日経H22.6.21 『ユーロ危機 上 国民説得へ「徴税大作戦」』

『春秋』日経H22.6.25
 「いやもう家計は火の車なんだ。家に入れるお金をちょっと増やしてくれないかな。これまでは1万円ずつもらってきたけど、まあ、倍の2万円ってとこか」。ある日家族会議でお父さんが切り出した。「このままじゃ破産なんだよ」
 お父さんがしきりに引き合いに出すのは、放漫財政で行きづまった希臘(ギリシャ)さんという家のことだ。「あんなふうになっていいのか」。みんな希臘家の不幸はよく知っているから神妙に聞いている。…


<もともとアバウトなギリシャ>

 今年前半のユーロ圏の話題で最大のものは「ギリシャ危機」でした。

 現在のパパレンドウ政権が、前政権の膿を洗い出した結果、対GDP比3%台だったはずの、財政赤字は、実は12%台だったことがわかりました。粉飾決算です。

 ギリシャは長年有力家(グループ)2家による、政権の独占が続きました。長い間政敵でありつつ、もたれあいで、自分たち親戚一同グループの生活向上のみを図っていたのです。
 その結果、脱税、不正は当たり前で、公務員の給与は民間の4倍にものぼる高額所得者担っていました。そこを、リーマン/ショックがおそいます。
 
 一昨年の金融危機以後、世界各国は、不況打開のため、財政出動や、金融緩和措置をとりました。ギリシャも財政出動を行いましたが、そのため、もともとユーロ基準を上回る財政赤字だったのが、さらに赤字を拡大させたのです。

『ユーロ危機 上 国民説得へ「徴税大作戦」』日経H22.6.21 

 …ギリシャでは領収書なしで課税を逃れる地下経済が大きい。経済協力開発機構(OECD)の推計ではその規模は国内総生産(GDP)の25%に達し加盟国中で最大。実際には4割近くという見方すらある。



 図の赤線以下位からの部分が「地下経済」というのですから、何とも楽天的ですね。
ギリシャ GDP.JPG

 それで、現在はこのようになっているようです。

…「領収書をください」。アテネ市街のガソリンスタンド。…コンタクサキンさん…は、最近は給油のたびに領収書を請求するようになった。「これまでは領収書をくれなかったガソリンスタンドや小さな商店も出すようになった。でも集めるのが大変」と言う。

…「領収書革命」と呼ばれる税制改革だ。所得に応じ一定額以上の領収書提出を義務付け、その額に満たなければ罰金を、それを超えて集めた場合は一定額を所得税から控除する「アメとムチ」の政策だ。
…富裕層の脱税など国民の納税意識の低さとともに政府の徴税能力の問題が大きい。パパレンドゥ政権はこの問題に取り組むための「徴税大作戦」に乗り出したのだ。


 確かに、所得の一定額は、消費に回ります。日本の場合、収入の6割が消費に回ります。
 そうすると、年収400万円の人なら、240万円分消費しているので、240万円相当の領収書が溜まります(日本なら・・・です)。これ以上集めると控除、これ以下なら罰金というのですから、ギリシャは本当に、生産者が「領収書」を発行していなかったんですね。税収も低いわけです。

 さらに、富裕者の脱税は庶民の比ではないようです。

…「プールを探せ」。国税当局は富裕層の課税を強化するため、衛星写真で自宅にスイミングプールを保有している人を探し出す調査を始めた。こうした問題は長年放置されてきた。今回の財政緊縮策では年金給付削減や増税などで国民に幅広く負担を求めざるを得ないが、富裕層の所得隠し、課税逃れが続けば低所得者層を中心に反発が広がりかねない。

 「南欧っぽい」と言えばそうなのですが。これが、ユーロを揺るがしました。その経済規模はユーロ圏の2%ほどにすぎないのですが。

 欧州中央銀行は、今年5月9日、ギリシャ国債の買い切りオペレーションを実行しました。「加盟国を直接救う」という、今までにない政策を導入しました。中央銀行の役割に、新たな1ページが刻まれました。
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