新聞の間違い 『中国経済の回復は道半ば』日経H21.10.23

新聞の間違い 『中国経済の回復は道半ば』日経H21.10.23

中国の…1~9月の成長率は前年同期比7.7%となり…今年の目標に…近づいた。
 輸出の低迷で、7~9月の①貿易黒字は前年同期の半分以下まで落ち込んだ
…外貨保有高が世界最大で貿易黒字も保っている中国の通貨が、世界最大の債務国で②赤字を垂れ流している>③米国の通貨に連動していることは、世界経済の不安定要素である。



①②貿易黒字額=お金の貸し借り額

貿易黒字が落ち込んだ」というのは、「貿易黒字が減るのは善くない=貿易黒字はもうけ」と考えているからです。
赤字を垂れ流している米国」というのも、同じ考えに基づいています。「貿易赤字は悪いこと=損」だから、「垂れ流し」という表現が出てしまいます。

竹森俊平 慶大経済学部教授 『世界的な需要大幅減の背後に奇妙なるグローバルインバランス』週間ダイヤモンド 2009.4.4 (グラフも)

…世界的な問題には…米国を中心とした近年の国際貸借の増加、いわゆる「グローバルインバランス」問題がありました。
…「インバランス」というと、なにか悪いことのように感じられますが、海外から資本を借りている国もあれば、貸している国もあること自体は、国際資本取引の上ではおかしな話ではありません。
 
インバランス 

お金の貸し借りは、善いとか悪いとかの対象ではありません。ですから、 「黒字が落ち込んだ」「赤字を垂れ流し」という表現が、おかしいのです。
そして、お金の貸し借りは、財(モノ・サービス)の面から見れば、貿易赤(黒)字になるのです。

三面等価 汎用.jpg
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 経常(貿易)黒字は、貯蓄超過から生まれ、海外への貸し出し額と同意なのです。

…資本、おカネの流れは、財の流れという側面から見ることもできます。そもそも米国に流れ込んだアジアの国々のおカネ(上図③)とは、本質的には過剰貯蓄、つまり消費(上図①)にも投資(上図②)にも使われないおカネです。過剰貯蓄の存在は、そのぶんだけ生産されたモノ(上図④)に対する需要が欠如している状態を意味します。「経常収支の赤字=海外からの純借入額=国内投資の国内貯蓄超過額」と頭にいれておいてください。 

 ここで、竹森先生の、重要な式が、提示されました。アメリカの場合は下記の式でA側から見た見方になります。一方、日本や中国、ドイツは、全く逆のBからの方向になります。

A→経常収支の赤字=海外からの純借入額=国内投資の国内貯蓄超過額←B

 …生産所得(上図④)のうち消費で使われないぶん(上図⑤)つまり貯蓄に見合った投資(上図②=政府の投資と企業の投資)があれば、生産所得と総支出は均衡することになります。

   貯蓄額=投資額なら、経常黒字(海外への貸し出し)は生まれません。

…アジアの国々が国内投資を抑制し、国内貯蓄を余らせた状態(過剰貯蓄)…しかるにそのとき、米国はアジアの余剰貯蓄を借り入れる一方、自国の貯蓄は減らしてそのぶん消費を増やし、投資も旺盛に行っていた。その結果、世界経済の生産余剰を米国の投資と消費が埋め…要するに…表裏一体の現象なのです。

   「貯蓄>投資」国≡「貯蓄<投資」国
 ですから、貿易黒字はもうけではなく、海外への貸し付け額なのです。例えば、日本国内/中国国内には環流しないおカネなのです。
 海外への貸し付け(投資)とは、外国の国債、社債、株、外国銀行への預金(外国銀行から見たら負債です)などです。

投資してもらっている国から見ます。

ある会社の株式が、外国人によって買われているということです。
ある会社の社債を、外国人が購入している状態です。
ある銀行の預金を、外国人がしていることです。
ある国の国債を、外国人が購入している状態です。
ある国の不動産の持ち主が、外国人の場合です。

 株式の50%超を外国人が持っている、ヤマダ電機や、日産は、外国企業です。日本の国債の4%~7%ほどは、外国人が購入しています。北海道のニセコにある長期滞在型のホテルやコンドミニアムは、オーストラリア人が購入しています。

 日本から見たら、「負債」になります。しかし、日本のGDI(国内総所得)は伸びます。企業も、銀行も、建設、不動産業もです。これらの企業にとって、買ってくれるのは、日本人であれ、外国人であれ、誰でもかまわないのです。

 だから、「貿易黒(赤)字と、経済成長は無関係」なのです。

②中国貿易黒字額=外貨準備増(+海外投資額)

 外貨保有高が世界最大で貿易黒字も保っている中国の通貨が、③米国の通貨に連動していることは、世界経済の不安定要素である。

 全く、不安定要素ではありません。

『社説:中国マネーに頼る米国の弱み』読売新聞 H21年6月8日
中国が米国債を買い続けなければ、米国は財政資金を確保できない。…ガイトナー米財務長官が北京で…米国債の購入継続を要望した。
 …かつては、日本が米国債の最大の買い手だったが、昨秋、中国がナンバーワンに躍り出た。中国の保有額は、今年3月時点で約800億ドルに達する。…ドルが急落すれば、保有するドル資産が目減りしかねない-中国は人民元相場の上昇を抑えるために市場介入を実施し、それで急増した外貨準備をドル資産に投資している事情がある。
 米国債を売却したり、引き受けを阻んだりすれば、ドル下落の要因になる。中国にはジレンマだが、米中が経済的に深い関係になっていることを示す。


2009.9.17 日経
9.26 不均衡の構図.jpg

日経 H21.6.14
日経 H21.6.14 中国 米国 モノ・カネ

 中国の貿易黒字=外国資本増(外貨準備増)ですから、まさに表裏一体、例えれば、1円のコインの裏表→500円のコインの裏表→1万円札の裏表と大きくなってきたようなものです。どちらの国にとっても、捨てられませんし、売れません。

貿易は勝ち負けではなく、相互依存関係」です。

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