週刊エコノミスト6/29日号 『国債暴落のウソ これだけあるギリシャとの違い』
週刊エコノミスト2/23日号 『日本国債暴落 ギリシャはひと事ではない』
この号で、国債暴落について特集しています。これでもかこれでもかと、危機をあおります。

p20・21
『国の借金は1000兆円 国債暴落は目前に迫っている』

…政府歳出の増大、税収の大幅な落ち込みに伴う大量発行で、政府債務残高は膨らみ続けている。「オオカミ少年」と繰り返されてきた日本国債暴落が、いよいよ現実のものとして迫ってきた。
国家の信用力で中国が日本を上回る「日中逆転」…。年始早々、日本の市場関係者に衝撃が走った。
…国債の元本や利払いが滞った場合の損失を補償する「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場でのことだ。
…国債のCDSは、各国の財政状況を市場メカニズムで測った客観的評価と言える。…新興国の中国に先進国の日本が信用力で劣ると市場から見られた事実は重い。
…「CDSが上がりだすと、その対象となっている債券は危ない」…草野豊己・草野グローバルフロンティア代表はこう繰り返す。
P23 濱條元保・編集部『インフレという形を変えた増税』
…1000兆円にも迫ろうとする膨大な借金を抱え込み…しかし、巨額の借金を維持できなくなれば、通貨価値を減価させて実質的に借金を減らず事態へと発展しないか。それはインフレという形を変えた増税にほかならず、戦後の混乱期の再来だ。
P36 児玉祐一(明治安田生命チーフエコノミスト)
『…国債大増発 債券市場の「ヤマ場は今夏』
…債券市場にとっては夏場前後に1つのヤマを迎えることになりそうだ。…日本の財政がすでに持続不可能な領域に達しているとの研究は多い。…国民が財政運営への信頼感を失ってしまえば元も子もない。
…今後数年間は、世界的に財政規律の回復競争が予想される。…市場が「日本売り」の様相を強めないことを祈りたい。
このように、危機をあおっておいて、2010.6.29号では 『国債暴落のウソ』という特集号を出します。わけがわかりません。

<国債暴落のウソ>
2010.6.29号
P28
国債選好は…金融不安や信用不安の中で、流動性の優れた安全資産に資金が流れやすい傾向になっていること。
…金利上昇(国債価格下落)…については…マイルドなペースでの金利上昇であれば、…投資サイドからすると、歓迎とでもいうべき事象となる。…問題は…一瞬にして大幅な金利上昇(国債暴落)が起きる…。しかしながら、現状ではリアリティーのある議論とは言えない。
…対外純資産が266兆円とダントツの世界1位で徴税基盤も盤石な日本財政…グローバルに議論されているソブリン問題とは本質的に違う。
マスコミは「売れれば良い」という価値判断で動いているという、好例です。
自分で「国債暴落」とあおって自分で「国債暴落はない」と言っているのだから、この編集部(毎日新聞社)はどうかしていると判断せざるをえません。
<では、本当は>
P32 土居丈朗(慶大教授)『財政』
…これまで、日本の政府粗債務(国債、地方債)の消化を支えてきたのは、家計の金融資産である。…家計の金融純資産の規模をみると、近年伸び悩んでいる。…家計が仮にすべての資産を国債や地方債で運用しても、それだけでは国債や地方債は消化しきれず、海外投資家にも投資してもらわなければならないことになる。そうなれば、国債金利の内外差は、これまで以上に早く圧縮する圧力が高まる。海外の先進国ではすでに国債金利は3~4%以上となっており、日本国債の金利も、1%台であり続けられないだろう。
P25 徳岡喜一(IMF)
…公的債務残高…と長期金利との間に相関があるなかにあって…相関が断たれているように見える日本の現状には、日本固有の要因が重要…。
として、理由を3点あげています。
1つめ
ストックベースでGDPの約300%に及ぶ家計金融資産。その家計による国債のファイナンスは国債残高の半分を超える。
政府にとっては借金,国民にとっては財産です。もちろん現実には,国債を買っている個人はまだまだ少ないのですが,預金された側の銀行,生命保険会社,郵便貯金会社が,国債を購入しているのです。我々の預貯金(1,410兆円)が,政府の国債の購入にあてられて(過去の国債購入費がストックとして計上されて)います。

↓

↓

日経H22.5.11

2つめ
国債を日本国内で消化していること。日本国債の95%は国内投資家に保有され、特に安定機関投資家であるゆうちょ銀行、年金積立金管理運用独立行政法人だけで30%を占め、日銀も10%を占める。
上に示したグラフを見てわかるように、国債を保有しているのは、個人が5.1%、外国が5.2%、後は、銀行・生命保険、年金基金、投資信託会社などです。そして、その金利配当、元金返還の構図は,下記のようになっています。

3つめ
企業部門の資金余剰。本来は借り手である企業が、一時期は、家計以上の資金余剰。企業の過去借金の返済資金が銀行に回り、国債購入へ回る構図。
このような要因の結果、「公的債務残高…と長期金利との間に相関」があるはずが、日本のみ、その相関から外れているのです。

とすると、この3つの特殊要因が崩れると、他国のように「公的債務増加→長期金利上昇」となります。
国債の項、続く。
この号で、国債暴落について特集しています。これでもかこれでもかと、危機をあおります。

p20・21
『国の借金は1000兆円 国債暴落は目前に迫っている』

…政府歳出の増大、税収の大幅な落ち込みに伴う大量発行で、政府債務残高は膨らみ続けている。「オオカミ少年」と繰り返されてきた日本国債暴落が、いよいよ現実のものとして迫ってきた。
国家の信用力で中国が日本を上回る「日中逆転」…。年始早々、日本の市場関係者に衝撃が走った。
…国債の元本や利払いが滞った場合の損失を補償する「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場でのことだ。
…国債のCDSは、各国の財政状況を市場メカニズムで測った客観的評価と言える。…新興国の中国に先進国の日本が信用力で劣ると市場から見られた事実は重い。
…「CDSが上がりだすと、その対象となっている債券は危ない」…草野豊己・草野グローバルフロンティア代表はこう繰り返す。
P23 濱條元保・編集部『インフレという形を変えた増税』
…1000兆円にも迫ろうとする膨大な借金を抱え込み…しかし、巨額の借金を維持できなくなれば、通貨価値を減価させて実質的に借金を減らず事態へと発展しないか。それはインフレという形を変えた増税にほかならず、戦後の混乱期の再来だ。
P36 児玉祐一(明治安田生命チーフエコノミスト)
『…国債大増発 債券市場の「ヤマ場は今夏』
…債券市場にとっては夏場前後に1つのヤマを迎えることになりそうだ。…日本の財政がすでに持続不可能な領域に達しているとの研究は多い。…国民が財政運営への信頼感を失ってしまえば元も子もない。
…今後数年間は、世界的に財政規律の回復競争が予想される。…市場が「日本売り」の様相を強めないことを祈りたい。
このように、危機をあおっておいて、2010.6.29号では 『国債暴落のウソ』という特集号を出します。わけがわかりません。

<国債暴落のウソ>
2010.6.29号
P28
国債選好は…金融不安や信用不安の中で、流動性の優れた安全資産に資金が流れやすい傾向になっていること。
…金利上昇(国債価格下落)…については…マイルドなペースでの金利上昇であれば、…投資サイドからすると、歓迎とでもいうべき事象となる。…問題は…一瞬にして大幅な金利上昇(国債暴落)が起きる…。しかしながら、現状ではリアリティーのある議論とは言えない。
…対外純資産が266兆円とダントツの世界1位で徴税基盤も盤石な日本財政…グローバルに議論されているソブリン問題とは本質的に違う。
マスコミは「売れれば良い」という価値判断で動いているという、好例です。
自分で「国債暴落」とあおって自分で「国債暴落はない」と言っているのだから、この編集部(毎日新聞社)はどうかしていると判断せざるをえません。
<では、本当は>
P32 土居丈朗(慶大教授)『財政』
…これまで、日本の政府粗債務(国債、地方債)の消化を支えてきたのは、家計の金融資産である。…家計の金融純資産の規模をみると、近年伸び悩んでいる。…家計が仮にすべての資産を国債や地方債で運用しても、それだけでは国債や地方債は消化しきれず、海外投資家にも投資してもらわなければならないことになる。そうなれば、国債金利の内外差は、これまで以上に早く圧縮する圧力が高まる。海外の先進国ではすでに国債金利は3~4%以上となっており、日本国債の金利も、1%台であり続けられないだろう。
P25 徳岡喜一(IMF)
…公的債務残高…と長期金利との間に相関があるなかにあって…相関が断たれているように見える日本の現状には、日本固有の要因が重要…。
として、理由を3点あげています。
1つめ
ストックベースでGDPの約300%に及ぶ家計金融資産。その家計による国債のファイナンスは国債残高の半分を超える。
政府にとっては借金,国民にとっては財産です。もちろん現実には,国債を買っている個人はまだまだ少ないのですが,預金された側の銀行,生命保険会社,郵便貯金会社が,国債を購入しているのです。我々の預貯金(1,410兆円)が,政府の国債の購入にあてられて(過去の国債購入費がストックとして計上されて)います。

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日経H22.5.11

2つめ
国債を日本国内で消化していること。日本国債の95%は国内投資家に保有され、特に安定機関投資家であるゆうちょ銀行、年金積立金管理運用独立行政法人だけで30%を占め、日銀も10%を占める。
上に示したグラフを見てわかるように、国債を保有しているのは、個人が5.1%、外国が5.2%、後は、銀行・生命保険、年金基金、投資信託会社などです。そして、その金利配当、元金返還の構図は,下記のようになっています。

3つめ
企業部門の資金余剰。本来は借り手である企業が、一時期は、家計以上の資金余剰。企業の過去借金の返済資金が銀行に回り、国債購入へ回る構図。
このような要因の結果、「公的債務残高…と長期金利との間に相関」があるはずが、日本のみ、その相関から外れているのです。

とすると、この3つの特殊要因が崩れると、他国のように「公的債務増加→長期金利上昇」となります。
国債の項、続く。
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