ピムコ・ジャパン社長 高野真『ギリシャ問題と日本の財政リスク』日経5月24日(月)
<質問をいただきました>
2010.5.30記事
ピムコ・ジャパン社長 高野真『ギリシャ問題と日本の財政リスク』日経5月24日(月)
について
「財政赤字が6兆というのは何の赤字なのでしょうか?」

まず、C +I+G+(EX-IM)のG(政府)です。
Gは、政府で、国と地方公共団体です。
その支出は①消費支出、②公的資本形成③公的在庫品増加に分類されます。③は原油やコメの備蓄なので、金額的には無視していい数値です。
①消費支出は、GDPの15%以上を占めます。公務員給与や、社会保険の支出です。
②公的資本形成は、橋や道路などです。ただし、土地の取得代金は、GDPから除いて算出します(民間の場合と同じです)。公共投資は減少傾向です。
<数値の導出>
内閣府の国民経済計算確報を使用します。
例えば、最新の情報の場合
「平成20年度国民経済計算」
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h20-kaku/22annual-report-j.html
を参照します。以下は、年度ではなく、暦年です。
(1)国内総生産Y = C + I + G + EX – IM
第1部 フロー編 1統合勘定 (1)国内総生産勘定(生産側及び支出側)
を見ます。(単位10億円)
Y= 国内総生産(生産側or支出側) 505,111.9
C=民間最終消費支出291,750.7
I=総固定資本形成117,753.3+在庫品増加1,497.7=119,251.0
G=政府最終消費支出93,374.6
EX-IM=財貨・サービスの輸出88,493.7-財貨・サービスの輸入87,758.1=735.6
(2)Y=C+S+T
2.制度別部門所得支出勘定 5.所得の使用勘定 を見ます。
Yは上記(1)505,111.9
Cは上記(1)291,750.7
S=4.3 貯蓄の(再掲)貯蓄(総)=126,118.1
Tは、Y-C-Sで求められます。87,243.1
税金と言うより、「各種保険料を含めた政府収入」のことです。
以前、内閣府に問い合わせたところ、「国民経済計算は、国際基準に合わせて所得を複数の基準で算出しますが、税収という定義に見合うものはありません」とのことでした。
<財政赤字が6兆円のわけ>
G93,374.6-T87,243.1
=(G-T)=6兆131.5億円になります。
「毎年毎年、国債を増発して、国債残高が積み上がっている。平成22年度は44兆円も国債を発行するのに、この数値はおかしいのではないか」と思われるかもしれません。
政府(国)は、公債発行をしながら、国債償還もしています。例えば、平成20年度国家予算の場合、歳入の公債金(借り入れ)は25兆3480億円、歳出の国債費(償還)は20兆1623億円、差は5兆1857億円です。
そのほか保険を加えて、2008年の(G-T)=6兆131.5億円となっているのは、このような理由によるものです。
以上、導出方法について、
(1)黒田敏史 博士(経済学)東京経済大学
(2)内閣府 国民経済計算部企画調査課 03-3581-0631 担当木村氏
より、ご教授頂きました。
ただ、ちょっとGとIの集計について、疑問があるのも事実ですが・・・
<追記>
内閣府の回答です。
正確に質問に答えますと、国民経済計算の中で
Gは政府最終消費支出で、Iはいわゆる投資のことで、
公的・民間を含めてすべての投資が含まれます。
国民経済計算では公的資本形成や公的在庫も投資になります。
S-I=G-T+NXという式自体は、国民経済計算で
厳密にこの通りで利用しているわけではありませんが、
貯蓄投資の均等と海外債権の変動等(輸出入は最終的に現金預金など何か)は
資本調達勘定に記録されます。
個別の本の内容に関して随分議論いただきましたが、
残念ながらユーザーの使用目的や好みに基づくことですので、
統計がどのように利用されているのか、すべてを承知しているわけではありません。
Y=C+I+G+X-Mのような概念式は、国民経済計算にあてはめて自由に利用できるのですが、
これは経済学を理解する教育目的や分析目的に合わせて
自由に利用すべきもので
利用に際してこれといった決まりがあるわけではありません。したがって、当方もユーザーの利用目的に合わせて
なるべくお応えしていますが、
統計作成上は、公的資本形成や公的在庫も投資となります。
以上よろしくお願いいたします。
内閣府経済社会総合研究所
国民経済計算部
<中間生産物とGDP>
フロー編 Ⅴ.付表(2) 経済活動別の国内総生産・要素所得から確認できます。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h27/h27_kaku_top.html
なお、平成27暦年の中間生産物の名目値は「472,779.5(単位:10億円)」となっています。
2010.5.30記事
ピムコ・ジャパン社長 高野真『ギリシャ問題と日本の財政リスク』日経5月24日(月)
について
「財政赤字が6兆というのは何の赤字なのでしょうか?」

まず、C +I+G+(EX-IM)のG(政府)です。
Gは、政府で、国と地方公共団体です。
その支出は①消費支出、②公的資本形成③公的在庫品増加に分類されます。③は原油やコメの備蓄なので、金額的には無視していい数値です。
①消費支出は、GDPの15%以上を占めます。公務員給与や、社会保険の支出です。
②公的資本形成は、橋や道路などです。ただし、土地の取得代金は、GDPから除いて算出します(民間の場合と同じです)。公共投資は減少傾向です。
<数値の導出>
内閣府の国民経済計算確報を使用します。
例えば、最新の情報の場合
「平成20年度国民経済計算」
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h20-kaku/22annual-report-j.html
を参照します。以下は、年度ではなく、暦年です。
(1)国内総生産Y = C + I + G + EX – IM
第1部 フロー編 1統合勘定 (1)国内総生産勘定(生産側及び支出側)
を見ます。(単位10億円)
Y= 国内総生産(生産側or支出側) 505,111.9
C=民間最終消費支出291,750.7
I=総固定資本形成117,753.3+在庫品増加1,497.7=119,251.0
G=政府最終消費支出93,374.6
EX-IM=財貨・サービスの輸出88,493.7-財貨・サービスの輸入87,758.1=735.6
(2)Y=C+S+T
2.制度別部門所得支出勘定 5.所得の使用勘定 を見ます。
Yは上記(1)505,111.9
Cは上記(1)291,750.7
S=4.3 貯蓄の(再掲)貯蓄(総)=126,118.1
Tは、Y-C-Sで求められます。87,243.1
税金と言うより、「各種保険料を含めた政府収入」のことです。
以前、内閣府に問い合わせたところ、「国民経済計算は、国際基準に合わせて所得を複数の基準で算出しますが、税収という定義に見合うものはありません」とのことでした。
<財政赤字が6兆円のわけ>
G93,374.6-T87,243.1
=(G-T)=6兆131.5億円になります。
「毎年毎年、国債を増発して、国債残高が積み上がっている。平成22年度は44兆円も国債を発行するのに、この数値はおかしいのではないか」と思われるかもしれません。
政府(国)は、公債発行をしながら、国債償還もしています。例えば、平成20年度国家予算の場合、歳入の公債金(借り入れ)は25兆3480億円、歳出の国債費(償還)は20兆1623億円、差は5兆1857億円です。
そのほか保険を加えて、2008年の(G-T)=6兆131.5億円となっているのは、このような理由によるものです。
以上、導出方法について、
(1)黒田敏史 博士(経済学)東京経済大学
(2)内閣府 国民経済計算部企画調査課 03-3581-0631 担当木村氏
より、ご教授頂きました。
ただ、ちょっとGとIの集計について、疑問があるのも事実ですが・・・
<追記>
内閣府の回答です。
正確に質問に答えますと、国民経済計算の中で
Gは政府最終消費支出で、Iはいわゆる投資のことで、
公的・民間を含めてすべての投資が含まれます。
国民経済計算では公的資本形成や公的在庫も投資になります。
S-I=G-T+NXという式自体は、国民経済計算で
厳密にこの通りで利用しているわけではありませんが、
貯蓄投資の均等と海外債権の変動等(輸出入は最終的に現金預金など何か)は
資本調達勘定に記録されます。
個別の本の内容に関して随分議論いただきましたが、
残念ながらユーザーの使用目的や好みに基づくことですので、
統計がどのように利用されているのか、すべてを承知しているわけではありません。
Y=C+I+G+X-Mのような概念式は、国民経済計算にあてはめて自由に利用できるのですが、
これは経済学を理解する教育目的や分析目的に合わせて
自由に利用すべきもので
利用に際してこれといった決まりがあるわけではありません。したがって、当方もユーザーの利用目的に合わせて
なるべくお応えしていますが、
統計作成上は、公的資本形成や公的在庫も投資となります。
以上よろしくお願いいたします。
内閣府経済社会総合研究所
国民経済計算部
<中間生産物とGDP>
フロー編 Ⅴ.付表(2) 経済活動別の国内総生産・要素所得から確認できます。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h27/h27_kaku_top.html
なお、平成27暦年の中間生産物の名目値は「472,779.5(単位:10億円)」となっています。
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genre : 政治・経済