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新聞の間違い(13) 日本経済新聞

 経済新聞が、経済的な誤りを掲載しています。
(R)『国債入札、無難な再開 マーケット ウオッチャー 』 日本経済新聞 H21.5.13

日本は国債を増発しても、経常黒字でため込んだ国内での貯蓄で吸収できる点が強みだ。だが経常赤字の月が出始めるなど、「貯蓄の超過幅が急縮小しており、国債増発の影響が強まるかもしれない」 (東海東京証券の斎藤満チーフエコノミスト)。

 新聞記事の間違いは、正解はで示しました。記者は間違い斉藤さんは正解です。
 「経常黒字でため込んだ国内での貯蓄」についてです。
 再三指摘しているとおり、経常黒字=資本収支赤字なので、経常黒字額=外国債、外国株、外国社債、直接・間接投資額など、外国への資金の貸し出しのことです。ですから、「経常黒字」は儲けではないので、「ため込む」ことは不可能ですし、 「国内の貯蓄」には絶対になりません。 「国内の貯蓄」が「経常黒字」に回る のです。

 三面等価の図を見て見ましょう。三面等価

 国内のS(貯蓄)が、I(企業の投資)、(G-T:公債)、(EX-IM:輸出―輸入:経常黒字:海外への資金の貸し出し)になるのです。S=144兆円、それがI93兆円、G-T32兆円、EX-IM18兆円に回るのです。新聞は全く反対に書いています

 経常赤字の月が出始めるなど、「貯蓄の超過幅が急縮小しており、国債増発の影響が強まるかもしれない」というのは、次のことをあらわします。三面等価の式です。

貯蓄超過= 公債 + 経常黒字
(S-I)  = (G-T)+ (EX-IM)
プラス     プラス    プラス
 ↓       ↓      ↓
減少      影響    マイナス(経常赤字)

ということです。左辺=右辺なので、右辺・左辺両方が減る中、公債を増発しても、公債に回るカネが少ない=国債価格下落→長期金利上昇→金利急騰になる可能性を指摘しているのです。

国債価格の下落=(長期)金利上昇とは、以下のことを表しています。

 満期の額面100万円の国債があります。この国債は、市場で常に売買されます。今、国債が98万円で売れたとします。利益率は、2万÷98万×100=2.04%、これが、国債の金利です。国債の人気が下がれば、98万円では売れません。(需要<供給)です。
例えば95万円に値下げして売られるとします(国債価格の下落)。そうなると、1年後に100万円手に入る国債を95万円で買ったのだから、その利益は5万円、金利は、5万÷95×100=5.26%になります(金利上昇)。
 国際価格下落=長期金利上昇とおさえておきましょう。


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