資料集の間違い(7) とうほう『政治・経済資料2009』
資料集の間違い とうほう『政治・経済資料2009』P203
「GDPの三面等価とそこから見えてくるもの」
②「総生産=総支出」
…国内総支出をGDEと呼ぶ生産されたものは民間(家計や企業)・政府・海外の3つの経済主体のいずれかに需要され支出される。つまり民間や政府において消費されるか、次の期の生産活動に役立てるため投資に回されるか、海外へ輸出される。これを関係式で表すと、「総生産=総支出」の式 Y=C+I+G+(EX-IM)
Y=国内総生産、C=消費(Consumption )、I=投資(Investment)、G=政府最終支出、EX=輸出、IM=輸入
この関係式からいえることは、Y(つまりGDP)を上げるには、C、I、G、EXのいずれかを増やす ということだ。…この「総生産=総支出」は、マクロ経済学の最重要公式でもある。
「日本は借金で破産する? 」と題して、「国の借金 」とか、「雪だるま式の借金 」とか、「国債のツケは、後世の国民に重くのしかかるだろう 」とか(同書p221~222)、整合性のない解説をしています。
「国債のツケは、後世の国民に重くのしかかるだろう 」部分です。現在の国民が,借金をして,それを返済するのは,将来世代ということになるからです。「残される膨大な借金の支払請求は、その恩恵に浴さないか、一部しか浴せない将来の国民に回されるp223」という解釈です。
しかし,借金(元金)を返してもらう,あるいは,利息を受け取る世代も,やはり孫の世代,将来世代なのです。その利息は日本のGDP(国民所得)になります。ですから、前掲の文章は「残される膨大な貸出金の収入は、その恩恵に浴すか、一部でも浴した将来の国民に回されるp223」が成立してしまうのです。
三面等価の図を見てみましょう。
だいたい、我々が給料を消費せずに、貯蓄すると、国債残高は増えるのです。貯蓄が、①企業の借金・②政府の借金・③外国の日本に対する借金の原資です。企業が100万借金するのは、金利2万円を返しても、105万売り上げて、3万もうけようとするからです。それを「借金経営」とは言いません(上場企業の資本のうち、6割は借金=他人資本です)。金利<売上げ利益なら、借金は負担ではありません。政府の借金も、金利<GDP成長率なら、政府にとって全く負担ではないのです。
さらに、日本政府は、世界で一番の金持ち政府なのです。国会や、裁判所の土地建物、国道など、売れない資産を除き、現金・預金,有価証券,未収金,貸付金,運用寄託金,出資金など,流動性の高い資産(現金化できる)だけで,523兆3890億円あります。
高橋洋一『日本は財政危機ではない!』講談社 2008 p29
柴山政行 『Google経済学』フォレスト出版 2008 p196
国際的にしばしば使われている指標は「純債務:289兆円」で,財務省が主張する「粗(あら)債務:980兆円」ではありません。日本ほど,政府が多額の資産を持っている国はないのです。その資産を「粗債務」から引くと,債務超過額は289兆円になります。その額は,単純計算ですが,日本の国家予算82兆円の3.5倍程度になります。
実は,日本が財政危機でない事を一番よく知っているのが財務省なのです(以下の内容は 高橋洋一『さらば財務省!-官僚すべてを敵にした男の告白』『日本は財政危機ではない!』講談社 2008)によります。。2002年,アメリカの格付け会社によって,日本国債の格付けが引き下げられました。それに反論した財務省の意見書です。
「日本は世界最大の貯蓄超過国(筆者注:S-Iが黒字)であり,国債はほとんど国内で消化されている。また世界最大の経常収支黒字国(筆者注:外国への資金貸し出しが最大の国)であり,外貨準備も世界最高である」
このように,「純債務でみると日本は財政危機ではない」という,常に「財政危機だ」と言っている日本国内向けの説明と,全く違う説明を海外にしたのです。
「国はいくら国債を発行しても倒産することはないと考えて良いのでしょうか。結論から言えばそのとおりです。現代の管理通貨制の下では自国通貨建ての国債をいくら発行してもそれが理由で国が倒産することはありえ (下線部筆者)」ないのです。
岩村充 『貨幣の経済学』集英社 2008 p153 同書では,「国債は政府の株式」に例えられています。
「GDPの三面等価とそこから見えてくるもの」
②「総生産=総支出」
…国内総支出をGDEと呼ぶ生産されたものは民間(家計や企業)・政府・海外の3つの経済主体のいずれかに需要され支出される。つまり民間や政府において消費されるか、次の期の生産活動に役立てるため投資に回されるか、海外へ輸出される。これを関係式で表すと、「総生産=総支出」の式 Y=C+I+G+(EX-IM)
Y=国内総生産、C=消費(Consumption )、I=投資(Investment)、G=政府最終支出、EX=輸出、IM=輸入
この関係式からいえることは、Y(つまりGDP)を上げるには、C、I、G、EXのいずれかを増やす ということだ。…この「総生産=総支出」は、マクロ経済学の最重要公式でもある。
「日本は借金で破産する? 」と題して、「国の借金 」とか、「雪だるま式の借金 」とか、「国債のツケは、後世の国民に重くのしかかるだろう 」とか(同書p221~222)、整合性のない解説をしています。
「国債のツケは、後世の国民に重くのしかかるだろう 」部分です。現在の国民が,借金をして,それを返済するのは,将来世代ということになるからです。「残される膨大な借金の支払請求は、その恩恵に浴さないか、一部しか浴せない将来の国民に回されるp223」という解釈です。
しかし,借金(元金)を返してもらう,あるいは,利息を受け取る世代も,やはり孫の世代,将来世代なのです。その利息は日本のGDP(国民所得)になります。ですから、前掲の文章は「残される膨大な貸出金の収入は、その恩恵に浴すか、一部でも浴した将来の国民に回されるp223」が成立してしまうのです。
三面等価の図を見てみましょう。

だいたい、我々が給料を消費せずに、貯蓄すると、国債残高は増えるのです。貯蓄が、①企業の借金・②政府の借金・③外国の日本に対する借金の原資です。企業が100万借金するのは、金利2万円を返しても、105万売り上げて、3万もうけようとするからです。それを「借金経営」とは言いません(上場企業の資本のうち、6割は借金=他人資本です)。金利<売上げ利益なら、借金は負担ではありません。政府の借金も、金利<GDP成長率なら、政府にとって全く負担ではないのです。
さらに、日本政府は、世界で一番の金持ち政府なのです。国会や、裁判所の土地建物、国道など、売れない資産を除き、現金・預金,有価証券,未収金,貸付金,運用寄託金,出資金など,流動性の高い資産(現金化できる)だけで,523兆3890億円あります。
高橋洋一『日本は財政危機ではない!』講談社 2008 p29
柴山政行 『Google経済学』フォレスト出版 2008 p196
国際的にしばしば使われている指標は「純債務:289兆円」で,財務省が主張する「粗(あら)債務:980兆円」ではありません。日本ほど,政府が多額の資産を持っている国はないのです。その資産を「粗債務」から引くと,債務超過額は289兆円になります。その額は,単純計算ですが,日本の国家予算82兆円の3.5倍程度になります。
実は,日本が財政危機でない事を一番よく知っているのが財務省なのです(以下の内容は 高橋洋一『さらば財務省!-官僚すべてを敵にした男の告白』『日本は財政危機ではない!』講談社 2008)によります。。2002年,アメリカの格付け会社によって,日本国債の格付けが引き下げられました。それに反論した財務省の意見書です。
「日本は世界最大の貯蓄超過国(筆者注:S-Iが黒字)であり,国債はほとんど国内で消化されている。また世界最大の経常収支黒字国(筆者注:外国への資金貸し出しが最大の国)であり,外貨準備も世界最高である」
このように,「純債務でみると日本は財政危機ではない」という,常に「財政危機だ」と言っている日本国内向けの説明と,全く違う説明を海外にしたのです。
「国はいくら国債を発行しても倒産することはないと考えて良いのでしょうか。結論から言えばそのとおりです。現代の管理通貨制の下では自国通貨建ての国債をいくら発行してもそれが理由で国が倒産することはありえ (下線部筆者)」ないのです。
岩村充 『貨幣の経済学』集英社 2008 p153 同書では,「国債は政府の株式」に例えられています。
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