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日経『アジア内需拡大 成長の軸』H22.3.16

日経『アジア内需拡大 成長の軸』H22.3.16

中国 GDP 

 さて、2009年、中国のGDP(国内総生産)は、日本に「追いついた」とか、「並んだ」と言われています。2010年には、確実に日本を抜くようです。日本は、1960年代半ばより、維持してきた「GDP(GNP)世界第2位」の地位を開け渡すようです。

倉西雅子 鶴見大学非常勤講師 ブログ『万国時事周覧』
「一方の国が,極端に労働力が廉価である場合には,両国の間で生産費を比較…するまでもなく,この国が,全ての産業において競争力を持つことになります。つまり,相互利益は成立せず,生産費の主要部分を占める労働コストが低い国の一人勝ちとなるのです。…労働力が全て人口大国である中国に集中すれば,他の国の雇用はそれだけ減少し,当然に購買力も低下します」

 というような論調が、まことしやかにささやかれます。中国に抜かされると、日本の労働雇用が奪われ、日本は、大変なことになるというものです。

 貿易は、競争ではありません。ましてや、企業と違い、国と国は、競争の主体ではありません。貿易はWIN-WINの関係であり、国と国がGDPの額を競い合っているという国際競争なるものは、存在しません。

 日本のとなりに、日本と同じ規模のGDPを持つ国が出現したとします。簡単にいえば、「隣家」が金持ちになることです。GDP=GDI(国内総所得)のことですから、お隣の国の購買力が大きくなるということです。このような隣家を持つと、町内会は助かります。近所に「金持ち」がいて、困る人はいません。その街の商店街も潤います。

 中国は、日本と同じ巨大市場となり、周りの国からモノ・ヒト・カネを引きつけます。日本にとっては、ビジネスチャンスの拡大です。

 また、GDI(国内総所得)の増えた彼らは、日本に観光にもやってきます。冬の北海道「阿寒湖」周辺では、宿泊客の8割を、中国人観光客が占める場合があるそうです。また、彼らは、富裕層で、日本への旅行に、百数十万~数百万の費用(買い物代含む)をかけます。これだけの旅行予算をかけられる旅行者は、日本人にもまれです。
 GDP=GDI(国内総所得)ですから、使える所得も増大しているということです。
中国 GDP 増加

 貿易は,輸出と輸入を通した,「ゼロサム・ゲーム(勝つか負けるか)」の戦いではありません。貿易は,麻雀のような,限られた点数の取り合いゲームではないのです。ゼロサム・ゲームは,次の図のようになります。

リカード図ゼロサム.jpg

 しかし,貿易は違います。資源(労働力),資本,技術力を有効活用し,量を増やすのです。
リカードWINWIN.jpg

「勝つか負けるか」ではなく,両者ともに,「WIN-WIN」の関係になれる,それが貿易です。
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