菅首相 「第3の道」

H22年6月11日、読売

『増税を財源に雇用を拡大』
 
 菅首相の言う「第3の道」は、増税で得た財政資金を社会保障等の成長分野に投入をすることで雇用を拡大し、成長につなげようという一連の政策だ。

 首相によれば、「第1の道」は、道路やダム建設など公共事業を通じた需要拡大策で自民党政権の伝統的手法だ。「第2の道」は規制改革を掲げ、小さな政府を目指した小泉内閣の構造改革路線だ。
「第1の道は国の借金を増やした。第2の道は企業の効率化がリストラを招き、格差社会を生んだ」として、首相はどちらも失敗と評価している。

小野善康 阪大社会経済研究所長

…失業率が10年以上も高止まりしている今の日本で供給サイドの潜在成長率を高めれば失業率はさらに悪化する。デフレと雇用不安を引き起こして消費がさらに落ち込むし税収も減る。それが小泉構造改革が失敗した原因だ。
…そもそも何が成長産業であるか確定的に判別できることなどないのではないか。


<小泉改革は、格差を縮小した>


 小泉首相 在任期間 2001年4月~2006年9月

『世界この先』日本経済新聞09年3月○○日(日にち喪失)

 グローバル化は本当に世界に格差や貧困をばらまいたのであろうか?…
…1に近いほど所得格差が大きいことを示すジニ係数。米コロンビア大学教授のサライマルティン(45)によれば世界全体の係数は70年には0.67だったが、2006年には0.61に下がった。世界銀行によると1日1ドル25セント未満で暮らす貧困層も過去25年間で5億人減った。過去の経済成長の恩恵は広く及んだ。マクロで見ればグローバル化が人々を不幸にしたと断ずる理由は乏しい。サライマルティンは「今世紀にはアフリカでも貧困脱出が始まった」と言う。


 日本のジニ係数は、2000年~2005年の間に、縮小しています。OECD2008年報告書によると、小泉改革2001~の間、格差拡大をわずかながら抑えたのです。

参照1:マイコミジャーナル 2008/10/23
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/10/23/049/index.html

 経済協力開発機構(OECD)が21日に発表した、OECD加盟諸国の所得格差を調べた報告書で、日本における所得格差は過去5年間で縮小に転じたことが分かった。

 日本のジニ係数は0.321で世界平均をわずかに上回った。この数値は0.323を示した10年前の1990年代半ばとほぼ同じ水準で、20年前の1980年代半ばの0.304よりはわずかに格差が拡大したことになるが、2000年前後の数値である0.337に比べ、過去5年ではやや改善されたことを示している。


日本の分析でも、ジニ係数拡大は、小泉改革の時に縮小しています。

グラフ出典:経済白書2009年版 

日本 ジニ係数

 また、景気は、小泉政権の時に、拡大しました。

時事ドットコムhttp://www.jiji.com/jc/v?p=ve_eco_current-diffusion

【図解・経済】景気動向指数の推移(最新・2010年6月8日更新)
◎景気の「谷」は昨年3月=戦後最大級の落ち込み-内閣府
※記事などの内容は2010年6月7日掲載時のものです

 …「谷-山-谷」を1サイクルとした景気循環でみると、戦後14番目となる02年1月から09年3月までの今回の景気循環は、前半の景気拡大期が戦後最長の69カ月となり、全体でも最長の86カ月間に及んだ。


景気動向指数  小泉

 小泉改革は、経済的には成功した
のです。(ただし、その配分は・・・こちらは政治問題です)

<第3の道とは>

菅首相の第3の道

1の道 大きな政府 公共事業拡大(需要拡大政策)
2の道 小さな政府 構造改革
3の道 増税し、社会保障分野などの産業へ

 菅首相の第3の道は、英国のトニー・ブレア首相(労働党)の時のキャッチフレーズを念頭に置いています。

 イギリスは、それ以前、「ゆりかごから墓場まで」といわれる高福祉政策を採用し、「英国病」といわれるほどに、経済が衰退しました。
 そこにサッチャー(保守党)が登場し、国有企業の売却、規制緩和など、のちに「新自由主義」といわれる政策を推し進め、小さな政府の実現を目指しました。

 一方、医療制度の崩壊や、競争原理による公教育の弊害も出てきたため、サッチャー路線の修正を図ろうとブレア首相が、目指したのが「第3の道」です。

(保守党)自由主義か、(労働党)社会民主主義かではなく、社会民主主義の中に自由主義を取り入れる政策のことです。

 ですから、法人税や所得税の減税(小さな政府路線)を引き継ぎながらも、低所得者層に対する就労支援や、公立校改革、地方分権などを進めました。

イギリスの第3の道
1の道 福祉型国家(大きな政府)
2の道 新自由主義(小さな政府)
3の道 1をとりつつも、2を導入

 菅首相の「第3の道」とは違います

 ポイントは、「自助努力する者」を政府が救済することです。失業手当をもらうためには、日本でいうハローワークと取り決めをしたり、2週間に1回受給資格の確認をしたり、面接を義務付けたりしました。
 また、公務員は、50万人以上増やしましたが、民間企業並みの「効率性」を最重要視しました。単なる「大きな政府」復活ではありません。これらの政策の理論になった考えを見てみましょう。

アンソニー・ギデンズ『第3の道』 日本経済新聞社 1999
P130
 政府が上から下まで不信を買う理由の一つは、政府が非効率な厄介ものだからである。企業組織が迅速かつ柔軟に環境変化に対応する世界では、どうしても政府は後れをとりがちである。要するに、「お役所的」の代名詞でもある「官僚制」は、政府を指し示す言葉にほかならない。
 政府のリストラは、「より安い費用でより大きな効果を」という生態学の原則に従うべきであって、単なる政府のダウンサイジング(規模縮小)ではない。それは、政府のやることを質・量ともに充実させることだと理解されなければなるまい。ほとんどの国の政府は、目標管理、実効性のある監査、柔軟な意思決定機構、従業員の参加拡充等々、企業の秀でた行動様式から学ぶ点が今なお多い

p116
 新しい政治の第一のモットーは、「権利は必ず責任を伴う」である。市民をはじめとする各主体に対して、弱者保護を含めて、政府は様々な責任を負っている。しかし、旧式の社会民主主義(筆者注:福祉重視の時代のイギリス)は、無条件に権利を要求する傾きが強かった。個人主義が浸透するにつれて、個人の権利に義務を伴わせる必要性が高まった。
 たとえば、失業手当には、積極的に職探しをする義務が伴わなければならない。福祉制度が積極的な求職活動を妨げないようにするのは、政府の責務である。「権利は必ず責任を伴う」というモットーは福祉の受給者だけではなく、万人が遵守すべき倫理原則でなければならない。



 この政策を採用した結果、イギリスの経済が成長したのは間違いありません。2007年~リーマン・ショック後を除く

ブレア政権期(1997年5月2日 - 2007年6月27日)

数字出典 世界経済のネタ帳

1人当たりGDP

[世] 一人当たりの名目GDP(US$)の推移(日本、イギリスの比較)

名目GDP

[世] 名目GDP(US$)の推移(日本、イギリスの比較)
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