ドル=99.75円→98年8月の144.67円の円安期です。
すごいですね。綺麗に「円安→輸出増」になっています。
では。円高期はどうでしょうか?

円高になっているのに、輸出は伸びています。
もっとも、「リーマン・ショック後の回復期→(震災直前の2月まで)だから、参考にならない」という話もあるでしょう。それ以外の時期を見てみましょう。

日本経済は、2002年1月を底として、08年2月まで、73か月間にわたる戦後最長の景気拡大期を迎えることになりました。その前半期です。単純に「円高→輸出減」にはなっていないことが分かります。
戦後最長の景気拡大期全体です。

やはり、「円高だから、輸入減」にはなっていません。
円相場・輸出に、相関があるかどうか、見てみましょう。

「円安になると、輸出が伸びる」「円高になると輸出が減る」という相関は、全然ありません(前述の、ロシアの「輸出額・輸入額」の相関と比べてみて下さい)。
相関すらないのに、
円高になる(1ドル=100円→80円:25%上昇)
↓
輸出企業には打撃
(200万円の車=2万ドル→2万5000ドルに)
↓
値上がりで売れなくなる
↓
輸出減になる
という、因果論を、実証するのは困難です。
ただし、今回は、「名目為替相場」について検証したものです。世間に流布する数値や、新聞の見出しは、「名目値」だからです。
「実質為替相場」購買力平価」を基にすると、結果は違うかもしれません。そこまで、データが取れないので、検証していません。
細かい方は、「『○○を前提にして、円高→輸出減とは言えない』と言わないとダメだ」と指摘します。経済学は全て、「○○を一定にして」とか、「○○を前提に」できているからだそうです。
今回の元ネタは、「円高で輸出減になるに決まっている」という、140文字のツイッターに「そうではないよ」と指摘したレベル、「一般論」レベルの話です。
<追記>
またまた、「デフレだから円高でも輸出は伸びる云々」のコメント(思い込み)が来ました。
それでは、インフレ時(名目GDP>実質GDP)時代、73年の変動為替相場制移行から、85年のいわゆるバブル前のデータをアップしておきます。
やはり 円高→輸出減ではないですね。なんだか、ただ、「穴さがし」したいだけのようです。


輸出増=輸入増
輸出が増えれば、輸入も増える、(逆だと輸入が減れば、輸出も減るか?)
この現実を「認めたくない」人がいます。
①いわく、パキスタンはそうなっていない。
②輸出増だが、輸入は微増だ。
③デフレ国にとっては実証的に「輸入は悪で輸出は善だ」インフレ国では逆だ。
以下、コメントです。
①パキスタンでは2008-2009での輸出入で、
輸出増・輸入減になっていますが、こういうのは何故おこるのでしょうか?
あと、中東の国が石油を売るだけなら、設備投資の為に新たに材料を仕入れてくる必要もなく、輸入増に必ずしもなるとは言えないと思います。
②
ロシア、サウジアラビア等の輸出・輸入の対GDP比データを見る限りでは資源を輸出する国は明らかに輸出の伸び方が大きいです。これは輸入した分をはるかに超える量の輸出があるということで、新たな材を輸入する必要も、無いということ。それは逆に輸出が伸びずに輸入が伸びている国があるということですよね。日本のように(通貨高の影響もあるが)輸出よりも輸入の額が大きな国はいっぱいあります。
なので、
実証的に輸出増=輸入増になっているかいないか、お調べ下さい。
→実証的に輸出増=輸入増とは限らない。
③
典型的な「輸入悪・輸出善」論ですね(私の発言)。
→デフレ国にとってはマイナスに決まっています実証的に。
>とにかく、「輸入が悪 輸出が善」というトンデモ論に染まっている限り、一生理解できませんよ(私の発言)。
→インフレ状況であれば常識的に輸入が善、輸出も善ですね。
デフレ国では「輸入は悪」インフレ国では「輸入は善」だそうです。
もう、こうなると、こちらから何を言っても、無駄です。
挙げられた国です。以下は全てJETRO出典

2009年は、パキスタンは輸出増だけど、輸入減です。「ほら、輸出増=輸入増では、ないではないか!」って、言う主張のようです。
一ヶ月単位の短期や、1年単位の短期では、当然変動はありえます。世界全体で見たら、単年度では、「輸出増・輸入増」の国も、「輸出増・輸入減」も、「輸出減・輸入増」も、「輸入減・輸出減」の国もあるでしょう。
私が言っているのは、「長期」の話です。
2009年は2008年におこったリーマン・ショックの影響で、GDP自体、輸出・輸入自体、世界中で激変しています。


アメリカや、オーストラリアも変動しています。
輸出入額が、アメリカの1/200程度の「コートジボワール」だって、余波を受けています。

このような事情の下、「輸出減=輸入減とは言えない!」って言われても・・・。まあ、リーマン・ショックでおかしくなった数値の方が「正しい」、その後の回復はまた「バブル」復活で正しくない!って言われたら、もう返す言葉がないのですが。
②
ロシア、サウジアラビア等の輸出・輸入の対GDP比データを見る限りでは資源を輸出する国は明らかに輸出の伸び方が大きいです。これは輸入した分をはるかに超える量の輸出があるということで、新たな材を輸入する必要も、無いということ。それは逆に輸出が伸びずに輸入が伸びている国があるということですよね。日本のように(通貨高の影響もあるが)輸出よりも輸入の額が大きな国はいっぱいあります。
輸出の伸びは輸入より大きい!だから「輸出増=輸入増とは言えないではないか!」


サウジは輸入超過国、ロシアは輸出超過国ですね。2009年、リーマン・ショックの影響はでているようです。
いずれにしても、「輸出増=輸入増」という、相関関係になっているのは、見て分かると思います。ロシアの「輸出額と輸入額」のプロットです。

そもそも、輸出・輸入は、小さな企業の「輸出(生産):輸入(消費)」の積み重ねです。
1 企業が輸出(財・サービスをその企業の外に売る)するのには、輸入(財サービスを、他の企業から買ってくる)しなければなりません。
そうすると、反論が来ます。「いや、企業が生産性をアップさせて生産量を増やせば、輸入(消費)を増やさずに輸出(生産)をアップすることが可能だ、だから輸出(生産)増=輸入(消費)増にはならない!」って。
2企業が財・サービスの輸出(生産)を増やすには、輸入(消費)してくれる相手企業、消費者がいないと、成り立ちません。在庫積んで、「ほら生産増だ!」っていうバカな企業はありません。「買ってくれる(消費してくれる=輸入してくれる)」企業、消費者がいないと、一方的に生産性上げても、どうしようもありません。
3
世界のGDPが伸びるということは、
1つ1つの企業の輸出(生産)増・輸入(消費)増
↓
合計が、その市の輸出(生産)増・輸入(消費)増
↓
合計が、その県の輸出(生産)増・輸入(消費)増
↓
合計が、その国の輸出(生産)増・輸入(消費)増
↓
合計が、世界の輸出(生産)増・輸入(消費)増
もちろん、個々の企業・市・県・国で、輸出増だけど輸入減などはありえますよ。ですが、ミクロで差異はあるものの、マクロで見ると、「輸出が増えれば輸入も増える」という相関関係にあることは分かると思います。
日本のGDPが増えている場合、輸出(生産)だけ増えて、輸入(消費)は増えないということは、原理的にありえません。GDP(生産)はGDE(消費)の別名だからです。
<思い込み2>
「そう思いたい、そうなるはずだ」と思うのは結構ですが、実証的に違うことはたくさんあります。
その一つが、
円高になる(1ドル=100円→80円:25%上昇)
↓
輸出企業には打撃
(200万円の車=2万ドル→2万5000ドルに)
↓
値上がりで売れなくなる
↓
輸出減になる
という、説得力のありそうな、因果論です。
まあ、新聞見出しなどで、盛んに「円高不況」とか、「円高で輸出企業に打撃」と踊っていますから。こうして、「円高→輸出減」と日本人の頭にインプットされます。
検証してみましょう。

なんだか、長期的には、円高なのに、輸出増?のようです。
もう少し詳しく見てみましょう。

95年1月の1ドル=99.75円→98年8月の144.67円の円安期です。
すごいですね。綺麗に「円安→輸出増」になっています。
では。円高期はどうでしょうか?

円高になっているのに、輸出は伸びています。
もっとも、「リーマン・ショック後の回復期→(震災直前の2月まで)だから、参考にならない」という話もあるでしょう。それ以外の時期を見てみましょう。

日本経済は、2002年1月を底として、08年2月まで、73か月間にわたる戦後最長の景気拡大期を迎えることになりました。その前半期です。単純に「円高→輸出減」にはなっていないことが分かります。
戦後最長の景気拡大期全体です。

やはり、「円高だから、輸入減」にはなっていません。
円相場・輸出に、相関があるかどうか、見てみましょう。

「円安になると、輸出が伸びる」「円高になると輸出が減る」という相関は、全然ありません(前述の、ロシアの「輸出額・輸入額」の相関と比べてみて下さい)。
相関すらないのに、
円高になる(1ドル=100円→80円:25%上昇)
↓
輸出企業には打撃
(200万円の車=2万ドル→2万5000ドルに)
↓
値上がりで売れなくなる
↓
輸出減になる
という、因果論を、実証するのは困難です。
ただし、今回は、「名目為替相場」について検証したものです。世間に流布する数値や、新聞の見出しは、「名目値」だからです。
「実質為替相場」購買力平価」を基にすると、結果は違うかもしれません。そこまで、データが取れないので、検証していません。
細かい方は、「『○○を前提にして、円高→輸出減とは言えない』と言わないとダメだ」と指摘します。経済学は全て、「○○を一定にして」とか、「○○を前提に」できているからだそうです。
今回の元ネタは、「円高で輸出減になるに決まっている」という、140文字のツイッターに「そうではないよ」と指摘したレベル、「一般論」レベルの話です。
<追記>
またまた、「デフレだから円高でも輸出は伸びる云々」のコメント(思い込み)が来ました。
それでは、インフレ時(名目GDP>実質GDP)時代、73年の変動為替相場制移行から、85年のいわゆるバブル前のデータをアップしておきます。
やはり 円高→輸出減ではないですね。なんだか、ただ、「穴さがし」したいだけのようです。


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