<51.7%:自給率上限 >
<日本は自給率のどこを目標にするのか>
参考・引用文献 川島博之(東大院農学生命科学研究科准教授)『食料自給率の罠』朝日新聞出版社2010
P59図

1961(昭和36)年のカロリー自給率は、78.8%です。これこそ、日本が実現したい理想値?でしょうか?。
その頃のように、今の豊かな食生活を捨てて、自給率をアップさせた方がいいですか?コメしか食べるものなかったですけど。我々は、豊かになると、「コメ」や「麦」・・・要するに主要穀物を食べなくなります。ひたすら「コメ」を食べていた昭和30年代と違い、今は、イチゴ、夕張メロン、マンゴー、有機野菜、高級肉、ふぐ、カニ、アワビ、トロ、ワイン、日本酒、チーズ、バターetc、高級食材を食べます。「青汁」などの健康食品は、右肩上がりです。
この78.8%は、物理的理由により、絶対に不可能な数値です。検証してゆきましょう。
P61
…国土が狭い日本では、コメを生産するだけで精一杯であった。…経済成長に伴い、肉、牛乳、植物油をもっと摂りたいと思った。だが、飼料用作物や油用作物を大量に生産する土地など残されていない。だから輸入したのだ。
P66

p66-68

<自給率向上方法?>
カロリー自給率であれ、生産額自給率であれ、摂取カロリー自給率であれ、自給率なる指標そのものに、「意味がない」ことは、このブログで説明してきたとおりです。
2011-01-07記事 カテゴリ: 農業自給率UPは無意味
2011-01-10記事 カテゴリ: 農業自給率UPは無意味
2011-01-13記事 カテゴリ: 農業自給率UPは無意味 参照
ですが、本当に100歩ゆずって(1万歩ですけど)、「自給率」を向上させるとしたら、どこまで上がるのかを検証しましょう。
P70~

さて、カロリー自給率を向上させるために、何を作るべきでしょうか?野菜・果物をいくら作っても、カロリーは上がりません。高カロリーである必需品は、小麦・トウモロコシ・大豆です。
2007年、日本は、トウモロコシを1,663万トン、小麦を528万トン、大豆を416万トン輸入しています。これらを自給すれば良いのです。
トウモロコシは8トン/ha(アメリカ並みと考えて)、小麦は4トン/ha(日本数値)、大豆は2トン/ha(同)の収穫量です。この数値を使い、自給に必要な土地を示します。

上の図から、高カロリー作物は、日本の休耕地・放棄地をフルに使っても、生産しきれないことがわかります。これらを全て自給するには、昭和36年の、日本の農地最高面積時代だった「609万ha」の約1.2倍の面積が必要です(723万ha)。土台、自給率向上は「絵に描いたもち」なのです。


休耕地をフルに使って、小麦を生産したとします(これは、かろうじて、何とか、やっと、下駄を履かせて可能数値です…本当は、降雨量・湿気の多いところは無理、虫食い土地を全て利用するとして・・・家庭菜園に貸した用地は、全部回収して・・・。
そうすると、カロリーベース数値が11.4%上がります。日本のカロリー自給率は平成21年度40% です。小麦を全て自給して、51.4%になります。これが、自給率なるものを目一杯アップさせた日本の「限界値」です(魚・・・これを大量に日本で自給しても、低カロリーなので、カロリー効率は上がりません)。
さて、40%から、51.4%にアップさせたとして、この数値をどう思いますか? 下記の語群から正しいと思うものを選んでみましょう。
① 40%は低いが、51.4%なら及第点だ。
② 40%でも、51.4%でも不安だ。
③ 40%でも、51.4%でも、意味はない
浅川芳裕『日本は世界第5位の農業大国』講談社+a新書 2010

カロリー自給率を、下駄を履かせながら目一杯上げた、51.4%は、スイス並みです。これが日本の限界です。
<自給費用>
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/dbd987bd69f54f27c2ecc36cf237b3b5
池田信夫 blog(旧館)「食糧危機」の本当の原因
農水省のホームページによれば…政府買付価格は大幅に上昇している」と書かれているが、ブッシェルというのは約27kgだから、10ドル/ブッシェルというのはトンあたりに換算すると約37,000円。
…他方、国産小麦の落札価格は銘柄平均で約43,000円…これは割安に見えるが、実は約100%の補助金を受けているので、原価は国際相場の2.5倍だ。2008年4月現在
以下は、単純計算です。国際価格37,000-国産小麦原価14,800=22,200円/tを農家に補助します。
すべて自給します。
輸入量 555万トン+ 国内86万トン=641万トン(2007年)
なので、6,410,000トン×22,200=142,302,000,000
補助金は、約1400億円になります。
一生懸命キャンペーンして、補助金を1400億円払って、51.4%を目指すことに、何の意味があるのかさっぱり分かりません。
自給率UPはまやかしなのです。
参考・引用文献 川島博之(東大院農学生命科学研究科准教授)『食料自給率の罠』朝日新聞出版社2010
P59図

1961(昭和36)年のカロリー自給率は、78.8%です。これこそ、日本が実現したい理想値?でしょうか?。
その頃のように、今の豊かな食生活を捨てて、自給率をアップさせた方がいいですか?コメしか食べるものなかったですけど。我々は、豊かになると、「コメ」や「麦」・・・要するに主要穀物を食べなくなります。ひたすら「コメ」を食べていた昭和30年代と違い、今は、イチゴ、夕張メロン、マンゴー、有機野菜、高級肉、ふぐ、カニ、アワビ、トロ、ワイン、日本酒、チーズ、バターetc、高級食材を食べます。「青汁」などの健康食品は、右肩上がりです。
この78.8%は、物理的理由により、絶対に不可能な数値です。検証してゆきましょう。
P61
…国土が狭い日本では、コメを生産するだけで精一杯であった。…経済成長に伴い、肉、牛乳、植物油をもっと摂りたいと思った。だが、飼料用作物や油用作物を大量に生産する土地など残されていない。だから輸入したのだ。
P66

p66-68

<自給率向上方法?>
カロリー自給率であれ、生産額自給率であれ、摂取カロリー自給率であれ、自給率なる指標そのものに、「意味がない」ことは、このブログで説明してきたとおりです。
2011-01-07記事 カテゴリ: 農業自給率UPは無意味
2011-01-10記事 カテゴリ: 農業自給率UPは無意味
2011-01-13記事 カテゴリ: 農業自給率UPは無意味 参照
ですが、本当に100歩ゆずって(1万歩ですけど)、「自給率」を向上させるとしたら、どこまで上がるのかを検証しましょう。
P70~

さて、カロリー自給率を向上させるために、何を作るべきでしょうか?野菜・果物をいくら作っても、カロリーは上がりません。高カロリーである必需品は、小麦・トウモロコシ・大豆です。
2007年、日本は、トウモロコシを1,663万トン、小麦を528万トン、大豆を416万トン輸入しています。これらを自給すれば良いのです。
トウモロコシは8トン/ha(アメリカ並みと考えて)、小麦は4トン/ha(日本数値)、大豆は2トン/ha(同)の収穫量です。この数値を使い、自給に必要な土地を示します。

上の図から、高カロリー作物は、日本の休耕地・放棄地をフルに使っても、生産しきれないことがわかります。これらを全て自給するには、昭和36年の、日本の農地最高面積時代だった「609万ha」の約1.2倍の面積が必要です(723万ha)。土台、自給率向上は「絵に描いたもち」なのです。


休耕地をフルに使って、小麦を生産したとします(これは、かろうじて、何とか、やっと、下駄を履かせて可能数値です…本当は、降雨量・湿気の多いところは無理、虫食い土地を全て利用するとして・・・家庭菜園に貸した用地は、全部回収して・・・。
そうすると、カロリーベース数値が11.4%上がります。日本のカロリー自給率は平成21年度40% です。小麦を全て自給して、51.4%になります。これが、自給率なるものを目一杯アップさせた日本の「限界値」です(魚・・・これを大量に日本で自給しても、低カロリーなので、カロリー効率は上がりません)。
さて、40%から、51.4%にアップさせたとして、この数値をどう思いますか? 下記の語群から正しいと思うものを選んでみましょう。
① 40%は低いが、51.4%なら及第点だ。
② 40%でも、51.4%でも不安だ。
③ 40%でも、51.4%でも、意味はない
浅川芳裕『日本は世界第5位の農業大国』講談社+a新書 2010

カロリー自給率を、下駄を履かせながら目一杯上げた、51.4%は、スイス並みです。これが日本の限界です。
<自給費用>
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/dbd987bd69f54f27c2ecc36cf237b3b5
池田信夫 blog(旧館)「食糧危機」の本当の原因
農水省のホームページによれば…政府買付価格は大幅に上昇している」と書かれているが、ブッシェルというのは約27kgだから、10ドル/ブッシェルというのはトンあたりに換算すると約37,000円。
…他方、国産小麦の落札価格は銘柄平均で約43,000円…これは割安に見えるが、実は約100%の補助金を受けているので、原価は国際相場の2.5倍だ。2008年4月現在
以下は、単純計算です。国際価格37,000-国産小麦原価14,800=22,200円/tを農家に補助します。
すべて自給します。
輸入量 555万トン+ 国内86万トン=641万トン(2007年)
なので、6,410,000トン×22,200=142,302,000,000
補助金は、約1400億円になります。
一生懸命キャンペーンして、補助金を1400億円払って、51.4%を目指すことに、何の意味があるのかさっぱり分かりません。
自給率UPはまやかしなのです。
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