<金融緩和の効果?>
<金融緩和の効果?>
日銀が、3月11日の大震災後、事実上の金融緩和を行っています。このことについては、このブログで、下記のように扱ってきました。
3月18日<臨時国債 発行か>
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-date-20110318.html
「復興国債」緊急発行方針 10兆円超、日銀引き受け
この政策が採用されたら、結果的に、日銀の「リフレ」政策が加速する事になります。
日経H23.3.18『日銀当座預金30兆円を突破』
・・・約5年ぶりに30兆円を突破した。…2006年3月まで続いた量的緩和政策の当時と同じ水準になっている。
読売H23.3.18『日銀15.7兆円供給』
・・・大量資金供給は4日連続となり・・・資金総額は約71兆円に達した。
この効果(or効果ナシ)については、3ヶ月~6ヶ月もあれば出てくるので、検証が可能です。実験というものが出来ない経済学では、大変貴重な実証機会になります。
<3月22日<池田信夫氏の語る、「円高」>
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-date-20110322.html
<追記:結果的に、量的緩和実行>
日銀当座預金残高が、過去最高となりました。日銀は資金供給を更に続ける予定です。
読売 H23.3.23(図も)

『長め資金に需要殺到 日銀供給、計92兆円に』
…貸出期間が1ヶ月~6ヶ月のオペは…日銀の供給予定額を超える希望が殺到した。…長めの資金を早めに確保しようとする金融機関の動きは当面収まらないとみられ…資金の大量供給といった対応が日銀には求められそうだ。
さて、まだ3か月(データによっては5月現在)ですが、どのように推移しているのでしょうか。
<データ>
日経H23.6.30

日経H23.7.2

マネーストックM3 11年1月

マネーストックM3 2011 5月






事実は、以上のとおりです。今後、6~7月も消費者物価指数は、上昇が見込まれています。
ですが、8月以降は、消費者物価指数の基準が2005年→2010年に改定されるため、落ち込むことが予想されています。
日銀の姿勢は、「金融緩和をやめる」というものです。
<日銀の姿勢>
『金融政策:追加緩和は封じられた』 伊藤忠経済研究所
http://www.itochu.co.jp/ja/business/economic_monitor/pdf/2011/20110609_JP.pdf#search='日本 消費者物価 予測 2011年 6月'
西村副総裁は4月28日の会合において「企業や家計のマインドが更に悪化し、実体経済への悪影響が強まるリスクが高まっている」との理由で、現行40兆円の基金を5兆円増額し45兆円とする追加緩和提案を行い、副総裁を除く全員の反対により否決された。それから半月ほどを経た5月19~20日の決定会合でも、西村副総裁は同様の提案を継続すると市場では考えられていた。しかし、追加緩和提案はあっさりと取り下げられてしまった。加えて、4月会合で西村副総裁と同じく緩和の必要性を指摘していたもう一人の緩和派も霧消した。
西村副総裁が追加緩和を提案した前回4月28日会合から5月会合までの間に新たに明らかとなった事実はそれほど多くなく、撤回の理由を想像するのは難しくない。要はマインドの改善により、需要サイドの下振れリスクが遠のいたと、西村副総裁が考えたということである。4月景気ウォッチャー調査では現状判断DIが底這いだったが先行き判断DIは大幅に改善し(6月公表の5月調査では現状判断DIも改善)、機械受注では4~6月期の民需増加見通しが示された。また、ReutersやQUICKが行っている月次の企業景況感調査も改善に向かった。こうしたデータをもって、西村副総裁はマインド改善と判断したのだろう。
しかし、である。大震災後のショック状態にあったマインドが、その後改善に向かうのは、至極当たり前のことに過ぎない。企業は商売をするために復旧へと動き、家計も生活のために顔を上げて将来を見つめ始める。大震災などの極めて大きなショックの直後よりも、その後のマインドが悪化するなどあり得ない。もし、そうした事態が生じれば、前代未聞である。問題は、方向ではなくテンポや水準である。景気ウォッチャー調査や企業景況感調査は確かに改善したが、未だ十分とは言えず、本稿で既に述べたように4~6月期もマイナス成長は続く可能性が極めて高い。そこを、更に政策により後押しする必要は否定されないだろう。
何よりも問題なのは、大震災から2ヶ月というタイミングで西村副総裁が提案を撤回したことにより、将来も含めて追加緩和の道は基本的に閉ざされた点である。6月9日の日本経済新聞は、日本銀行が6月の決定会合において景気判断を上方修正する方針と報じている。景気判断の上方修正は、方向としては正しく、当社も首肯するものである。しかし、自らの過ちを基本的に認めない官僚組織と同様の性向を有する中央銀行が、景気判断を上方修正する一方で追加緩和に動くのは極めて稀である。早いタイミングでの追加緩和を否決済であれば、尚更であろう。
もちろん、日本銀行は、①大震災後の経済変化に応じて「成長基盤強化の支援」を修正・拡充し、また②現時点では10月迄に受付期間が限られている「被災地金融機関支援オペ」の増額や期間延長を2011年内に行うだろう。しかし、そこまでである。基金増額などの緩和措置は期待できない。
事実上の金融緩和も、風前のともしびです。
<警戒感だけ>
日銀総裁、急激な円高に警戒感
読売新聞 7月25日(月)13時29分配信
日本銀行の白川方明総裁は25日、都内で講演し、急激な円高について、「輸出や企業収益の減少、企業マインドの悪化などを通じて景気に悪影響が及ぶ可能性がある」と述べ、警戒感を示した。
また、「海外経済を巡るリスクに関連して、為替市場の動きに注意が必要だ」と強調し、米国の財政再建を巡る協議の難航や欧州の財政危機などの行方を注視していく姿勢を示した。
日本経済の先行きについては、「年度後半以降、緩やかな回復経路に復していく」との見方を改めて示した。
日銀が、3月11日の大震災後、事実上の金融緩和を行っています。このことについては、このブログで、下記のように扱ってきました。
3月18日<臨時国債 発行か>
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-date-20110318.html
「復興国債」緊急発行方針 10兆円超、日銀引き受け
この政策が採用されたら、結果的に、日銀の「リフレ」政策が加速する事になります。
日経H23.3.18『日銀当座預金30兆円を突破』
・・・約5年ぶりに30兆円を突破した。…2006年3月まで続いた量的緩和政策の当時と同じ水準になっている。
読売H23.3.18『日銀15.7兆円供給』
・・・大量資金供給は4日連続となり・・・資金総額は約71兆円に達した。
この効果(or効果ナシ)については、3ヶ月~6ヶ月もあれば出てくるので、検証が可能です。実験というものが出来ない経済学では、大変貴重な実証機会になります。
<3月22日<池田信夫氏の語る、「円高」>
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-date-20110322.html
<追記:結果的に、量的緩和実行>
日銀当座預金残高が、過去最高となりました。日銀は資金供給を更に続ける予定です。
読売 H23.3.23(図も)

『長め資金に需要殺到 日銀供給、計92兆円に』
…貸出期間が1ヶ月~6ヶ月のオペは…日銀の供給予定額を超える希望が殺到した。…長めの資金を早めに確保しようとする金融機関の動きは当面収まらないとみられ…資金の大量供給といった対応が日銀には求められそうだ。
さて、まだ3か月(データによっては5月現在)ですが、どのように推移しているのでしょうか。
<データ>
日経H23.6.30

日経H23.7.2

マネーストックM3 11年1月

マネーストックM3 2011 5月






事実は、以上のとおりです。今後、6~7月も消費者物価指数は、上昇が見込まれています。
ですが、8月以降は、消費者物価指数の基準が2005年→2010年に改定されるため、落ち込むことが予想されています。
日銀の姿勢は、「金融緩和をやめる」というものです。
<日銀の姿勢>
『金融政策:追加緩和は封じられた』 伊藤忠経済研究所
http://www.itochu.co.jp/ja/business/economic_monitor/pdf/2011/20110609_JP.pdf#search='日本 消費者物価 予測 2011年 6月'
西村副総裁は4月28日の会合において「企業や家計のマインドが更に悪化し、実体経済への悪影響が強まるリスクが高まっている」との理由で、現行40兆円の基金を5兆円増額し45兆円とする追加緩和提案を行い、副総裁を除く全員の反対により否決された。それから半月ほどを経た5月19~20日の決定会合でも、西村副総裁は同様の提案を継続すると市場では考えられていた。しかし、追加緩和提案はあっさりと取り下げられてしまった。加えて、4月会合で西村副総裁と同じく緩和の必要性を指摘していたもう一人の緩和派も霧消した。
西村副総裁が追加緩和を提案した前回4月28日会合から5月会合までの間に新たに明らかとなった事実はそれほど多くなく、撤回の理由を想像するのは難しくない。要はマインドの改善により、需要サイドの下振れリスクが遠のいたと、西村副総裁が考えたということである。4月景気ウォッチャー調査では現状判断DIが底這いだったが先行き判断DIは大幅に改善し(6月公表の5月調査では現状判断DIも改善)、機械受注では4~6月期の民需増加見通しが示された。また、ReutersやQUICKが行っている月次の企業景況感調査も改善に向かった。こうしたデータをもって、西村副総裁はマインド改善と判断したのだろう。
しかし、である。大震災後のショック状態にあったマインドが、その後改善に向かうのは、至極当たり前のことに過ぎない。企業は商売をするために復旧へと動き、家計も生活のために顔を上げて将来を見つめ始める。大震災などの極めて大きなショックの直後よりも、その後のマインドが悪化するなどあり得ない。もし、そうした事態が生じれば、前代未聞である。問題は、方向ではなくテンポや水準である。景気ウォッチャー調査や企業景況感調査は確かに改善したが、未だ十分とは言えず、本稿で既に述べたように4~6月期もマイナス成長は続く可能性が極めて高い。そこを、更に政策により後押しする必要は否定されないだろう。
何よりも問題なのは、大震災から2ヶ月というタイミングで西村副総裁が提案を撤回したことにより、将来も含めて追加緩和の道は基本的に閉ざされた点である。6月9日の日本経済新聞は、日本銀行が6月の決定会合において景気判断を上方修正する方針と報じている。景気判断の上方修正は、方向としては正しく、当社も首肯するものである。しかし、自らの過ちを基本的に認めない官僚組織と同様の性向を有する中央銀行が、景気判断を上方修正する一方で追加緩和に動くのは極めて稀である。早いタイミングでの追加緩和を否決済であれば、尚更であろう。
もちろん、日本銀行は、①大震災後の経済変化に応じて「成長基盤強化の支援」を修正・拡充し、また②現時点では10月迄に受付期間が限られている「被災地金融機関支援オペ」の増額や期間延長を2011年内に行うだろう。しかし、そこまでである。基金増額などの緩和措置は期待できない。
事実上の金融緩和も、風前のともしびです。
<警戒感だけ>
日銀総裁、急激な円高に警戒感
読売新聞 7月25日(月)13時29分配信
日本銀行の白川方明総裁は25日、都内で講演し、急激な円高について、「輸出や企業収益の減少、企業マインドの悪化などを通じて景気に悪影響が及ぶ可能性がある」と述べ、警戒感を示した。
また、「海外経済を巡るリスクに関連して、為替市場の動きに注意が必要だ」と強調し、米国の財政再建を巡る協議の難航や欧州の財政危機などの行方を注視していく姿勢を示した。
日本経済の先行きについては、「年度後半以降、緩やかな回復経路に復していく」との見方を改めて示した。
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genre : 政治・経済