農業の神話(2) 食料危機で、日本が飢餓
<食料危機で、日本が飢餓>
参考引用文献 浅川芳裕『日本は世界第5位の農業大国』講談社+a新書 2010
P162
山田正彦農林水産副大臣は、「自給率が低いままでは飢えた民衆が略奪を始め、暴動が続発する大飢餓パニックが起こる」と自著で記し、自給率の向上こそが食料安全保障につながると力説する。
何か、世界的に大変なこと(戦争とかでしょうか)?が起きて、日本が食料を輸入できなくなって、パニックが起こるという例の主張です。
ですが、困るのは、日本ではなくて、アメリカ・オーストラリア・ブラジルといった、農業輸出国です。しかも、「国」ではなく、実際に農産物を生産している一人ひとりの生産者です。
日本は、2008年後半以降、いわゆるリーマン・ショックに飲み込まれました。

日本は自動車業界を始め、派遣労働者の契約を打ち切る、「派遣ぎり」が行われ、「労働者派遣法」の改正が必要だ!とまで騒がれました(まだ改正法は、民主党のごたごたで成立していませんが)。
リーマン・ショックは外来の危機です。日本とは、まったく関係のない、アメリカや、イギリス、アイスランドの金融界が、バブル破裂で勝手にこけたのが原因です。日本の金融業界は、サブプライム・ローンなど、まったく購入しておらず、当時の与謝野金融担当大臣が、「ハチに刺された程度」と、日本に損害はないと豪語しました。
ですが、金融破たんが、実物経済に波及し、各国のGDP (GDI=国民総所得) 激減という結果になりました。
2005年以降、急速に伸びていた輸出で稼いでいた自動車業界(トヨタは前年、純利益が1兆円を超えていました)、建設機器業界、機械業界、家電業界、要するに輸出産業がダメージを受けました。外国の輸入力がガタガタになったからです。
日本国内には、まったく影響ないはずが、日本のGDP (GDI=国民総所得) も激減しました。
さて、困ったのは、「車を輸入できない、アメリカ国民」だったでしょうか。「輸出ができない、日本国民」だったでしょうか。「輸入依存?」だった外国でしょうか、「輸出依存?」の日本だったでしょうか? 「輸出」に依存していた日産自動車は、純利益が、前年の1263億円から、90億円に激減しました。
まあ、正解は、経済学的には「どっちも」なのです…が、 「輸出依存?」の日本にとっても、前述のように大変な大不況でした。
もし、日本が食料を輸入できないということになれば、オーストラリア・アメリカ・ブラジルも輸出できないことになります。日本が「食料危機」ということになれば、オーストラリア・アメリカ・ブラジルの農民も、所得が激減します。「輸出依存」農民の「危機」も同時に訪れます。
それとも、「車」と違い、「農作物」は「輸出品」「輸入品」と考えてはまずいですか?何しろ「安全保障」の根幹だから?
ですが、 「輸出」ができなくなると、「輸出」国民も、農作物が「輸入」できなくなって、豊かな食生活が実現できなくなります。
「輸出が増えれば=輸入も増える」という、例の、貿易の黄金律です。ブログカテゴリ:リカード比較生産費「輸出増=輸入増」参照
そもそも、日本よりカロリーベース自給率の高い、英国も、ドイツも、自給率が100%を超えるフランスだって、日本よりも農産物を輸入している「輸入大国」です。
p21グラフ

英国やドイツは、北海道より「北」にあります。野菜や果物は「取れません」。英国民が、レモンティーを飲もうと思ったら、100%輸入しないとだめです。ワインも輸入しないと飲めません。
ドイツ食と聞いて、「イモとソーセージ」と連想するのは、「イモ」のような根菜類と、「ソーセージのような保存食」しか作れないからです。食後に「スイカ」を食べることなんて「輸入」がなければできません。
英国の野菜の生産額ベースの自給率は40%、果物は10%未満です。あとは、全部、地中海沿岸諸国からの「輸入」です。…昔、大英帝国の上流階層が豊かな食生活をできるようになったのも、輸入ができたからです。
フランス(農作物輸出額比率40%)や、アメリカ(同:60%)が農作物を輸出できるのは、小麦や、トウモロコシ、肉、ワインに特化したからです。
アメリカは、そのかわり、スコッチウイスキーやコニャック、ティー、ロシア産キャビア、フランス産トリュフ、コーヒー豆やカカオ(チョコ大好き!)を輸入し、食生活を豊かにしています。
日本が「食料危機?」を迎えたら、輸出国も「食料危機?」を迎えます。GDP (GDI=国民総所得) も激減するからです。
日本が、食料危機になったら、輸入商社は何としてでも食料をかき集め、輸出農家は「高く」買ってくれる所に売ります。食料危機は「輸出国農民」にとって、大もうけのチャンスです。天候不順による「食料危機」が、起こったら?。北半球「アメリカ」がだめでも、南半球「オーストラリア」「ブラジル」にとって、千載一遇のチャンスです。
<耕作地減少>

耕作地は、このように減少しています。世界の耕地面積15億ヘクタールのうち、3億ヘクタールが休耕地です。

ですが、農産物の輸出入は増加の一途です。
p137

耕作地は増やそうと思えば、簡単に増やせます(各国が、増やさないのは、生産性が低くなるからです)。
土地の条件が悪くて、作ってももうからない土地、あるいは、他の仕事に就いたので、耕作しなくなった土地が耕作放棄地です。 「農家数が減り、耕作放棄地が増加=日本農業衰退」というのは神話です。生産性が低いから、やめたのです。
工場で、生産性が上がらないのなら、どんなに広い工場でも、ラインを止めて、あるいは撤去して、ガラガラになったスペースで生産するのと同じことです。「広いスペースもったいない」といっても、付加価値(もうけ)が出ないから、空きスペースにしているだけです。
また、「一度耕作をやめると、その土地は復活できない」も神話です。そんなもの、北海道の農家に聞いてごらんなさい。放棄して荒れた田んぼだろうが、畑だろうが、牧草地だろうが、大型トラクター1台であっという間に完全復活です。
簡単に復活できない耕作放棄地は、期限を決めて賃貸した、みなさんの周りにある、「ヤマダ電機」や「ケーズ電機」、「パチンコ店」「イオン」や「アウトレットモール」などのショッピングセンターの土地です。
事態が変わって、「食料危機」なら、放棄耕作地を元に戻せば済むことです。
日本の生産量もアップしています。

これも、耕作地が減っているのに、生産性は上昇したことを示します。
p117

<食料危機>
何が輸入できなくなったら、食料危機なのでしょうか?コメは今でもあまってますから、大丈夫ですね。小麦でしょうか?

このグラフを縦に大きくしたのは、日本の食用に必要な小麦量が、世界生産量に比較するとあまりに小さすぎて、グラフに示せなかったからです。
日本の全輸入小麦量529万トンは、世界の生産量のわずか0.8%です。世界生産量がどれだけ激減したら、日本の小麦「食料危機」が起きるのか、逆に想像がつきません。
輸入先は、米国(約300万トン/米国生産量6800万トン)、カナダ(150万トン)、オーストラリア(約100万トン)です。
オーストラリア産輸入小麦は、 「日本人のうどんやラーメン需要と嗜好に対して応えるために独自開発した品種p90」です。日本以外には売れません。
「ロシア産のものは日本人が求める品質に達していない:同」です。もちろん、国産小麦なんて、品質悪すぎ+数量不安定で、香川県さぬきうどんの生産者なんか、絶対に使いません。・・・「さぬきの夢2000という国産小麦粉がありましたが・・・
それとも、世界生産量激減によって、価格が高騰し、日本が買えなくなるのでしょうか? 今でも日本の小麦価格は、世界価格の2~3倍だから、それがもっと高くなるからでしょうか?
日本の小麦には、250%の関税(1キロ当たり55円)がかかっています。海外から、1トン3万円の小麦を買えば、関税に7万5千円、合わせて10万5千円の価格になります。
ところが、ここに抜け道があります。実は、小麦は、国家独占販売なのです。売っているのは、各国の各企業ではなく、 「日本国」という独占卸売業者なのです。
そのからくりはこうです。政府は、商社に国際価格で買い付けさせた小麦をすべて買い取り、無関税で輸入します。その価格に1トン当たり、1万7千円のマージンを乗せて、合計4万7千円で、製粉業者に、政府価格で卸します。
業者は、関税タイプか、政府マージンタイプか、どちらかの価格で購入できます。

あなたが製粉業者なら、どっちを選びますか?もちろん後者ですよね。こんな国家独占販売の仕組みが出来上がっているのです。輸入量570万トン×1万7千円=969億円です。
これが、農水省の「特別会計」に振り込まれます。国会で審議される「一般会計」予算とは、別会計です。
ちなみに、小麦販売を独占しているのが、農水省「総合食料局食糧部食糧貿易課」です。同特別会計の天下り団体が、予算61億円「全国米麦改良協会」と同85億円「製粉振興会」です。
07年~08年、カップラーメンや、パスタが一斉に値上げされたことがありました。「国際価格の高騰」とされましたが、国際標準価格とは全く別な論理で「値上がった」のです。小麦は日本政府の「独占卸売価格」なのです。それを負担するのは、もちろん、我々消費者です。
では、バイオ燃料用穀物激増によって価格高騰?というのが起きるのでしょうか。
<バイオ燃料用穀物>
まず、穀物生産量は、増えています。

この、24億トンの内訳です。

在庫量も、2009年で4.5憶トンあります。
バイオ燃料用穀物激増によって、食用穀物が減るのでしょうか?農家にとっては、食用だろうが、エサ用だろうが、バイオ用だろうが、要するに「買ってくれるところ」に売るだけです。 何かの事情で、穀物生産量が激減したら、食用に回すだけです。
実際に、2008年、バイオ燃料用のトウモロコシが、石油が下がったため、エサ用に回り、2007年11%増産した食用小麦が、在庫過多により、エサ用に回りました。生産量が激減したら、食用穀物需要が増加し、値段が高くなるので、エサ用・バイオ用から、食用に回るだけです。
しかも、農業用耕作地自体、余っています。

この休耕地を活用すれば、増産など、あっという間に可能です。
P162
山田正彦農林水産副大臣は、「自給率が低いままでは飢えた民衆が略奪を始め、暴動が続発する大飢餓パニックが起こる」と自著で記し、自給率の向上こそが食料安全保障につながると力説する。
もう一度書きますが、世界生産量がどれだけ激減したら、日本の小麦「食料危機」が起きるのか、この、「危機=パニック」説を、だれか、証明してください。ただし、「巨大隕石がぶつかった」は「無し」です。
参考引用文献 浅川芳裕『日本は世界第5位の農業大国』講談社+a新書 2010
P162
山田正彦農林水産副大臣は、「自給率が低いままでは飢えた民衆が略奪を始め、暴動が続発する大飢餓パニックが起こる」と自著で記し、自給率の向上こそが食料安全保障につながると力説する。
何か、世界的に大変なこと(戦争とかでしょうか)?が起きて、日本が食料を輸入できなくなって、パニックが起こるという例の主張です。
ですが、困るのは、日本ではなくて、アメリカ・オーストラリア・ブラジルといった、農業輸出国です。しかも、「国」ではなく、実際に農産物を生産している一人ひとりの生産者です。
日本は、2008年後半以降、いわゆるリーマン・ショックに飲み込まれました。

日本は自動車業界を始め、派遣労働者の契約を打ち切る、「派遣ぎり」が行われ、「労働者派遣法」の改正が必要だ!とまで騒がれました(まだ改正法は、民主党のごたごたで成立していませんが)。
リーマン・ショックは外来の危機です。日本とは、まったく関係のない、アメリカや、イギリス、アイスランドの金融界が、バブル破裂で勝手にこけたのが原因です。日本の金融業界は、サブプライム・ローンなど、まったく購入しておらず、当時の与謝野金融担当大臣が、「ハチに刺された程度」と、日本に損害はないと豪語しました。
ですが、金融破たんが、実物経済に波及し、各国のGDP (GDI=国民総所得) 激減という結果になりました。
2005年以降、急速に伸びていた輸出で稼いでいた自動車業界(トヨタは前年、純利益が1兆円を超えていました)、建設機器業界、機械業界、家電業界、要するに輸出産業がダメージを受けました。外国の輸入力がガタガタになったからです。
日本国内には、まったく影響ないはずが、日本のGDP (GDI=国民総所得) も激減しました。
さて、困ったのは、「車を輸入できない、アメリカ国民」だったでしょうか。「輸出ができない、日本国民」だったでしょうか。「輸入依存?」だった外国でしょうか、「輸出依存?」の日本だったでしょうか? 「輸出」に依存していた日産自動車は、純利益が、前年の1263億円から、90億円に激減しました。
まあ、正解は、経済学的には「どっちも」なのです…が、 「輸出依存?」の日本にとっても、前述のように大変な大不況でした。
もし、日本が食料を輸入できないということになれば、オーストラリア・アメリカ・ブラジルも輸出できないことになります。日本が「食料危機」ということになれば、オーストラリア・アメリカ・ブラジルの農民も、所得が激減します。「輸出依存」農民の「危機」も同時に訪れます。
それとも、「車」と違い、「農作物」は「輸出品」「輸入品」と考えてはまずいですか?何しろ「安全保障」の根幹だから?
ですが、 「輸出」ができなくなると、「輸出」国民も、農作物が「輸入」できなくなって、豊かな食生活が実現できなくなります。
「輸出が増えれば=輸入も増える」という、例の、貿易の黄金律です。ブログカテゴリ:リカード比較生産費「輸出増=輸入増」参照
そもそも、日本よりカロリーベース自給率の高い、英国も、ドイツも、自給率が100%を超えるフランスだって、日本よりも農産物を輸入している「輸入大国」です。
p21グラフ

英国やドイツは、北海道より「北」にあります。野菜や果物は「取れません」。英国民が、レモンティーを飲もうと思ったら、100%輸入しないとだめです。ワインも輸入しないと飲めません。
ドイツ食と聞いて、「イモとソーセージ」と連想するのは、「イモ」のような根菜類と、「ソーセージのような保存食」しか作れないからです。食後に「スイカ」を食べることなんて「輸入」がなければできません。
英国の野菜の生産額ベースの自給率は40%、果物は10%未満です。あとは、全部、地中海沿岸諸国からの「輸入」です。…昔、大英帝国の上流階層が豊かな食生活をできるようになったのも、輸入ができたからです。
フランス(農作物輸出額比率40%)や、アメリカ(同:60%)が農作物を輸出できるのは、小麦や、トウモロコシ、肉、ワインに特化したからです。
アメリカは、そのかわり、スコッチウイスキーやコニャック、ティー、ロシア産キャビア、フランス産トリュフ、コーヒー豆やカカオ(チョコ大好き!)を輸入し、食生活を豊かにしています。
日本が「食料危機?」を迎えたら、輸出国も「食料危機?」を迎えます。GDP (GDI=国民総所得) も激減するからです。
日本が、食料危機になったら、輸入商社は何としてでも食料をかき集め、輸出農家は「高く」買ってくれる所に売ります。食料危機は「輸出国農民」にとって、大もうけのチャンスです。天候不順による「食料危機」が、起こったら?。北半球「アメリカ」がだめでも、南半球「オーストラリア」「ブラジル」にとって、千載一遇のチャンスです。
<耕作地減少>

耕作地は、このように減少しています。世界の耕地面積15億ヘクタールのうち、3億ヘクタールが休耕地です。

ですが、農産物の輸出入は増加の一途です。
p137

耕作地は増やそうと思えば、簡単に増やせます(各国が、増やさないのは、生産性が低くなるからです)。
土地の条件が悪くて、作ってももうからない土地、あるいは、他の仕事に就いたので、耕作しなくなった土地が耕作放棄地です。 「農家数が減り、耕作放棄地が増加=日本農業衰退」というのは神話です。生産性が低いから、やめたのです。
工場で、生産性が上がらないのなら、どんなに広い工場でも、ラインを止めて、あるいは撤去して、ガラガラになったスペースで生産するのと同じことです。「広いスペースもったいない」といっても、付加価値(もうけ)が出ないから、空きスペースにしているだけです。
また、「一度耕作をやめると、その土地は復活できない」も神話です。そんなもの、北海道の農家に聞いてごらんなさい。放棄して荒れた田んぼだろうが、畑だろうが、牧草地だろうが、大型トラクター1台であっという間に完全復活です。
簡単に復活できない耕作放棄地は、期限を決めて賃貸した、みなさんの周りにある、「ヤマダ電機」や「ケーズ電機」、「パチンコ店」「イオン」や「アウトレットモール」などのショッピングセンターの土地です。
事態が変わって、「食料危機」なら、放棄耕作地を元に戻せば済むことです。
日本の生産量もアップしています。

これも、耕作地が減っているのに、生産性は上昇したことを示します。
p117

<食料危機>
何が輸入できなくなったら、食料危機なのでしょうか?コメは今でもあまってますから、大丈夫ですね。小麦でしょうか?

このグラフを縦に大きくしたのは、日本の食用に必要な小麦量が、世界生産量に比較するとあまりに小さすぎて、グラフに示せなかったからです。
日本の全輸入小麦量529万トンは、世界の生産量のわずか0.8%です。世界生産量がどれだけ激減したら、日本の小麦「食料危機」が起きるのか、逆に想像がつきません。
輸入先は、米国(約300万トン/米国生産量6800万トン)、カナダ(150万トン)、オーストラリア(約100万トン)です。
オーストラリア産輸入小麦は、 「日本人のうどんやラーメン需要と嗜好に対して応えるために独自開発した品種p90」です。日本以外には売れません。
「ロシア産のものは日本人が求める品質に達していない:同」です。もちろん、国産小麦なんて、品質悪すぎ+数量不安定で、香川県さぬきうどんの生産者なんか、絶対に使いません。・・・「さぬきの夢2000という国産小麦粉がありましたが・・・
それとも、世界生産量激減によって、価格が高騰し、日本が買えなくなるのでしょうか? 今でも日本の小麦価格は、世界価格の2~3倍だから、それがもっと高くなるからでしょうか?
日本の小麦には、250%の関税(1キロ当たり55円)がかかっています。海外から、1トン3万円の小麦を買えば、関税に7万5千円、合わせて10万5千円の価格になります。
ところが、ここに抜け道があります。実は、小麦は、国家独占販売なのです。売っているのは、各国の各企業ではなく、 「日本国」という独占卸売業者なのです。
そのからくりはこうです。政府は、商社に国際価格で買い付けさせた小麦をすべて買い取り、無関税で輸入します。その価格に1トン当たり、1万7千円のマージンを乗せて、合計4万7千円で、製粉業者に、政府価格で卸します。
業者は、関税タイプか、政府マージンタイプか、どちらかの価格で購入できます。

あなたが製粉業者なら、どっちを選びますか?もちろん後者ですよね。こんな国家独占販売の仕組みが出来上がっているのです。輸入量570万トン×1万7千円=969億円です。
これが、農水省の「特別会計」に振り込まれます。国会で審議される「一般会計」予算とは、別会計です。
ちなみに、小麦販売を独占しているのが、農水省「総合食料局食糧部食糧貿易課」です。同特別会計の天下り団体が、予算61億円「全国米麦改良協会」と同85億円「製粉振興会」です。
07年~08年、カップラーメンや、パスタが一斉に値上げされたことがありました。「国際価格の高騰」とされましたが、国際標準価格とは全く別な論理で「値上がった」のです。小麦は日本政府の「独占卸売価格」なのです。それを負担するのは、もちろん、我々消費者です。
では、バイオ燃料用穀物激増によって価格高騰?というのが起きるのでしょうか。
<バイオ燃料用穀物>
まず、穀物生産量は、増えています。

この、24億トンの内訳です。

在庫量も、2009年で4.5憶トンあります。
バイオ燃料用穀物激増によって、食用穀物が減るのでしょうか?農家にとっては、食用だろうが、エサ用だろうが、バイオ用だろうが、要するに「買ってくれるところ」に売るだけです。 何かの事情で、穀物生産量が激減したら、食用に回すだけです。
実際に、2008年、バイオ燃料用のトウモロコシが、石油が下がったため、エサ用に回り、2007年11%増産した食用小麦が、在庫過多により、エサ用に回りました。生産量が激減したら、食用穀物需要が増加し、値段が高くなるので、エサ用・バイオ用から、食用に回るだけです。
しかも、農業用耕作地自体、余っています。

この休耕地を活用すれば、増産など、あっという間に可能です。
P162
山田正彦農林水産副大臣は、「自給率が低いままでは飢えた民衆が略奪を始め、暴動が続発する大飢餓パニックが起こる」と自著で記し、自給率の向上こそが食料安全保障につながると力説する。
もう一度書きますが、世界生産量がどれだけ激減したら、日本の小麦「食料危機」が起きるのか、この、「危機=パニック」説を、だれか、証明してください。ただし、「巨大隕石がぶつかった」は「無し」です。
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