「新興国と対立先鋭化」
シノドス ジャーナル( SYNODOS JOURNAL )
http://synodos.livedoor.biz/
に、『人口減少デフレ論の問題点 菅原晃』が連載中(2010.10.8~)です。
合わせてご覧ください。
<金融政策(LM曲線シフト)の実際>
『新興国と対立先鋭化』北海道新聞 H22.10.10
ワシントンで8日夜に開かれた先進7カ国財務省・中央銀行総裁会議(G7)は、久々に為替問題を正面から取り上げた。議論の中心となったのは、自国通貨安で景気回復を後押しする「通貨安競争」の是非。
・・・リーマン・ショック後の低成長から抜け出せない先進国は、金融緩和を続けざるを得ない状況にある。超低金利を継続すれば、金融面から企業活動を後押しでき、自国通貨安を促すことで輸出拡大による景気下支え効果が期待できるからだ。
日経H22.10.10

<金融緩和⇒金利低下⇒自国通貨安⇒輸出拡大競争?>
今起こっている「通貨安競争?」なるものは、どのようなメカニズムで起こっているか、IS-LMをもとに、検証してみましょう。
・・・リーマン・ショック後の低成長から抜け出せない先進国は、金融緩和を続けざるを得ない状況にある。
<ドル安>
なぜ、ドルやユーロ安なのでしょう?
読売新聞『日本型デフレ 欧米懸念』H22.8.21
…米連邦準備制度理事会(FRB)はリーマン・ショック後の2008年12月から事実上のゼロ金利政策を続け、さらに1兆7500億ドルに上る、住宅ローン担保証券(MBS)や国債などを購入することで、市場に大規模な資金を供給する量的緩和策にも踏み切った。欧州中央銀行( ECB) も金融機関が希望する基金を担保の範囲で全額供給する、「無制限オペ」を続けている。
岩田規久男『日本銀行は信用できるか』2009 講談社新書 P43グラフ

このグラフの中央銀行の資産増加=民間からの国債買い取りなど=市中への金融緩和(量的緩和)→経済危機からの脱出のための積極的政策です。
なぜ、「ドル安」になるか、一目瞭然です。日銀だけが、「量的緩和」を行っていないのです。
このように、ドルもユーロも、大規模な金融緩和政策を続けています。そうすると、円の量<ドル・ユーロ・ポンドの量となってしまいます。
各国 マネタリー・ベース 推移
出典: http://blogs.yahoo.co.jp/suzukieisaku1/17114313.html のグラフを改

『米金融緩和の長期化』日経H22.8.25
…米マネタリーベース(資金供給量)は08年9月のリーマン・ショック以降に急増。08年8月の8千億ドル台から09年11月には2兆ドルに拡大した。


注)マネタリー・ベースについては、ブログ記事2010-08-10 藻谷浩介『デフレの正体』日本政策投資銀行 参照
市場に、ドルや、ユーロや、ポンドが供給される一方、円の量は変わっていません。これを見ても円高・ドル安になるのが分かると思います。
<IS-LM分析>
金融政策は,LM曲線をシフトさせます。
中央銀行が景気を刺激するために,利子率rを下げます。貨幣の供給=マネタリーベースを増やし,利子率rを下げます。

このシフトに基づいて,財政政策・金融政策の効果について検証しましょう。
開放経済下(外国との資本移動が自由な場合=日本・米・EUなど)では,金融政策は有効だとされています。拡張的金融政策で,貨幣の供給=マネタリーベースを増やし,利子率rを下げます。

新しいLM①曲線のもとで,新しい均衡点はE①になります。このとき,GDP=Yは増加していますY①。また,自国の利子率rは低下しています。

国内利子率rが外国より低い場合,利子率の高い国で資本を運用した方が利益は大きいので,資本が日本から外国に移動します。円売りドル買いになります。円安・ドル高で,輸出増・輸入減になります。輸出は総需要を増やします。
Y②=C+I(r)+G+(EX-IM)②
②効果により,新たな均衡点E②では,GDP=Yはさらに増加していますY②。
金融緩和⇒金利低下⇒自国通貨安⇒輸出拡大競争?⇒GDP(Y)アップ
このように、リーマン・ショック以降、各国は教科書的に「IS-LM的に・・・」金融政策を出動(金融緩和)したのです。スタンダードな政策です。
一方、世界標準とは異なる「金融緩和」しかしていない日本は、「米欧の過度な金融緩和が生んだ投機資金が為替相場に流入したため(スティグリッツ米コロンビア大教授) 北海道新聞 同」に、円高になっています。
アメリカは、「景気の低下=2番底・3番底」を避けるため、目下「物価上昇が1%を割り込み、デフレが懸念」されるため、今後も金融緩和を行わざるを得ません。
別に「通貨安競争」なるものをやりたくて行っているわけではありません。世界中(少なくとも日本)が金融緩和を行えば、ドル安にはなりません(実情は、インドのように金融引き締めに動かざるを得ない、インフレ国があります)。
ただ、結果的にドル安になり、オバマ大統領が掲げた「輸出倍増計画」が実現できる(実際には無理でしょうが・・・)方向にあるので、「ドル安」黙認なのです。
日本?・・・。「為替介入=円売りドル買い」なんかしない(しても、効果はごくわずか)で、正々堂々と、教科書的な「金融緩和」を行えばよいのです。もしも「円高」を防ぎたいのであれば・・・。誰も非難できません。
中国? 中国は「唯我独尊」状態・・・外貨準備増大・・・を爆進中です。
http://synodos.livedoor.biz/
に、『人口減少デフレ論の問題点 菅原晃』が連載中(2010.10.8~)です。
合わせてご覧ください。
<金融政策(LM曲線シフト)の実際>
『新興国と対立先鋭化』北海道新聞 H22.10.10
ワシントンで8日夜に開かれた先進7カ国財務省・中央銀行総裁会議(G7)は、久々に為替問題を正面から取り上げた。議論の中心となったのは、自国通貨安で景気回復を後押しする「通貨安競争」の是非。
・・・リーマン・ショック後の低成長から抜け出せない先進国は、金融緩和を続けざるを得ない状況にある。超低金利を継続すれば、金融面から企業活動を後押しでき、自国通貨安を促すことで輸出拡大による景気下支え効果が期待できるからだ。
日経H22.10.10

<金融緩和⇒金利低下⇒自国通貨安⇒輸出拡大競争?>
今起こっている「通貨安競争?」なるものは、どのようなメカニズムで起こっているか、IS-LMをもとに、検証してみましょう。
・・・リーマン・ショック後の低成長から抜け出せない先進国は、金融緩和を続けざるを得ない状況にある。
<ドル安>
なぜ、ドルやユーロ安なのでしょう?
読売新聞『日本型デフレ 欧米懸念』H22.8.21
…米連邦準備制度理事会(FRB)はリーマン・ショック後の2008年12月から事実上のゼロ金利政策を続け、さらに1兆7500億ドルに上る、住宅ローン担保証券(MBS)や国債などを購入することで、市場に大規模な資金を供給する量的緩和策にも踏み切った。欧州中央銀行( ECB) も金融機関が希望する基金を担保の範囲で全額供給する、「無制限オペ」を続けている。
岩田規久男『日本銀行は信用できるか』2009 講談社新書 P43グラフ

このグラフの中央銀行の資産増加=民間からの国債買い取りなど=市中への金融緩和(量的緩和)→経済危機からの脱出のための積極的政策です。
なぜ、「ドル安」になるか、一目瞭然です。日銀だけが、「量的緩和」を行っていないのです。
このように、ドルもユーロも、大規模な金融緩和政策を続けています。そうすると、円の量<ドル・ユーロ・ポンドの量となってしまいます。
各国 マネタリー・ベース 推移
出典: http://blogs.yahoo.co.jp/suzukieisaku1/17114313.html のグラフを改

『米金融緩和の長期化』日経H22.8.25
…米マネタリーベース(資金供給量)は08年9月のリーマン・ショック以降に急増。08年8月の8千億ドル台から09年11月には2兆ドルに拡大した。


注)マネタリー・ベースについては、ブログ記事2010-08-10 藻谷浩介『デフレの正体』日本政策投資銀行 参照
市場に、ドルや、ユーロや、ポンドが供給される一方、円の量は変わっていません。これを見ても円高・ドル安になるのが分かると思います。
<IS-LM分析>
金融政策は,LM曲線をシフトさせます。
中央銀行が景気を刺激するために,利子率rを下げます。貨幣の供給=マネタリーベースを増やし,利子率rを下げます。

このシフトに基づいて,財政政策・金融政策の効果について検証しましょう。
開放経済下(外国との資本移動が自由な場合=日本・米・EUなど)では,金融政策は有効だとされています。拡張的金融政策で,貨幣の供給=マネタリーベースを増やし,利子率rを下げます。

新しいLM①曲線のもとで,新しい均衡点はE①になります。このとき,GDP=Yは増加していますY①。また,自国の利子率rは低下しています。

国内利子率rが外国より低い場合,利子率の高い国で資本を運用した方が利益は大きいので,資本が日本から外国に移動します。円売りドル買いになります。円安・ドル高で,輸出増・輸入減になります。輸出は総需要を増やします。
Y②=C+I(r)+G+(EX-IM)②
②効果により,新たな均衡点E②では,GDP=Yはさらに増加していますY②。
金融緩和⇒金利低下⇒自国通貨安⇒輸出拡大競争?⇒GDP(Y)アップ
このように、リーマン・ショック以降、各国は教科書的に「IS-LM的に・・・」金融政策を出動(金融緩和)したのです。スタンダードな政策です。
一方、世界標準とは異なる「金融緩和」しかしていない日本は、「米欧の過度な金融緩和が生んだ投機資金が為替相場に流入したため(スティグリッツ米コロンビア大教授) 北海道新聞 同」に、円高になっています。
アメリカは、「景気の低下=2番底・3番底」を避けるため、目下「物価上昇が1%を割り込み、デフレが懸念」されるため、今後も金融緩和を行わざるを得ません。
別に「通貨安競争」なるものをやりたくて行っているわけではありません。世界中(少なくとも日本)が金融緩和を行えば、ドル安にはなりません(実情は、インドのように金融引き締めに動かざるを得ない、インフレ国があります)。
ただ、結果的にドル安になり、オバマ大統領が掲げた「輸出倍増計画」が実現できる(実際には無理でしょうが・・・)方向にあるので、「ドル安」黙認なのです。
日本?・・・。「為替介入=円売りドル買い」なんかしない(しても、効果はごくわずか)で、正々堂々と、教科書的な「金融緩和」を行えばよいのです。もしも「円高」を防ぎたいのであれば・・・。誰も非難できません。
中国? 中国は「唯我独尊」状態・・・外貨準備増大・・・を爆進中です。
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