三枝成章『大学を首都圏から一掃せよ』日経22年4月19日
三枝成章(作曲家)『大学を首都圏から一掃せよ』日経22年4月19日
-大学を首都圏から一掃すべきだとお考えとか。
全国の大学、短大の約46%は関東平野に集中しているそうです。若い人はここへ来ないと大学を卒業できませんが、いちど東京という魔物に引かれると、地元へはなかなか戻りません。一方、地方経済は急激に悪化しています。工業生産の拠点はアジアヘ移り、農業も活路は高級品種を中国などへ輸出するくらいです。地方を救うには観光か教育しかおりません。そこで関東平野からすべての大学を閉め出し、強制的に地方に移転させるのです。神奈川県でもダメです。
…地方が東京で集めた税金の分配に頼らず、真の分権を実現するには、それくらいの過激な方法が必要です。
…一つの大学が移転してくれば、それだけで何千、何万の人が動くことになります。若い人□が増えれば、地方からの文化の発信にもつながります。…30年くらいかけて全面的に地方に移転させればいい。
…大学が地方へ移り、各地の地価を徐々に上げつつ、東京を暮らしやすくする方が、はるかに日本全体の活性化につながります。
…大学立国に眼らず、今の日本は30年単位の大改革を必要としているのではないでしょうか。
森ビル社長 森稔 『再開発交渉 粘り強く』読売H22.4.19
…人が住んでいるところを造り替えるのが再開発…
<東京の地盤沈下が気がかりという>
…近年の経済成長のペースが続くと仮定すれば、東京都の経済規模が上海市に追い越されるまで4~5年しかありません。シンガポールにも10年ほどで追い越される。日本の人はのんきで、いまだに「一極集中はいけない」と言う人もいますが、だけど世界の中でみると東京は決して一極集中ではなく、今やアジアの地方都市化しつつある。「均衡ある国土の発展」という考え方はもう古い。
世界中から人が集まってくる環境づくりに成功するかどうかが、これからの都市間競争の決め手です。国と国との競争ではなくて、都市間競争に勝った都市を持つ国が伸びるのだと思います。
<政治と経済の間>
政治は、(権利や資源)を、どう配分するか。経済は資源(ヒト・モノ・資本)をどう効率的に使うかのことです。前者は、価値観(べき論=ゾレン)で語られ、後者は事実(である論=ザイン)で語られます。価値観は「哲学」であり、事実は「科学」です。前者は100人100様、正解がありませんが、後者は正解があります。
<サービス業>
現在の日本は、サービス業で成り立っています。売買した後にモノが残らず、効用や満足などを提供する、形のない財のことである。第三次産業が取り扱う商品である。『ウィキペディア(Wikipedia)』
とうほう『政治・経済資料2009』p230

これを、産業構造の高度化=ペティ・クラークの法則といいます。サービス業は、「電気・ガスなどのインフラ、教育産業・飲食業・通信産業・運送業・不動産業・医療介護・理美容・旅行業・娯楽産業・法務税務業・金融業・レンタル業・情報産業etc」があります。
これら産業の特徴は、「移動(輸出)」出来ないことです(一部通信・情報などを除く)。つまり、「ヒトがいるところにしかサービス業は成り立たない」のです。
コンビニを開業しようとします。あるいは、塾や、ラーメン店でも結構です。どこに店を開くでしょうか。答えは、「ヒトのいるところ=都会」です。
北海道の場合、毎年数校の高等学校が閉校になります。小中学校はもっと多い数の学校が閉校になります。なぜか。「ヒトがいない」からです。
これに対し、「モノ作り(集め)=第一次・二次産業」は、田舎でも成り立ちます。「移動(輸出)」できるからです。
古代ローマの例を見るまでもなく、「都市」は、「サービス業」で成り立っている「人工物」です。そして、現代「都市人口率」は、世界各国で「増加の一途」です。
北海道の場合も「札幌圏一極集中」です。北海道の高校生の数は、「札幌圏」と「地方」の数が同数です。今後間違いなく「札幌圏」の割合が高くなります。2030年、「札幌圏」の人口は223.3万人、北海道全体の人口が464万人ですから、約半分が、「札幌圏」に住むことになります。参考文献:日本経済新聞社編『北海道2030年の未来像』2006年
このように推移する現状で、「大学をすべて地方に」というのは、「政治論」になります。
「…一つの大学が移転してくれば、それだけで何千、何万の人が動くことになります。若い人□が増えれば、地方からの文化の発信にもつながります。…30年くらいかけて全面的に地方に移転させればいい。
…大学が地方へ移り、各地の地価を徐々に上げつつ、東京を暮らしやすくする方が、はるかに日本全体の活性化につながります。」というのは、経済学的には、成り立たない=政治的には成り立つのです。
飯田泰之 東洋大教授『経済成長って何で必要なんだろう?』光文社2009
P240
少なからぬ経済学者・経済評論家が「世の中はこうあるべきだ」という主張をしますが、こういう価値論の部分は、経済学の専門的な論理から出てくることはほとんどありません。
P254
そんなに田舎が住みよかったら、誰も東京へ来ないですよ。
-大学を首都圏から一掃すべきだとお考えとか。
全国の大学、短大の約46%は関東平野に集中しているそうです。若い人はここへ来ないと大学を卒業できませんが、いちど東京という魔物に引かれると、地元へはなかなか戻りません。一方、地方経済は急激に悪化しています。工業生産の拠点はアジアヘ移り、農業も活路は高級品種を中国などへ輸出するくらいです。地方を救うには観光か教育しかおりません。そこで関東平野からすべての大学を閉め出し、強制的に地方に移転させるのです。神奈川県でもダメです。
…地方が東京で集めた税金の分配に頼らず、真の分権を実現するには、それくらいの過激な方法が必要です。
…一つの大学が移転してくれば、それだけで何千、何万の人が動くことになります。若い人□が増えれば、地方からの文化の発信にもつながります。…30年くらいかけて全面的に地方に移転させればいい。
…大学が地方へ移り、各地の地価を徐々に上げつつ、東京を暮らしやすくする方が、はるかに日本全体の活性化につながります。
…大学立国に眼らず、今の日本は30年単位の大改革を必要としているのではないでしょうか。
森ビル社長 森稔 『再開発交渉 粘り強く』読売H22.4.19
…人が住んでいるところを造り替えるのが再開発…
<東京の地盤沈下が気がかりという>
…近年の経済成長のペースが続くと仮定すれば、東京都の経済規模が上海市に追い越されるまで4~5年しかありません。シンガポールにも10年ほどで追い越される。日本の人はのんきで、いまだに「一極集中はいけない」と言う人もいますが、だけど世界の中でみると東京は決して一極集中ではなく、今やアジアの地方都市化しつつある。「均衡ある国土の発展」という考え方はもう古い。
世界中から人が集まってくる環境づくりに成功するかどうかが、これからの都市間競争の決め手です。国と国との競争ではなくて、都市間競争に勝った都市を持つ国が伸びるのだと思います。
<政治と経済の間>
政治は、(権利や資源)を、どう配分するか。経済は資源(ヒト・モノ・資本)をどう効率的に使うかのことです。前者は、価値観(べき論=ゾレン)で語られ、後者は事実(である論=ザイン)で語られます。価値観は「哲学」であり、事実は「科学」です。前者は100人100様、正解がありませんが、後者は正解があります。
<サービス業>
現在の日本は、サービス業で成り立っています。売買した後にモノが残らず、効用や満足などを提供する、形のない財のことである。第三次産業が取り扱う商品である。『ウィキペディア(Wikipedia)』
とうほう『政治・経済資料2009』p230

これを、産業構造の高度化=ペティ・クラークの法則といいます。サービス業は、「電気・ガスなどのインフラ、教育産業・飲食業・通信産業・運送業・不動産業・医療介護・理美容・旅行業・娯楽産業・法務税務業・金融業・レンタル業・情報産業etc」があります。
これら産業の特徴は、「移動(輸出)」出来ないことです(一部通信・情報などを除く)。つまり、「ヒトがいるところにしかサービス業は成り立たない」のです。
コンビニを開業しようとします。あるいは、塾や、ラーメン店でも結構です。どこに店を開くでしょうか。答えは、「ヒトのいるところ=都会」です。
北海道の場合、毎年数校の高等学校が閉校になります。小中学校はもっと多い数の学校が閉校になります。なぜか。「ヒトがいない」からです。
これに対し、「モノ作り(集め)=第一次・二次産業」は、田舎でも成り立ちます。「移動(輸出)」できるからです。
古代ローマの例を見るまでもなく、「都市」は、「サービス業」で成り立っている「人工物」です。そして、現代「都市人口率」は、世界各国で「増加の一途」です。
北海道の場合も「札幌圏一極集中」です。北海道の高校生の数は、「札幌圏」と「地方」の数が同数です。今後間違いなく「札幌圏」の割合が高くなります。2030年、「札幌圏」の人口は223.3万人、北海道全体の人口が464万人ですから、約半分が、「札幌圏」に住むことになります。参考文献:日本経済新聞社編『北海道2030年の未来像』2006年
このように推移する現状で、「大学をすべて地方に」というのは、「政治論」になります。
「…一つの大学が移転してくれば、それだけで何千、何万の人が動くことになります。若い人□が増えれば、地方からの文化の発信にもつながります。…30年くらいかけて全面的に地方に移転させればいい。
…大学が地方へ移り、各地の地価を徐々に上げつつ、東京を暮らしやすくする方が、はるかに日本全体の活性化につながります。」というのは、経済学的には、成り立たない=政治的には成り立つのです。
飯田泰之 東洋大教授『経済成長って何で必要なんだろう?』光文社2009
P240
少なからぬ経済学者・経済評論家が「世の中はこうあるべきだ」という主張をしますが、こういう価値論の部分は、経済学の専門的な論理から出てくることはほとんどありません。
P254
そんなに田舎が住みよかったら、誰も東京へ来ないですよ。
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