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<親の経済力と子どもの学歴の相関関係>

<親の経済力と子どもの学歴の相関関係>

プレジデント 2010年10.18号
http://president.jp.reuters.com/article/2010/09/25/3DD229AC-C79E-11DF-93BD-14D73E99CD51.php

 学歴 年収 学費 貧困

「保護者の年収が高い世帯ほど子どもの学力が高い」――。

 2008年度の「全国学力テスト」を受けた公立小学校の6年生について、文部科学省の専門家会議は09年8月、学力と経済力の調査結果を公表した。学力が高ければ本人の学歴にプラスに反映するのは自明の理。それを裏返せば、経済力のない家庭の子どもの学力は相対的に低く、学力の低さはそのまま低学歴につながることになる。参照の図のように母子家庭や父子家庭の親が抱える悩みの1位「教育・進学」が2位以下を圧しているのもそれを強く裏付けている。経済力のない親が子どもの教育や進学について自覚的に悩みを抱えているというのなら、まだ救いがあろうというものだ。


 東京都江戸川区で福祉事務所のケースワーカーを中心とした区職員の有志が無料で週2回、中学3年生に勉強を教える「江戸川中3勉強会」。過去5年間の参加者は123人で、公立・私立の全日制に74人、定時制に44人、通信制の高校に5人を進学させている。特徴的なのは、参加者の48%の59人が生活保護受給者ということ。この勉強会の代表を務める徳澤健氏に話を聞いた。


 「ここに来なかったらどうなってしまうかわからない子ばかりです。中卒で社会に出て挫折し、世帯主として生活保護に戻ってくる状況=貧困の再生産を止めるには少なくとも高校進学が必要なのではないか、という思いのもとで設立されました」


 「江戸川中3勉強会」に参加している中学3年生の成績は5段階評価でオール2前後の子が多く、不登校の子もいる。高校を中退したり、中学卒業後に「やっぱり高校に行きたい」と参加する子も少なくない。掛け算の99やアルファベットも書けないような子も毎年数人おり、自分の住所が漢字で書けない子やカタカナが読めない子もいるという。


これらの生徒たちの家庭環境、そして親たちはどうか。


 「母子家庭、父子家庭といったひとり親世帯の子が多く、親や兄弟が高校に進学していないか卒業していない、また非正規雇用やフリーターとして生計を成り立たせている親が多いために子どもと向き合う時間もなく、子どもは高校進学に意味を見出せなくなっています」(徳澤氏)


 その揚げ句、「落ち着いて勉強する部屋はなく、幼い弟妹の世話をして1日が終わってしまう」「働いている母親に代わり、家庭の食事はすべて自分が作るかコンビニ弁当」「アルコール依存症の親が突然暴れだすので、家に帰れず公園で時間を過ごしている」「中学校には行ったけど、給食だけ食べて帰ってきた」と話す子どもがたくさんいるという。
 


 経済力と、学力の相関は、教育現場では自明です。進学校ほど、親の学歴・収入は高く、底辺校ほど、親の収入・学歴は低いというものです。


 ただ、この因果関係は?です。収入低いと子供の学力が低いのか、もともと学力の低い親世代だから収入が低いのか。一方、長期で観察すると、後者にも一理ありそうです。


<ルポ 生活保護>

本田良一著 中公新書 2010
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AB%E3%83%9D-%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E2%80%95%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E3%82%92%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%99%E6%96%B0%E3%81%9F%E3%81%AA%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%9C%AC%E7%94%B0-%E8%89%AF%E4%B8%80/dp/4121020707/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1309913801&sr=1-1
 

ルポ生活保護

 引用ページは多岐にわたり、なおかつ前後しているため、省略します。


 厚生労働省は09年11月、子供のいる世帯のうち、母子家庭などひとり親世帯の相対的貧困率を公表した。
…それによると、06年のひとり親世帯の貧困率は54.3%で、子供がいる世帯全体の貧困率12.2%、大人が2人以上いる世帯の貧困率10.2%を大きく上回った。


北海道空港.JPG


 北海道釧路市です。北海道の東にあり、人口は、昭和56年(1981年)の21万8007人をピークに下がり続け、隣の釧路町、阿寒町などと合併し、かろうじて18万5038人(平成22年12月)を維持している街です。
炭鉱と漁業の町として栄えてきました。今後、この人口が、平成29年(6年後)には、16万人を切ることが予想される(釧路市HP)、過疎化の進行する街です。


 釧路市の昨年12月末の生活保護率が過去最高の50.2パーミルに達したことが分かった。市民20人に1人が受給している計算。道によると、50パーミル突破は道内35市の中で、過去10年間で初めて・・・・。


…釧路市の生活保護率は1996年度の22.9パーミルを底にじわじわと上昇し、…09年12月末ついに50パーミルを突破した。
 釧路市に限ったことではない。全国の保護率は、…95年度の7.0パーミルを底に反転し、2010年3月(速報値)には14.7パーミルへ上昇した。生活保護の受給者は(2010年3月速報値)は186万6157人に達した。



 釧路市の、生活保護額です。


 2005年度の釧路市市民経済計算によると…付加価値。…一次産業全体で111億3000万円で、ほぼ生活保護費に匹敵する金額になる(ちなみに、05年度の生活保護費の支給額は117億7000万円)。…「第4の基幹産業」になっている。


 高校や、小学校で、授業料免除(高校では、平成22年4月から全員に支給されるようになりました)や、就学補助を受けている割合です。


…授業料減免措置…北海道教育委員会釧路教育局によると、…07年度は同教育局が管轄する釧路市と周辺市町の道立高校13校の生徒のうち17.6%(生活保護家庭を除く)が授業料の減免を受けた。これに授業料を含む高校就学費の支給を受けている、生活保護世帯の生徒を加えると…ほぼ4.5人に1人が国の支援制度を利用していることになる。


小中学生の就学援助は釧路市の場合…ほぼ3人に1人の生徒児童が国の援助を受けている計算になる。07年度の釧路市の就学援助支給総額は2億9200万円、そのうちほぼ半分の1億5400万円が給食費だ。
釧路市の07年度の割合26.2%は全国平均(12.5%)の2倍以上…。…全国平均の割合は生活保護家庭を含めると、07年度で13.7%になる。つまり、日本の児童生徒のうちほぼ7人に1人が就学援助または教育援助を受けていることになる。


公立高校の授業料減免を受ける生徒について、…都道府県別ではトップの鳥取県が23.3%。次が大阪府の17.6%、福岡県15.9%、北海道14.8%…。



 生活保護についてです。学歴と、見事に相関しています。


…釧路市…生活保護を受けている母子世帯の母親のうち、中卒(高校中退を含む)は34.3%、ほぼ3人に1人になる。これは全国の…小・中卒者の割合(11.1%)に比べると3倍になる。


学歴1.jpg


 一方、生活保護を受けていない母子世帯の母親のうち、中卒者(高校中退を含む)は14.3%と生活保護を受けている世帯の半分以下。高卒者は59.7%と、保護世帯の母親(50.4%)と比べると10ポイント近く高い。こうした学歴の様就業先の職種や就業形態ひいては収入に影響を与えているようだ。


 この、生活保護は、親から子へ受け継がれているのです。


…貧困の再生産…。釧路市の生活保護を受けている。母子世帯の母親の3人に1人は中卒の学歴しかないが、その父親の42.3%母親の51.9%が中卒(高校中退を含む)だった。高卒者は父親で17.5%、母親で12.4%、中卒者の割合が本人以上に多く、高卒者の割合は中卒の半分程度から4分の1に過ぎない。低学歴の階層が受け継がれているのだ。


…「親が生活保護を受けていて、娘が結婚して、子供をつくって離婚。母子家庭になって家に戻り、生活保護を受けるというケースは多い。第2、第3世代が増えている」…。



…釧路市の共同調査報告書は、多くの母親が子育てに悩み、パソコンの利用率が低く、塾・習い事なども経済的理由でさせられないこと、子供も学校での交友関係が狭く、いじめや不登校など深刻な問題を抱えている家庭が多いことなどを紹介…。 


北海道の不登校の実態・高校中退の実態です。
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ssa/grp/syoutyufutoukou.pdf

学歴2.jpg


 結局、中学校で不登校の場合、高校を卒業できない(数字上)ことになります。


 この貧困の連鎖はあやゆる地域に共通です。


…大阪府堺市健康福祉局理事の道中隆氏…。…06年4月時点で堺市で生活保護を受けていた3924世帯のうち…世帯主の学歴が中卒(高校中退を含む)は、72.6%で、生活保護を受けて育った世帯主も25.1%…。
そのうち母子106世帯の母親について見ると、中卒は66.0%生活保護を受けた家庭で育ったのは40.6%…。


 低学歴と貧困との強い結びつき…。…日本女子大学教授の岩田正美氏らが行ったホームレス調査ではホームレスの人々の学歴は「義務教育まで」が約6割であり、厚労省が2007年に行った全国ホームレス調査でも、学歴が中卒54.5%高卒31.5%短大専門学校卒2.9%大卒5.6%だった。
 


学歴3.jpg


 A自治体の保護廃止483世帯(2005年度)を対象にした調査分析…。学歴別の内訳は中卒316世帯(65.4%)高卒148世帯(30.6%)。短大卒以上10世帯(2.1%)、不詳9世帯(1.9%)と圧倒的に中卒が多い。…総じて世帯主の学歴が高いほど、受給期間は短くなる。


 この生活環境は、成績に直結しています。


 就学援助を受けている生徒・児童の割合が高いほど、学力が低くなるというデータがある。東京都23区のうち就学援助を受ける児童の割合が低い千代田区(2004年度6.6%)、目黒区(11.4%)、中央区(13.7%)と、割合が高い足立区(42.8%)、板橋区(35.6%)、墨田区(35.1%)について、04年度の小学5年生の学力調査平均点を比べると…前者のグループが後者のグループを上回っていた。東京23区の就学援助と国語の平均点の相関を調べると、就学援助の割合が低い程平均点が高くなるという相関関係が明確に現れた


 結論は、以下のようになります。


 就学援助と学力との相関関係は親の所得によって子供の成績が左右されている現状…。


学歴と貧困は密接に結びついている。
 


 これと反対に、高学歴家庭では、教育に力を入れます。


学歴の高い親は概ね比較的恵まれた年収の仕事に就き、経済的に余裕があるので、子供により高教育環境を与え、塾に通わせるなど多くの投資もできる。その結果、子供は高学歴となり、いい仕事に就く。東大生の親の年収分布にその一端を見ることができる。東京大学の学生生活実態調査(2007年)によると、親の年収が950万円以上の学生は51.3%と750万円以上~950万円未満は18.3%、450万円以上~750万円未満は17.7%、450万円未満は11.6%だった。


…東京大学の大学経営・政策研究センターが2006年3月、高校3年生3493人を対象に、高校卒業後の予定進路を聞いたところ、4年制大学へ進学予定者の割合は両親の年収が400万円以下では33.9%に過ぎないが、年収が上がるにつれて割合も高くなり、年収1000万円以上になると60.7%になった。



 学力だけではありません。児童虐待が多いのも、生活貧困層です。


 貧困は生活苦だけでなく、それに起因する様々な問題を生む。
 その一つが自動虐待だ。三都道府県の17児童相談所で「児童虐待」として2002年度に保護した501ケースの家庭状況を調査したところ、生活保護家庭19.8%、市町村民税非課税世帯19.2%、所得税非課税世帯5.8%だった。生活保護世帯だけに焦点をあててみても同年度に生活保護を受けている子供たちは全体の1%以下しかなく、保護世帯では少なくとも20倍以上の割合で児童虐待が起きている。



 貧困者の、学歴や、生育歴です。


 釧路市の元土木会社員健児さん(56)仮名…。
…健児さんは釧路市で生まれ、育った。実は小学校から中学2年まで、家は生活保護を受けていた。給食費も修学旅行費も支払わなくてもいい。


…釧路市内…幸子さん(50)仮名…。
…幸子さんは釧路で生まれ、育った。29才で結婚、42才の時離婚し、中一の長男を筆頭に3才の女の子まで4人の子供を抱える母子家庭になった。…結婚前も会社勤めの経験はなく、ずっと生活保護と児童扶養手当などを受けて、暮らしていた。


…20代後半の男性Mさん。…両親が離婚したため、16才で一人暮らし。働きながら定時制高校へ通ったが、結局卒業できなかった。…病気にもなり、生活保護を受けることになった。…「オレは仕事を選ばないよ。何でもやる。でも、オレみたいに学歴も資格も車の免許もないヤツは、『あんたができる仕事はないよ』って感じで門前払い。
…M さんは「高校の資格より学歴はなくてもについてすぐに働ける資格や技術が欲しい」という。
…そこで支援員は介護ヘルパー2級の資格取得を進めた。
…ころあいを見て、就労支援員に紹介し、履歴書の書き方、面接の時の態度、服装などを助言して介護事業所の面接の挑み3ヶ所目で採用が決まった。
…勤務先は釧路市内の事業所だった。 M さんは運転免許も取得し、しばらくは元気に働いていた。保護もぬけた。ところが2ヶ月後、事務所から「無断で休んでいる」との連絡…。…M さんはその後、本州へいったらしい。



 どうでしょう?学歴が低いから貧困層なのか、貧困層だから(だったから)学歴が低いのか。家庭の教育力が低いから低学歴なのか。低学歴だから、家庭の教育力が低いのか。耐性力がないから学歴が低いのか。学がないから耐性力がないのか。


 景気がいいと、社会の隅々まで、仕事が回ります。失業率が低下します。日雇い仕事も増えます。
北海道の求人倍率は0.4.倍(全国0.52):平成23年4月現在です。平成19年1月(2007年)は全国で1.09倍でした。
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theme : マクロ経済学 ミクロ経済学
genre : 政治・経済

comment

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No title

貧困の世代的連鎖を断つのが高校教師の重要な仕事だと思って頑張ってきましたが、年々状況が悪くなっているような気がします。
正直、疲れ果てました。

No title

 新聞を、教材学習に取り上げても、新聞を取っていない家庭が多数存在します。

 TVニュースを見ていない子も、たくさんいます。「アメリカは、イギリスは・・・・」と話しても、通じないことが多々あります。

No title

嘆いているだけでは解決しません。早急に「低学歴→低所得→低学歴の子→低所得」という連鎖を断ち切らなければなりません。
その連鎖を断ち切るためには、「低学歴でも高所得」が実現すれば良い訳ですから、社会制度を一旦崩壊させる必要があります。
つまり労働の需要と供給の関係を、根底から覆す政策が重要になります。

そのためにはまず、憲法14条の理念に沿った公平な社会の構築が必要だと考えます。
生活保護制度やこども手当、累進課税、酒税といった差別的な政策は一切廃止し、全ての国民を公平に扱う事から始めるべきでしょう。

その上で憲法25条による最低限の生活を、国民の当然の権利として保障する。
それは、国民個人の事情を一切考慮せず、某元総理のように祖父からの遺産がたんまりある人も、被災者も同じ。一切差別しない事が肝要。
なぜならば、ここで差別をしてしまえば、どこかで線引きをする人間が必要になり、そこに不公平や既得権益が発生するからです。

この情報化社会になって、労働の概念も大幅に変わっています。「労働=金儲け」ではありません。
生活保障によって、生活のために嫌々働いている無駄な労働力を開放すれば、チャレンジが増え、新たなビジネスや文化が創造でき、それが日本の未来への活力となるでしょう。

既存労働からの開放に伴い、労働の需要と供給バランスも変わります。
そうすれば、学歴以上に必要な才能が高給で求められる場面が増え、「低学歴でも高所得」を得るチャンスが増加するでしょう。

そして悪しき連鎖は消滅する。こんなシナリオはいかがでしょうか。

No title

はじめまして。
この因果は簡単です。
食事に原因があります。
低所得→食生活の悪化→性格や忍耐力、集中力などの悪化→学力低下→低学歴→仕事する力の低下→低所得という因果です。

教育も大事ですが、より重要なのは食育です。

幸い低所得でも健康な食事は可能です。むしろ身体に良い食事は概して手間はかかるが安いです。

よい教育を施しても、生徒がお昼に菓子パンにジュースだけという状態を放置していては、まったくの無意味になってしまいます。食という負債がそのまま学力という資産になるのです。高校生の昼食は、給食がないだけに、ひどい子はかわいそうなくらいひどいです。

No title

>幸い低所得でも健康な食事は可能です。むしろ身体に良い食事は概して手間はかかるが安いです。

 その手間を掛けられない状態なのではないですか?どのように変えられるのですか?

>生徒がお昼に菓子パンにジュースだけという状態を放置していては、まったくの無意味になってしまいます。

 パンとジュース、これしか提供できない・しないのが現実ではないですか?どのように変えられるのですか?

ご質問有難うございます

・手間といってもご飯を自分で炊くとか、魚を自分で焼くとかいった程度です。それで十分健康な食生活は実現できます。

・パンやジュースをおにぎりと焼き魚とお漬物にするだけで十分ですので、できないはずはありません。

肝心なのは、食が全てを決めるということを、本当に理解している人が少ないということだと思います。だから、何よりもまず食育だと思うのです。10年20年の食の蓄積が取り返しのつかない健康格差を招いてしまいます。健康は一度崩れるとキャッチアップする以前のデフォルト値に戻すまでに10年20年かかってしまいます。大人になってからの健康格差の是正は全く不可能ではないにしろ絶望的です。

No title

>手間といってもご飯を自分で炊くとか、魚を自分で焼くとかいった程度です。それで十分健康な食生活は実現できます。

>パンやジュースをおにぎりと焼き魚とお漬物にするだけで十分ですので、できないはずはありません。

 その簡単なことが、出来ないし、しないのです。

しつこくてすみません

だからこそ、食育が必要だと思うのです。

・学科教育を減らしてでも、家庭科のような調理実習の時間を増やして、短時間でも健康的な食事を自炊できる能力を育てる

・学食や購買の商品メニューから揚げ物や炒め物を排除する。いっそのこと高等学校も給食制にする

など学校側(場合によっては国側)の意志だけで変えられることはいくつもあるように思います。

よい食生活で構成された健全な肉体と脳をもって学習しなければ、いくら菅原先生のような優れた教育者がおられても焼け石に水です。ろくでもないストック(不健全な肉体と脳)をもっていくら学習活動しても学力向上というフローは発生しないと思います。学力GDPがどんどん減っていくだけでなくストックもある日突然急激にしぼんでしまいます。発病という恐ろしいきっかけによって。

No title

食育も法律も出来、早寝早起き朝ごはんも、ずいぶん前から取り組まれています。

家庭科の男女必修も、25年以上前から行われています。

現状は・・・変わりません。どうやろうと、「変わらない」のです。「日本の食卓」・・・定点観測をご覧あれ。

No title

食育の意義は否定しませんが、多くの家庭(個人)にはその能力がありません。
そもそも極低所得家庭の多くが片親で、しかも労働時間が不定。親が調理して朝食を出す生活…と言う段階で成り立っていない。

景気拡大、それも底辺引き上げでの所得増大、同時に早朝労働や不定期の労働が減らなければ、食育どころか家族が同時に食卓を囲むという生活自体が成立しません。

大企業の工場労働ならば法によって一日6時間労働や子育てに配慮した雇用形態が可能かもしれませんが、中小零細企業、特にサービス業がこういう要求にこたえられるとはちょっと思えない。

何をどっから手をつけたら良いのか、正直分からないですね。

No title

どんな賢い子も、親の生活を見ながら過ごすわけですから、よほど外から刺激されない限り、親との生活が「普通の生活」と言うことになります。
生活保護が世襲してしまう実体は、私も経験しています。

普通の生活から事情で生活保護に至った親御さんはもちろん大変な心配をしているのですが、良い子ほど親の現状を肯定しますからそれで良いと思ってしまうらしく、頑張って生活を向上させるよりも現状を維持して極低所得の生活を選んでしまいます。

「より良い生活」のモデルを持っていないのですから当たり前かもしれません。
景気が拡大中で、自身の生活が周囲から取り残されている、あるいは頑張れば生活が向上するという実感を持てれば良いのですが、ミクロでもマクロでも停滞していると、こういう生徒が量産されてしまいます。

No title

>何をどっから手をつけたら良いのか、正直分からないですね。

まさに、現場の嘆息です。激しく同意します。

感謝

平次さま

ご回答有難うございます。

いっそのこと、高等学校まで昼食は自分たちで学校において作るぐらいにカリキュラムを変えるべきだと思うのです。学生に自炊を習慣化させてしまいます。

学年が上がれば上がるほど、学科教育はネットに上がった優れた講義(当サイトのような)で十分補完できます。正直申し上げて、学科教育のためだけに、わざわざ時間と運賃を使って学校に身を運ぶ意味が分からないこともしばしばです。実験や調理実習のような手に技術を求められるもの以外の教育に集団教室は原則不要だと思います。今、学校に求められているのは学科教育よりむしろ、食育の実践であるというのは飛躍しすぎでしょうか?ネットの発達で一番変化すべきは産業よりむしろ学校のありかただと思います。

また、学校より家庭に問題があるから変わらないという考えは、日銀が銀行券を刷っても、銀行が貸し出す先がないから、マネーサプライは増えないという日銀理論に似ているような気がします。

学生の自炊を習慣化するほど徹底的にカリキュラムを変えれば、学生の食への心意気が変わって、予想和洋比率?が変わり、和食の自炊って割安じゃんとなり、和食に対する株が上がって、和食への投資が増える。そんな気がします。

家庭科必修にしたから食育やってます程度ではちょうど、インフレ目途1%にコミットしたから量的緩和はやりましたよという日銀と変わらないような気がします。

現場の先生方に文句を言ってもしょうがないのですが、教育批判ではなく、あくまで教育行政に対する一意見として、書きこんでしまいました。お気を悪くしたならば、ごめんなさい。

当サイトは本当に勉強になります。感謝!

No title

>高等学校まで昼食は自分たちで学校において作るぐらいにカリキュラムを変えるべきだと思うのです。

それは我々が取り組んで良いことではありません。
カリキュラムの編成権は校長にありますが、教授すべき教科、年間授業時数、行うべき学校行事、教育活動全体を通して配慮すべき影のカリキュラム、そのすべてが文部科学大臣の命令である学習指導要領に定められています。
我々が行っているのは法で定められた公教育です。
我々が「こうしたい」から生徒を自由に手掛けて良いと言うわけではないのです。
我々は国家・地方自治体のコマにすぎません。
マクロ政策や国家レベルの法に定められたことを、目の前の生徒の都合で変えるわけにはいかんのです。またその能力もありません。

それらは政治家をとおして、法を変え、官僚機構を動かして変えるものです。

arerugenさんと同様の問題意識をもって取り組んでいる方は全国に大勢いますが、産業界、教育会、学会、官界のすべてにまたがって活動出来ている人材は多くありません。
私の限りある人脈の中では、おそらくarerugenさんにもっとも立場的に近いのはこの方だと思います。連絡をとってみてはいかがですか?http://www.ruralnet.or.jp/ouen/meibo/064.html

No title

>学年が上がれば上がるほど、学科教育はネットに上がった優れた講義(当サイトのような)で十分補完できます。

残念ながら、かなり甘い考えをお持ちだとしか言えません。
とは言え、衣食住が一定水準以上でなければ、より良い教育の成果はあがらないでしょう。そういう意味では同意します。

どうも「家庭のせいにしている」と誤解しているようですが、私は「政府のマクロ政策のせいにしている」のです。
お間違えないように。

貧困をなくすことは不可能ですが、減らすことは可能です。(私は個人に直接干渉するのは政府の仕事ではないと思っていますが、より良い社会的条件をつくるのは政府の役割だと決めつけています。)
しかし、政府はこの20年、そのの努力を怠ってきました。
そこに苛立ちを感じています。それが政治経済サイトを覗いている理由です。ここもそのひとつ。

No title

岩手県の高校求人数が昨年の倍になり、とうとう求人倍率1に回復しました。もちろん復興需要のおかげです。ですから建設業と宿泊業に大きく偏っていて、今度は雇用数は十分なのに、特定業種で労働者不足になります。
建設業は昔とちがって高度な技術集約型産業です。訓練を受けていない高卒者は全く役に立ちません。結局技術のある工業高校の優等生が引く手あまたになり、その他は指をくわえてみるだけの状態になるでしょう。
それでも、今までよりずっとマシです。工業高校の生徒が念願の建設業に進めるようになる分、他業種の競争は減るからです。また、下級生にとってはインセンティブがとても強化になります。
まだ、一部ですが、勉強や訓練が報われるようになりました。
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