<人口と経済、需要か供給かなんかどっちでもいい,北海道の現状>
<人口と経済、需要か供給かなんかどっちでもいい>
日経 『大機小機 人口と経済、需要か供給か』H23.2.16
人口構造の変化は経済に大きく影響する。
…最近有力な「需要派」…生産年齢人口は消費の主役である。その生産年齢人口が減少することが国内需要の減退をもたらす。一方、企業の供給力はあまり変わらないので、需給ギャップが開き、デフレになる。
これに対し「供給派」は次のように主張する。経済の長期的な成長は供給力に規定される。…人口が不足し、貯蓄率も低下する。その結果、供給制約が強まり、1人あたり所得が下がってしまう。
両者の主張は、人口変化が経済に負の影響を及ぼすという結論は同じ…。
…需要派は人口の影響はすでに現実のものとなっており、デフレの一因になっていると考える。
…供給派は、デフレは景気の低迷が原因であり、人口の影響は需給ギャップがなくなった将来において顕在化してくると考える。
…需要派の処方箋は供給力の削減…。…無理に需要を増やす必要はなく、供給を調整すればよいと考える…。
…供給派は…供給力をむしろ強化して生産性を高め、これに合わせ需要を拡大すべきだと考える。
現状では需要派が優勢…現実にデフレになっているし、供給派が懸念する労働力不足や貯蓄不足も現状では全く逆の状況(労働も貯蓄も過剰)だからだ。
どちらの主張が正しいのか。その正体はこれからの歴史が明らかにしてくれるだろう。
「隅田川」さんが書いた文章です。彼の解釈なので、ちょっと?の部分があるのですが、理論的にはともかく、現実は、大変なことになっています。北海道です。理論的に、「供給」派だろうが、「需要」派だろうがどっちでもかまいません。両者ともに、現実は、 「人口変化が経済に負の影響を及ぼすという結論」なのです。
<沈下し続ける北海道>
北海道新聞『道内9年連続マイナス成長 総生産10年で12%減』H23.4.16

…2009年度の名目経済成長率はマイナス1.9%となり9年連続で前年度を下回った。道内総生産は18兆123億円で、10年前(99年度)よりも約12%、2兆5千億円も減少。…急速に進む人口減少が響き、道内の経済規模が縮小していることが裏付けられた。
…また、1人当たりの道民所得は厳しい雇用・賃金情勢を反映し、231万9千円で前年度比2.9%減と、9年連続で減少した。

人口減&GRP(国のGDPに相当)減は、もう実証されています。(人口減→デフレではないので注意を)因果相関関係については、専門家におまかせします。

北海道は、少子化高齢化、離婚率の高さでも、日本の最先端を走っています。北海道を分析すれば、今後の日本の行く末が占えます。
なぜ、人口減:GRP(国のGDPに相当)減なのでしょう。
GDPは次の3つの要素で構成されます。
① 労働量(何人の人が何時間働いているか)
② 資本ストック(どのくらいの機械や工場が動いているか)
③ 技術力(労働と資本を,どのくらい効率的に活用しているか)
GDPは, ①労働力(人口),②資本ストック,③技術力をかけあわせたものです。

まず,①労働量です。日本は,少子化・高齢化が進んでいます。現在のままでは,明らかに「減る」ことは,間違いありません。15才から,64才までを生産年齢人口と言いますが,今後その実数も,人口に占める割合も,大変な勢いで低下していきます。
帝国書院『アクセス現代社会2008』 2008年 p50

この、人口減・高齢化の最先端を走っているのが、北海道です。
平成20年版 高齢社会白書 人口(年齢階層別人口)の推移

北海道の場合、この先人口が増えることはありません。GRPを維持するには、どうしたらよいのでしょうか?冒頭の、「需要と供給理論」を主張している方々、方法を教えて下さい。ちなみに、ポール・クルーグマン(プリンストン大教授)に聞いても、「分かるわけねーじゃん」と答えられるのが落ちのようですが。
<伸びる業界>
実は、人口減・GRP減の中でも伸びている企業があります。北海道のコンビニ「セイコーマート」です。
http://www.seicomart.co.jp/
北海道での店舗数は、セブンイレブンの830店、セイコーマートは998店と、全国ブランドチェーン店を上回っています。
北海道新聞 丸谷智保同社社長『個食化に注目、商機拡大』H23.4.17
人口減少や高齢化…。これは小売業にとってマイナスに働くのは間違いないことです…。
…私が最も注目したのは、道内の人口が5年間で過去最大の12万人減ったと言う事実ではなく、人口が減りながらも、同じ期間で世帯数が約4万世帯も増えたということでした。
このことは、高齢者など、少人数世帯の「個食化」が進んでいることの証しです。
その通りなのです。人口減なのに、世帯数は増加しているのです。

世帯数の増加は、電気・ガス・水道といった基礎的な消費や、不動産業界の売上を伸ばします。

同じく、食料費も伸びています。これは、高齢者世帯の増加(単身世帯増)などにより、「個食化」が増えていると考えられるからです。そうなると、コンビニや、スーパーなどの「惣菜」「弁当」の売上が伸びることが予想されます。高齢単身の女性でも、「わざわざ自分のために料理をする」という面倒くさいことを、少しづつ減らしてゆきます。
当社は…(POS)データなどを分析した結果、これからは個食化が進むと見て100円惣菜など小分け食品を積極的に開発してきました。惣菜やパスタなどの100円食品の売り上げは、年々伸びており、昨年の30億円から今年は36億円程度に達する見通しです。世帯数の増加は当社にとっては願ってもないチャンスとも言えます。
同社は、数年前から、100円惣菜コーナーを充実させています。その売上が、1年で20%も増加するというのです。実際に、鮭やさばの魚類、肉じゃが、から揚げ、煮込みなど、お酒のつまみには十分ですし、パスタなども昼食にはもってこいです。
大手コンビニも同じです。ローソンは「ショップ99」をM&Aで傘下におさめ、同じように100円ショップ「ローソン100」http://www.99plus.co.jp/index.htmlの出店を加速させます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110414-00000207-reu-bus_all
ローソン、12年2月期は3.5%営業利増益の見通し
[東京 14日 ロイター]
ローソン<2651.T>は14日、2012年2月期の連結営業利益が前年比3.5%増の575億円になるとの見通しを発表した。トムソン・ロイター・エスティメーツによると、東日本大震災発生後の3月12日以降に予想を出している主要アナリスト6人の予測平均値は569億円で、会社側の予想はこれをやや上回った。
新浪剛史社長は会見で、今後の消費について「インフレになるとは言わないが、デフレは終えんする。コンビニとスーパーとの価格差もなくなっていく」と述べた。
…グループでの出店は750店(前期は550店)、純増で330店(同233店)と、積極的な出店を計画している。
セイコーマートの売上も、右肩上がりです。
…1人のお客さんが来店してくれる回数が増え、人口が減少しても売り上げは十分に維持できます。当社も10年までの5年間、道内の店舗数は、13%増えましたが、来店客数はそれを上回る25%増でした。
…人口減少に頭を抱え「売り上げが伸びなくても仕方ない」と言い訳するのではなく、他社がやれないことで差別化し…持続可能な経営を続けていく…。
サービス業は、1次産業や2次産業と違い、「人口」がないと、維持していけません。その中で、人口減でも、客の来店回数をあげて、売上を伸ばしている企業があるのです。ヒントは「差別化」にあります。
日経 『大機小機 人口と経済、需要か供給か』H23.2.16
人口構造の変化は経済に大きく影響する。
…最近有力な「需要派」…生産年齢人口は消費の主役である。その生産年齢人口が減少することが国内需要の減退をもたらす。一方、企業の供給力はあまり変わらないので、需給ギャップが開き、デフレになる。
これに対し「供給派」は次のように主張する。経済の長期的な成長は供給力に規定される。…人口が不足し、貯蓄率も低下する。その結果、供給制約が強まり、1人あたり所得が下がってしまう。
両者の主張は、人口変化が経済に負の影響を及ぼすという結論は同じ…。
…需要派は人口の影響はすでに現実のものとなっており、デフレの一因になっていると考える。
…供給派は、デフレは景気の低迷が原因であり、人口の影響は需給ギャップがなくなった将来において顕在化してくると考える。
…需要派の処方箋は供給力の削減…。…無理に需要を増やす必要はなく、供給を調整すればよいと考える…。
…供給派は…供給力をむしろ強化して生産性を高め、これに合わせ需要を拡大すべきだと考える。
現状では需要派が優勢…現実にデフレになっているし、供給派が懸念する労働力不足や貯蓄不足も現状では全く逆の状況(労働も貯蓄も過剰)だからだ。
どちらの主張が正しいのか。その正体はこれからの歴史が明らかにしてくれるだろう。
「隅田川」さんが書いた文章です。彼の解釈なので、ちょっと?の部分があるのですが、理論的にはともかく、現実は、大変なことになっています。北海道です。理論的に、「供給」派だろうが、「需要」派だろうがどっちでもかまいません。両者ともに、現実は、 「人口変化が経済に負の影響を及ぼすという結論」なのです。
<沈下し続ける北海道>
北海道新聞『道内9年連続マイナス成長 総生産10年で12%減』H23.4.16

…2009年度の名目経済成長率はマイナス1.9%となり9年連続で前年度を下回った。道内総生産は18兆123億円で、10年前(99年度)よりも約12%、2兆5千億円も減少。…急速に進む人口減少が響き、道内の経済規模が縮小していることが裏付けられた。
…また、1人当たりの道民所得は厳しい雇用・賃金情勢を反映し、231万9千円で前年度比2.9%減と、9年連続で減少した。

人口減&GRP(国のGDPに相当)減は、もう実証されています。(人口減→デフレではないので注意を)因果相関関係については、専門家におまかせします。

北海道は、少子化高齢化、離婚率の高さでも、日本の最先端を走っています。北海道を分析すれば、今後の日本の行く末が占えます。
なぜ、人口減:GRP(国のGDPに相当)減なのでしょう。
GDPは次の3つの要素で構成されます。
① 労働量(何人の人が何時間働いているか)
② 資本ストック(どのくらいの機械や工場が動いているか)
③ 技術力(労働と資本を,どのくらい効率的に活用しているか)
GDPは, ①労働力(人口),②資本ストック,③技術力をかけあわせたものです。

まず,①労働量です。日本は,少子化・高齢化が進んでいます。現在のままでは,明らかに「減る」ことは,間違いありません。15才から,64才までを生産年齢人口と言いますが,今後その実数も,人口に占める割合も,大変な勢いで低下していきます。
帝国書院『アクセス現代社会2008』 2008年 p50

この、人口減・高齢化の最先端を走っているのが、北海道です。
平成20年版 高齢社会白書 人口(年齢階層別人口)の推移

北海道の場合、この先人口が増えることはありません。GRPを維持するには、どうしたらよいのでしょうか?冒頭の、「需要と供給理論」を主張している方々、方法を教えて下さい。ちなみに、ポール・クルーグマン(プリンストン大教授)に聞いても、「分かるわけねーじゃん」と答えられるのが落ちのようですが。
<伸びる業界>
実は、人口減・GRP減の中でも伸びている企業があります。北海道のコンビニ「セイコーマート」です。
http://www.seicomart.co.jp/
北海道での店舗数は、セブンイレブンの830店、セイコーマートは998店と、全国ブランドチェーン店を上回っています。
北海道新聞 丸谷智保同社社長『個食化に注目、商機拡大』H23.4.17
人口減少や高齢化…。これは小売業にとってマイナスに働くのは間違いないことです…。
…私が最も注目したのは、道内の人口が5年間で過去最大の12万人減ったと言う事実ではなく、人口が減りながらも、同じ期間で世帯数が約4万世帯も増えたということでした。
このことは、高齢者など、少人数世帯の「個食化」が進んでいることの証しです。
その通りなのです。人口減なのに、世帯数は増加しているのです。

世帯数の増加は、電気・ガス・水道といった基礎的な消費や、不動産業界の売上を伸ばします。

同じく、食料費も伸びています。これは、高齢者世帯の増加(単身世帯増)などにより、「個食化」が増えていると考えられるからです。そうなると、コンビニや、スーパーなどの「惣菜」「弁当」の売上が伸びることが予想されます。高齢単身の女性でも、「わざわざ自分のために料理をする」という面倒くさいことを、少しづつ減らしてゆきます。
当社は…(POS)データなどを分析した結果、これからは個食化が進むと見て100円惣菜など小分け食品を積極的に開発してきました。惣菜やパスタなどの100円食品の売り上げは、年々伸びており、昨年の30億円から今年は36億円程度に達する見通しです。世帯数の増加は当社にとっては願ってもないチャンスとも言えます。
同社は、数年前から、100円惣菜コーナーを充実させています。その売上が、1年で20%も増加するというのです。実際に、鮭やさばの魚類、肉じゃが、から揚げ、煮込みなど、お酒のつまみには十分ですし、パスタなども昼食にはもってこいです。
大手コンビニも同じです。ローソンは「ショップ99」をM&Aで傘下におさめ、同じように100円ショップ「ローソン100」http://www.99plus.co.jp/index.htmlの出店を加速させます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110414-00000207-reu-bus_all
ローソン、12年2月期は3.5%営業利増益の見通し
[東京 14日 ロイター]
ローソン<2651.T>は14日、2012年2月期の連結営業利益が前年比3.5%増の575億円になるとの見通しを発表した。トムソン・ロイター・エスティメーツによると、東日本大震災発生後の3月12日以降に予想を出している主要アナリスト6人の予測平均値は569億円で、会社側の予想はこれをやや上回った。
新浪剛史社長は会見で、今後の消費について「インフレになるとは言わないが、デフレは終えんする。コンビニとスーパーとの価格差もなくなっていく」と述べた。
…グループでの出店は750店(前期は550店)、純増で330店(同233店)と、積極的な出店を計画している。
セイコーマートの売上も、右肩上がりです。
…1人のお客さんが来店してくれる回数が増え、人口が減少しても売り上げは十分に維持できます。当社も10年までの5年間、道内の店舗数は、13%増えましたが、来店客数はそれを上回る25%増でした。
…人口減少に頭を抱え「売り上げが伸びなくても仕方ない」と言い訳するのではなく、他社がやれないことで差別化し…持続可能な経営を続けていく…。
サービス業は、1次産業や2次産業と違い、「人口」がないと、維持していけません。その中で、人口減でも、客の来店回数をあげて、売上を伸ばしている企業があるのです。ヒントは「差別化」にあります。
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genre : 政治・経済