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わざとミスリードする新聞 日経

<追記>

 輸出も輸入も、このように推移しています。輸出が極端に落ち込んでいるわけではありません。

輸出 輸入 2011.jpg


<わざとミスリードする新聞 日経>

H23.12.9
貿易黒字 減少


 経常黒字が減った減った!大変だ!貿易黒字の減少がまずい!っていう、例の記事です。
1か月ごとの貿易統計は年に12回発表されますから、年に12回、「大変だ大変だ!」って、アホな記事を発信しています。

 貿易黒字資本赤字ですから、「資本赤字、10月62%減」「資本赤字が減少したことが奏功」と書かなければいけません。

9月 国際収支



10月 国際収支

9月→10月 国際収支

 ですから、記事はこう書いても、同じことです。

貿易黒字 減少 2


 貿易黒字が減ろうが、赤字が増えようが、我々のGDP(給与総額)には、全く関係ありません

 「オーストラリアも、カナダも、みな貿易赤字に転落!!!!しています。これらの国は、さぞかし、大変な経済的混乱になっていて、自殺者も激増しているかもしれません!これらの国を助けることは日本にはできないのでしょうか!!!!」

 なぜ、このような新聞記事が登場しないのでしょうか?簡単です。赤字だろうが黒字だろうが、これらの国は日本よりずっと豊かだからです。


世界経済のネタ帳

[世] 国際収支の推移(2008~2011年)の比較(日本、カナダ、オーストラリア)

[世] 一人当たりの名目GDP(USドル)の推移(2008~2011年)の比較(日本、カナダ、オーストラリア)

 ったく、一人当たりGDPが、こんなに引き離されているのに、日経は「貿易黒字が減った!大変だ大変だ!!!」って、アヒルじゃあるまいし。

経常黒字減=広義資本収支赤字

経常黒字増=広義資本収支赤字

 「黒字が増えれば赤字が増え、赤字が減れば黒字が減る」のです。


くわしくは、
①ブログカテゴリ:貿易黒字はもうけの誤り 参照

②http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-538.html
日経が変わった?変われば良い事だが


 貿易黒字なんてどうでもよいのです。日経さん、ちゃんと勉強してくださいね。

<思い込み>


 成長率高=失業率下、成長率低=失業率上



出典:世界経済のネタ帳
[世] 失業率の推移(1980~2011年)の比較(日本、アメリカ)
 
 日本は、97年・98年のGDPマイナス成長時、08年09年のリーマンショック時に、失業率が急上昇しています。
日本の場合、GDP成長率と失業率の間には、相関関係があるとされています。 「オークンの法則」と言います。

オークン法則 長期


 確かに長期的には、相関がありそうです。短期的にはどうでしょうか。


成長率 失業率 2001~

成長率 失業率 2002年~

 「成長率が上がると失業率が下がる」ようです。ところが・・・。

成長率 失業率 1993~

成長率 失業率 1998~

 成長率が上がっても、失業率は下がらないときはあります。

 90年代は、バブル時の過大な投資の結果、「設備投資」「雇用」「債務」という3つの過剰を抱えた時代です。それらの返済に回った時代です。企業は、リストラを進め、人員整理を行っていました。体質をスリムにして、成長させていたんですね。

 また、オークン法則は、2000年代以降は、顕著には見えなくなっています。

オークン法則 短期00年以降


 先ほどの80年→10年と比較すると、その傾きが緩くなっています。この図だけを見ると、「成長率が高くなると失業率は低くなる」という相関は見られません。



 成長率高=倒産減 成長率低=倒産増。


成長率 倒産件数 92年~


 どうですか?成長率と、倒産件数に、有意な相関はなさそうです。2000年代はどうでしょうか?


成長率 倒産件数 00年~


 成長率高=倒産減 成長率低=倒産増・・・「思いたい」気持ちはわかりますが、これを主張するのは、相当苦しいです。
 「成長しようが、しまいが、倒産件数は一定で存在する」というのが、本当のところです。

③ おまけ

 輸出増=失業率減
 

輸出額 失業率


「輸出が伸びているときは、日本の景気がいい時だ、失業率も減るに違いない」と思いたいのは、やまやまですが、このブログをご覧になっている方なら、もう結果はお分かりのはずです。

 全く関係ありません。
 

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