国債保有:外国人or日本国内
<国債保有:外国人or日本国内>
参考文献 櫻川昌哉 慶大 『日本人も外国人の目意識を』日経H22.3.3
アルゼンチンが、01年12月に、債務不履行をしたのは、外国債(外貨建て国債)の割合が多かったからです。政府の債務の67%が外国債でした。

<外資の場合>
アルゼンチンの場合、「ドル建てアルゼンチン債」を発行しました。アルゼンチンに対する信用がなくなると、アルゼンチンペソが暴落します。ドル建てで「100万ドル」と書いてある債券は、ペソが暴落しようと「100万ドル」返さなければいけません。ペソがドルに対して半分の価値になれば(ペソ暴落)、アルゼンチンは、「2倍」の額になった債務を返済しなければなりません。
同国は、1ドル=1ペソの事実上の固定相場制を採用していました。しかし、ドル高になり、隣国ブラジル(レアル安)の経済は発展しました。アルゼンチン経済は不況になり、外資が逃げ出します(ドル買いペソ売り)。
財政悪化も契機となり、外国人の売りで国債価格は暴落(金利は急上昇)します。アメリカ国債との金利差は、1ヶ月の間に10%→65%に急上昇しました。
同国中央銀行は、ドルを供給し続けますが、足りなくなります。IMF融資もなくなり、結局デフォルト(債務不履行)宣言しました。
日経H22.5.11

では、日本のように、国債の95%が国内投資家によって保有されている場合、リスクはないのでしょうか。メリット・デメリットをまとめてみます。

まず、メリットですが、①国際金融市場でデフォルト(債務不履行)しないことが挙げられます。外国に対して借金をしていないからです。
一方、アルゼンチンの場合、デフォルト(債務不履行)は当時のGDPの37%に上りました。日本で言えば、約180兆円「返せないから、ごめんね」ということになります。外国人投資家にしたら、「ふざけるな」となりますが、実は数年後には、国際金融市場には復帰しています。
②また、国内経済の金利は、成長率と連動していますので、日本はこれだけ財政赤字があっても、低金利の恩恵を受けています。
アルゼンチンの場合は、金利は世界市場と連動します。ドル建て債券の金利が上がると、アルゼンチン国債に影響が及びます。
日経H22.9.17 『インド、今年5度目利上げ』
インド準備銀行(中央銀行)は16日、商業銀行への貸出金利…を0.25%引き上げ、年6%とすると発表した。利上げは今年5度目…。…14日に発表した…卸売物価指数は8月に前年同月比で8.51%上昇した(筆者注:インフレ)。…16日公表の文書で、8.8%となった4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率…。
その国の金利は、その国の経済状態を反映します。
さて、国内債のデメリットです。国債を発行しても、国内で消化できるため、国債支出はじりじりと増えます。本来は、増税で賄うべきところ、安易に国債発行に頼ってしまいます。その結果、2010年度末には、国債残高は973兆円に達し、GDP(約500兆円)の2倍に達します。世界最大のGDP比率です。
次に、いざ国債価格暴落(=高金利)になった場合です。この場合は、=円に対する信用下落、つまりインフレになります。持っている国債の価値が下がります。国債が不良債権になると、国民の預金が不良債権になります。損失を被るのは国民です。

↓

↓

国民預貯金800兆円→金融機関→300兆円の国債購入ですから、国債が不良債権化すると、300兆円の損失を国民の預貯金800兆円でカバーすることになります。要するに、国民が損失を被ります。
インフレですから、預貯金は価値暴落、逆に、土地や建物など不動産・「金」など実物資産の価値は上がることになります。ですが、それで恩恵を受ける人も国内人ですが、その損失をこうむるのも国内人、要するに「ゼロ・サム・ゲーム」が日本国内で起こることになります。
日本国債が暴落しようと、世界への影響は極小ですが、勝手にこけるのも日本だけということになります。円の価値暴落です。
参考文献 櫻川昌哉 慶大 『日本人も外国人の目意識を』日経H22.3.3
アルゼンチンが、01年12月に、債務不履行をしたのは、外国債(外貨建て国債)の割合が多かったからです。政府の債務の67%が外国債でした。

<外資の場合>
アルゼンチンの場合、「ドル建てアルゼンチン債」を発行しました。アルゼンチンに対する信用がなくなると、アルゼンチンペソが暴落します。ドル建てで「100万ドル」と書いてある債券は、ペソが暴落しようと「100万ドル」返さなければいけません。ペソがドルに対して半分の価値になれば(ペソ暴落)、アルゼンチンは、「2倍」の額になった債務を返済しなければなりません。
同国は、1ドル=1ペソの事実上の固定相場制を採用していました。しかし、ドル高になり、隣国ブラジル(レアル安)の経済は発展しました。アルゼンチン経済は不況になり、外資が逃げ出します(ドル買いペソ売り)。
財政悪化も契機となり、外国人の売りで国債価格は暴落(金利は急上昇)します。アメリカ国債との金利差は、1ヶ月の間に10%→65%に急上昇しました。
同国中央銀行は、ドルを供給し続けますが、足りなくなります。IMF融資もなくなり、結局デフォルト(債務不履行)宣言しました。
日経H22.5.11

では、日本のように、国債の95%が国内投資家によって保有されている場合、リスクはないのでしょうか。メリット・デメリットをまとめてみます。

まず、メリットですが、①国際金融市場でデフォルト(債務不履行)しないことが挙げられます。外国に対して借金をしていないからです。
一方、アルゼンチンの場合、デフォルト(債務不履行)は当時のGDPの37%に上りました。日本で言えば、約180兆円「返せないから、ごめんね」ということになります。外国人投資家にしたら、「ふざけるな」となりますが、実は数年後には、国際金融市場には復帰しています。
②また、国内経済の金利は、成長率と連動していますので、日本はこれだけ財政赤字があっても、低金利の恩恵を受けています。
アルゼンチンの場合は、金利は世界市場と連動します。ドル建て債券の金利が上がると、アルゼンチン国債に影響が及びます。
日経H22.9.17 『インド、今年5度目利上げ』
インド準備銀行(中央銀行)は16日、商業銀行への貸出金利…を0.25%引き上げ、年6%とすると発表した。利上げは今年5度目…。…14日に発表した…卸売物価指数は8月に前年同月比で8.51%上昇した(筆者注:インフレ)。…16日公表の文書で、8.8%となった4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率…。
その国の金利は、その国の経済状態を反映します。
さて、国内債のデメリットです。国債を発行しても、国内で消化できるため、国債支出はじりじりと増えます。本来は、増税で賄うべきところ、安易に国債発行に頼ってしまいます。その結果、2010年度末には、国債残高は973兆円に達し、GDP(約500兆円)の2倍に達します。世界最大のGDP比率です。
次に、いざ国債価格暴落(=高金利)になった場合です。この場合は、=円に対する信用下落、つまりインフレになります。持っている国債の価値が下がります。国債が不良債権になると、国民の預金が不良債権になります。損失を被るのは国民です。

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国民預貯金800兆円→金融機関→300兆円の国債購入ですから、国債が不良債権化すると、300兆円の損失を国民の預貯金800兆円でカバーすることになります。要するに、国民が損失を被ります。
インフレですから、預貯金は価値暴落、逆に、土地や建物など不動産・「金」など実物資産の価値は上がることになります。ですが、それで恩恵を受ける人も国内人ですが、その損失をこうむるのも国内人、要するに「ゼロ・サム・ゲーム」が日本国内で起こることになります。
日本国債が暴落しようと、世界への影響は極小ですが、勝手にこけるのも日本だけということになります。円の価値暴落です。
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