税金で、トリ・ブタ・ウシ育成 日経連載 『ニッポンの農力』

<税金で、トリ・ブタ・ウシ育成>

日経連載 『ニッポンの農力』シリーズ 引用記事はH22.5.3~4日版

 日本人が食べなくなった米を増産し、米粉・飼料米にします。補助金を付けてです。

 政府は今年度から、飼料米や米粉米を作る農家には10アール当たり8万円の補助金を付け…助成は主食米の5倍以上…。…この「8万円の魔力」に農家が飛びついた。
10アール当たりの収入は補助金を含めて9万2000円。主食米(同10万8500円)より安く、経営は補助金でやっとなりたつ。
…「貸していた土地を返して欲しい」…岩手県北上市…西部開発農産社長の照井…は借りている農地の地主から相次いで告げられた。約600人の地主のうち、12人が今年3月までに変換を要求。多くは「自分で飼料米を栽培することにした」という。…照井は「補助金がもらえるなら変換の要求が出るのは当然」とあきらめ顔だ



 ただし、補助金をつけても、国際価格には太刀打ちできません。

…本格普及には価格の壁…米粉は輸入小麦に比べ、飼料米は輸入トウモロコシに比べそれぞれ最低でも3割高い

 だから、なかなか買ってもらえません。

…JAえちご上越…佐藤…が…相談…。…農林水産省…は…飼料米を欲しがる全国の畜産農家・企業153件のリストをめくり養鶏のセイメイファーム…を紹介。…250トンの販売で合意…。だが生産計画は450トン。残りの200トンは「まだ決まっていない」(佐藤)。

 なぜこんなことになったのでしょう。

…政府が…閣議決定した「食料・農業・農村・基本計画」は減りつづけたコメの生産量を20年度には08年度比11%多い975万トンに引き上げ…。需要が落ち込む主食米は生産調整で減らす一方、飼料米は70万トン、米粉米は50万トンに増やす。50万トンは現在の小麦輸入量の1割に相当する。
 08年度産米のうち、飼料米と米粉米の占める割合は、0.1%。これを20年度には12.3%と、100倍以上にする。それで向上する自給率は2%。…必要な財政出動はおよそ8000億円。


 自給率を2%アップ、それも、家畜が食べる輸入トウモロコシを、国産米に変えて、達成しようというものです。主食米生産は減り続けているので、トリやブタやウシの食料を、税金でまかなうという作戦です。「国産」をうたう「ハンバーグ」や「フライドチキン」「国産牛」は、税金で育てられることになりますね。

<主食のコメはどうなった>

日経連載 『ニッポンの農力』シリーズ 引用記事はH22.5.3~4日版

 減り続ける、主食米としてのコメの需要。当然ですが、市場価格も下がり続けます。ところが、「強烈」な援軍が登場しました。戸別保障制度です。

…農家はコメをつくれば10アール当たり1万5千円の補助金を直接受け取れる。販売価格が下がったときの補てんもある。一方同5万円の大豆の補助金は3万5千円に減った。

 こうなると当然ですが、農家は大豆作りをやめ、コメ作りをしようとします。

 佐賀県武雄市。…異変が起きようとしている。例年なら小麦を収穫した後の7月には大豆の種をまく。だが…「今年は多くの農家がコメをつくる」…。
 …全国2位の大豆生産県である佐賀県の今年の耕作面積は前年比1割減り、その分コメの生産が増える。…9割を輸入に頼る大豆を…つくるメリットは薄れ、余っているコメづくりが一段と盛んになる。


 なぜ小さい農家がコメづくりに戻るのでしょう。

…自民党政権下…補助金を受けるには一定以上の農地を耕作していることなどが条件だった。…だが今後は小規模農家でも直接お金を受け取れる
コメの需要が減り、価格の低下が進む中で、農家の収入に直接結びつく戸別所得保障制度の魅力は強烈だ。


ただし、財源は・・・

政府は2010年度にコメ農家を対象に約5600億円の予算を組んだ。対象を小麦などに広げる11年度には,1兆円規模のお金が必要になる…。

参考文献 グラフも
http://www.maff.go.jp/soshiki/kambou/kikaku/chousakai/nougyoubukai/5kaisiryou/5thAgri1-2.html


米 需給 推移.jpg

 米の需要のピークは、昭和37年度に一人118キログラムでした。それが平成7年度に67.8キログラムになりました。
 http://www.maff.go.jp/soshiki/kambou/kikaku/chousakai/nougyoubukai/5kaisiryou/5thAgri1-2.html

参考文献 農林水産省『米の生産調整を確実に実施しましょう!』グラフも
米 一人当たり消費量 推移.jpg

 2006年(平成16年)には、さらに下がり、1人あたり61キログラムになりました。ピーク時の半分です。
 今後は、人口減、そして少子高齢化です。高齢者の割合が高くなり、「高齢者はコメをそんなに食べないだろう」と予測できます。今後、ますますコメの消費量は減る一方だと予測されています。

米 消費量 予測.jpg

 そこで、 「食べる米」ではなく、「家畜が食べる米」に保証金を出し、「税金が支える『官製市場』で食糧自給率を上げようとしています。

 肉を輸入すれば、「飼料代・水代」は外国が負担します。日本は「税金で飼料代を負担」しようとしています。
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