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リカード理論 「絶対優位」と「比較優位」の誤解

<比較優位>

 本当に、「簡単そうで、難解」であり、「知っている」と思っている人でも実は「分かっていない」例の典型です。


P・R・クルーグマン『国際経済学』ピアソン2010
p35
…比較優位そのものは単純な概念だが、多くの人々にとっては、理解するのが(あるいは受け入れるのが)驚くほど困難な概念であることはこれまでの経験が示している。
…国際貿易のモデルの構築に多大な貢献をしたノーベル賞経済学者のポール・サミュエルソンもこう述べている。「比較優位は、経済原則として否定しようのない事実であるにもかかわらず、賢明なる諸氏でさえ完全に納得しているわけではないものとして、自分が承知しているなかで、最も典型的な例である」





 中北徹 『入門・国際経済』ダイヤモンド社2005
P2
…第一線のエコノミスト、あるいは、経済学者でさえ、しばしばこの比較優位の原理の意味を、絶対優位と取り違えて議論しがちです。あえていえば、この理論を正しく理解することが国際経済学の全ての出発点になります。

P7
…一国経済における生産性上昇率の相対的な順位が重要なのです。したがって比較優位にもとづく産業・貿易論の本質はランキング競争であるといえます。ここに比較優位であって絶対優位ではないと強調する意味があるのです。
…こうした意味では、ある輸出産業や企業にとってのライバルが存在するとすれば、それはむしろ日本国内において台頭する、すぐれた商品分野であり、あるいは成長産業そのものであって、本当は海外の製品ではないのです。


P10『比較優位はどんどん変わる』
応用物理の専門家である北澤宏一氏…「輸出における真のライバルは、日本国内に台頭する輸出競争力により優れる他製品であり、海外の低労働コストではない」と強調しておられます。著者はこれを読んで驚嘆しました。比較優位の原理の神髄を看破する、日本の技術者の鋭い観察眼が示されていたからです。





櫨浩一『日本経済が何をやってもだめな本当の理由』2011年 日本経済新聞出版社
p109
比較優位の理論ほど実社会では誤解されたり無視されたりしているものも少ない。高名な経済人が、比較優位についてとんでもない間違いをいうのを何度も聞いたことがあるし、貿易の話になると、国際分業という発想はすっかりどこかに飛んでいってしまい、何でも国内で生産して海外に売った方がよいと考える人が多いのだ。




 これほど、重要なのに、これほど誤解されている理論もありません。

 そうですね。例えるとすれば、「北極はN極、南極はS極」という、常識論ですかねえ。
 
 違いますよね。本当は「北極はS極、南極はN極」ですよね。・・・だから、北極はNの針を引きつけ、南極はSの針をひきつけるのでしょう?

 これくらい、比較優位は180度誤解されています。


 簡単に言えば、「比較優位」を理解しているか否かが、「貿易(交換)」を語れる資格があるかどうか(運転するための免許を持っているか否か)の分かれ目です。

 TPPに関する、素人意見だろうがなんだろうが、それを言う人がいるのは、仕方のないことかもしれません。ですが、「免許を持たないで運転している」ことは、「免許」を持っている人から見たら、一目瞭然です。危なっかしくて、見ていられませんし、そばに近寄ったら、ぶつけられるかもしれません。

 あるいは、免許は持っているものの、「30キロ」しか出すことができず、周りに渋滞を作っているのに「本人は気づいていない」人とか。

 それほど、比較優位は、カンタン(自動車学校で免許は比較的誰でも取れる)なのに、「理解困難」という、理論の筆頭です。

 でも、今リカードがいたら、間違いなくノーベル賞です。日常(実践)の本質(理論)を見事に抽出したからです。「経済学上の最大の発見」なのです。


 中島隆信 慶大 「社会的弱者に雇用の場を」H22.5.10日経

…能力の劣る人は働く場所から排除されても当たり前と考える人がいるなら、それはとんでもない誤りである。経済学上最大の発見ともいわれる、比較優位の考え方は、弱者を社会から排除することの非合理性を見事に説明する。
 あらゆる面ですぐれた能力を持つ超人だとしても、全ての仕事をその人に任せることは合理的ではない。超人にせよ、弱者にせよ、全ての人がそのもっている能力のうちの相対的にすぐれた部分を最大限に生かして社会参加をし、後からその成果を配分した方が全ての人の利益を増やせるのである。



 改めて、比較優位を検証してみましょう。

詳しくは、カテゴリ リカード 比較優位 比較生産費 参照

特化する前の,両国の生産量は次のようになります。

リカード表4


では特化する前の状態を,グラフで表してみましょう。


リカード図2425.jpg


 この三角形で示された①②部分は,両国の生産可能領域(生産フロンティア)を示し,これが両国の最大生産量(斜辺部分)です。

12リカード表.jpg


 両国が特化した場合は,図24/25において,ポルトガルなら,ワインの生産量が3㍑のA点,イギリスならウールの生産量が,2.25㍍のB点となります。ポルトガルは,3㍑のワインを,イギリスのウール2.25㍍と交換(売買)します。これが貿易です。同じように,イギリスもウール2.25㍍と,3㍑のワインを交換(売買)します。それぞれの,貿易のパターン(どのような割合で交換するか)は,A点と,B点を結ぶ線で示すことができます。


              貿易する = 交換する 

 ポルトガルのワイン3㍑    ⇔  イギリスのウール2.25㍍
           A点     結ぶ    B点



リカード図2829.jpg


 両国は,貿易により,線AB上のあらゆる点を,選ぶことができます。三角形が大きくなっていることは,一目瞭然ですね。<リカード比較生産費説6 ミクロ経済学 予算線>で説明したように,三角形が大きくなるということは,実質所得が増え,商品購入の選択肢が拡大したことを示すのです。

 しかも,生産量はそれぞれ三角形①・②で示した部分です。貿易前は,生産量≧消費量で,三角形①・②が両国の,最大の消費量でした。それが③・④部分まで消費量が広がった・・・
「特化前は,生産量≧消費量だったものが,特化後は生産量<消費量となり,消費者効用が増大する」ということなのです。そして,これが,「自由貿易によって,全ての国が利益を得ることができる」

端折って説明すると、こうでした。

(1)誤解

絶対優位を比較優位と勘違いしている

 誤解とは「絶対優位なものに特化し、交換(輸出)する」です。


 アダムスミス山岡洋一訳『国富論(下)』2007日本経済新聞出版社

 賢明な家長なら、買う方が安くつくものは自分の家で作らないようにするのが当然である。仕立て屋は靴を自分で作ろうとせず、靴屋で買う。靴屋は服を自分で作ろうとせず、仕立て屋に注文する。農民は靴も服も自分では作らず、それぞれの職人に注文する。みな、近隣の人たちより、多少とも優位に立っている仕事に専念し、生産物の一部かその対価で、必要とするものを買うのが自分の利益になることを知っている。…自国で生産するより安い価格で外国から買える商品があれば、自国の労働は自国が多少とも優位にある産業に投じ、自国の生産物の一部でその商品を外国から買う方がいい。



 この説明、「比較優位」に見えますね。靴屋は靴屋、仕立て屋は仕立て屋、農民は農民、それぞれ優位にあるものに特化して交換する。

 違います。これは「絶対優位」論です。貿易相手国より安く生産できるものに特化して、互いに交換することが利益をもたらす・・・。
 
この考え方にたつと、以下の思想にまっしぐらです。

 日本は中国に安さでかなわない・・・。日本と中国は、競争をしている・・・。日本は負ける・・・。

 あらゆる分野で生産技術の劣っている国(絶対劣位国)が、優れている国(絶対優位)と貿易をしても、経済的に損害をこうむるのだ。貧しい発展途上国は、日本のような先進国と交換しても、利益はない。


 TPPを巡る論など、典型的ですよね。

 
 この、「絶対優位」に基づく誤解は、「相手国」と「自国」を比べて「優位だ、劣位だ」と言っていることにあります。

アダム・スミス 絶対優位.jpg


 農民のAさんは土地を持っている。服屋のBさんは、美的センスがある。靴屋のCさんは、繊細な仕事ができる。

 だから、Aさん、Bさん、Cさんは、それぞれ「靴・服・食糧」を自給せず、近隣の人たちより、多少とも優位に立っている仕事に専念し、生産物の一部かその対価で、必要とするものを買うのが自分の利益になる」と理解して、交換するのですよね。

 比較対象は、AさんはBさんに比べて・・・、CさんはBさんに比べて・・・・ですね。つまり「相手に対して自分は・・・・」となっています。Aさんは、「土地」について、Bさんに比べて「絶対優位」です。

 でも、このように「絶対優位」比較すると、「相手国」との比較になってしまいます。

 日本と中国です。中国のGDPは、2009年に日本を抜き、世界第2位の経済大国になりました。比較対象としては十分です。


中国 GDP 日本 アメリカ.jpg


 両国は、「絶対優位」なモノに特化します。

中国 日本 現在 比較優位.jpg

 この緑色部分が、「利益」でしたね。

 この場合、日本と中国は、「相手と比較して」絶対優位なものに特化しています。そうすると、「中国はライバル国」「勝つか負けるか、貿易戦争だ」「比較優位なものを見つけろ!(←これは誤解です)そうしないと負けてしまう」と、なってしまいます。

 違いましたよね。貿易(交換)は勝ち負けではなく、WIN-WINでしたよね。


(2)比較優位は、「国内の問題」

 リカードは、アダム・スミスの「絶対優位」論にたいして、「いいえ、そうではありません、『あらゆる産業において絶対劣位国でも、利益が出ますよ』」と言ったのです。

「リカード・モデル」では,各国の労働生産性の絶対的な違いは,貿易利益とは関係ないのです。ということは,ものすごく効率の悪い国が商品を作っても,貿易すれば,利益が上がるということです。本当でしょうか。

 数値を変えてみます。信じられないくらい,効率の悪い=むだな仕事をしている国を想定してみましょう。

15リカード表.jpg

 この場合,イギリスの労働生産性の低さは致命的です。「どうしてこの国は,こんなに生産性が低いのでしょう!」誰もが怒りだしそうです。しかし,これでも,イギリスには「利益がもたらされる」のです。では,特化してみましょう。

リカード表16.jpg



 これをグラフにしてみます。

3435リカード図.jpg

 どうでしょうか。三角形が大きくなっています。生産量はそれぞれ三角形①・②で示した部分です。それに加え,③・④部分の面積が大きくなっています。生産量<消費量が成立しています。消費の無差別曲線も右上にシフトしています(U1<U3,U2<U4)。

 労働生産性が極端に低いイギリスでも,貿易の利益を得ることができるのです。

 この、三角形の面積が同じなので、「誤解」してしまうかも知れません。

 前述の、中国と日本、1980年当時は、GDPは、日本の1/5です。


日本 中国 80年 GDP.jpg


日本 中国 GDP 5倍 80年当時.jpg

 中国からすると、日本は、体重5倍の大人です。日本の産業と比較するも何も、あらゆる産業で負けています(絶対劣位)。

 でも、リカードは、「中国にも利益が生じる」と言ったのです。

1980年当時 中国 日本 三角形.jpg



 国力で三角形を作ると、上記の図になります。中国からすれば、「日本と比較」云々以前の問題です。
 
 日本はなにせ「絶対優位」です。繊維産業だろうが、車産業だろうが、圧倒的に中国よりでかいです。

 でも、実際に、1980年当時、中国は上記のような、労働集約的産業(人海戦術)に特化しましたね。それは、「日本と比較して」ではないですね。

 中国が特化しているのは、「中国国内で比較優位な産業」に特化しているのです。そして、特化し、交換する事によって、利益を得ていたのです。

1980年当時 特化 交換 三角形.jpg


 貿易(交換)は、どんな小さな国でも、利益を得ているのです。

「勝ち負け」論が、アホなことが分かりますよね。1980年当時、中国は「負けてます」か?どこの国に負けたのですか?
 ちゃんと「生産量<消費量」になっていますよね。GDPは日本の1/5ですが。



 「比較優位」は、「国内で比較」するのです。あらゆる分野で劣っている「絶対劣位国内での、比較」、あらゆる分野で優れている「絶対優位国内での、比較」なのです。


 どんな小国、アフリカの国でも、「国内で比較優位」なものはありますし、日本のような大国でも、「国内で比較劣位」な産業は存在します。

「相手国」と比較・競争しているのではありません。国内産業で、「生産性」競争をしているのです。
 

中北徹 『入門・国際経済』ダイヤモンド社2005
P7
一国経済における生産性上昇率の相対的な順位が重要なのです。したがって比較優位にもとづく産業・貿易論の本質はランキング競争であるといえます。ここに比較優位であって絶対優位ではないと強調する意味があるのです。
…こうした意味では、ある輸出産業や企業にとってのライバルが存在するとすれば、それはむしろ日本国内において台頭する、すぐれた商品分野であり、あるいは成長産業そのものであって、本当は海外の製品ではないのです。

 同p6


比較優位 国内産業 生産性.jpg


 ライバル(競争相手)は、国内間での「生産性」競争相手です。だから、どんどん変わります。


P10『比較優位はどんどん変わる-日本産業の発展図式』
応用物理の専門家である北澤宏一氏(東京大学工学部教授)…「輸出における真のライバルは、日本国内に台頭する輸出競争力により優れる他製品であり、海外の低労働コストではない」と強調しておられます。著者はこれを読んで驚嘆しました。比較優位の原理の神髄を看破する、日本の技術者の鋭い観察眼が示されていたからです。


 比較優位論の本質をつかんでいることが分かります。

P11

比較優位 国内産業 盛衰.jpg


 初めは「タイプライター」「電卓」だったのが、2000年にはコピー機に変わっています。


東学 資料『政・経 2011』p322

産業構造 変化.jpg

 外国と「勝ち負け」を競っているのではありません

 この「比較優位・比較生産費」説が「分かる」と、下記の言葉が「分かる」ようになります。



N・グレゴリー・マンキュー『マンキュー経済学』東洋経済新報社 2008 p18

第8原理:生活水準は財サービスの生産能力に依存している

 世界全体を見渡した時、生活水準の格差には圧倒されるものがある。2000年のアメリカ人の平均所得は約34100ドルであった。…ナイジェリア人の平均所得は800ドルであった。平均所得に現れた、この大きな格差が、生活の質を測るさまざまな尺度にされているといっても驚くには当たらないだろう。

…国や時代の違いによって生活水準に大きな格差が変化があるのはなぜだろうか。その答えは驚くほど簡単である。生活水準の格差や変化のほとんどは、各国の生産性によって説明できる。生産性とは1人の労働者が1時間あたりに生産する財・サービスの量である。労働者の1時間当たりの生産量が多い国ではほとんどの人々が高い生活水準を享受している。労働者の生産性が低い国ほとんどの人が、最も低い生活水準を甘受しなければならない。同様に、一国の生産性の成長率は平均所得の成長率を決定する。

アメリカの所得が1970年代と1980年代に低成長だったのは、日本をはじめとする外国との競争のせいであると主張する評論家たちがいる。しかし、本当の悪者は海外との競争ではなく、アメリカ国内における生産性の成長率の低下なのである。



 貿易(交換)は競争ではないのです。中国は、日本と競争して、この30年をかけて、世界第2位の経済大国になったのではありません



ポール・クルーグマン 山形浩生訳 『クルーグマン教授の経済学入門』主婦の友社1999 p41
「みんなが,『アメリカの競争力』とか言ってるのは,ありゃいったい何のことかって?答えはだねえ,残念ながら要するにそいつら,たいがいは自分が何言ってんだか,まるっきりわかっちゃいないってことよ」




 拙著『高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門』2009 p65
リカード 世界の国々.jpg


<哲学的領域>

 だから、手のない人も、目の見えない人も、勉強が苦手な人も、理系科目より文系科目が得意な人も、音楽が得意な人も、宿題より人を笑わせるのが得意な人も、サッカー選手にでも野球選手にでもなれる人も、背の高い人も、医者にでも弁護士にでもなれる人も・・・・、皆「幸せ」になれる理論なのです。

 この世に自分と同じ人は2人といません(唯一1回性)。その人の存在は、人類の歴史上、たった1回です。「なぜ、生まれてきたのか」に答えられる理論です。

 自分のなかで「比較優位なものに特化し生産すること=他人の消費財を増やすこと」です。「何かに打ち込むこと=即それが他者の『豊かさ』を生み出すこと」なのです。

 自分のために働くこと→=他者のためになっている。

経済学上の最大の発見」なのです。


<追記 日中韓FTA>

日経H23.12.11

日中韓 FTA.jpg
日中韓 FTA2.jpg

 さて、日中韓でFTA(TPPもこの一種)交渉を行うようです。

 TPPに反対の論陣を張った方は当然、この交渉にも反対することでしょう。

いわく

(1)農産物の自給率が低下し、安全が脅かされる。
  (毒入り餃子事件に代表される安全性の問題)

(2)輸出が増える中国に有利、輸入する日本に不利。
  (低価格商品に席巻され、日本の産業の空洞化が促進される)

(3)中国の法制度が不備、ISD 条項と同じだ。
  (WTOのセーフガードに基づいて日本はネギ・畳表の緊急輸入停止を行ったが、中国は自動車関税を上げて対抗した・レアアースの輸出規制を行った・・・etc)

(4)デフレが加速する
 (2)と同じ理由

(5)中国から、単純労働者が流入し、日本の雇用が奪われる



 もし、TPP反対者が、TPP反対時の、上記論陣(論理)を張らないなら、TPP反対論者は完全に「ダブル・スタンダード」(主張を使い分け、一貫性がまったくない)であることになります。

 予想です。反対論者(山田元農水副大臣など政治家含む)は、日中韓FTAには声を上げないでしょう。結局彼らの主張なんてそんな程度のものです。


<追記 質問を頂きました>


デフレの要因

今年の「経済白書」
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je11/pdf/p01013_1.pdf
で、分析されています。


  個人消費の内訳を耐久財(自動車やテレビ、パソコン等)、半耐久財(被服・履物等)、非耐久財(食料品等)、サービスに分けて動きを見ると、近年、耐久財の変動が大きく、それが消費支出の変化の方向を規定する 傾向にあることが分かる。



 日本のデフレは、半耐久財・非耐久財の価格下落によるもので、サービス価格は逆に上昇しています。

 また、輸入財の価格低下によるデフレは、すでに否定されています。

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-602.html
デフレの特効薬は人民元切り上げ?


<追記>

 日経の記事を紹介しました。
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-643.html
「やればできる! 日銀その3」

 この連載記事には、続きがあります。30代の人は、就職氷河期を乗り越えてきました。その30代からすると、40代のバブル時代に就職した人たちに対する同情は一切ないそうです。

 自らのスキルをアップすることを当然と思い、それを強いられてきた世代から見れば、40代の、何のスキルも身に着けようとしなかった世代など、「リストラされて当然」だろうという感覚しか持っていないそうです。

 彼ら30代は、英語や簿記や会計や、簡単に取れないスキルを身に着けるために、必死に努力してきました。ダブル・スクールも、30代世代から一般化しました。

 皆さん、自分の生産性を少しでも上げるために、努力していますか?今の職を失っても食べていけるだけのスキルを身に着けようとしていますか?

 何か資格を取ろうと努力していますか?1日1時間、そのために勉強していますか?何のスキルもない人が、「正社員」という肩書に守られているだけで、そこに安住・依存していませんか?
 そんなあなたを、年収500万でやとってくれる企業があるのですか?

 今の時代、モノ・サービスが売れる秘訣は、「差異化」にあります。商品も「大量生産」ではなく「差異化」に秘訣があることは、みなさんご存じのことと思います。

 他社と違う製品、高かろうが、それだけの価値を消費者が認めてカネを出すモノ・サービスを必死になって企業は考えています。

 皆さん自身は500万で売れる商品ですか?250万でしか売れない?そりゃそうです。市場(お客さん=労働力を買ってくれる企業)は、あなたには250万の価値しかないと判断しているからです。差異化=人と違うスキル:資格だったり、行動力だったり、発想力だったり・・・これがない商品は、市場では見向きもされないことは、皆さんが「消費者」として、よく御存じのことと思います。皆さんが消費者として、(生産者側からすると大変きつい選別)を日常的に行っているように、皆さんが売り手になったら、当然買い手は厳しく選別します。

 ひとたび、「労働市場」に身を投げ出したら、皆さんは、単なる「商品」です。その瞬間に、消費者という買い手から、生産者という売り手になります。企業はその「商品」を、時給いくらで買うかを決めるお客さんです。

 消費者として気まぐれにモノ・サービスを選択し、生産者はその消費者に振り回されて大変なサバイバルをしているのに、ひとたび、消費者(買い手)から生産者(売り手)になったとたん「つらい・・」ですか?

 企業は変化に合わせて、常に改革を行い、新しいモノ・サービスを提供しています。「売れないのは、変化する市場が悪い!」こんな泣き言なんて誰も聞いてくれません。

 周りの変化に合わせて、自分を変えていく、モノ・サービスを変えていく、そういう企業が生き残っていくのです。また、そうでなければ、生き残れません。

 自分が消費者の立場で、そのような選択を企業に強いておいて、いざ自分が生産者(労働力を提供する側)に回ったら、大変だ大変だ・・・。これが通用すると思いますか?

 生産性を少しでも高める、差異化を追求する、消費者にとって魅力ある商品を提供する・・消費者の声を聴く・・・生産者がやらなくてはいけないことです。生き残るために当たり前のことです。

 「強いものが生き残るのではない。変化に対応できる種が生き残る・・・」ダーウィンの進化論です。

 戦争になったら、大学の歴史教師など、二束三文の価値しかありません(シンドラーのリスト)。戦争が終わり捕虜生活になったら、軍隊の肩書など、何の役にも立ちません(会田雄次:アーロン収容所)。

 正社員に、公務員になって10年、20年、その10年・20年で何かスキルや資格を身に着けましたか?会社がある日突然つぶれても(山一證券や、ダイエーや、日航や、東電や・・・)リストラされても、公務員がリストラされる時代になっても(橋本大阪市長はそれを行うつもりです)、生き残れるスキルを身に着けようと努力してきましたか?

 比較優位論は、「発展途上国に不利、先進国に有利」「農業国はずっと農業国、工業国はずっと工業国」ではないと説明してきました。

「比較優位は常に変動する」「国と国との比較ではなく、国の中で、個人の中で比較優位に特化する」理論でしたよね。

 固定化を選択した人や、企業や、国を助ける理論ではありません。


 30代社員の考え方は、現実に存在していますが、その現実を否定できますか?「現実が間違っている」という昔のマルクス経済学者のように。
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comment

Secret

No title

決定的なエントリーだと思います。ただTPP反対論者(もはや自由貿易反対論者?)は絶対に納得しなさそうですね。

本当に「デフレ期の自由貿易」で国家がダメになるのだとしたら、何をどの程度失うのかを是非反対論者の方々には示してもらいたいですよね。特に「経済は数字だ!」と普段発言しているブログランキング1位の「あの個人消費取り崩し成長理論」の人とか・・・。

「TPP推進派は売国奴だ!」という話も聞きます。本当ならば、上記の「取り崩し成長理論」の方ととも輸出企業に抗議したらどうですかね。「お前たちはデフレを促進する売国奴だ!」って・・・。

呆れますね。菅原さんがコメント欄で厳しい返答を書くのも理解できます。

No title

この比較優位ですが、範囲を恣意的に買えられますよね。
日本国内ならA産業はB産業に比較優位。よってA産業に特化すべし。
北海道内ならB産業はC産業に比較優位。よってB産業に特化すべし。
岩手県内ならC産業はA産業に比較優位。よってC産業に特化すべし。
これでは、地域別に最適な状況が異なるため、結局国内の比較優位を決定できない。
するとどっかの地域、どっかの産業が政治的に押し通して自分たちを”比較優位”であることにする他なくなってしまう。
せっかくのリカードの理屈もこれでは無意味化しますね。

こういう問題意識はリカード自身は持たなかったんでしょうかね?
リカードの存命中にも「国」をグレート・ブリテンと捉えるか、イングランドととらえるか、スコットランドと捉えるか、あるいは大英帝国ととらえるか、問題になりそうな気がしますが?

No title

 リカードが「英国」と、「ポルトガル」を例に出したのは、「ポルトガル」は大国で、「英国」は小国だったからです。

 
 絶対優位は「強い」です。絶対劣位は「弱い」です。相手の国(県)より、ここが「強い」というところがないと、「貿易利益」は生じないというのが、それまでの理論です。

 比較優位は「強い」「弱い」「大国」「小国」は関係ありませんよ、交換(貿易)は全ての国にとって「利益」を生じますよ・・という理論です。

 大国は「交換(貿易)」する必要はない(なにせ、全てにおいて絶対優位)。となるところを、「日本」という大国と「北朝鮮」と言う小国、「ジンバブエ」という小国間でも、必ず利益が生じますよ。という意味です。

 「でかい」「小さい」「強い」「弱い」は関係ありませんよという話です。

 比較優位は「生産性」ですから、岩手県内で「生産性の高い」「低い」は明らかになります。

 輸出(生産)は輸入(消費)するところがあって初めて生じます。岩手の個々の農業者・工業社・サービス業店は、それぞれ小さな輸出(生産)は輸入(消費)をしています。
 
 小さなところからいうと、農業者は農業製品の中で比較優位なものを探しています。工場も、サービス業もです。その比較優位に特化します。

 農業でいえば、牛も豚も鳥も、野菜も、花卉も果物も・・・とはなりません。工場も、ボルトからバネから、電子部品から・・・最終製品までとはなりません。
 サービス業も同じです。パンもご飯も、パスタも、ラーメンも、そばも、うどんも、お酒も、焼き鳥も・・・とはなりません。(まあ、何でも店は、「何でもある」に特化している(差別化)とは言えそうですが)。

 で、生産性の高い低いですが、スーパーの、お客さんが1時間100人と、個人商店の1時間3人では、生産性がどちらが高いかはあきらかです。

 少ないコスト(人件費・必要経費)で、最大の売上(もうけ)を得るというのが、「生産性」追及のことです。エコノミクス(エコ)は、効率追求のことです。時間・人・コストを最小限に・・・効率を追求すると、もうけは「最大限」になります。

 これは、個人個人、農業1軒1軒、工場1軒1軒、商店1軒1軒、飲食業1軒1軒で行っていることです。

 大規模経営の農業 (絶対優位農業家) だけが勝ちなわけではありません。農業法人ではなくとも、家族経営でも「儲かって」いる=最大効率の農家はたくさんあります。

 従業員100人のスーパーが勝ち、2人でやっている個人商店が負けではありません。

 これがミクロで、だんだんマクロになると、その県の農業では「コメ」より「野菜」「花卉」になるでしょうし、「肉牛」になることもあります。
 
 農業より、サービス業が「儲かる(効率がよい)」のであれば、サービス業になります。(昭和30年代に、農家の次男坊、三男坊は、長男含めてみんなで農業やるよりも、勤め人を選びました)
 
 農業は、戦後、生産性を上げたのです。だから、「最少人数」で、最大効率になっています。農家が儲かっていないわけではありません。「人」は要らないのです。
 
 コメなど、年に3週間も働けば十分です。それだけの労働力でできるので、70でも、80でもできるのです(機械化)。

 野菜や、酪農は、70歳、80歳ではできません。

 大規模経営ではなく、小規模でも、「利益」が生じれば、「交換」のメリットは生じます。

 年収500万の農家は「トヨタ」や「パナソニック」純利益億単位の企業と競争しているわけではありません。

 その人、その家、その企業、その業種、その中で、「比較優位(生産性高)」に特化しているのです。相手と比較して絶対優位を探しているのではありません。ですから、その人、その家、その企業、その業種、その中で、「比較優位(生産性高)」は変動します。

 比較優位は、もっとも「ミクロ」で生じ、それを足すと「マクロ」で結果が出ているものです。誰かと比較して「絶対優位」を探すわけではありません。
 比較優位が何かは、その人が自分で分かっていることです。

 輸出(生産)・輸入(消費)の積み重ねがGDPです。日本のGDPを47都道府県で区切って県輸出輸入を比較する事に意味はありません。もちろん、北海道が勝って岩手が負けたなど、ナンセンスもいいところです。

 世界GDP=世界GDEです。それを190カ国で区切って「輸出だ輸入だ」「勝ち負けだ」ということに、意味はまったくありません。

 

本エントリー中にあったTPP反対派のよく見る主張ですが、

(1)農産物の自給率が低下し、安全が脅かされる。→先生が以前から指摘されている通り、自給率を語る事自体がナンセンス。


(2)輸出が増える中国に有利、輸入する日本に不利。
→本エントリーにもある通り、貿易を勝ち負けで見るという誤った考え。


(3)中国の法制度が不備、ISD 条項と同じだ。
(5)中国から、単純労働者が流入し、日本の雇用が奪われる
→これは協定内容次第かもしれませんが、中国とは既に投資協定を結んでおり、既にISD条項も存在しているので、反対派がISD条項について主張したところで反論にならない。


質問
(4)デフレが加速する
これは「経済学」的に有り得るのでしょうか?
この辺が世間の常識と化してしまい、私も含め越えられないバカの壁となっているのだと思います。
よって反対派の最後の砦とも言える主張だと思いますが、これについて先生に解説して頂きたいです。
お時間のある時で構いませんので、ご迷惑でなければ宜しくお願い致します。

No title

デフレの要因

今年の「経済白書」
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je11/pdf/p01013_1.pdf
で、分析されています。

 個人消費の内訳を耐久財(自動車やテレビ、パソコン等)、半耐久財(被服・履物等)、非耐久財(食料品等)、サービスに分けて動きを見ると、近年、耐久財の変動が大きく、それが消費支出の変化の方向を規定する傾向にあることが分かる。

 日本のデフレは、半耐久財・非耐久財の価格下落によるもので、サービス価格は逆に上昇しています。

 また、輸入財の価格低下によるデフレは、すでに否定されています。

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-602.html
デフレの特効薬は人民元切り上げ?

No title

どうも、私の言い方も適切ではないらしく趣旨が伝わらなかったようです。
すみません。
私の聞きたいのはこういうことです。

1、日本国ではA産業はB産業に比較優位。よって日本はA産業への特化が望ましい。
2、北海道ではB産業はC産業に比較優位。よって北海道はB産業への特化が望ましい。
3、札幌市はC産業はA産業に比較優位。よって札幌市はC産業への特化が望ましい。
4、ところで北海道は日本国内の部分、札幌市は北海道の部分、
5、1が成り立つならば、2と3は成り立たない。
6、2が成り立つならば、1と3は成り立たない。
7、3が成り立つならば、1と2は成り立たない。

こういうことは現実におこるのにリカードは問題にしていないなのか?

こういう質問です。

早速の解説ありがとうございました。
そもそも輸入がデフレの要因にすらなっていないので、加速させようがないですね。
大変勉強になりました。

No title

リカードゥ『経済学および課税の原理』岩波文庫 上巻P190

「個別的利益のこの追求は、全体の普遍的利益と見事に結合される。

 勤勉の刺激、創意への報償、また自然が賦与した特殊諸力の最も有効な使用によって、それは労働を最も有効かつ最も経済的に配分する。
 
 一方、生産物の総量を増加することによって、それは全般的利益を広める。

 そして利益と交通という一本の共通の絆によって、文明世界の全体にわたる諸国民の普遍的社会を結び合わせる。」



 リカードにおいては、個人の利益追求と、全体の利益は結びついています。

特殊要素と所得分配

「国際経済 Ⅰ国際貿易」(第3版)(クルグマン/オブストフェルド
原著1994年)の第2章は、まさに、リガード・モデルの頑健さを説明している。
しかし、問題は、そのあとにあるのでは。
上記の教科書の第3章は、「特殊要素と所得分配」と題して、
冒頭次のように説明している。

「現実の世界では、残念ながら、貿易は各国の所得分配に少なからず
影響を与え、その結果、実際には貿易利益は大変不公平に分配される。」

そして、
「国際貿易が所得分配に強い影響を与える主な理由は2つある。まず第1に、
資源は即座にあるいは費用なしである産業から他の産業へ異動することができない。
第2に、各産業で必要とされる生産要素は異なる。・・・・この2つの理由によって、第2章で見たように国際墓言う駅が必ず人々に利益をもたらすということにならないのである。1国全体としては貿易が利益をもたらすとしても、国内のいくつかの重要なグループに少なくても短期的に損害を与えることも多い。」
とする。

「日本の米に関する政策を考えてみよう。土地が少ないことから米の価格が他の国(アメリカも含まれる)よりずっと高いにもかかわらず、日本はほとんど米の輸入を認めていない。米の輸入が自由化されれば日本全体として生活水準が上昇するのは間違いない。しかし日本の米作農家は自由化によって被害を受ける。輸入によって職のなくなった農民は日本の経済が完全雇用状態になれば製造業やサービス業で職を得ることができるだろうが、転職にはコストがかかりいろいろな不便も発生するだろう。さらに米の下落とともに農民が所有する土地の価格も低下するだろう。当然日本の米作農家は米の貿易自由化には激しく反対し、彼らのよく組織された政治的反対は日本全体としての貿易利益より重視される。」

現状は、まさにその通りでないか。クルグマン/オブストフェルドが言及している、「完全雇用状態」ということも、極めて厳しい前提であるのではないか?

その辺が、現実の論点ではないのか?

No title

 「しかし日本の米作農家は自由化によって被害を受ける。輸入によって職のなくなった農民は日本の経済が完全雇用状態になれば製造業やサービス業で職を得ることができるだろうが、転職にはコストがかかりいろいろな不便も発生するだろう。さらに米の下落とともに農民が所有する土地の価格も低下するだろう。」


回答します。

 農業の現実については、
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-475.html
農業の神話(1)

 を参照下さい。

 内容をかいつまみます。日本の農家(農水省が計算している、農家とも言えない、第2種兼業農家=農業所得より、年金や、サラリー所得が多い層)は200万戸です。このなかには、親が80代で、子が40代の農家もダブルカウントされています。

 上位7%の農家で、生産額の6割を算出しています。さらに、専業農家は15%にしか過ぎません。残りの8割は、「兼業農家=疑似農家」です。農業を生業(なりわい)としていない人たちです。これも、農水省は「農業者」としてカウントします。

 特に、売り上げ100万以下の農家とは、他に仕事を持っている、「大規模家庭菜園層」のことです。趣味的農家です。退職したサラリーマンや公務員などの年金生活者のことです。

 200万戸のうち、180万戸が、「コメ作り」農家です。日本の農家の9割はコメ農家です。

 さて、200万戸の農家のうち、コメ作り180万戸、そのうち100万個は、1ha未満の農家です。日本の農家の50%は、1ha未満の「コメ作り」農家です。

 1haのコメ作りとは、20戸分のコメ作りであり、その年間収入は「数万円~10万円」の農家のことです。

 これは「農家」ではありません。でかい「家庭菜園」です。

 1ha未満のコメ農家とは、役所や農協、一般企業で働いている(いた)農地持ちサラリーマンのことです(私の山形県庄内地方の親戚も、そうです)。1haのコメ作り農作業時間は、年間で1~2週間です。農業所得は数万円~マイナス10万円です。でも兼業により総所得は平均で500万円になります。

 親の土地を相続した、定年退職者や、年金生活者が「趣味」でコメ作りをしているものです。転職も何も、もともと、すでに年金生活者です。

 コメ専業農家、かつ、それだけで生計を成り立たせている農家が、何件あると思いますか?




 「しかし日本の米作農家は自由化によって被害を受ける。輸入によって職のなくなった農民は日本の経済が完全雇用状態になれば製造業やサービス業で職を得ることができるだろうが、転職にはコストがかかりいろいろな不便も発生するだろう。さらに米の下落とともに農民が所有する土地の価格も低下するだろう。」

 さて、上記アメリカの経済学者が指摘する、「転職しなければいけない農家」は、何人、何戸、そして、何歳の人々ですか?

No title

「どこの国も十分な労働力をかければ同じ品質のものを作れる」という強力な仮定が効いていますが現実の問題に容易に適用出来るのでしょうか? 異なる産業間の労働力の移動も容易ではないと思いますし。

No title

 中国の80年代は、生産品の品質も量も、日本の比ではありませんでした。

 また、日本の50年代も、「MADE IN JAPAN=安かろう悪かろう」の代名詞で、ブリキのおもちゃを輸出していました。

 今のベトナム製おもちゃ・コーヒー並みの品質です。

 どちらも、当時は圧倒的な比較劣位の国です。しかし、日本も、中国も、今日世界2位3位の経済大国になりました。

 比較優位は、「絶対劣位」でも、利益が生じるという理論です。しかも、どこかの国と競っている(これでは50年代の日本は、アメリカに太刀打ちできない)のではなく、国内で競っているのです。

 サミュエルソンの言う、弁護士でかつタイプ打ちの早い人(絶対優位)と、法を知らないタイプ打ちの遅い秘書(絶対劣位)との間でも、特化し交換すれば利益が生じるというものです。

 比較劣位産業に失業者があふれると言う話も、?です。

 日本は60年代に石炭→石油産業になりました。石炭産業は「国策」で守られた産業で、電力会社は「高い石炭購入」を義務付けられていました。

 比較優位産業は、生産性が高く、結果GDP増に貢献している産業のことです。

 北海道は炭鉱は閉山しましたが、この業界は、「補助金」「国策」で、スキルがなくても、給与の高かった(当時)業界です。

 その失業を防ぐために、補助金・国策を続けますか?石炭産業からの転職者は、みな給与減りましたか?

 農業、野菜・花卉・果物は、そもそも関税が低く、にも関わらず、十分専業でやっていける業界です。

 コメや酪農(生乳)チーズ・バターは、高関税・生産量調整で守られています。778%の関税と、総量規制(減反)と、生産調整です。

 両者ともに、余っているのです。余っているから、減反し、生産量調整し、高関税をかけているのです。少子化で生乳激減です。大人は牛乳飲みません。

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-386.html
日経H22.6.19『コメ販売 価格より量 ブランド育成 後回し』参照

 だから、バター品薄とか、平気で起こってしまいます。自然と、消費量が減っている業界を、守ろうというのは、どういう理由からですか?

 北海道の道北地方・道東地方は、離農牛舎が非常に多いです。(一方、中標津のように豊かな農村もあります)



 小売店、ピーク時より48%減です。でも、「個人商店守ろう」という声はありません。レコード(CD店)激減です。書店激減です。でもこれらを「守らなければ」という声は聞いた事がありません。

 そもそも、小売店(個人商店)激減は、高齢化で、後継者がいないからです。もうかるなら、後継者は必ずいます。

 コメ農家、特に1Ha農家はすでに平均65歳を超えています。TPP即時参加で、完成するのは、10年後。2年後参加で、12年後です。65歳の擬似農家は、75歳~77歳になっています。

 彼らの再就職先を考えるのですか?仕事どころか、日常生活さえ不便になっている年代です。

 「3ちゃん農業」の時代から、すでに後継者はいないのです。

 

 朝日新聞 北海道版 H23.10.28

…東旭川農協…。10年度の農業戸数は507戸で、5年間で177戸減少する一方、この10年間の就農者は40人だけ。
…10年間で…46都府県の耕作放棄地は5万ha(15%)拡大して38万haになった。
…道内農家の…65歳以上の高齢者が全体の3割を超える。…このままだと今後10年間で約4割減少する。


 北海道のような、経営規模の大きな農家でも、この状況です。誰も、自分の子どもに継がせようとしていないのです。子どもも継ごうとしていません。

 儲かる(比較優位)なら、後継者は必ずいます。


 自由化していない段階で、このような状況です。今現在で、耕作放棄地は、埼玉県と同じ面積です。

 「補助金」「国策」業界体質は、60年代の石炭産業と全く同じです。

 一体、「異なる産業間の労働力の移動」というのは、誰を、どの業界を、想定しているのですか?

No title

あー、これなんですけど、こういう面はありませんかねぇ?

A比較劣位産業:労働者の一部が失業→早期引退。家業に転身。行方不明&自殺。
B比較優位産業:新規就労の若年就労者が集中。一部が他の産業から転入。

Aの離職者数≒Bの就労者数なので、数字上A→Bに労働移動があるように見えますが、中身の人間は果たして同一でしょうか?
就労者数の変化=離職者ー新規就労者…ですから、AとBのそれぞれの離職者の平均年齢と新規就労者の平均年齢を見れば確かめられるのではないでしょうか?

>異なる産業間の労働力の移動も容易ではない
・・・と指摘してらっしゃる方がおります。おそらくこの方も、統計上労働移動がおきていても、労働者個々人が移動しているわけではないのではないかと疑ってらっしゃるのではありませんか?

実は、私も転職組でして、当初は民間のかなりいいところにいました。バブル世代ですので。
訳ありで会社を辞め、思うところあって公務員に転職したのですが、その時間的経済的負担の大きかったこと大きかったこと。
バブル期ですら自主的失業で人生を変えるということは、とても大変なことでした。
まして、不況下で非自発的失業を強いられ、異業種に転じると言うのはとても勇気のいることですし、勇気があっても困難でしょう。

どうやら我が国では、一部の技術者を除けば、転職とは同一業種内で労働条件を下げることのようです。
それ以外の場合、転職者には割りに合わない凄まじい負担を強いられてます。
この場合、多くの人は飯さえ食えるなら異業種への転換をあきらめるでしょう。
継げる家業があるならそちらに、わずかでも年金が出るならひっそりと、人生の最後をおくることになる。
それもない人はガード下でダンボール生活→人口統計から消滅(死亡とは限らない)

考えただけで暗くなってました。
自分もそうなってしまいそうな気がします。


(バブル期だったので「公務員なんかになるなって馬鹿だ」と笑われたものです)

No title

すみません。一般論として、きついことを書きます。

 日経の記事を紹介しました。
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-643.html
「やればできる! 日銀その3」

 この連載記事には、続きがあります。30代の人は、就職氷河期を乗り越えてきました。その30代からすると、40代のバブル時代に就職した人たちに対する同情は一切ないそうです。

 自らのスキルをアップすることを当然と思い、それを強いられてきた世代から見れば、40代の、何のスキルも身に着けようとしなかった世代など、「リストラされて当然」だろうという感覚しか持っていないそうです。

 彼ら30代は、英語や簿記や会計や、簡単に取れないスキルを身に着けるために、必死に努力してきました。ダブル・スクールも、30代世代から一般化しました。

 皆さん、自分の生産性を少しでも上げるために、努力していますか?今の職を失っても食べていけるだけのスキルを身に着けようとしていますか?

 何か資格を取ろうと努力していますか?1日1時間、そのために勉強していますか?何のスキルもない人が、「正社員」という肩書に守られているだけで、そこに安住・依存していませんか?
 そんなあなたを、年収500万でやとってくれる企業があるのですか?

 今の時代、モノ・サービスが売れる秘訣は、「差異化」にあります。商品も「大量生産」ではなく「差異化」に秘訣があることは、みなさんご存じのことと思います。

 他社と違う製品、高かろうが、それだけの価値を消費者が認めてカネを出すモノ・サービスを必死になって企業は考えています。

 皆さん自身は500万で売れる商品ですか?250万でしか売れない?そりゃそうです。市場(お客さん=労働力を買ってくれる企業)は、あなたには250万の価値しかないと判断しているからです。差異化=人と違うスキル:資格だったり、行動力だったり、発想力だったり・・・これがない商品は、市場では見向きもされないことは、皆さんが「消費者」として、よく御存じのことと思います。皆さんが消費者として、(生産者側からすると大変きつい選別)を日常的に行っているように、皆さんが売り手になったら、当然買い手は厳しく選別します。

 ひとたび、「労働市場」に身を投げ出したら、皆さんは、単なる「商品」です。その瞬間に、消費者という買い手から、生産者という売り手になります。企業はその「商品」を、時給いくらで買うかを決めるお客さんです。

 消費者として気まぐれにモノ・サービスを選択し、生産者はその消費者に振り回されて大変なサバイバルをしているのに、ひとたび、消費者(買い手)から生産者(売り手)になったとたん「つらい・・」ですか?

 企業は変化に合わせて、常に改革を行い、新しいモノ・サービスを提供しています。「売れないのは、変化する市場が悪い!」こんな泣き言なんて誰も聞いてくれません。

 周りの変化に合わせて、自分を変えていく、モノ・サービスを変えていく、そういう企業が生き残っていくのです。また、そうでなければ、生き残れません。

 自分が消費者の立場で、そのような選択を企業に強いておいて、いざ自分が生産者(労働力を提供する側)に回ったら、大変だ大変だ・・・。これが通用すると思いますか?

 生産性を少しでも高める、差異化を追求する、消費者にとって魅力ある商品を提供する・・消費者の声を聴く・・・生産者がやらなくてはいけないことです。生き残るために当たり前のことです。

 「強いものが生き残るのではない。変化に対応できる種が生き残る・・・」ダーウィンの進化論です。

 戦争になったら、大学の歴史教師など、二束三文の価値しかありません(シンドラーのリスト)。戦争が終わり捕虜生活になったら、軍隊の肩書など、何の役にも立ちません(会田雄次:アーロン収容所)。

 正社員に、公務員になって10年、20年、その10年・20年で何かスキルや資格を身に着けましたか?会社がある日突然つぶれても(山一證券や、ダイエーや、日航や、東電や・・・)リストラされても、公務員がリストラされる時代になっても(橋本大阪市長はそれを行うつもりです)、生き残れるスキルを身に着けようと努力してきましたか?

 比較優位論は、「発展途上国に不利、先進国に有利」「農業国はずっと農業国、工業国はずっと工業国」ではないと説明してきました。

「比較優位は常に変動する」「国と国との比較ではなく、国の中で、個人の中で比較優位に特化する」理論でしたよね。

 固定化を選択した人や、企業や、国を助ける理論ではありません。


 30代社員の考え方は、現実に存在していますが、その現実を否定できますか?「現実が間違っている」という昔のマルクス経済学者のように。

No title

TPPに参加したら、簡保からがん保険なんかが発売されて、選択肢が増えるのかな?楽しみですね。自由に競争して値段が安くなるといいですね。

あと軽自動車なんかも、GMやフォードなんかも軽自動車を開発して国内自動車メーカーと価格競走して安く売って欲しいですね。

No title

企業が自由競争をするもんだという思い込み。
自由競争で価格が下がることを望ましいという思い込み。
これらはどこから沸いて出てくるのだろう?

不思議だ。

No title

Sさん

>企業が自由競争をするもんだという思い込み。

政府主導型や系列という思い込みでは?


>自由競争で価格が下がることを望ましいという思い込み。

市場原理主義批判や共生、企業倫理論という思い込みでは?

No title

私のささやかなビジネス体験では、企業は自由競争を出来るだけ忌避し、市場占有率の増大を狙う。
つまり独占。
私が勝手にそう言っているのではなく、社内教育、業界の研修会、役員の講話で繰り返し教わった。

企業は価格低下と在庫増加を最も恐れている。
自由競争によって価格低下を容認するくらいなら、ライバル社と価格カルテル、生産カルテルを組み、価格下落を阻止する。
生産が独占的ならば単独で産調整を行う。
カルテルは意識的に組まずとも、チャンピオン企業をプライスリーダーにして、同業他社は自発的に価格を固定する。
日本では多くの工業製品が独占・寡占の状態で生産されているので、企業のトップも現場の営業マンも容易にカルテルを組むことが出来る。
もちろん違法だろう。
しかし企業は逮捕者が出たとしてもなお自由競争を忌避したい。

企業にとっての理想は、顧客に対して企業が決めた一方的な価格で売りたい量を購入させること。価格と販売量の支配権を握ること。
消費者とのWIN-WINの関係は想定されていない。
独占・寡占による永遠の繁栄こそ企業の理想に他ならない。

こういうことはどこの業界でも徹底して教えられるものだと思っていたが、業界によっては違うのかと今頃になって不思議な気持ちでいる。

No title

Sさん

企業は自由競争をしていない。それで価格が下がることを望まない。
そして、その根拠としてそう教わったからということでしょうか。

ですが、消費者としては安く買いたい。
100円ショップ、ユニクロ、牛丼・・・現実には競争で価格が低下してきました。

自分の経験では企業も購入する側になれば設備や工具類も相見積もりで競合させます。

高く売って、安く買いたい・・・不思議ではないと考えます。

リカードの比較優位でTPPを正当化するのは無 理がある。 単純化して、TPPで関税が0になったときのア メリカと日本を考える。 関税0になった結果、日本国内において、製造 業がより比較優位になったとする。 そうすると、今の労働配分から、製造業により 多く配分されるのが良いということになる。 また、アメリカ国内において、製造業から農業 がより比較優位になったとする。 そうすると、今の労働配分から農業により多く 配分されるのが良いということになる。 しかし、例えば、農業者が自動車の組み立て工 になるのは簡単ではない。

TPPは国レベルでの比較優位に変化をもたらす が、その国の産業を構成する労働力たる国民一 人一人に何らかの変化が生じたわけではない。 しかし、国レベルの比較優位の変化は、強制的 に個人レベルの比較優位を変化させ、その変化 に従って労働活動を変えることには当該個人に 大きなコストを生じさせる。 リカードはそのコストを考慮していない。自由 貿易はwinwinなどではない。だから、WTOでは 途上国が特別扱いされ、FTAにしろEPAにしろ 相手を限定し、除外を設けたりしているのであ る。 各国は、貿易協定を結ぶに当たって、比較優位 の変化=産業構造の変化に、国民レベルで耐え られるように国内で準備するか、貿易協定自体 を対応可能なものに調整する。 そうでなければ必ず大きな損を被る国民が一定 数発生するため、支持が得られず、民主主義国 家は運営できない。 ※貿易協定の結果として、国レベルの比較優位 の変化がほぼ起こらないなら、この点は問題に ならない(シンガポールとか)。

TPPに加入すること自体を頭から否定する気は ないが、入るならば協定の内容を吟味し、国内 の調整や協定自体の変更をしなくてはならない 。それができないなら入る必要は無い。 まぁTPPが関税だけの問題でないことは広く知 れ渡ってるから、今更なコメントですねwww

No title

gさん。

比較優位は、他国との比較ではなく、国内(自分自身)の比較です。

他者との比較は、絶対優位です。比較優位ではありません。

No title

菅原さん

こんなコメントに返信ありがとうございます。 ただ、反論は全く意味不明ですね。

本当にわからないのかわかりたくないのか。 いいかい、国内(個人)の比較優位が変わる場 合が2パターンあるということをいってるんだ よ。 一つは国(個人)の能力の変化による比較優位 の変化。もう一つは、国内環境の変化による比 較優位の変化。 そして後者の場合は国(個人)に余計な負担が かかるが、あなたのリカードの比較優位論によ る解釈では、それを考慮していない。

極端な例を出すよ。田舎に農地を持っているA さんは農業に比較優位を持っている。 しかしAが税理士の資格を取って、都会で税理 士として働くことが比較優位となった場合と、 農産物価格の低下(例えば自由貿易とかで)農 業が比較優位ではなくなった場合を考えてみよ う。 どちらも比較優位の変化に従って労働移動が行 われるけど、Aさんの負担は異なるでしょ。

繰り返しになるけど、国(個人)の比較優位の 変化は、内性的な要因と外性的要因の両方によ って発生する。そして、後者は余計なコストを 発生させる。 比較優位は他者との比較ではなく、自分自身と の比較である。このことは間違っていないけど 、あなたはそこに縛られすぎて思考停止してい る。 比較優位は他者との比較ではないけど、必ずし も内性的要因で発生するとは限らない。あなた はそこが理解できていない。

あなたは常に事実を重視しろ書く。なら事実見 ましょう。自由貿易の推進が言われてどれだけ の時間がたちましたか? それなのにドーハは停滞。100%のFTAもEP Aもほとんどない。どうして?自由貿易が本当に winwinなら自由貿易協定はありふれたものにな っているはずでしょう。 それとも、69億人にもなった人類は、先進国 も途上国も、政治家も多国籍企業も中小企業も 、富豪も庶民も、みんな何十年も愚かなままで 、自由貿易の利点を理解してないと言うのかな ?

No title

>あなたは常に事実を重視しろ書く。なら事実見 ましょう。自由貿易の推進が言われてどれだけ の時間がたちましたか? それなのにドーハは停滞。100%のFTAもEP Aもほとんどない。どうして?自由貿易が本当に winwinなら自由貿易協定はありふれたものにな っているはずでしょう。 それとも、69億人にもなった人類は、先進国 も途上国も、政治家も多国籍企業も中小企業も 、富豪も庶民も、みんな何十年も愚かなままで 、自由貿易の利点を理解してないと言うのかな ?

 ブログカテゴリIMF-GATT WTO・FTA/EPA・TPPを参照ください。

 戦後の歴史は、自由化の歴史で、実は先進国はほとんど工業製品については自由化を達成済みです。

 ドーハの停滞は、「農業問題」です。農業は実は、どこの国も、「余っている」のです。だから農業がいつもネックになています。

 ブログカテゴリ「農業自給率UPは無意味」を参照ください。

 人類は自由貿易を理解していないは、その通りでしょう。リカードは消費者利益ですから、生産者利益を追求すると、なんでも反対です。石炭→石油産業のときも、そうでした。

>あなたは常に事実を重視しろ書く。なら事実見 ましょう。

 gさんは、何かに特化していないのですか?内的要因であれ、外的要因であれ、特化していない人っているんですか?

 みな、特化した後、交換しているのではないですか?

 それでも特化せずに、農業と税理士をやているような人がいたら、はた目にも非効率だと思いますが。

 あれ、日本は本業や年金+農業が86%でしたね・・・これ、産業じゃないですね。大規模家庭菜園ですね。

菅原さん

何度も回答ありがとうございます。ただ、私の 本旨について回答してください。

国(個人)の比較優位の 変化は、内性的 な要因と外性的要因の両方によ って発生 する。 後者の場合は国(個人)に対して余計なコスト がかかる。

これについて、認めないのか、認めるのか。 簡潔にお願いします。

後、仮に比較優位に従うことで、自由貿易の結 果winwinになるなら、世界的食料需給は関係な いでしょう。あくまで国内ないし個人の比較優 位であれば、世界的に100の需要しかなくて、2 00の供給能力があっても、比較優位による特化 をして、自由貿易することで効用が上がらない と、理論的におかしい。

また、農業についてもう少し細かく見る必要が あります。総農家は253万戸、その内、販売農 家は150万戸(59.2%)、さらにその内、主業 農家は34万戸(13.4%)。一戸あたりの総所得 の農業依存度は、販売農家は42.6%。主業農家 は91.2%。所得の4割が稼げる大規模家庭菜園 ってすごいですね。そんな家庭菜園を持ってる のが農家の60%近くいるなんて。 農業は産業として問題はありますが(御指摘通 りこれは稲作農家の問題が大きく、中央統制的 な政策によって米価がひどく歪められてきたこ とがCPIから見て取れます。)、「本業や年金 +農業が86%」とかひとくくりにしてたら、ま ともな議論なんてできませんよ。

No title

>国(個人)の比較優位の 変化は、内性的 な要因と外性的要因の両方によ って発生 する。 後者の場合は国(個人)に対して余計なコスト がかかる。

これについて、認めないのか、認めるのか。 簡潔にお願いします。

具体例、データを示してもらわないと、わかりません。

>世界的食料需給は関係な いでしょう。あくまで国内ないし個人の比較優 位であれば、世界的に100の需要しかなくて、2 00の供給能力があっても、比較優位による特化 をして、自由貿易することで効用が上がらない と、理論的におかしい。

意味が分かりません。

>また、農業についてもう少し細かく見る必要が あります。総農家は253万戸、その内、販売農 家は150万戸(59.2%)、さらにその内、主業 農家は34万戸(13.4%)。一戸あたりの総所得 の農業依存度は、販売農家は42.6%。主業農家 は91.2%。所得の4割が稼げる大規模家庭菜園 ってすごいですね。そんな家庭菜園を持ってる のが農家の60%近くいるなんて。 農業は産業として問題はありますが(御指摘通 りこれは稲作農家の問題が大きく、中央統制的 な政策によって米価がひどく歪められてきたこ とがCPIから見て取れます。)、「本業や年金 +農業が86%」とかひとくくりにしてたら、ま ともな議論なんてできませんよ。

カテゴリ「農業時給率アップは無意味」を参照ください。

質問です

わからない点が2つあります。
1. 生産物の品質。他業種の生産性がどれほど高くてもフランスがワインを作らないということは、消費者に受け入れられないでしょう。
2. 生産物の重要性。飢饉が起きているのに比較優位だからといって穀物を輸出すれば餓死者が出ます。

No title

>1. 生産物の品質。他業種の生産性がどれほど高くてもフランスがワインを作らないということは、消費者に受け入れられないでしょう。

国の場合は、生産性は直線ではなく、扇形になります。その場合、機会費用がどんどん高くなるので、完全特化にはなりません。


>2. 生産物の重要性。飢饉が起きているのに比較優位だからといって穀物を輸出すれば餓死者が出ます。

1)農産物は余っています
2)輸出は、その主体が望むのでします。強制されたり、強制する貿易は、そもそも自由貿易ではありません。国は「輸出入」をする主体ではありません。

比較優位は機会費用の話です。拙著「図解使えるミクロ経済学」をご覧ください。数ある経済学書の中で、最もやさしく比較優位が分かる本になっています。それは、比較優位について扱ったミクロ経済学の本を、徹底して読み比べたうえでの話です。

目次は下記です。

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-1038.html


高校レベルでいえば、機会費用で説明されているものは、帝国書院「現代社会」資料です。ただし、図解(グラフ)になっていなく、数字のみなので、その点は拙著の方が分かりやすいと思います。

そのうえで、比較優位が分からなければ、改めてご質問ください。
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