同志社大学教授 浜矩子さん

『聞く:同志社大学教授 浜矩子さん:日本のカネ呼び戻せばいい』朝日新聞H21.2.27
…外国にカネを貸して、外国に日本製品を買ってもらうのが外需(注:資本収支赤字=貿易黒字のこと)だとすれば、カネを国内で使ってもらえば、いいわけです。金利を上げて日本にカネが集まるようにすれば、バランスがとれてきます
…海外で跳びはねているジャパンマネーを呼び戻して使えば(注:資本収支赤字=貿易黒字をなくす=0に近づけること)、収益も上がり、税収も上がる。それが最も本質的な解決方法と思うのです。

 この外需は三面等価の図で、(EX-IM)部分です。
三面等価


 日本の貯蓄超過部分で、外国への資金貸付部分です。外国債や、外国株や、外国社債や、外国への貸付額が(EX-IM)=貿易黒字額なのです。これらは、日本の海外資産の増加であり、額は07年で250兆円超、世界一です。それらは、配当や利子を生み、日本の収入となります(GNI=GNP)。所得収支といいます。所得収支は、05年約13兆円となっています。
 
 さて、ここで主張されていることは、次の経済学者は真っ向から否定しています。
柏木茂雄 慶大院商学研究科教授『グローバル化の逆戻りで、世界経済の衰退を招かないために』中央公論2009.6 p183-184

…貯蓄過剰な国の資金は、金融資本市場を通して貯蓄不足の国に流れること(注:資本収支赤字=貿易黒字のこと)によって、世界経済全体の安定的発展に寄与することが期待されている。しかし自国の貯蓄は他国に回さず自国内で使うべし(注:浜先生の論)とする「自国優先主義」が広がれば、過剰貯蓄は他国に円滑に流れなくなり、資金を恒常的に必要とする新興市場国あるいは低所得国を中心に深刻な影響が生じる。…国際通貨基金(IMF)の資金拡充が叫ばれたゆえん(注1)である。

注1)H21年4月26日19時51分配信 毎日新聞
国際通貨基金(IMF)は…資金不足に陥った途上国向け支援拡充のため、IMF全体の融資枠を大幅に増強することなどを盛り込んだ声明を採択した。…資金確保のため、IMFとして初の債券発行を検討する考えを明らかにした。
…加盟国からの融資2500億ドルで、金融支援に使える資金を倍増することを確認。危機対応のためのIMFの融資制度「新規借り入れ取り決め」(NAB)の拡大と合わせ、従来の3倍の7500億ドル(約73兆円)規模の融資枠を確保する。

 金利を上げて、日本のカネを日本国内にとどめようという主張ですが、そもそも日本が超低金利にしたのは、日本のデフレを止めようとしたからです。デフレ=不況の代名詞ですから、不況克服のため、超低金利にしました。金融危機を受けて、今再び超低金利にしているのは、まさに不況克服のためです。ここで 「金利を上げろ」というのは、「不況にしろ」と言っていることと同じです
 日本が資本収支赤字=貿易黒字を出すので、資金を必要としている国にカネが回っています。それを「なくせばいい」と言っているのが浜先生の主張です。IMFが融資枠拡大をしているのはなぜでしょう?世界には金融危機にならずとも、融資を必要としている国があるのです。その融資は「経常収支不均衡=貿易不均衡」から生まれるのです。日本は、高度成長期、新幹線や、東名高速の建設のために、IBRD(国際復興開発銀行)から、融資を受けました(完済したのは1990年になってからです)。融資(お金の貸し借り)は必ず必要なのです。
「貿易不均衡はまずいというのは、お金の貸し借りはまずいと言っているのと同じこと野口旭『グローバル経済を学ぶ』 )」なのです。明日に続く・・・
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