新聞を解説 『国の借金 家計の貯蓄頼み限界』日経H22.12.30

新聞を解説 『国の借金 家計の貯蓄頼み限界』日経H22.12.30

 政府が家計の貯蓄に頼って借金を重ねる構図に限界がみえ始めた。政府の負債残高が膨張し…家計資産に対する比率は66%まで上昇した。…少子高齢化で家計の貯蓄率は07年度に過去最低の1.7%まで低下。「3~5年後にはマイナスに転じる」との見方もある。…日生基礎研究所の櫨浩一経済調査部長は「貯蓄率がマイナスになれば、海外からの投資増が必要になる…」と語る


<貯蓄率が低下すると・・・>

 「国債は政府の借金=国民の財産」 です。これらの借入金を買っているのは誰でしょう?それは我々1人1人の国民なのです。約846兆円のうち、94%=約795兆円は、我々日本人が持っているのです(単純計算です。国債を海外が購入している、6%という数値を使用しました)。簡単に言えば、約1500兆円に及ぶ、日本人の個人資産の約53.%は国の借入金なのです。

日経21.6.27
国債購入者 日経21.6.27

三面等価 2008

 貯蓄Sが、①企業の借金:I・②政府の借金:G-T・③外国の日本に対する借金:EX-IMの原資です。国民が、政府に貸しているのです。

(S-I)=(G-T)+(EX-IM)

 現在は、左辺がプラスなので、右辺の財政赤字・貿易黒字もプラスです。

ところが、「…少子高齢化で家計の貯蓄率は07年度に過去最低の1.7%まで低下。「3~5年後にはマイナスに転じる」との見方もある。」ということです。

櫨浩一『貯蓄率ゼロ経済』日本経済新聞社 2006年 p11 p106

2020年頃には家計貯蓄率はゼロに
櫨浩一『貯蓄率ゼロ経済』日本経済新聞社 2006年 p11 p106.jpg
  
櫨浩一2006年 p106
櫨浩一『貯蓄率ゼロ経済』日本経済新聞社 2006年 p11 p106

 現在の、S-Iがゼロ、あるいはマイナスになると言うことです。国民の貯蓄だけで、投資がまかないきれなくなるということです。

(S-I)=(G-T)+(EX-IM)

(1)左辺ゼロ=財政赤字プラス+貿易黒字マイナス
(2)左辺マイナス=財政赤字プラス+貿易黒字マイナス

 このように,左辺と右辺は必ず等しくなるので,日本は,必ず「貿易赤字」になります。
貿易赤字=資本収支黒字なので、外国から日本への投資が、増えることを示します。
「櫨浩一経済調査部長は「貯蓄率がマイナスになれば、海外からの投資増が必要になる…」と語る」というのは、海外からの投資黒字=貿易赤字国になるということです。日本は、必ずそうなります。今のイギリスや、アメリカのようにです。

(S-I)=(G-T)+(EX-IM)

(3)左辺ゼロ=貿易黒字ゼロ
(4)左辺マイナス=貿易黒字マイナス(貿易赤字)

 このようになるには、財政赤字ゼロでなければなりません。

三面等価 2008

 日本の2008年の財政赤字(G-T)は6兆1310億円です。
日本の消費Cは、約291兆円です。消費税を2%引き上げると、財政赤字(G-T)の6兆1310億円が補えることがわかります。国と地方が、現在発行しなければならない債務を、消費税を7%にすることで、「無借金経営」にすることが出来ます。これは、不可能な数字ではありません。財政赤字は、消費税にしたら、2%~多くても5%程度の額です

 大竹文雄(大阪大学教授)『ニッポン復活の10年』日本経済新聞H22.1.9
日本の財政赤字が突出して大きいのは政府の規模が大きいからではなく,税収があまりにも少ないため。国債相場が暴落しないのは,消費税率などを国際標準に合わせてゆけば十分に税収があがるという合意が市場関係者にあるからだ。


消費税率

「国債相場が暴落しないのは,消費税率などを国際標準に合わせてゆけば十分に税収があがるという合意が市場関係者にあるからだ」というのは,上記のグラフを見れば明らかです。

 これを見れば,8~13%,10~15%程度でしたら,現実的な選択肢として十分にあり得ることがわかります。財政赤字(G-T)を無くすなら,10%程度で十分です。日本国として,決して実現不可能な数値ではありません。

「国債暴落,日本政府破綻」なんか、絶対に起こりません。消費税を2%~多くても5%程度増やせばいいのです。税率7%~10%で財政赤字は0なのです。
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