日経H22.9.9 『マネーストック2.1%増』
日経H22.9.9
『マネーストック2.1%増』
日銀が発表した8月の注)マネーストック…M3の平均残高は、前年同月比2.1%増の1079兆4000億円となった。…伸び率は…13か月連続で2%台を記録した。
注)
マネタリーベースは、流通現金+日銀当座預金。日銀は、この合計額を直接コントロールでき、マネーストックに影響を及ぼす。
マネーストックM3は、一般法人、個人、公共団体(除く国/金融機関)が保有する通貨量。「信用創造(準備預金以外の貸し出し)」によって、マネタリーベースの何倍もの通貨量が創造される。
2009年10月→2010年8月
マネタリーベース 2010年8月 98兆3,995億円
マネーストック 1,079.4兆円 前年同月比2.1%増

しかし、企業はおカネを借りていないようです。
日経H22.9.9『銀行貸出残高は2.0%減』
日銀が8日発表した8月の「貸出・資金吸収動向」によると、全国銀行の貸出残高(月中平均)は前年同月比2.0%減の394兆2030億円で、9カ月連続の減少となった。企業の運転資金や設備投資などに絡む資金需要が引き続き弱めで推移している。
日銀HPより

逆に、預金残高(キャッシュ)を増やしています。
8月の通貨供給量、2.1%増=企業の手元資金増加―日銀 時事通信 9月8日(水)13時1分配信
日銀が8日発表した8月のマネーストック…。
内訳を見ると、定期預金などの準通貨の伸び率が縮小する一方、比較的金利が高い譲渡性預金(CD)が28.3%の大幅増。「企業収益が改善する中、手元の資金を厚くする傾向が続いている」(調査統計局)ため、普通預金や当座預金などの預金通貨も2.2%の高い伸びを維持した。
企業は、設備投資よりも、現金(キャッシュ)を手元に置こうとします。
『実質無借金 目標広がる』日経H22.7.13 グラフも
…上場企業は10年3月期に業績の回復で営業キャッシュフローが増加、そのお金で有利子負債を4年ぶりに減らした。
しかし設備投資には慎重で、手元資金は過去最高水準にある。実質無借金会社の割合は10年3月期末で43%と、過去10年で最高だ。

「金融資産が有利、実物資産が不利」
2010-07-08 国債=国民の財産 のブログ記事で、次のように解説しました。
デフレ下の合理的行動
株や土地への投資を控え、現金・預金・国債(社債)をため込む
企業の場合は、
設備や技術への投資を抑え、現金をためる(あるいは資金を返済に回す)
インフレは、借金をしている人が有利になります。借金の額(名目額:たとえば1000万円)は目減りしませんが、物価や給与が上がると、実質的な借金の額は目減りします。
デフレは逆に、借金は不利になります。借金の額(例1000万円)は、変わりませんが、物価や給与が下がるからです。実質的に借金の額が増加します。
上記の企業の行動が、合理的なのがわかります。
では、投資(I)が活発化する=好況になるには、どうしたらよいのでしょうか。
http://jp.reuters.com/article/economicNews/idJPnTK039102220100326
COLUMN-〔インサイト〕日銀は政治的プレッシャーを受けるのか=第一生命経済研 熊野氏
…教科書的に金融緩和がマネーを増やすときには、同時に信用創造=貸出が伸びる。貸出増の背後には、企業の資金需要があり、企業が内部資金の範囲を超える規模まで設備投資を増やすから資金需要も伸びる。つまり、設備投資が増えると同時にマネーが増えていくような状態である。
現状、銀行サイドでは、設備投資需要は極めて低調とみている。これは、企業が設備投資を抑制し、内部資金の中からキャッシュを余らせるような財務管理を行っているからだ。企業が抱え込んでいる現預金残高は、徐々に増加して214兆円(2010年1月)にも達する。
だから、今後、企業が余剰マネーを取り崩し、設備投資を活発にすることがデフレ解消に役立つ。確かに、企業の内部資金の取り崩しは、即座に貸出増に寄与しないだろうが、時間の経過とともに、設備投資に反応した需要増加が連鎖的に投資需要を喚起する「加速度原理」が働くと、それは資金需要を呼び起こす。設備投資は、新設工場やオフィスビルで雇い入れる正社員を増やすという補完作用を持つ。雇用増から消費増への道筋が開ける。雇用と設備の増加によって、総需要が盛り上がるとともに潜在成長率が上昇して、持続的な成長経路が見えてくる。
具体的な政策として考えると、企業がキャッシュとして抱え込んでいる内部留保を、設備投資に振り向けるインセンティブをどうつくるかの工夫が重要になる。
<不況で貿易黒字は増える>

中谷巌(一橋大学名誉教授)『痛快!経済学2』集英社 2004 p245
貿易黒字が大きくなるのは国内で生産したものを国内で消費したり,投資したりしていないからです。つまり,国内の供給が需要を上回っているので,そのあまりを輸出する。だから貿易黒字が増えるのです。もしも,国内で生産した分を国内で消費しきってしまえば,貿易黒字は発生しないのです。
中谷巌(一橋大学名誉教授)『痛快!経済学』集英社 1998 p175
「不況だから貿易黒字が増える」のであって,貿易黒字が大きいから豊かになるわけではないのです。
『マネーストック2.1%増』
日銀が発表した8月の注)マネーストック…M3の平均残高は、前年同月比2.1%増の1079兆4000億円となった。…伸び率は…13か月連続で2%台を記録した。
注)
マネタリーベースは、流通現金+日銀当座預金。日銀は、この合計額を直接コントロールでき、マネーストックに影響を及ぼす。
マネーストックM3は、一般法人、個人、公共団体(除く国/金融機関)が保有する通貨量。「信用創造(準備預金以外の貸し出し)」によって、マネタリーベースの何倍もの通貨量が創造される。
2009年10月→2010年8月
マネタリーベース 2010年8月 98兆3,995億円
マネーストック 1,079.4兆円 前年同月比2.1%増

しかし、企業はおカネを借りていないようです。
日経H22.9.9『銀行貸出残高は2.0%減』
日銀が8日発表した8月の「貸出・資金吸収動向」によると、全国銀行の貸出残高(月中平均)は前年同月比2.0%減の394兆2030億円で、9カ月連続の減少となった。企業の運転資金や設備投資などに絡む資金需要が引き続き弱めで推移している。
日銀HPより

逆に、預金残高(キャッシュ)を増やしています。
8月の通貨供給量、2.1%増=企業の手元資金増加―日銀 時事通信 9月8日(水)13時1分配信
日銀が8日発表した8月のマネーストック…。
内訳を見ると、定期預金などの準通貨の伸び率が縮小する一方、比較的金利が高い譲渡性預金(CD)が28.3%の大幅増。「企業収益が改善する中、手元の資金を厚くする傾向が続いている」(調査統計局)ため、普通預金や当座預金などの預金通貨も2.2%の高い伸びを維持した。
企業は、設備投資よりも、現金(キャッシュ)を手元に置こうとします。
『実質無借金 目標広がる』日経H22.7.13 グラフも
…上場企業は10年3月期に業績の回復で営業キャッシュフローが増加、そのお金で有利子負債を4年ぶりに減らした。
しかし設備投資には慎重で、手元資金は過去最高水準にある。実質無借金会社の割合は10年3月期末で43%と、過去10年で最高だ。

「金融資産が有利、実物資産が不利」
2010-07-08 国債=国民の財産 のブログ記事で、次のように解説しました。
デフレ下の合理的行動
株や土地への投資を控え、現金・預金・国債(社債)をため込む
企業の場合は、
設備や技術への投資を抑え、現金をためる(あるいは資金を返済に回す)
インフレは、借金をしている人が有利になります。借金の額(名目額:たとえば1000万円)は目減りしませんが、物価や給与が上がると、実質的な借金の額は目減りします。
デフレは逆に、借金は不利になります。借金の額(例1000万円)は、変わりませんが、物価や給与が下がるからです。実質的に借金の額が増加します。
上記の企業の行動が、合理的なのがわかります。
では、投資(I)が活発化する=好況になるには、どうしたらよいのでしょうか。
http://jp.reuters.com/article/economicNews/idJPnTK039102220100326
COLUMN-〔インサイト〕日銀は政治的プレッシャーを受けるのか=第一生命経済研 熊野氏
…教科書的に金融緩和がマネーを増やすときには、同時に信用創造=貸出が伸びる。貸出増の背後には、企業の資金需要があり、企業が内部資金の範囲を超える規模まで設備投資を増やすから資金需要も伸びる。つまり、設備投資が増えると同時にマネーが増えていくような状態である。
現状、銀行サイドでは、設備投資需要は極めて低調とみている。これは、企業が設備投資を抑制し、内部資金の中からキャッシュを余らせるような財務管理を行っているからだ。企業が抱え込んでいる現預金残高は、徐々に増加して214兆円(2010年1月)にも達する。
だから、今後、企業が余剰マネーを取り崩し、設備投資を活発にすることがデフレ解消に役立つ。確かに、企業の内部資金の取り崩しは、即座に貸出増に寄与しないだろうが、時間の経過とともに、設備投資に反応した需要増加が連鎖的に投資需要を喚起する「加速度原理」が働くと、それは資金需要を呼び起こす。設備投資は、新設工場やオフィスビルで雇い入れる正社員を増やすという補完作用を持つ。雇用増から消費増への道筋が開ける。雇用と設備の増加によって、総需要が盛り上がるとともに潜在成長率が上昇して、持続的な成長経路が見えてくる。
具体的な政策として考えると、企業がキャッシュとして抱え込んでいる内部留保を、設備投資に振り向けるインセンティブをどうつくるかの工夫が重要になる。
<不況で貿易黒字は増える>

中谷巌(一橋大学名誉教授)『痛快!経済学2』集英社 2004 p245
貿易黒字が大きくなるのは国内で生産したものを国内で消費したり,投資したりしていないからです。つまり,国内の供給が需要を上回っているので,そのあまりを輸出する。だから貿易黒字が増えるのです。もしも,国内で生産した分を国内で消費しきってしまえば,貿易黒字は発生しないのです。
中谷巌(一橋大学名誉教授)『痛快!経済学』集英社 1998 p175
「不況だから貿易黒字が増える」のであって,貿易黒字が大きいから豊かになるわけではないのです。
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theme : マクロ経済学 ミクロ経済学
genre : 政治・経済