「 リカード理論 「絶対優位」と「比較優位」の誤解」のコメント一覧

愛神将人さん

No title

決定的なエントリーだと思います。ただTPP反対論者(もはや自由貿易反対論者?)は絶対に納得しなさそうですね。

本当に「デフレ期の自由貿易」で国家がダメになるのだとしたら、何をどの程度失うのかを是非反対論者の方々には示してもらいたいですよね。特に「経済は数字だ!」と普段発言しているブログランキング1位の「あの個人消費取り崩し成長理論」の人とか・・・。

「TPP推進派は売国奴だ!」という話も聞きます。本当ならば、上記の「取り崩し成長理論」の方ととも輸出企業に抗議したらどうですかね。「お前たちはデフレを促進する売国奴だ!」って・・・。

呆れますね。菅原さんがコメント欄で厳しい返答を書くのも理解できます。

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平次さん

No title

この比較優位ですが、範囲を恣意的に買えられますよね。
日本国内ならA産業はB産業に比較優位。よってA産業に特化すべし。
北海道内ならB産業はC産業に比較優位。よってB産業に特化すべし。
岩手県内ならC産業はA産業に比較優位。よってC産業に特化すべし。
これでは、地域別に最適な状況が異なるため、結局国内の比較優位を決定できない。
するとどっかの地域、どっかの産業が政治的に押し通して自分たちを”比較優位”であることにする他なくなってしまう。
せっかくのリカードの理屈もこれでは無意味化しますね。

こういう問題意識はリカード自身は持たなかったんでしょうかね?
リカードの存命中にも「国」をグレート・ブリテンと捉えるか、イングランドととらえるか、スコットランドと捉えるか、あるいは大英帝国ととらえるか、問題になりそうな気がしますが?

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菅原さん

No title

 リカードが「英国」と、「ポルトガル」を例に出したのは、「ポルトガル」は大国で、「英国」は小国だったからです。

 
 絶対優位は「強い」です。絶対劣位は「弱い」です。相手の国(県)より、ここが「強い」というところがないと、「貿易利益」は生じないというのが、それまでの理論です。

 比較優位は「強い」「弱い」「大国」「小国」は関係ありませんよ、交換(貿易)は全ての国にとって「利益」を生じますよ・・という理論です。

 大国は「交換(貿易)」する必要はない(なにせ、全てにおいて絶対優位)。となるところを、「日本」という大国と「北朝鮮」と言う小国、「ジンバブエ」という小国間でも、必ず利益が生じますよ。という意味です。

 「でかい」「小さい」「強い」「弱い」は関係ありませんよという話です。

 比較優位は「生産性」ですから、岩手県内で「生産性の高い」「低い」は明らかになります。

 輸出(生産)は輸入(消費)するところがあって初めて生じます。岩手の個々の農業者・工業社・サービス業店は、それぞれ小さな輸出(生産)は輸入(消費)をしています。
 
 小さなところからいうと、農業者は農業製品の中で比較優位なものを探しています。工場も、サービス業もです。その比較優位に特化します。

 農業でいえば、牛も豚も鳥も、野菜も、花卉も果物も・・・とはなりません。工場も、ボルトからバネから、電子部品から・・・最終製品までとはなりません。
 サービス業も同じです。パンもご飯も、パスタも、ラーメンも、そばも、うどんも、お酒も、焼き鳥も・・・とはなりません。(まあ、何でも店は、「何でもある」に特化している(差別化)とは言えそうですが)。

 で、生産性の高い低いですが、スーパーの、お客さんが1時間100人と、個人商店の1時間3人では、生産性がどちらが高いかはあきらかです。

 少ないコスト(人件費・必要経費)で、最大の売上(もうけ)を得るというのが、「生産性」追及のことです。エコノミクス(エコ)は、効率追求のことです。時間・人・コストを最小限に・・・効率を追求すると、もうけは「最大限」になります。

 これは、個人個人、農業1軒1軒、工場1軒1軒、商店1軒1軒、飲食業1軒1軒で行っていることです。

 大規模経営の農業 (絶対優位農業家) だけが勝ちなわけではありません。農業法人ではなくとも、家族経営でも「儲かって」いる=最大効率の農家はたくさんあります。

 従業員100人のスーパーが勝ち、2人でやっている個人商店が負けではありません。

 これがミクロで、だんだんマクロになると、その県の農業では「コメ」より「野菜」「花卉」になるでしょうし、「肉牛」になることもあります。
 
 農業より、サービス業が「儲かる(効率がよい)」のであれば、サービス業になります。(昭和30年代に、農家の次男坊、三男坊は、長男含めてみんなで農業やるよりも、勤め人を選びました)
 
 農業は、戦後、生産性を上げたのです。だから、「最少人数」で、最大効率になっています。農家が儲かっていないわけではありません。「人」は要らないのです。
 
 コメなど、年に3週間も働けば十分です。それだけの労働力でできるので、70でも、80でもできるのです(機械化)。

 野菜や、酪農は、70歳、80歳ではできません。

 大規模経営ではなく、小規模でも、「利益」が生じれば、「交換」のメリットは生じます。

 年収500万の農家は「トヨタ」や「パナソニック」純利益億単位の企業と競争しているわけではありません。

 その人、その家、その企業、その業種、その中で、「比較優位(生産性高)」に特化しているのです。相手と比較して絶対優位を探しているのではありません。ですから、その人、その家、その企業、その業種、その中で、「比較優位(生産性高)」は変動します。

 比較優位は、もっとも「ミクロ」で生じ、それを足すと「マクロ」で結果が出ているものです。誰かと比較して「絶対優位」を探すわけではありません。
 比較優位が何かは、その人が自分で分かっていることです。

 輸出(生産)・輸入(消費)の積み重ねがGDPです。日本のGDPを47都道府県で区切って県輸出輸入を比較する事に意味はありません。もちろん、北海道が勝って岩手が負けたなど、ナンセンスもいいところです。

 世界GDP=世界GDEです。それを190カ国で区切って「輸出だ輸入だ」「勝ち負けだ」ということに、意味はまったくありません。

 

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さん

本エントリー中にあったTPP反対派のよく見る主張ですが、

(1)農産物の自給率が低下し、安全が脅かされる。→先生が以前から指摘されている通り、自給率を語る事自体がナンセンス。


(2)輸出が増える中国に有利、輸入する日本に不利。
→本エントリーにもある通り、貿易を勝ち負けで見るという誤った考え。


(3)中国の法制度が不備、ISD 条項と同じだ。
(5)中国から、単純労働者が流入し、日本の雇用が奪われる
→これは協定内容次第かもしれませんが、中国とは既に投資協定を結んでおり、既にISD条項も存在しているので、反対派がISD条項について主張したところで反論にならない。


質問
(4)デフレが加速する
これは「経済学」的に有り得るのでしょうか?
この辺が世間の常識と化してしまい、私も含め越えられないバカの壁となっているのだと思います。
よって反対派の最後の砦とも言える主張だと思いますが、これについて先生に解説して頂きたいです。
お時間のある時で構いませんので、ご迷惑でなければ宜しくお願い致します。

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菅原さん

No title

デフレの要因

今年の「経済白書」
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je11/pdf/p01013_1.pdf
で、分析されています。

 個人消費の内訳を耐久財(自動車やテレビ、パソコン等)、半耐久財(被服・履物等)、非耐久財(食料品等)、サービスに分けて動きを見ると、近年、耐久財の変動が大きく、それが消費支出の変化の方向を規定する傾向にあることが分かる。

 日本のデフレは、半耐久財・非耐久財の価格下落によるもので、サービス価格は逆に上昇しています。

 また、輸入財の価格低下によるデフレは、すでに否定されています。

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-602.html
デフレの特効薬は人民元切り上げ?

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平次さん

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どうも、私の言い方も適切ではないらしく趣旨が伝わらなかったようです。
すみません。
私の聞きたいのはこういうことです。

1、日本国ではA産業はB産業に比較優位。よって日本はA産業への特化が望ましい。
2、北海道ではB産業はC産業に比較優位。よって北海道はB産業への特化が望ましい。
3、札幌市はC産業はA産業に比較優位。よって札幌市はC産業への特化が望ましい。
4、ところで北海道は日本国内の部分、札幌市は北海道の部分、
5、1が成り立つならば、2と3は成り立たない。
6、2が成り立つならば、1と3は成り立たない。
7、3が成り立つならば、1と2は成り立たない。

こういうことは現実におこるのにリカードは問題にしていないなのか?

こういう質問です。

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さん

早速の解説ありがとうございました。
そもそも輸入がデフレの要因にすらなっていないので、加速させようがないですね。
大変勉強になりました。

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菅原さん

No title

リカードゥ『経済学および課税の原理』岩波文庫 上巻P190

「個別的利益のこの追求は、全体の普遍的利益と見事に結合される。

 勤勉の刺激、創意への報償、また自然が賦与した特殊諸力の最も有効な使用によって、それは労働を最も有効かつ最も経済的に配分する。
 
 一方、生産物の総量を増加することによって、それは全般的利益を広める。

 そして利益と交通という一本の共通の絆によって、文明世界の全体にわたる諸国民の普遍的社会を結び合わせる。」



 リカードにおいては、個人の利益追求と、全体の利益は結びついています。

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元リフレ派さん

特殊要素と所得分配

「国際経済 Ⅰ国際貿易」(第3版)(クルグマン/オブストフェルド
原著1994年)の第2章は、まさに、リガード・モデルの頑健さを説明している。
しかし、問題は、そのあとにあるのでは。
上記の教科書の第3章は、「特殊要素と所得分配」と題して、
冒頭次のように説明している。

「現実の世界では、残念ながら、貿易は各国の所得分配に少なからず
影響を与え、その結果、実際には貿易利益は大変不公平に分配される。」

そして、
「国際貿易が所得分配に強い影響を与える主な理由は2つある。まず第1に、
資源は即座にあるいは費用なしである産業から他の産業へ異動することができない。
第2に、各産業で必要とされる生産要素は異なる。・・・・この2つの理由によって、第2章で見たように国際墓言う駅が必ず人々に利益をもたらすということにならないのである。1国全体としては貿易が利益をもたらすとしても、国内のいくつかの重要なグループに少なくても短期的に損害を与えることも多い。」
とする。

「日本の米に関する政策を考えてみよう。土地が少ないことから米の価格が他の国(アメリカも含まれる)よりずっと高いにもかかわらず、日本はほとんど米の輸入を認めていない。米の輸入が自由化されれば日本全体として生活水準が上昇するのは間違いない。しかし日本の米作農家は自由化によって被害を受ける。輸入によって職のなくなった農民は日本の経済が完全雇用状態になれば製造業やサービス業で職を得ることができるだろうが、転職にはコストがかかりいろいろな不便も発生するだろう。さらに米の下落とともに農民が所有する土地の価格も低下するだろう。当然日本の米作農家は米の貿易自由化には激しく反対し、彼らのよく組織された政治的反対は日本全体としての貿易利益より重視される。」

現状は、まさにその通りでないか。クルグマン/オブストフェルドが言及している、「完全雇用状態」ということも、極めて厳しい前提であるのではないか?

その辺が、現実の論点ではないのか?

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菅原さん

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 「しかし日本の米作農家は自由化によって被害を受ける。輸入によって職のなくなった農民は日本の経済が完全雇用状態になれば製造業やサービス業で職を得ることができるだろうが、転職にはコストがかかりいろいろな不便も発生するだろう。さらに米の下落とともに農民が所有する土地の価格も低下するだろう。」


回答します。

 農業の現実については、
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-475.html
農業の神話(1)

 を参照下さい。

 内容をかいつまみます。日本の農家(農水省が計算している、農家とも言えない、第2種兼業農家=農業所得より、年金や、サラリー所得が多い層)は200万戸です。このなかには、親が80代で、子が40代の農家もダブルカウントされています。

 上位7%の農家で、生産額の6割を算出しています。さらに、専業農家は15%にしか過ぎません。残りの8割は、「兼業農家=疑似農家」です。農業を生業(なりわい)としていない人たちです。これも、農水省は「農業者」としてカウントします。

 特に、売り上げ100万以下の農家とは、他に仕事を持っている、「大規模家庭菜園層」のことです。趣味的農家です。退職したサラリーマンや公務員などの年金生活者のことです。

 200万戸のうち、180万戸が、「コメ作り」農家です。日本の農家の9割はコメ農家です。

 さて、200万戸の農家のうち、コメ作り180万戸、そのうち100万個は、1ha未満の農家です。日本の農家の50%は、1ha未満の「コメ作り」農家です。

 1haのコメ作りとは、20戸分のコメ作りであり、その年間収入は「数万円~10万円」の農家のことです。

 これは「農家」ではありません。でかい「家庭菜園」です。

 1ha未満のコメ農家とは、役所や農協、一般企業で働いている(いた)農地持ちサラリーマンのことです(私の山形県庄内地方の親戚も、そうです)。1haのコメ作り農作業時間は、年間で1~2週間です。農業所得は数万円~マイナス10万円です。でも兼業により総所得は平均で500万円になります。

 親の土地を相続した、定年退職者や、年金生活者が「趣味」でコメ作りをしているものです。転職も何も、もともと、すでに年金生活者です。

 コメ専業農家、かつ、それだけで生計を成り立たせている農家が、何件あると思いますか?




 「しかし日本の米作農家は自由化によって被害を受ける。輸入によって職のなくなった農民は日本の経済が完全雇用状態になれば製造業やサービス業で職を得ることができるだろうが、転職にはコストがかかりいろいろな不便も発生するだろう。さらに米の下落とともに農民が所有する土地の価格も低下するだろう。」

 さて、上記アメリカの経済学者が指摘する、「転職しなければいけない農家」は、何人、何戸、そして、何歳の人々ですか?

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