新聞の間違い 経常黒字2年連続減
<新聞の間違い 経常黒字2年連続減>
『経常黒字2年連続減』日経H22.2.9
財務省が8日発表した2009年の国際収支速報では,モノやサービス、投資などの取引状況を示す経常収支の黒字額が、07年のピークに比べて半分の水準に落ち込んだ。貿易黒字が低い水準にとどまったうえ、投資での稼ぎを示す所得収支も落ち込みは過去最大。…日本や東アジア諸国は収益性の高い製品を米国に輸出する一方で、そこで得た利益を米国に回す構図だった。…日本は「投資で稼ぐ」姿を鮮明にしていた。それだけに、所得黒字の減少は国民所得全体に悪影響を与えかねない。
<経常黒字は良い、赤字は悪いという誤解>
①経常収支黒字=②資本収支赤字(資本収支・外貨準備・誤差脱漏)
①経常収支赤字=②資本収支黒字(資本収支・外貨準備・誤差脱漏)
「貿易収支や、所得収支の黒字が落ち込んだ」と嘆いています。しかも「所得黒字の減少は国民所得に影響を与えかねない」と、危機感をあおります。どちらも、何も気にすることはありません。
この記者は、「黒字が減れば赤字も減る」「黒字が増えれば赤字も増える」という、国際収支の原則を理解していません。だから、「落ち込む」とか、「黒字の減少はGNI(国民所得)に影響を与えかねない」とか、「黒字の減少がまずい」と書いてしまいます。
「貿易収支や、所得収支の黒字が落ち込んだ」と書くなら同時に、「資本収支赤字が半分に縮小」と書かなくてはなりません。「所得黒字の減少は国民所得全体に悪影響を与えかねない」と書くなら、同時に、「(資本)赤字の減少は、国民所得全体に好影響を与える可能性」
と書かなくてはなりません。これらは、どれも間違いです。
「貿易収支や、所得収支の黒字」は、必ず、「同額で海外資産の増加」を意味します。海外資産がいくら増えても、


経常黒字は、「国内に還流しないカネ=対外債権」なのです。ですから、経常黒字は「良いこと・悪いこと、損だ・得だ」という対象ではありません。

<経常黒字=外国への資金の貸し出し>
まず,経常黒字は日本国内で消費されなかった生産財・サービスを外国が消費(購入)すること、あるいは無償で提供すること(経常移転収支)です。と同時に,外国が,日本に外国債や株式・社債を購入してもらったり,直接投資(海外に工場を建てるなど)でも株式を購入してもらったりしています。日本からみると海外に貸していることです。
ということは,日本が「経常黒字」を出せば出すほど,日本の海外での「財産」が増えることになります。そして,実際にその通りになっています。
以上のような投資(海外へのお金の貸し出し)が,日本の対外資産です。その残高は約610兆4920億円(07年末)で,世界一となっています。そのうち,直接投資(海外の工場建設など)は,約55兆円です。また,外貨準備1兆39億ドルのうち,証券(外国国債含む)は8588億ドル,約86%を占めています。

この、海外債権から生み出される所得が、「所得収支」です。対外純資産は、円で計算されますから、「円高」になると、目減りします(ドルの金額自体は変わりません)。
また、 …日本や東アジア諸国は収益性の高い製品を米国に輸出する一方で、そこで得た利益を米国に回す構図ではありません。
トヨタや、パナソニックが「輸出」の主体です。一方、銀行などの金融機関、生命保険会社・投資信託などの機関投資家、政府、企業、個人が海外投資を行う主体です。これらは別々です。投資家が海外投資をするのは、自分のもうけのためであり、「日本の貿易黒字分」や「外貨が余っているから」投資しなければならないのではありません。
また、外国の政府・企業・個人からすると、社債・国債・株式を発行して資金を調達するのは、「貿易赤字」を穴埋めするために行っているのではありません。お金を貸してくれる主体は、国内であれ、海外であれ、企業・政府・個人にとってはどちらでもかまわないのです。
「EX-IM」は、資本収支赤字(海外投資)から、生まれるのです。つまり、 「お金の貸し借り」が先で、「経常黒字」は後なのです。
この日本の「対外債権」は、アメリカから見たら、「対外債務」になります。

対外債務とは、借金ではなく、アメリカ国内の「預金・株・国債・社債・土地・建物」の購入者が「外国人」であるということの意味しかありません。日産や、ヤマダ電機、三井不動産、花王、ソニーetcはすでに、外国企業です。
投資してもらっている国から見ます。
ある会社の株式が、外国人によって買われているということです。
ある会社の社債を、外国人が購入している状態です。
ある銀行の預金を、外国人がしていることです。
ある国の国債を、外国人が購入している状態です。
ある国の不動産の持ち主が、外国人の場合です。
株式の50%超を外国人が持っている、ヤマダ電機や、日産は、外国企業です。日本の国債の4%~7%ほどは、外国人が購入しています。北海道のニセコにある長期滞在型のホテルやコンドミニアムは、オーストラリア人が購入しています。

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『経常黒字2年連続減』日経H22.2.9
財務省が8日発表した2009年の国際収支速報では,モノやサービス、投資などの取引状況を示す経常収支の黒字額が、07年のピークに比べて半分の水準に落ち込んだ。貿易黒字が低い水準にとどまったうえ、投資での稼ぎを示す所得収支も落ち込みは過去最大。…日本や東アジア諸国は収益性の高い製品を米国に輸出する一方で、そこで得た利益を米国に回す構図だった。…日本は「投資で稼ぐ」姿を鮮明にしていた。それだけに、所得黒字の減少は国民所得全体に悪影響を与えかねない。
<経常黒字は良い、赤字は悪いという誤解>
①経常収支黒字=②資本収支赤字(資本収支・外貨準備・誤差脱漏)
①経常収支赤字=②資本収支黒字(資本収支・外貨準備・誤差脱漏)
「貿易収支や、所得収支の黒字が落ち込んだ」と嘆いています。しかも「所得黒字の減少は国民所得に影響を与えかねない」と、危機感をあおります。どちらも、何も気にすることはありません。
この記者は、「黒字が減れば赤字も減る」「黒字が増えれば赤字も増える」という、国際収支の原則を理解していません。だから、「落ち込む」とか、「黒字の減少はGNI(国民所得)に影響を与えかねない」とか、「黒字の減少がまずい」と書いてしまいます。
「貿易収支や、所得収支の黒字が落ち込んだ」と書くなら同時に、「資本収支赤字が半分に縮小」と書かなくてはなりません。「所得黒字の減少は国民所得全体に悪影響を与えかねない」と書くなら、同時に、「(資本)赤字の減少は、国民所得全体に好影響を与える可能性」
と書かなくてはなりません。これらは、どれも間違いです。
「貿易収支や、所得収支の黒字」は、必ず、「同額で海外資産の増加」を意味します。海外資産がいくら増えても、


経常黒字は、「国内に還流しないカネ=対外債権」なのです。ですから、経常黒字は「良いこと・悪いこと、損だ・得だ」という対象ではありません。

<経常黒字=外国への資金の貸し出し>
まず,経常黒字は日本国内で消費されなかった生産財・サービスを外国が消費(購入)すること、あるいは無償で提供すること(経常移転収支)です。と同時に,外国が,日本に外国債や株式・社債を購入してもらったり,直接投資(海外に工場を建てるなど)でも株式を購入してもらったりしています。日本からみると海外に貸していることです。
ということは,日本が「経常黒字」を出せば出すほど,日本の海外での「財産」が増えることになります。そして,実際にその通りになっています。
以上のような投資(海外へのお金の貸し出し)が,日本の対外資産です。その残高は約610兆4920億円(07年末)で,世界一となっています。そのうち,直接投資(海外の工場建設など)は,約55兆円です。また,外貨準備1兆39億ドルのうち,証券(外国国債含む)は8588億ドル,約86%を占めています。

この、海外債権から生み出される所得が、「所得収支」です。対外純資産は、円で計算されますから、「円高」になると、目減りします(ドルの金額自体は変わりません)。
また、 …日本や東アジア諸国は収益性の高い製品を米国に輸出する一方で、そこで得た利益を米国に回す構図ではありません。
トヨタや、パナソニックが「輸出」の主体です。一方、銀行などの金融機関、生命保険会社・投資信託などの機関投資家、政府、企業、個人が海外投資を行う主体です。これらは別々です。投資家が海外投資をするのは、自分のもうけのためであり、「日本の貿易黒字分」や「外貨が余っているから」投資しなければならないのではありません。
また、外国の政府・企業・個人からすると、社債・国債・株式を発行して資金を調達するのは、「貿易赤字」を穴埋めするために行っているのではありません。お金を貸してくれる主体は、国内であれ、海外であれ、企業・政府・個人にとってはどちらでもかまわないのです。
「EX-IM」は、資本収支赤字(海外投資)から、生まれるのです。つまり、 「お金の貸し借り」が先で、「経常黒字」は後なのです。
この日本の「対外債権」は、アメリカから見たら、「対外債務」になります。

対外債務とは、借金ではなく、アメリカ国内の「預金・株・国債・社債・土地・建物」の購入者が「外国人」であるということの意味しかありません。日産や、ヤマダ電機、三井不動産、花王、ソニーetcはすでに、外国企業です。
投資してもらっている国から見ます。
ある会社の株式が、外国人によって買われているということです。
ある会社の社債を、外国人が購入している状態です。
ある銀行の預金を、外国人がしていることです。
ある国の国債を、外国人が購入している状態です。
ある国の不動産の持ち主が、外国人の場合です。
株式の50%超を外国人が持っている、ヤマダ電機や、日産は、外国企業です。日本の国債の4%~7%ほどは、外国人が購入しています。北海道のニセコにある長期滞在型のホテルやコンドミニアムは、オーストラリア人が購入しています。

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