<大丈夫か?中国インフレ>
<大丈夫か?中国インフレ>
中国のインフレが止まりません。そのインフレを沈静化させるために、中国は、あらゆる手段を使うようです。インフレを抑制させるための、金利の上昇は、中国国内の投資と消費を冷え込ませます。「元安政策=国内に元があふれる=インフレ=インフレ沈静化のための金融引き締め(金利上・準備預金増)=消費・投資減退」です。元安政策(固定相場制維持)は、中国にとって、諸刃の剣です。決して「輸出増で有利」ということではありません。
日経H23.4.20『点検 中国景気』(数字は筆者挿入)
カネ余りから投機マネーが、様々な商品価格をつり上げ、3月の消費者物価指数は前年同月比5.4%の上昇となった。庶民は物価高に不安を強めており、むしろ消費には減速観すら漂う。
(1)…子供服が売れなくなった。…原料や人件費の上昇で仕入れ価格は2~3割上昇。子供を大切にする中国では、子供向けの出費の節約はこれまであまり見られなかった。
(2)…飲食店の経営にも暗い影…。…インフレの対応策には7割が「食費を切りつめる」と回答。「客足が鈍る一方、コスト高でやってられない」(上海の軽食店の店主)。
(3)…自動車販売台数は前年同月比8%増にとどまった。前年同月比は72%の伸び率だった。・・・小型車に対する減税が終了した反動が出始めた。
(4)…高額の家電製品の売れ行きも鈍ってきた。代表格は…薄型テレビだ。…販売台数が前年同月比で2%減と初めてマイナスに転落。…業界団体によると、「10年の薄型テレビメーカーの大半は赤字」。
日経H23.4.20『点検 中国景気』

日経H23.4.16『中国、インフレ抑制 苦慮』
…インフレが中国経済の先行きに影を落とす。…物価が落ち着く兆しは見えない。…そうした状況で利上げを続けると、中国経済は物価が高止まりしたまま景気が減速するという好ましくない状況に陥りかねない。
<インフレのメカニズム>
詳しくは
当ブログ記事 2010-01-25 カテゴリ:元 中国通貨問題http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-category-159.html
『中国人民銀:0.25%利上げ、2カ月ぶり』
を、参照下さい。簡単に言えば、貿易黒字→外貨準備増→固定相場維持で、元が市場にあふれる→インフレです。
『通貨供給量10月末29.4%増』日経H21.11.12
…中国人民銀行…は11日。10月末の通貨供給量(マネーサプライ)が前年同期比29.4%増だったと発表…。元相場を実勢より低めに維持するための元売り・ドル買い介入などの影響で、マネーサプライの膨張が続いている。

BRICS辞典 http://www.brics-jp.com/china/gaika_jyunbi.html

この2007年~2008年の差額は2806億ドルです。2008年のGDPは、43270億ドルですから、6.48%に相当します。中国中央銀行は、6.48%分の元を、市中に供給していることになります。インフレになるわけです。
中国は、事実上の元ドル固定相場制を採用しています。貿易黒字分のドルは、中国国内で、元に換金されます。ドル売り元買いです。そのままでは、一方的な元高になりますので、中央銀行がドル買い元売りをします。その分の「元」が、市中に出回り、インフレの原因となります。固定相場制を採用すると、貿易黒字国は、必ずインフレに悩まされることになります。(1973年の日本もドイツも、劇的なインフレに見舞われました)
日経H23.4.15 『外貨準備 中国、3兆ドル突破』
…前年同期比24.4%増の3兆447億ドルになり、初めて3兆ドルを突破したと発表した。…2位の日本(1兆1160億ドル)の3倍近い水準に達している。
…特に米国が昨年秋に量的緩和政策の第2弾(QE2)に踏み出して以降、世界的にだぶついたマネーが利上げを続ける中国に流れ込み、人民銀は介入の拡大を余儀なくされている。
…人民銀が為替介入を通じて市場に吐き出した人民元はカネ余りを生み、物価が不動産価格を押し上げる要因にもなっている。温家宝首相は13日に「元相場の弾力性を高め、インフレの条件を取り除く」と述べた。


<対策>
日経H23.4.19『点検 中国景気』
「公開準備操作、預金準備率、金利、為替など、多くの金融政策手段を総合的に運用し、インフレ要因を取り除く」。温家宝首相は…力を込めた。傍らには…中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁の姿があった。
…インフレ対策の切り札と目される元高容認は、次期首相の座を巡る駆け引きも絡み、着地点はなお見えていない。
では、インフレを抑えるにはどうしたらよいのでしょう?市中にあるマネーサプライを減らせばよいのです。

方法として、下記手段があります。
①公開準備操作(売りオペ)・・・現在、日銀が採用している手法
②預金準備率上げ・・・中国人民銀行が採用、日銀では事実上不採用
③金利・・・日銀は①の手段によって、貸出金利を調整。中国も採用
④為替・・・固定相場放棄を緩やかにすすめ、変動相場制(資本の自由化)に踏み出す
③金利・・・日銀は①の手段によって、貸出金利を調整。中国も採用
日経H23.4.16『年内に数回利上げ』
…中国政府が一段の金融引き締めに動くとの見方が支配的になってきている。…CPIの上昇率は年後半に最大で6.5%に達するとみており、年内にあと6回程度の利上げを見込む。
http://blog.livedoor.jp/kawase_oh/archives/51740057.html
為替王 2010.12.27

金利を上げると、お金を借りにくくなります。世の中の消費・投資が冷やされると考えられます。
このグラフ以降も利上げは続き、昨年以降、2011年4月7日現在、4度目の利上げをしています。1年物貸出金利は6.31%、預金金利は3.25%へと、それぞれ0.25%ずつ利上げしました。この高金利で、ますます中国への資金流入が拡大します。
②預金準備率上げ・・・中国人民銀行が採用、日銀では事実上不採用
預金準備率とは、銀行が借り入れたお金のうち、中央銀行に、何%を残すか(強制)の割合です。中央銀行(日本の場合、日銀当座預金)に残す額が多くなれば、貸出に回すカネの量が少なくなります。
日本では1991年以降、0.01%であり、事実上金融政策としての役割はありません。
中国では、高率になっています。
日経H23.1.15 『預金準備率 中国が0.5%上げ』グラフも
…中国人民銀行(中央銀行)は、14日、市中銀行から強制的に預かる資金の比率を示す預金準備率を20日から0.5%引き上げると発表した。
…インフレや不動産価格の上昇を招いているカネ余りの解消に向け…準備率を引き上げると…市中に出回る資金を吸収する効果がある。
『中国 物価抑制に躍起』読売H23.1.18
…預金準備率を引き上げれば、金融機関は貸し出しに回すことができるお金を人民銀に預け入れなければならない。…0.5%の引き上げで約3500元(約4,4兆円)の資金を吸い上げることが出来る。
④為替・・・固定相場放棄を緩やかにすすめ、変動相場制(資本の自由化)に踏み出す
さて、いよいよ、インフレの原因である「固定相場制」廃棄という手段です。
日経H23.4.20『点検 中国景気』

じわじわ、元高・ドル安になっています。
日経H23.4.19『点検 中国景気』
「公開準備操作、預金準備率、金利、為替など、多くの金融政策手段を総合的に運用し、インフレ要因を取り除く」。温家宝首相は…力を込めた。傍らには…中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁の姿があった。
…インフレ対策の切り札と目される元高容認は、次期首相の座を巡る駆け引きも絡み、着地点はなお見えていない。
現在、中国では、1960年代までの日本のように、元と外貨の交換を制限しています。原則、輸出取引において入ってきた外貨分しか、人民元に換えられません。株式投資のために、外貨を人民元に交換できるのは、認められた一部の機関投資家しかありません。
資本取引の自由化が始まれば、事実上中国は、緩やかに「変動相場制」に移ることになります。周小川総裁は、「段階的に進める」方針です。
「元安政策で輸出を伸ばす」政策は、行き詰まりを見せています。
<おまけ 中国食品の不安全性>
日経H23.4.19『食の安全「道徳低下が深刻」 中国首相が批判』
…今月7日には…牛乳を飲んだ乳幼児3人が死亡。…恨みを持つライバル業者の夫婦が生産中の牛乳に亜硝酸塩を投入したのが原因…。
…消費期限が過ぎた蒸しパンを白く着色して再出荷した「染色まんじゅう」問題…豚肉を特殊な薬品を溶かした液体に漬けて牛肉のように見せかけていた問題…
中国では、「だました方の勝ち」のようです。春秋戦国、三国志時代以来、変わっていませんね。
中国のインフレが止まりません。そのインフレを沈静化させるために、中国は、あらゆる手段を使うようです。インフレを抑制させるための、金利の上昇は、中国国内の投資と消費を冷え込ませます。「元安政策=国内に元があふれる=インフレ=インフレ沈静化のための金融引き締め(金利上・準備預金増)=消費・投資減退」です。元安政策(固定相場制維持)は、中国にとって、諸刃の剣です。決して「輸出増で有利」ということではありません。
日経H23.4.20『点検 中国景気』(数字は筆者挿入)
カネ余りから投機マネーが、様々な商品価格をつり上げ、3月の消費者物価指数は前年同月比5.4%の上昇となった。庶民は物価高に不安を強めており、むしろ消費には減速観すら漂う。
(1)…子供服が売れなくなった。…原料や人件費の上昇で仕入れ価格は2~3割上昇。子供を大切にする中国では、子供向けの出費の節約はこれまであまり見られなかった。
(2)…飲食店の経営にも暗い影…。…インフレの対応策には7割が「食費を切りつめる」と回答。「客足が鈍る一方、コスト高でやってられない」(上海の軽食店の店主)。
(3)…自動車販売台数は前年同月比8%増にとどまった。前年同月比は72%の伸び率だった。・・・小型車に対する減税が終了した反動が出始めた。
(4)…高額の家電製品の売れ行きも鈍ってきた。代表格は…薄型テレビだ。…販売台数が前年同月比で2%減と初めてマイナスに転落。…業界団体によると、「10年の薄型テレビメーカーの大半は赤字」。
日経H23.4.20『点検 中国景気』

日経H23.4.16『中国、インフレ抑制 苦慮』
…インフレが中国経済の先行きに影を落とす。…物価が落ち着く兆しは見えない。…そうした状況で利上げを続けると、中国経済は物価が高止まりしたまま景気が減速するという好ましくない状況に陥りかねない。
<インフレのメカニズム>
詳しくは
当ブログ記事 2010-01-25 カテゴリ:元 中国通貨問題http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-category-159.html
『中国人民銀:0.25%利上げ、2カ月ぶり』
を、参照下さい。簡単に言えば、貿易黒字→外貨準備増→固定相場維持で、元が市場にあふれる→インフレです。
『通貨供給量10月末29.4%増』日経H21.11.12
…中国人民銀行…は11日。10月末の通貨供給量(マネーサプライ)が前年同期比29.4%増だったと発表…。元相場を実勢より低めに維持するための元売り・ドル買い介入などの影響で、マネーサプライの膨張が続いている。

BRICS辞典 http://www.brics-jp.com/china/gaika_jyunbi.html

この2007年~2008年の差額は2806億ドルです。2008年のGDPは、43270億ドルですから、6.48%に相当します。中国中央銀行は、6.48%分の元を、市中に供給していることになります。インフレになるわけです。
中国は、事実上の元ドル固定相場制を採用しています。貿易黒字分のドルは、中国国内で、元に換金されます。ドル売り元買いです。そのままでは、一方的な元高になりますので、中央銀行がドル買い元売りをします。その分の「元」が、市中に出回り、インフレの原因となります。固定相場制を採用すると、貿易黒字国は、必ずインフレに悩まされることになります。(1973年の日本もドイツも、劇的なインフレに見舞われました)
日経H23.4.15 『外貨準備 中国、3兆ドル突破』
…前年同期比24.4%増の3兆447億ドルになり、初めて3兆ドルを突破したと発表した。…2位の日本(1兆1160億ドル)の3倍近い水準に達している。
…特に米国が昨年秋に量的緩和政策の第2弾(QE2)に踏み出して以降、世界的にだぶついたマネーが利上げを続ける中国に流れ込み、人民銀は介入の拡大を余儀なくされている。
…人民銀が為替介入を通じて市場に吐き出した人民元はカネ余りを生み、物価が不動産価格を押し上げる要因にもなっている。温家宝首相は13日に「元相場の弾力性を高め、インフレの条件を取り除く」と述べた。


<対策>
日経H23.4.19『点検 中国景気』
「公開準備操作、預金準備率、金利、為替など、多くの金融政策手段を総合的に運用し、インフレ要因を取り除く」。温家宝首相は…力を込めた。傍らには…中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁の姿があった。
…インフレ対策の切り札と目される元高容認は、次期首相の座を巡る駆け引きも絡み、着地点はなお見えていない。
では、インフレを抑えるにはどうしたらよいのでしょう?市中にあるマネーサプライを減らせばよいのです。

方法として、下記手段があります。
①公開準備操作(売りオペ)・・・現在、日銀が採用している手法
②預金準備率上げ・・・中国人民銀行が採用、日銀では事実上不採用
③金利・・・日銀は①の手段によって、貸出金利を調整。中国も採用
④為替・・・固定相場放棄を緩やかにすすめ、変動相場制(資本の自由化)に踏み出す
③金利・・・日銀は①の手段によって、貸出金利を調整。中国も採用
日経H23.4.16『年内に数回利上げ』
…中国政府が一段の金融引き締めに動くとの見方が支配的になってきている。…CPIの上昇率は年後半に最大で6.5%に達するとみており、年内にあと6回程度の利上げを見込む。
http://blog.livedoor.jp/kawase_oh/archives/51740057.html
為替王 2010.12.27

金利を上げると、お金を借りにくくなります。世の中の消費・投資が冷やされると考えられます。
このグラフ以降も利上げは続き、昨年以降、2011年4月7日現在、4度目の利上げをしています。1年物貸出金利は6.31%、預金金利は3.25%へと、それぞれ0.25%ずつ利上げしました。この高金利で、ますます中国への資金流入が拡大します。
②預金準備率上げ・・・中国人民銀行が採用、日銀では事実上不採用
預金準備率とは、銀行が借り入れたお金のうち、中央銀行に、何%を残すか(強制)の割合です。中央銀行(日本の場合、日銀当座預金)に残す額が多くなれば、貸出に回すカネの量が少なくなります。
日本では1991年以降、0.01%であり、事実上金融政策としての役割はありません。
中国では、高率になっています。
日経H23.1.15 『預金準備率 中国が0.5%上げ』グラフも
…中国人民銀行(中央銀行)は、14日、市中銀行から強制的に預かる資金の比率を示す預金準備率を20日から0.5%引き上げると発表した。
…インフレや不動産価格の上昇を招いているカネ余りの解消に向け…準備率を引き上げると…市中に出回る資金を吸収する効果がある。

『中国 物価抑制に躍起』読売H23.1.18
…預金準備率を引き上げれば、金融機関は貸し出しに回すことができるお金を人民銀に預け入れなければならない。…0.5%の引き上げで約3500元(約4,4兆円)の資金を吸い上げることが出来る。
④為替・・・固定相場放棄を緩やかにすすめ、変動相場制(資本の自由化)に踏み出す
さて、いよいよ、インフレの原因である「固定相場制」廃棄という手段です。
日経H23.4.20『点検 中国景気』

じわじわ、元高・ドル安になっています。
日経H23.4.19『点検 中国景気』
「公開準備操作、預金準備率、金利、為替など、多くの金融政策手段を総合的に運用し、インフレ要因を取り除く」。温家宝首相は…力を込めた。傍らには…中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁の姿があった。
…インフレ対策の切り札と目される元高容認は、次期首相の座を巡る駆け引きも絡み、着地点はなお見えていない。
現在、中国では、1960年代までの日本のように、元と外貨の交換を制限しています。原則、輸出取引において入ってきた外貨分しか、人民元に換えられません。株式投資のために、外貨を人民元に交換できるのは、認められた一部の機関投資家しかありません。
資本取引の自由化が始まれば、事実上中国は、緩やかに「変動相場制」に移ることになります。周小川総裁は、「段階的に進める」方針です。
「元安政策で輸出を伸ばす」政策は、行き詰まりを見せています。
<おまけ 中国食品の不安全性>
日経H23.4.19『食の安全「道徳低下が深刻」 中国首相が批判』
…今月7日には…牛乳を飲んだ乳幼児3人が死亡。…恨みを持つライバル業者の夫婦が生産中の牛乳に亜硝酸塩を投入したのが原因…。
…消費期限が過ぎた蒸しパンを白く着色して再出荷した「染色まんじゅう」問題…豚肉を特殊な薬品を溶かした液体に漬けて牛肉のように見せかけていた問題…
中国では、「だました方の勝ち」のようです。春秋戦国、三国志時代以来、変わっていませんね。
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