新聞の間違い(1)
日経3月16日(月) 編集委員 菅野幹雄『景気指標』です。
「どんな種類でも『赤字転落』は気分の良い話ではない。国際収支速報で、1月の日本の経常収支は、13年ぶりの赤字になった」
同 伊藤浩一『エコノ入門塾』
「経常赤字とは、貿易や海外投資への投資の収益など、外国との取引きで受け取るお金より、海外に出て行くお金のほうが多いことを意味します」
これらは、「貿易黒字はもうけ」という、典型的な誤解に基づく記事です。
まず、経常(貿易)赤字(黒字)と、その国の国民所得(GDP)増大には、全く関係がありません。
アメリカは、1990年代、経常(貿易)赤字はずーっと拡大していましたが、国民の総所得(単純に言うと、給料の合計)は1996年からの10年間で、1.69倍になりました。その間、日本は1.01倍です。もちろん、ずーっと経常(貿易)黒字を拡大してきました。
オーストラリアも、石炭・鉄鉱・ボーキサイト・農業品などの輸出大国で、昨年の金融危機まで未曾有の好景気にわいていました。が、同国は基本的に経常(貿易)赤字の国です。
「貿易赤字は損、貿易黒字はもうけ」という考え方が、いかに間違っているかを示します。
また、国際収支表の会計基本原則(複式簿記で記入)より、経常黒字(貸し方)=資本赤字(借り方)となり、経常赤字(借り方)=資本黒字(貸し方)となるので、日本が経常赤字になったということは、日本に入ってくるお金(外国の日本に対する投資額)が黒字となります。新聞は全く反対に書いています。
では、貿易黒字は何のことでしょうか。それは、日本人が所得をすべて使わずにためたこと(貯蓄超過)を示します。貯めたお金相当部分が、政府の国債・企業の借金になり、残りが、外国へ貸し出されます。この「外国へ」の部分が、経常(貿易)黒字額と必ず同額になります。つまり、貿易黒字額=外国への投資額です。逆に貿易赤字額=外国からの投資額です。
日本が「経常赤字になった」ということは、「外国→日本投資額>日本→外国投資額」、流入超過を示します。
貿易赤字の「赤字」は企業の赤字とは、全く違います。我々の所得(GDP)に、影響を及ぼすものではないのです(GDPの構成要素の一つに過ぎません)しかも、貿易赤字・黒字額など、日本の総所得(GDP)約500兆円の1%~最大でも2%しか占めません。98%は内需なのです。ほとんどというより、全く影響がないことが分かります。
経済の「一般常識」がいかに間違っているかを示す一例です。
「どんな種類でも『赤字転落』は気分の良い話ではない。国際収支速報で、1月の日本の経常収支は、13年ぶりの赤字になった」
同 伊藤浩一『エコノ入門塾』
「経常赤字とは、貿易や海外投資への投資の収益など、外国との取引きで受け取るお金より、海外に出て行くお金のほうが多いことを意味します」
これらは、「貿易黒字はもうけ」という、典型的な誤解に基づく記事です。
まず、経常(貿易)赤字(黒字)と、その国の国民所得(GDP)増大には、全く関係がありません。
アメリカは、1990年代、経常(貿易)赤字はずーっと拡大していましたが、国民の総所得(単純に言うと、給料の合計)は1996年からの10年間で、1.69倍になりました。その間、日本は1.01倍です。もちろん、ずーっと経常(貿易)黒字を拡大してきました。
オーストラリアも、石炭・鉄鉱・ボーキサイト・農業品などの輸出大国で、昨年の金融危機まで未曾有の好景気にわいていました。が、同国は基本的に経常(貿易)赤字の国です。
「貿易赤字は損、貿易黒字はもうけ」という考え方が、いかに間違っているかを示します。
また、国際収支表の会計基本原則(複式簿記で記入)より、経常黒字(貸し方)=資本赤字(借り方)となり、経常赤字(借り方)=資本黒字(貸し方)となるので、日本が経常赤字になったということは、日本に入ってくるお金(外国の日本に対する投資額)が黒字となります。新聞は全く反対に書いています。
では、貿易黒字は何のことでしょうか。それは、日本人が所得をすべて使わずにためたこと(貯蓄超過)を示します。貯めたお金相当部分が、政府の国債・企業の借金になり、残りが、外国へ貸し出されます。この「外国へ」の部分が、経常(貿易)黒字額と必ず同額になります。つまり、貿易黒字額=外国への投資額です。逆に貿易赤字額=外国からの投資額です。
日本が「経常赤字になった」ということは、「外国→日本投資額>日本→外国投資額」、流入超過を示します。
貿易赤字の「赤字」は企業の赤字とは、全く違います。我々の所得(GDP)に、影響を及ぼすものではないのです(GDPの構成要素の一つに過ぎません)しかも、貿易赤字・黒字額など、日本の総所得(GDP)約500兆円の1%~最大でも2%しか占めません。98%は内需なのです。ほとんどというより、全く影響がないことが分かります。
経済の「一般常識」がいかに間違っているかを示す一例です。
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